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    JavaScriptの案件で担当するのは画面かデータか|範囲の違いと確かめ方を整理

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「JavaScript案件の担当範囲」を示す図です。利用者が見て操作する画面/画面に出すデータの受け渡しを並べています。強調しているのは利用者が見て操作する画面です。

    📘 この記事でわかること

    • 画面の見た目まで任される場面が広い理由と、そこにスマートフォン利用の広がりが関わっていること
    • データの形式や設計を整える取り組みが遅れがちな前提と、その差が案件情報のどこに表れるか
    • ノーコードで対応できる範囲とJavaScriptで組み立てが必要になる範囲の分かれ目と、受ける前に確かめる順番

    JavaScriptの案件情報には、担当する範囲がはっきり書かれていないことがあります。同じ言語でも、利用者が見て操作する画面を仕上げる仕事と、画面に出すデータを受け渡す仕組みを組み立てる仕事とでは、日々の進め方も、参画してから戸惑う場面もまったく違います。案件情報の言葉だけを見て引き受けると、想定していた範囲と実際の作業がずれることがあります。この記事では、範囲の分かれ目を示す3つの手がかりと、受ける前に確かめる順番を整理します。

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    1. JavaScriptの案件は2つに分かれる

    JavaScriptを使う案件は、大きく2つの役割に分かれます。ひとつは利用者が直接見て触れる部分を仕上げる仕事、もうひとつはその裏側でデータを受け渡す仕組みを組み立てる仕事です。案件情報には「JavaScript」としか書かれていないことが多く、どちらの比重が大きいかは読み取りにくいのが実情です。まず全体の構図をつかんでおくと、後の章で扱う手がかりが理解しやすくなります。

    この記事では、総務省とIPAの調査結果をもとに、JavaScriptの案件で担当する範囲を見分ける3つの手がかりと、受ける前に確かめる順番を整理します。

    作る側の企業ではAPIとデータ形式の整備が進んでいる

    開発を請け負う企業を対象にした調査では、APIの活用や標準的なデータの形式をそろえることに対する意識が高いという結果が出ています3。案件を発注する側ではなく、実際に手を動かして仕組みを作る事業者のほうが、データのやり取りをそろえる取り組みに積極的だということです。

    同じ調査では、クラウドやAPIの導入についても、作る側の企業を中心に比較的進んでいるという傾向が示されています10。JavaScriptの案件を受ける事業者の内部では、外部のサービスと連携する仕組みがすでに一定の水準まで整っていることが多いといえます。

    案件情報の言葉だけでは比重が分からない

    「フロントエンド」「バックエンド」という言葉が案件情報に書かれていても、実際にどこまでの範囲を任されるかは案件ごとに幅があります。画面の見た目を細部まで調整する比重が大きい案件もあれば、データを受け渡す仕組みの設計や保守が中心になる案件もあります。

    この違いを見分けるためには、次の章で扱う「デザイナーの在籍状況」と「データ側の整備状況」という2つの手がかりが役立ちます。どちらも案件情報の行間を読むための材料になります。

    範囲の見分け方をあらかじめ知っておくと、面談の場での質問も具体的になります。「画面の調整はどこまで任されますか」「データの形式はすでに決まっていますか」という2点を尋ねるだけでも、担当する範囲の輪郭がつかみやすくなり、参画後に感じるずれを減らせます。

    図1:画面を作る仕事とデータを受け渡す仕事
    画面を作る仕事とデータを受け渡す仕事の分かれ方 同じJavaScriptでも役割が違う 画面を作る仕事 見た目と操作感を仕上げる データを受け渡す仕組み 仕組みを組み立てる仕事

    図の作成:Remogu編集部。案件で担当する範囲の分かれ方を整理したもので、統計データではありません

    2. 画面を任される場面が広い理由

    画面を仕上げる作業が、想定より広い範囲までエンジニアに任されることがあります。その背景には、デザインを専門に担当する体制がどこまで整っているかという事情があります。

    画面を作る仕事は、確認のやり取りさえ整えておけば、稼働する場所を問わず進めやすい領域でもあります。Remoguで扱う案件の90%以上がフルリモート可能です。

    デザイナーが在籍している企業は日本で2割程度

    UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業の割合は、日本ではおよそ2割にとどまります1。他国の企業では5割から7割程度にのぼるという結果と比べると、日本企業でこの体制を持つところは限られていることが分かります。

