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    C言語の案件は組込みが中心?機器に載せる開発で任される範囲と条件を整理

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「C言語案件の担当範囲」を示す図です。書いたソフト/動かす機器/実機で確かめるを並べています。強調しているのは実機で確かめるです。

    📘 この記事でわかること

    • C言語の案件が機器に載せる開発に集まっている背景と、手元で試せる仕組みの有無が任される範囲を左右すること
    • 使っている部品の一覧や構成管理ツールの整い方が現場ごとに違う実態と、実機でしか確かめられない範囲の見分け方
    • 止まったときの備えと品質を最優先する現場の姿勢、そして受ける前に確かめておきたい確認の順番

    C言語という言葉から、業務システムの開発を思い浮かべる方もいます。ただ、実際にC言語の案件で多いのは、家電や産業用の機器、通信の装置など、機器そのものに載せるソフトを書く仕事です。IPAの調査でも、この現場を支える仕組みの整い方には企業ごとに差があることが読み取れます。まず、任される範囲を左右する分かれ目から見ていきます。

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    1. C言語の案件は機器に載せる開発が中心

    機器の内側で動くソフトに案件が集まっている

    C言語という言葉から、業務システムの開発を思い浮かべる方もいます。ただ、実際にC言語の案件で多いのは、家電や産業用の機器、通信の装置など、機器そのものに載せるソフトを書く仕事です。動く仕組みそのものに関わる分、経験の生かし方も業務システムの開発とは違ってきます。

    IPAの調査でも、この傾向を裏づける数字が見られます。センサーなどの機器を導入する取り組みは、利用する側の企業で検討中を含めて約2割にのぼっています1。機器の内側にソフトを組み込む発想は、業界全体で見るとまだ広がっている途中の段階だといえます。

    現場がまだ広がっている途中だからこそ、これまでどんな経験を積んできたかが問われます。業務システムを組んできた経験よりも、機器と向き合いながら動作を確かめてきた経験のほうが、この領域では素直に強みとして受け取られやすくなります。

    こうした流れは、これから組込みの案件に関わろうとする方にとって、経験の棚卸しをするよい機会でもあります。過去にどの機器と向き合い、どのような確認や検証を重ねてきたかを具体的な言葉にしておくと、参画を決める場面で伝えやすくなります。抽象的な自己紹介よりも、扱ってきた機器の種類や確認の手順を挙げるほうが、任される範囲の見立てにつながります。

    開発の進め方はいまも手順を踏む形が続いている

    組込みの現場では、開発の進め方にも独特の癖があります。IPAの調査によれば、依然としてウォーターフォール型の手法が主流となっています10。新しい進め方が広がっている分野とは、事情が違います。

    要件を固めてから設計に進み、実装と検証を順を追ってこなしていく進め方です。仕様が途中で変わりにくい機器の開発と相性がよく、後戻りにかかる手間が大きい分野で、いまも選ばれ続けている理由になっています。

    スピード重視の進め方に慣れてきた方には、手順の多さが窮屈に映るかもしれません。ただ、決められた手順をていねいにこなしてきた経験は、この領域ではそのまま評価される材料になります。

    手順を踏む進め方は、関わる人数が増えても足並みをそろえやすいという利点もあります。各工程で何を確認したか、どの前提で設計を進めたかが記録として残るため、途中から加わる人にも状況を伝えやすくなります。手順の多さを負担と捉えるか、引き継ぎやすさの土台と捉えるかで、この領域との相性は変わってきます。

    図1:機器に載せる開発と、そのほかのC言語の仕事
    機器に載せる開発と、そのほかのC言語の仕事を比べた図 機器に載せる開発 (組込み) 家電・産業機器のソフト 通信装置のソフト 案件がここに集まりやすい そのほかの C言語の仕事 社内の業務システム パソコン向けのアプリ

    図の作成:Remogu編集部。案件が集まりやすい領域を整理したもので、統計データではありません

    2. 手元で試せる仕組みがあるか

    シミュレーションを回せるかどうかで進め方が変わる

    組込みの案件を任されたときに大きく効いてくるのが、動作を手元で確かめられる仕組みがあるかどうかです。実機を使わずに動きを確認できれば、試して直すという作業を何度でも繰り返せます。逆に、その仕組みが無ければ、確認そのものが貴重な機会になります。

