白色申告の記帳|個人事業主のエンジニアが付ける帳簿と保存期間の目安を整理
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 白色申告でも記帳と帳簿の保存の義務があることと、申告の必要がない方にもその義務が及ぶ範囲
- 帳簿に書く事項と、一件ずつではなく日々の合計でまとめる簡易な書き方、そのとき守る条件
- 法定帳簿は7年、請求書や領収書などの書類は5年という保存の年数と、会計ソフトでの残し方
開業した年の12月、通帳と領収書の束を前に、白色申告の個人事業主のエンジニアが手を止めます。白色なら帳簿はいらないと聞いていたけれど、本当にそれで済むのか。国税庁の資料を確かめると、答えは「白色でも、日ごとの合計を書いて7年残します」でした。何をどこまで書き、何をいつまで残すのか。この記事では、その線引きを順に確かめていきます。
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1. 白色申告でも記帳が要る理由
白色申告者にも設けられた制度
国税庁のタックスアンサーによると、白色申告者に対しても、記帳制度や記録保存制度が設けられています1。青色申告の特典を使わない申告方法だから帳簿は不要、とはなりません。白色を選んだ人も、日々の取引を帳簿に残す前提で動きます。
しかも、この義務は申告の有無に左右されません。国税庁のリーフレットは、事業や不動産貸付け等を行う全ての方に、所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない方も含めて、記帳と帳簿書類の保存義務があると示しています2。収入が小さい年でも、事業を営んでいれば記帳は前提になります。
確定申告書に添える書類との関係
確定申告書を提出するときには、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類の添付が必要です。収支内訳書などがこれに当たります1。申告の時期に数字を書き込む欄は、日々の記帳がなければ埋められません。
では、帳簿には具体的に何を書けばよいのでしょうか。次の節で、記帳する事項を確かめます。
2. 帳簿に書く事項
年月日・相手方・金額の3つ
国税庁のタックスアンサーによると、記帳する事項は、売上げなどの収入金額と、仕入れや経費に関する事項です。それぞれについて、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等を書きます1。
通帳や領収書の束を手に取ると、そこに載っているのは日付、相手の名前、金額です。帳簿に移すべき情報は、手元の書類にほぼそろっています。迷ったら、この3つが書かれているかを見ます。
図の作成:Remogu編集部。国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」の記載を整理した概念図で、統計データではありません
日々の売上げ・仕入れ・経費の金額
タックスアンサーが挙げる事項には、取引ごとの情報に加えて、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額も入っています1。1日にまとまった金額を書く欄を持つ帳簿でも、この事項は満たせます。次の節では、その日々の合計という書き方を詳しく見ます。
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3. 日々の合計でまとめる簡易な書き方
一件ずつ書かなくてもよい
毎日の取引が多い人にとって、一件ずつの記帳は負担です。国税庁のタックスアンサーは、記帳に当たって、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいとしています1。
そのため、1日に何件もの経費や売上げがあっても、その日の合計を1行に書く形で足ります。冒頭で触れた「日ごとの合計を書く」は、この簡易な方法のことです。
二つの書き方の比べ方
一件ずつ書く方法と日々の合計で書く方法は、記帳の単位が違います。前者は取引の年月日、相手方の名称、金額を取引ごとに書き、後者は日々の売上げ・仕入れ・経費の金額をまとめて書きます1。どちらの場合も、所得金額が正確に計算できるよう整然とかつ明瞭に書く点は共通です1。
| 比べる点 | 一件ずつ書く | 日々の合計で書く |
|---|---|---|
| 記帳の単位 | 取引ごと | 日ごとの合計金額 |
| 書く内容 | 取引の年月日・相手方の名称・金額 | 日々の売上げ・仕入れ・経費の金額 |
| 共通の条件 | 整然とかつ明瞭に書く | 整然とかつ明瞭に書く |
簡易でも外せない条件
ただし、簡易な方法にも条件があります。国税庁のタックスアンサーによると、記帳は、所得金額が正確に計算できるように、整然とかつ明瞭にする必要があります1。まとめて書いてよいのは書く単位であって、書く精度を下げてよいわけではありません。
では、書いた帳簿と、その元になる書類はいつまで手元に残すのでしょうか。次は保存の年数を確かめます。
4. 帳簿と書類を残す年数
帳簿は7年、書類は5年
国税庁のタックスアンサーによると、白色申告者は、収入金額や必要経費を記載した帳簿を7年保存します。この帳簿は法定帳簿と呼ばれます1。日々の合計で書いた帳簿も、この保存の対象です。
一方、業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類の保存期間は5年です1。取引先から届いたものだけでなく、自分で作って出した請求書も対象に入ります。
2つの年数をそろえて見ると、帳簿のほうが長く、書類のほうが短い関係です。何を何年残すのかを、次の表と図で並べます。
保存するものと期間の対応
保存の対象は2つに分かれます。収入金額や必要経費を記載した帳簿は7年、請求書や領収書などの書類は5年です1。書類の側には納品書や送り状も入りますが、保存期間は同じ5年で、帳簿の7年とは別に数えます1。
| 保存が必要なもの | 主な例 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 帳簿(法定帳簿) | 収入金額や必要経費を記載した帳簿 | 7年 |
| 書類 | 請求書、納品書、送り状、領収書など | 5年 |
出典:国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」(2026年4月現在)をもとに作成
雑所得の収入が300万円を超えるとき
