案件が中途解除されるときの予告と理由の開示|対象になる契約と例外を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 予告は解除日・契約満了日から30日前までに行われることと、理由は請求した場合に開示される仕組みであること
- 対象になるのは6か月以上の業務委託であることと、契約の更新や基本契約によって期間が判断される場合があること
- 契約の解除に含まれるものと含まれないものの違いと、予告が不要になる5つの例外があること
案件の終わりが近づいているとき、次にどう動けばよいかが分からないまま日だけが過ぎていく感覚があります。契約がいつまで続くのか、終わるとしたらいつ分かるのか、その見通しが立たないことが不安の大きな部分を占めています。公正取引委員会の案内には、契約の解除や不更新について発注事業者があらかじめ知らせる義務を負う場面が定められており、その内容を知っておくことが次の一歩につながります。
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1. この義務は何のために置かれているか
終わったあとに知らされるのと、終わる前に知らされるのとでは、準備に使える時間がまるで違います。この差を埋めるための決まりが、法律の側に置かれています。
公正取引委員会の案内には、この見通しを支えるための決まりが示されています。契約の解除や不更新について、発注事業者があらかじめ知らせる義務を負う場面が定められており、その仕組みを知ることが次の一歩につながります。
何のために置かれた義務か
この予告の義務は、フリーランスが次の取引へ円滑に移行するためのものとして案内されています1。契約が急に終わる場面では、次の案件を探す時間そのものが不足しがちであり、その時間を確保する狙いがあります。
発注事業者の都合だけで契約の終わりが決まるのではなく、終わりが近づいていることを事前に伝える段階を挟むことで、フリーランス側の準備に猶予が生まれます。仕組みの向きは、次に進む側を支える方向に作られています。
30日前という期限の意味
具体的には、6か月以上の期間で行う業務委託について、契約の解除または不更新をしようとする場合、発注事業者は例外事由に該当する場合を除いて、解除日または契約満了日から30日前までにその旨を予告しなければなりません2。起点は解除日と契約満了日の2つがあり、どちらを数えるかは契約の形によって変わります。
「30日前まで」という期限は、フリーランスが次の案件を探し始めるための時間として設けられています。この期限より前に知らされることが前提になっており、直前になって初めて伝えられる形は想定されていません。ただし、これがすべての契約に当てはまるわけではなく、対象になる期間と例外事由が別に定められています2。次の章では、理由の開示がどう扱われるかを見ていきます。
2. 理由の開示は、請求したときに行われる
契約の終わりが伝えられたとしても、なぜ終わるのかまでが自動的に伝わるとは限りません。理由が分からないまま次の準備を進めるのは心もとなく、この点をどう扱うかが気になる場面です。公正取引委員会の案内には、理由の開示についても手順が示されています。
理由は請求して初めて開示される
予告がされた日から契約が満了するまでの間に、フリーランスが解除の理由を発注事業者に請求した場合、発注事業者は例外事由に該当する場合を除いて、遅滞なく開示しなければなりません3。理由が自動的に示される仕組みではなく、請求という行動が起点になっている点は押さえておきたいところです。
「請求した場合には」という条件が付いているため、何もしないまま契約の満了が近づくと、理由を確かめる機会そのものを逃すこともあります。伝えられるのを待つよりも、必要であれば自分から尋ねる方が、状況を早く把握できます。
例外に当たる場合は開示も不要になる
予告そのものが不要になる例外事由に該当する場合は、そもそも予告が不要ですので、理由の開示義務もかかりません17。予告の例外と理由開示の例外は、別々の規定ではなく同じ例外事由の上に成り立っています。
つまり、理由が示されない場面があるとしても、仕組みが働いていないのではなく、例外事由に該当しているかどうかで結果が分かれているだけです。次の章では、そもそもどの契約がこの決まりの対象になるのかを見ていきます。
予告と理由開示を一覧で比較する
ここまでの内容を、予告と理由の開示という2つの場面に分けて整理します。どちらも「例外事由に該当する場合を除いて」という限定が付いている点は共通していますが、行われるタイミングと、行われる条件がそれぞれ異なります。また、例外事由に該当する場合は、この2つの場面自体が生じません。表の最後の行に、その場合の扱いも加えています。
| 区分 | いつ行われるか | 条件 |
|---|---|---|
| 予告 | 解除日または契約満了日から30日前まで | 例外事由に該当する場合を除きます2 |
| 理由の開示 | フリーランスが請求した場合に、遅滞なく | 例外事由に該当する場合を除きます3 |
| 例外事由に該当する場合 | 予告も理由の開示も生じません | そもそも予告が不要になります17 |
出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2025年)をもとに作成
3. 対象になるのは6か月以上の業務委託
この決まりがどの契約にも一律に当てはまるわけではありません。対象になるかどうかを分けているのは、契約する相手の属性ではなく、契約が続く期間です。期間の数え方にはいくつかのパターンがあり、1つの契約が長いか短いかだけで判断できない場面もあります。
ここを押さえておくと、自分の契約がどちらの数え方に近いかを整理しやすくなります。期間の基準と、基本契約がある場合の数え方を順に見ていきます。
6か月以上という基準
対象になるのは、6か月以上の業務委託だけでなく、契約の更新によって6か月以上継続して行うこととなる業務委託です4。最初の契約が短くても、更新を重ねた結果として6か月を超える見通しになれば、対象に含まれます。
1本の長い契約よりも、短い契約を繰り返して積み重ねる形の方が、期間を見落としやすくなります。更新のたびに区切りとして捉えるのではなく、通算した長さで捉える視点が必要です。
基本契約がある場合の数え方