    IPAの調査では、シミュレーション技術の導入は、機器を作る側の企業で約2割にとどまっています2。手元で試せる仕組みは、業界全体で見ると、まだ一部の現場にしか広がっていないということです。

    この割合を知っておくと、案件ごとに確認の仕方が大きく違う理由が見えてきます。同じC言語の案件でも、確かめる仕組みが整っているかどうかによって、任される作業の重さや進め方そのものが変わってきます。

    モデリングやシミュレーションは後回しにされやすい

    仕組みが広がりにくい背景には、企業側の優先順位の置き方も関わっています。IPAの調査では、モデリングやシミュレーションへの重視度は低い傾向が示されています3。手間のかかる仕組みづくりは、後回しにされやすい位置にあります。

    優先度が上がりにくい領域だからこそ、実際に手を動かして確かめる姿勢を持つ人が重宝されます。仕組みが整っていない現場では、確かめる手順そのものを自分なりに組み立てていく力が問われます。

    確かめる仕組みが整っている案件と、整っていない案件とでは、任される範囲も日々の進め方もまったくの別物になります。参画する前に、この違いを聞いておくと、始まってからの見え方が大きく変わります。

    手元で試せる現場と、実機が要る現場を並べて見る

    シミュレーションを回せる現場と、実機がないと確かめられない現場では、日々の進め方がまったく違います。前者は手元で試作を繰り返しながら精度を上げていく進め方になり、後者は機器を借りられるタイミングに合わせて検証をまとめて行う進め方になります。求められる経験も、コードを書く力だけでなく、待ち時間の使い方や、限られた検証の機会をどう活かすかという段取りの力に広がっていきます。

    現場のタイプ動きの確かめ方任される範囲
    手元でシミュレーションを回せる現場実機を使わず、繰り返し試して直せる設計の細部まで踏み込みやすい
    実機がないと確かめられない現場機器を借りられる時間に合わせてまとめて確認する限られた検証機会を組み立てる調整力が問われる
    図2:シミュレーションと構成管理ツールの導入割合
    シミュレーションと構成管理ツールの導入割合を示す棒グラフ 約2割 シミュレーション導入 (機器を作る側) 約3割 構成管理ツール導入 (利用する側) 約4割 構成管理ツール導入 (機器を作る側)

    出典:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」(2025年4月)をもとに作成

    3. 部品の一覧が無いという前提

    使っている部品を一覧できる企業はまだ少ない

    組込みの現場では、どの部品や技術を使っているかを一覧にまとめる取り組みが、まだ広く行き渡っていません。使っているものの全体像が見えにくいまま、開発や保守が進んでいる現場も残っています。

    IPAの調査では、SBOM、つまり使っている部品の一覧を整えている企業は1割未満にとどまっています6。何を使っているかが一覧になっていない現場のほうが、業界全体で見ると多数派だということです。

    一覧が無い現場では、口頭での引き継ぎや、担当していた人の記憶に頼る場面が残りがちです。参画する側としては、まず何が使われているかを自分の目で洗い出す作業から始まることを見込んでおく必要があります。

    この状況は、参画する側にとって負担であると同時に、力を発揮しやすい場面でもあります。使っているものを一つずつ確認し、記録として整理していく作業そのものが、現場から頼りにされる役割になることがあります。整っていない現場ほど、整理する力を発揮できる余地が残っているとも言えます。

    構成管理ツールの整い方も企業によって差がある

    部品の一覧に近い役割を果たす構成管理ツールについても、導入の広がり方には企業ごとの差があります。整っている現場と、整っていない現場が混在しているのが実情です。

    IPAの調査によると、構成管理ツールを導入している企業は、利用する側で約3割、機器を作る側で約4割にとどまっています5。どちらの立場でも、半数には届いていない状態です。

    ツールが整っている現場では変更の履歴をたどりやすく、整っていない現場では変更の経緯を人に確かめる場面が増えます。案件を受ける前にこの整い方を聞いておくと、実際の作業量の見積もりが変わってきます。