    デザイナーが在籍していない案件では、配色や文字の大きさ、部品の並び方といった判断まで、参画するエンジニアの側で担うことがあります。指定書やデザインデータの有無を早い段階で確かめておくと、進め方の見通しが立てやすくなります。

    スマートフォンでの表示が前提になっている

    スマートフォンの利用率はパソコンを大きく上回っており、その差は27.6ポイントにのぼります2。画面を仕上げる仕事は、まずスマートフォンでの見え方を基準に組み立てる前提で進むことが多くなります。

    パソコンでの表示だけを想定して組み立てると、後から画面の並びを作り直す手間が発生しやすくなります。どの端末での確認を基準にするかを、早い段階でクライアントと共有しておく価値があります。

    確認する順番としては、まず利用者が触れる画面の範囲を尋ね、次に表示の基準にする端末を尋ねる進め方が効率的です。デザイナーが在籍していない案件ほど、この2点を早めに確認しておく価値が高くなります。

    状況見た目を任される範囲確認しておきたいこと
    デザイナーが在籍している案件指定を受けた部品や配色を組み立てる範囲が中心になりやすい指定書やデザインデータの有無
    デザイナーが在籍していない案件配色や文字の大きさなど見た目の判断も担うことがある参考にする画面や表示の基準
    スマートフォンでの利用が中心の案件画面の並びを小さい幅に合わせて組み立てる場面が多い確認に使う端末の種類
    図2:デザイナーの在籍割合と、任される見た目の範囲
    デザイナーの在籍割合と、任される見た目の範囲 デザイナーの在籍割合と任される見た目の範囲 日本 20.8% 他国 55〜70% UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業の割合

    出典:総務省「令和7年版情報通信白書」をもとに作成

    3. データ側は整っていない前提

    利用者が見て操作する画面をめぐる体制に比べ、データの形式や設計をそろえる取り組みは、案件を発注する企業の内部で遅れがちです。参画する前提として、この差を踏まえておきたいところです。

    データの受け渡し方が定まっていない案件では、参画したエンジニアが形式を決めるところから関わることがあります。想定していた作業量と、実際に必要になる作業量がずれる場面です。

    モジュール性やデータモデルの設計は依然として少ない

    モジュール性やデータモデルを意識した設計に取り組む企業は、発注する側の企業を中心に依然として少ないという結果が出ています4。データの構造を整理する作業が、案件の中に含まれてくる背景の一つです。

    この状況は案件によって幅があります。すでに構造が整理されている案件もあれば、参画してから気づく案件もあります。事前にデータの形式や設計方針について資料があるかを確かめておくと、範囲のずれを防ぎやすくなります。

    データ利活用の方針が定まっていないことが多い

    データ利活用に関する方針を明確にしている企業は少なく、対応の遅れが目立つという結果も示されています7。方針が定まっていない状態で進む案件では、途中で仕様が変わる場面が出てきます。

    仕様の変更に備えるには、方針を確認できる相手が誰なのかを、参画前に把握しておくことが助けになります。担当者が変わりやすい案件では、この点をあらかじめクライアントと協議しておくと安心です。

    データの形式や利活用の方針が定まっていない案件ほど、参画してからの相談事項が増えます。方針の確認先が分からないまま進めると、仕様の変更に気づくタイミングが遅れ、作業のやり直しにつながることもあります。

    状況起きやすいこと受ける前の着眼点
    データの形式や設計が整っている案件決まった形式に沿ってやり取りを追加していく形になりやすい既存のデータ形式の資料があるか
    データの形式や設計が整っていない案件形式を新しく決めるところから関わることがあるデータの受け渡し方を誰が決めるか
    利活用の方針が定まっていない案件途中で仕様が変わりやすい方針を確認できる相手がいるか
    図3:データの形式が整っている場合と整っていない場合の進み方
    データの形式が整っている場合と整っていない場合の進み方 整っている場合と整っていない場合の進み方 整っている場合:3つの手順で進む 整っていない場合:5つの手順に増える