基本契約を締結している場合には、個別契約ではなく基本契約をもとに期間を判断します5。個別の契約書だけを見て短いと判断しても、基本契約の期間が6か月以上であれば対象に含まれる場合があります。
さらに、基本契約についても予告義務の対象となります6。個別契約の扱いだけでなく、その土台になっている基本契約自体の解除や不更新にも、同じ予告の決まりが及びます。次の章では、「契約の解除」という言葉が指す範囲を見ていきます。
出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2025年)をもとに作成
4. 「契約の解除」に含まれるものと含まれないもの
「契約の解除」という言葉も、日常で使う意味そのままではありません。誰が、どのような形で終わらせたかによって、この決まりの対象に含まれるかどうかが変わります。言葉の範囲を確かめておかないと、対象になる場面と対象にならない場面を取り違えてしまいます。
発注事業者からの一方的な解除が対象になる
「契約の解除」とは、発注事業者からの一方的な契約の解除を指します7。フリーランス側から契約を終わらせる場合は、この言葉の範囲には含まれません8。
また、発注事業者とフリーランスの間の合意に基づく解除の場合も「契約の解除」には該当しませんが、その合意がフリーランスの自由な意思に基づくものであることが必要です8。形の上で合意という体裁になっていても、その中身が問われる仕組みになっています。
特約があっても扱いは変わらない
発注事業者とフリーランスの間で「一定の事由がある場合に事前予告なく解除できる」と定めていた場合も、例外事由に該当しない限り、直ちに事前予告が不要とはなりません9。契約書にどう書かれているかよりも、例外事由に当てはまるかどうかが判断の軸になります。
契約の条文だけを見るよりも、公正取引委員会の案内が示す例外事由に当てはまるかどうかを確かめる方が、実際の扱いに近づきます。次の章では、「契約の不更新」がどう判断されるかを見ていきます。
解除の範囲を一覧で確認する
「契約の解除」という言葉に何が含まれ、何が含まれないかを、ここまで3つの場面に分けて見てきました。発注事業者からの一方的な解除、フリーランスからの解除、自由な意思による合意解除、そして特約がある場合の扱いを、表にまとめて並べて確認します。特約があっても、この一覧の判断が変わるわけではありません。
| 区分 | 該当するかどうか | 内容 |
|---|---|---|
| 発注事業者からの一方的な解除 | 含まれます | 「契約の解除」に当たります7 |
| フリーランスからの解除 | 含まれません | 対象にはなりません8 |
| 自由な意思による合意解除 | 含まれません | フリーランスの自由な意思によるものが必要です8 |
| 特約による解除 | 例外事由に当たらない限り対象のまま | 契約書の定めだけでは外れません9 |
出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2025年)をもとに作成
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5. 「契約の不更新」はどう判断されるか
契約が終わる形には、解除だけでなく「更新しない」という形もあります。同じように見えても、判断のものさしは解除とは別に決められています。とくに、次の契約があるかどうかがはっきりしない断続的な契約では、「不更新」に当たるかどうかの見極めが必要になります。
契約満了日から1か月以内という基準
「契約の不更新」とは、発注事業者が不更新をしようとする意思を持って、契約満了日から起算して1か月以内に次の契約を締結しない場合を指します10。満了してからすぐではなく、1か月以内という幅の中で判断される点が特徴です。
この1か月という期間は、次の契約が結ばれるかどうかを見極めるための猶予でもあります。満了の直後に判断するのではなく、一定の幅を持って扱われる仕組みです。
断続的な契約ではどう扱われるか
断続的な業務委託契約であって、発注事業者が次の契約申込みを行うことができるかが明らかではない場合は、「契約の不更新」には該当しません11。次にまた契約が結ばれるかどうか自体が読めない形の契約は、この基準では別に扱われます。
ただし、次の契約申込みを行わないことが明らかになった時点で、その旨を伝えることが望ましいと案内されています11。義務として定められた予告とは別に、早い段階で伝える姿勢が案内の中で触れられています。次の章では、予告そのものが不要になる例外を見ていきます。
6. 予告が不要になる5つの例外
ここまでの決まりには、例外事由という言葉が繰り返し出てきました。この例外に該当すると、30日前までの予告が不要になります。例外は1つではなく、5つに分けて挙げられています。一部だけを知っていると、自分の契約がどちらに当たるのかを見誤ることにもつながるため、5つすべてを順番に確認します。
1つ目から3つ目の例外
1つ目は、災害などのやむを得ない事由により予告が困難な場合です12。2つ目は、フリーランスに再委託している場合で、上流の事業者の契約解除などにより直ちに解除せざるを得ない場合です13。
3つ目は、業務委託の期間が30日以下など短期間である場合です14。災害・上流の契約解除・短期間という、3つとも別の事情が並んでいます。
4つ目と5つ目の例外
4つ目は、フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合です15。5つ目は、基本契約がある場合で、フリーランスの事情で相当な期間、個別契約が締結されていない場合です16。
案内は5つを①から⑤として並べているだけで、性質ごとにまとめてはいません。5つのうちどれか1つに当てはまれば、予告は不要とされています。
5つの例外を一覧で確認する
予告が不要になる5つの例外を、案内の番号のまま一覧にします。契約書に特約があるかどうかにかかわらず、この5つのどれかに当てはまるかどうかで判断されます。
| 例外事由 | 内容 |
|---|---|
| 1つ目 | 災害などのやむを得ない事由により予告が困難な場合12 |
| 2つ目 | 再委託先である上流の事業者の契約解除などにより直ちに解除せざるを得ない場合13 |
| 3つ目 | 業務委託の期間が30日以下など短期間である場合14 |
| 4つ目 | フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合15 |