    ツールの整い方を早い段階で聞いておくことは、条件をクライアントと協議するときの材料にもなります。整っていない現場では、確認や記録づくりに充てる時間も含めて、日々の進め方を見積もっておく必要があります。整い方の差は、そのまま作業量の差につながっています。

    整い方を数字で並べる

    使っている部品の一覧と構成管理ツールは、どちらも変更の経緯をたどるための仕組みですが、整っている割合には差があります。構成管理ツールは利用する側と機器を作る側の双方である程度広がっている一方、部品の一覧そのものを指すSBOMは全体でも1割に届いていません。この差を知っておくと、案件ごとに何が整っていて、何が整っていないかを早い段階で確かめる目安になります。

    項目整備の状況
    構成管理ツール利用する側で約3割、機器を作る側で約4割5
    SBOM(使っている部品の一覧)全体で1割未満6

    4. 実機でしか確かめられない範囲

    一覧化や自動での検証が届いていない部分がある

    組込みの現場には、まだ仕組み化そのものが届いていない作業も残っています。人の手と経験に頼って進めている工程が、いまも各所に残っています。

    IPAの調査では、SBOMやグラフデータベース、シミュレーションといった技術の導入は限定的だと示されています4。効率化の道具が一通り揃っている現場は、まだ多数派ではないということです。

    道具が揃っていない分、動作の確認は人の手と実機に頼る場面が増えます。効率化された現場を前提に案件を選んでしまうと、実際の作業量との間にずれが生まれやすくなります。

    この状況を知っておくと、案件の説明だけでは見えにくい作業量を、あらかじめ見積もりやすくなります。仕組み化が進んでいない現場ほど、道具に頼らず動作を確かめてきた経験に基づく判断力が求められる場面が増えます。

    実機がないと確かめられない工程を見込んでおく

    手元で試せる仕組み自体も、機器を作る側で約2割にとどまっています2。裏を返せば、シミュレーションを使わずに確認する現場も残っているということです。

    実機を使った確認は、機器の順番待ちや貸し出しのタイミングに左右されます。ソフトを書く経験だけでなく、限られた確認の機会をどう配分するかという段取りの経験も求められる場面です。

    この段取りの力は、これまでの案件で意識してこなかった方もいるかもしれません。任される前に、実機の確保のしやすさを確かめておくと、参画してからの進め方が見通しやすくなります。

    図3:手元で試せる場合と実機が必要な場合の進み方
    手元で試せる場合と実機が必要な場合の進み方を比べた図 手元で試せる場合 机上で試作する すぐに動きを 確認する 直して再び試す 実機が必要な場合 機器の順番を 待つ まとめて確認する 持ち帰って 直す

    図の作成:Remogu編集部。確認までの進み方を整理したもので、統計データではありません

    5. 止まったときの備え

    外部のサービスに頼る場面への不安がある

    組込みの製品は、開発を終えたあとも長く使われ続けます。使われている間には、外部のサービスや部品に頼る場面も出てきます。

    IPAの調査では、外部サービスの維持や運用に不安を抱える企業が多いことが示されています7。長く使う機器を扱う分野だからこそ、先々への備えが気になる企業が多いということです。

    この不安は、参画する側にとっては仕事の材料でもあります。長く保守しやすい書き方や、変更の経緯を記録として残す習慣を持っている経験は、こうした現場でとくに評価されやすくなります。

    長く使われる機器を扱ってきた経験がある方にとっては、この不安そのものが強みを発揮できる場面になります。保守しやすい書き方や、変更の理由を残す習慣を、これまでの案件でどう実践してきたかが問われる領域です。

    リスク管理と業務継続の体制は全体の半分程度

    止まったときにどう備えるかという体制の整い方にも、企業ごとの差が表れます。備えが手厚い現場もあれば、これからという現場もあります。

    IPAの調査によれば、ITのリスク管理と業務継続計画は、全体の5〜6割程度の企業が整えています8。半数を少し超える程度にとどまっているのが実情です。

    体制が整っている現場では、止まったときの手順があらかじめ決まっています。整っていない現場では、参画する側が手順そのものを提案する役回りになることもあります。

    体制の整い方を早めに確認しておくと、参画してから任される役割の幅も見通しやすくなります。備えが薄い現場ほど、止まったときにどう動くかという提案そのものが評価される場面が増えていきます。