    図の作成:Remogu編集部。データの形式が整っている場合と整っていない場合で進み方に違いが出ることを整理したもので、統計データではありません

    4. 品質が最優先という前提

    発注する企業が案件を通じて最も重視しているのは品質です。品質を最優先の事項として捉えているという結果が出ています5

    速さを優先して仕上げても、品質の確認が甘ければ差し戻しになります。丁寧に確認を重ねる進め方のほうが、結果として参画期間全体の負担が小さくなることがあります。

    技術情報の収集は個人任せになりやすい

    技術情報の収集は体系的な仕組みを持たず、個人に任されている企業が多いという結果が示されています9。品質を重視する一方で、情報を集める仕組みそのものは整っていないという食い違いです。

    この食い違いがある案件では、最新の仕様や制約についての情報を、参画するエンジニアの側から確認しにいく場面が増えます。クライアントと協議しながら、情報の出どころをそろえていく進め方が求められます。

    品質の基準は案件ごとに置き方が違う

    品質という言葉が指す範囲は案件によって異なります。表示の崩れがないことを指す場合もあれば、データの整合性やエラー処理の丁寧さを指す場合もあります。

    参画前に、品質の基準を誰がどのように確認しているのかを尋ねておくと、進め方の認識がそろいやすくなります。基準があいまいなまま進めると、後になって手戻りが増えます。

    品質の基準や技術情報の共有方法は、案件情報だけでは読み取れないことが多いため、面談の場での確認が欠かせません。確認を重ねる手間は、参画後の手戻りを減らすための時間だと捉えると、負担に感じにくくなります。

    5. ノーコードとの住み分け

    ノーコードやローコードの広がりは、JavaScriptの案件そのものを減らす方向には単純には向かいません。一部利用を含めると、これらの手法を取り入れている企業は全体の約4割にのぼります6

    一部利用を含めても、ノーコードやローコードを取り入れていない企業も残っています。範囲を分けて考える必要がある理由です。

    デジタル化の課題として人材不足が最も大きい

    デジタル化を進めるうえでの課題として、人材不足を挙げる企業の割合が最も大きく、48.7%にのぼります8。ノーコードやローコードが取り入れられる背景には、この人材不足を補う狙いがあります。

    人材不足を補う目的で導入される場合、定型的な画面や入力フォームはノーコードで対応でき、独自の見た目や複雑な連携が必要な部分にJavaScriptで組み立てる作業が残る、という住み分けになりやすくなります。

    住み分けの境目を見分ける

    案件情報に「ノーコード基盤の拡張」「独自機能の追加」という言葉が並んでいる場合、標準の機能では対応しきれない部分を組み立てる役割を任されることが多くなります。

    逆に、基盤の導入そのものが目的の案件では、JavaScriptで組み立てる範囲は限られます。案件情報の目的が「導入」なのか「拡張」なのかを見分けると、任される範囲の見当がつきやすくなります。

    住み分けの境目を見分けられれば、案件情報を読む段階で、自分が担当する作業のおおよその見当がつきます。ノーコード基盤の運用担当を探しているのか、独自の機能を組み立てる担当を探しているのかを見極める視点が役立ちます。

    範囲ノーコード・ローコードで対応できる部分JavaScriptで組み立てが必要になりやすい部分
    定型的な画面や入力フォーム用意された部品を組み合わせるだけで対応できることが多い独自の見た目や動きを加えるとき
    データの参照や一覧表示標準の機能でまかなえることが多い表示条件が複雑になったとき
    外部サービスとの連携基本の連携は組み込みの機能で対応できることが多い独自のAPIを設計するとき

    6. 案件情報から範囲を読む

    ここまでの内容を、実際の案件情報を読むときの視点に落とし込みます。案件情報に書かれた言葉の選び方から、担当する範囲の見当をつけることができます。

    「API連携」「データ形式の統一」という言葉が並んでいる案件は、作る側の事業者が意識してきた範囲と重なります3。すでに整理された形式に沿って進む場面が多くなります。

    設計から関わる言葉が並んでいるか

    「データ構造の整理」「モジュール分割」といった言葉が案件情報に含まれている場合は注意が必要です。モジュール性やデータモデルを意識した設計に取り組む企業は、発注する側では依然として少ない状況にあります4。この言葉が並ぶ案件は、その少ない部分にあたる可能性があります。