保存が求められるのは、事業を営む人だけではありません。国税庁のタックスアンサーによると、業務に係る雑所得のある方で、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方は、帳簿などの保存が必要です1。
ここで基準になるのは前々年分の収入金額です。副業に近い形で案件を受けているときも、収入の区分によっては保存の対象になります。区分の判断そのものは別の記事に譲り、この記事では保存の話だけを続けます。
次は、紙で残すか電子データで残すかによって、保存の考え方がどう分かれるかです。
5. 会計ソフトと電子データでの保存
自分で作る帳簿と書類の電子保存
国税庁のタックスアンサーによると、一定の要件の下、電子計算機を使用して作成する帳簿および書類に係る電磁的記録をもって、帳簿書類などの保存に代えられます1。会計ソフトなどで帳簿をつけている場合、紙に印刷して残す代わりに、電子データで保存する道が示されています。
ただし、条件は「一定の要件の下」です。電子データであれば紙の代わりになる、という書き方ではありません。要件の中身はこの記事では扱いません。電子データで残すと決めたときは、国税庁の資料で要件を確かめてから始めます。
やりとりした請求書・領収書の電子データ
国税庁のリーフレットによると、請求書や領収書などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データを一定の要件の下で保存する必要があります2。やりとりの中身が紙ではなく電子データだったときの話です。
前の項は、電子で残すかどうかを選べる話でした。一方、こちらは電子データのまま保存する必要があると書かれています。同じ電子でも、帳簿を自分で作る場面とやりとりした請求書や領収書の場面とでは、述語が違います。
図の作成:Remogu編集部。国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」と「記帳・帳簿等の保存制度」の記載を整理した概念図で、統計データではありません
では、帳簿を残していなかった場合には、何が起きるのでしょうか。
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6. 帳簿が無いと加算税が重くなる
加算税の割合に上乗せされる5パーセントまたは10パーセント
国税庁のタックスアンサーによると、売上げに関する帳簿を保存していなかったことなどが税務調査において把握された場合には、通常課される加算税の割合に5パーセントまたは10パーセントが加重されます1。
記帳と保存は、申告の前に済ませる作業です。ところが、その結果は調査があったときの加算税の割合にまで及びます。5パーセントと10パーセントのどちらが当てはまるかの区分は、この記事では扱いません。
消費税の課税事業者になったときの書き分け
帳簿の書き方には、もう1つ加わる場面があります。国税庁のリーフレットによると、消費税の課税事業者となる方は、軽減税率の対象となる売上げ・仕入れがある場合、税率ごとに区分して帳簿に記載する必要があります2。
課税事業者になるかどうかは、この記事の範囲外です。なった場合に、帳簿の書き方へ税率ごとの区分が加わる点だけ、頭の隅に置いておけば足ります。
では、実際に何から手を付ければよいのでしょうか。
7. 白色申告の記帳を始める順番
手順と、その根拠になる記載
始める順番は5つに分けられます。通帳と領収書を日付順に並べ、書く欄を作り、日々の合計でまとめるかを決め、帳簿と書類の保存年数を押さえ、迷ったら税務署の記帳指導に頼る流れです。各手順の根拠は、国税庁のタックスアンサーとリーフレットの記載にあります。
| 順番 | やること | 根拠になる記載 |
|---|---|---|
| 1 | 通帳と領収書を日付順に並べる | 取引の年月日を書く事項に含む1 |
| 2 | 年月日・相手方・金額を書く欄を作る | 相手方の名称と金額も書く事項に含む1 |
| 3 | 日々の合計でまとめるか決める | 日々の合計金額のみをまとめる簡易な方法でもよい1 |
| 4 | 帳簿は7年、書類は5年残す | 法定帳簿は7年1、請求書や領収書などの書類は5年1 |
| 5 | 迷ったら税務署の記帳指導を使う | 税務署が記帳指導などを行っている2 |
図の作成:Remogu編集部。国税庁の記載を整理した概念図で、統計データではありません
迷ったときの相談先
書き方に迷ったときの窓口も、資料に示されています。国税庁のリーフレットによると、税務署では、記帳に関する指導を希望される方などに対して記帳指導などを行っています。国税庁動画チャンネルにも、記帳の方法の説明が掲載されています2。
つまり、1人で抱え込まなくても相談できる窓口が用意されています。
開業した年の12月に戻って
通帳と領収書の束を前に手が止まったのは、書く事項も残す年数も分からなかったからです。白色なら帳簿はいらない、という話は、国税庁の資料からは確かめられませんでした。白色でも、日ごとの合計を書いて7年残します。請求書や領収書などの書類は、5年です。
帳簿の整え方が見えたら、次の一歩は案件の条件を確かめることです。Remoguに登録して、自分の経験に合う案件の条件を見てみませんか。
8. よくある質問
白色申告なら帳簿はつけなくてよいですか
いいえ、白色申告者にも記帳制度や記録保存制度が設けられています1。事業や不動産貸付け等を行う全ての方に、申告の必要がない方も含めて、記帳と帳簿書類の保存義務があります2。
取引を1件ずつ書かないといけませんか
一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載する簡易な方法でもかまいません1。ただし、所得金額が正確に計算できるように、整然とかつ明瞭に書く必要があります1。
帳簿と領収書はいつまで残せばよいですか
収入金額や必要経費を記載した帳簿は7年です1。請求書、納品書、送り状、領収書などの書類は5年です1。
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出典・参考情報
*1 国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」(2026年4月・2026年10月確認)
*2 国税庁「記帳・帳簿等の保存制度」(2026年8月・2026年10月確認)
*3 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能