| 5つ目 | 基本契約はあるが、フリーランスの事情で相当な期間、個別契約が締結されていない場合16 |
出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2025年)をもとに作成
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7. 契約で定めていても例外にはならない
ここまで、予告の期限と対象、そして例外を順番に見てきました。最後に、契約書の定めとこの決まりの関係をもう一度整理します。「契約書にこう書いてあるから」という理由だけで、予告の扱いが変わるわけではありません。
特約は例外事由の代わりにならない
発注事業者とフリーランスの間で「一定の事由がある場合に事前予告なく解除できる」と定めていた場合も、例外事由に該当しない限り、直ちに事前予告が不要とはなりません9。契約書の一文が、5つの例外事由を上書きすることはありません。
6か月以上の期間で行う業務委託について、契約の解除または不更新をしようとする場合、発注事業者は例外事由に該当する場合を除いて、解除日または契約満了日から30日前までにその旨を予告しなければなりません2。この原則に立ち返ると、契約書の文言よりも、実際に例外事由へ当てはまるかどうかの方が判断の軸になることが分かります。
副業や法人化など、立場によって扱いは変わりますか
この決まりで判断の基準になっているのは、業務委託が続く期間です。6か月以上の業務委託や、契約の更新によって6か月以上継続して行うこととなる業務委託が対象になります4。基本契約を締結している場合には、個別契約ではなく基本契約をもとに期間を判断します5。専業か副業か、個人か法人かという区分で対象が分かれる形にはなっていません。
理由を聞けるのはいつまでですか
予告がされた日から契約が満了するまでの間に、フリーランスが解除の理由を発注事業者に請求した場合、発注事業者は例外事由に該当する場合を除いて、遅滞なく開示しなければなりません3。請求できる期間が予告の日から満了の日までと示されているので、予告を受け取った時点で、聞くかどうかを決めることになります。
話し合って終わることにした場合も対象になりますか
「契約の解除」とは、発注事業者からの一方的な契約の解除を指します7。発注事業者とフリーランスの間の合意に基づく解除の場合は「契約の解除」に該当しませんが、その合意がフリーランスの自由な意思に基づくものであることが必要です8。
契約期間が短い案件でも予告はありますか
予告が不要になる例外の3つ目として、業務委託の期間が30日以下など短期間である場合が挙げられています14。また、そもそも対象になるのは6か月以上の業務委託や、契約の更新によって6か月以上継続して行うこととなる業務委託です4。
予告の期限、対象になる期間、そして5つの例外を押さえておけば、契約の終わりに関する見通しは立てやすくなります。Remoguで扱う案件は90%以上がフルリモート可能です。次に進む案件を場所に縛られない形で見ておくことが、次の一歩につながります。
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出典・参考情報
*1 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」この義務の位置づけ(2025年・2026年9月確認)
*2 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」予告の期限(2025年・2026年9月確認)
*3 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」理由の開示(2025年・2026年9月確認)
*4 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」対象になる期間の数え方(2025年・2026年9月確認)
*5 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」基本契約がある場合(2025年・2026年9月確認)
*6 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」基本契約も対象(2025年・2026年9月確認)
*7 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」解除の意味(2025年・2026年9月確認)
*8 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」含まれないもの(2025年・2026年9月確認)
*9 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」契約で定めていた場合(2025年・2026年9月確認)
*10 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」不更新の意味(2025年・2026年9月確認)
*11 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」該当しない場合の扱い(2025年・2026年9月確認)
*12 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」例外1(2025年・2026年9月確認)
*13 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」例外2(2025年・2026年9月確認)
*14 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」例外3(2025年・2026年9月確認)
*15 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」例外4(2025年・2026年9月確認)
*16 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」例外5(2025年・2026年9月確認)
*17 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」理由開示の例外(2025年・2026年9月確認)