    言い換えると、設計に関わる言葉が具体的に書かれている案件ほど、参画してから構造そのものを整理する作業が発生しやすいということです。書かれている言葉の具体性を見ておくと、範囲の広さが読み取れます。

    言葉が薄い案件ほど確認が必要になる

    「JavaScriptでの開発」としか書かれていない案件は、担当する範囲の情報が薄いということです。薄い案件ほど、参画後に範囲が広がる可能性を含んでいます。

    案件情報の言葉が具体的であるほど、担当する範囲は事前に見当がつきやすくなります。逆に言葉が抽象的な案件では、面談の場で範囲を具体的に確かめておく価値が高まります。

    言葉の具体性を見分ける習慣を持っておくと、案件を選ぶ段階から、自分の得意な範囲に近い案件を絞り込みやすくなります。抽象的な言葉が多い案件ほど、面談で範囲を具体的に確認する準備をしておくと安心です。

    7. 受ける前に確かめる順番

    最後に、受ける前に確かめておきたい順番を整理します。順番を決めておくと、面談の限られた時間の中でも要点を押さえて確認できます。

    この順番で確かめておけば、参画した後に想定外の作業量に直面する場面を減らせます。

    データ利活用の方針を確かめる

    データ利活用に関する方針を明確にしている企業は少なく、対応の遅れが目立つという結果が出ています7。方針がまだ定まっていない案件では、途中で仕様が変わる前提で臨む必要があります。

    方針の有無は、面談で担当者に直接尋ねておくと確認しやすい点です。資料が無い場合は、決まっていない可能性が高いと捉えておきます。

    技術情報の共有の仕組みを確かめる

    技術情報の収集は体系的な仕組みを持たず、個人に任されている企業が多いという結果が示されています9。共有の仕組みが薄い案件では、必要な情報を自分から確認しにいく場面が増えます。

    この2点を面談の早い段階でクライアントと協議しておくと、参画してからの認識のずれを防ぎやすくなります。確認する順番は、方針の有無、共有の仕組み、担当する範囲の3点に絞ると聞き取りやすくなります。

    図4:受ける前に確かめる順番
    受ける前に確かめる順番 受ける前に確かめる順番 1 案件情報の記載 2 データ形式の有無 3 技術情報の共有方法 4 対応の範囲

    図の作成:Remogu編集部。受ける前に確かめておきたい順番を整理したもので、統計データではありません

    JavaScriptの案件でデータ側の設計まで任されることはありますか

    案件によります。モジュール性やデータモデルを意識した設計に取り組む企業は、発注する側では依然として少ない状況です4。その分、参画したエンジニアがデータの整理から関わる場面が出てくることがあります。

    ノーコードが広がると、JavaScriptの案件は減っていきますか

    一部利用を含めると、ノーコードやローコードを取り入れている企業は全体の約4割にのぼります6。独自の見た目や複雑な連携が必要な部分は、引き続き組み立てる作業が残ります。

    デザインの指定が無い案件では、何を確認すればよいですか

    参考にする画面や配色の基準があるかどうかを、参画前に確かめておくと進めやすくなります。UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業は日本で2割程度にとどまるため1、指定が無いまま進む案件は珍しくありません。

    品質を重視する案件では、どのような進め方が求められますか

    利用する側の企業は品質を最優先の事項として捉えています5。確認や検証に時間をかける進め方が前提になり、速さよりも丁寧な確認を重ねる姿勢のほうが評価されやすい傾向があります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」設計する人の不在(2025年7月・2026年8月確認)
    *2 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」使う道具の偏り(2025年7月・2026年8月確認)
    *3 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」つなぎ目の意識(2025年4月・2026年8月確認)
    *4 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」境界の不在(2025年4月・2026年8月確認)
    *5 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」評価の軸(2025年4月・2026年8月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」書かない選択(2025年4月・2026年8月確認)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」方針の遅れ(2025年4月・2026年8月確認)
    *8 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」最大の課題(2025年7月・2026年8月確認)
    *9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」知識の持ち方(2025年4月・2026年8月確認)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」進んでいる領域(2025年4月・2026年8月確認)