    備えの整い方を並べて見る

    止まったときの備えは、体制の整備状況と、外部への依存に対する不安という2つの面から見えてきます。リスク管理と業務継続計画は全体の5〜6割程度が整えている一方、外部サービスの維持や運用については、整備の有無にかかわらず不安を抱える企業が多いという結果です。備えがあることと、不安が消えることは別の話だという点を、受ける前に押さえておくと、現場で求められる役割が見えやすくなります。

    項目整備・実態の状況
    ITのリスク管理と業務継続計画全体の5〜6割程度が整備8
    外部サービスの維持・運用への不安抱える企業が多い7

    6. 品質が最優先という前提

    品質を最優先に置く企業が多い

    組込みの機器は、不具合がそのまま人の安全や日々の暮らしに関わることがあります。だからこそ、何を優先するかという企業の姿勢にも特徴が出やすくなります。

    IPAの調査では、利用する側の企業は品質を最優先事項として捉えていることが示されています9。速さよりも、まず崩れないことが求められる領域だといえます。

    この前提を知らずに案件へ入ると、確認の手間の多さを負担に感じてしまうことがあります。手数の多さは、品質を優先する現場の姿勢そのものだと捉え直すと、進め方への納得感が変わってきます。

    品質を優先する現場では、確認した内容を記録として残す作業そのものが評価の対象になります。速さだけを追い求めてきた経験よりも、一つずつ丁寧に確かめてきた経験のほうが受け入れられやすい領域です。

    手順を踏む進め方と品質優先はつながっている

    品質を優先する姿勢と、ウォーターフォール型の進め方がいまも主流であることには、つながりがあります10。どちらも、後戻りを避けたいという発想から来ています。

    後戻りにかかる手間が大きい機器の開発では、要件と設計をあらかじめ固めておくことが、結果として品質を守るための手段になっています。手順の多さは、遠回りではなく備えです。

    スピード重視の現場を経験してきた方には、確認の工程が多く映るかもしれません。ただ、その工程の多さこそが、この領域で任される範囲を広げていくための材料になります。

    7. 受ける前に確かめる順番

    整い方を聞く順番を決めておく

    ここまで見てきたとおり、C言語の案件は現場ごとに整い方の差が大きい領域です。だからこそ、受ける前に確かめる順番をあらかじめ決めておくと、参画してからの見え方が大きく変わります。

    まず確かめたいのは、使っている部品や技術の一覧があるかどうかです。無ければ、自分で洗い出す作業から始まることを見込んでおきます。

    次に、構成管理ツールが利用する側と機器を作る側の双方で整っているかを確認します5。整い方によって、変更の経緯をたどる手間の大きさが変わってきます。

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    備えの体制まで確かめておく

    部品と構成の整い方を確かめたあとは、止まったときの体制についても聞いておきます。

    ITのリスク管理と業務継続計画がどこまで整っているかは、企業によって差があります8。整っている現場ほど、止まったときの手順があらかじめ用意されています。

    この順番で確かめておくと、参画してから思っていた進め方と違うと感じる場面を減らせます。自分の経験がどこで活きるのかも、事前に見通しやすくなります。

    図4:受ける前に確かめる順番
    案件を受ける前に確かめる4つの順番を示す図 1 部品の一覧 があるか 2 構成管理ツール の整い方 3 実機を借りられる かどうか 4 リスク管理と BCPの体制

    図の作成:Remogu編集部。確かめる順番を整理したもので、統計データではありません

    C言語の案件では、業務システムの経験は活かせませんか

    業務システムの経験がそのまま使えない場面もありますが、進め方を段取る力や、変更の経緯を記録として残す習慣は、組込みの現場でも評価されます。まずは使っている部品や技術の一覧があるかを確認するところから始めると、自分の経験がどこで活きるかが見えやすくなります。

    実機を使わないと確認できない作業は多いのですか

    手元でシミュレーションを回せる現場は、機器を作る側で約2割にとどまっています2。それ以外の現場では、最終的な確認を実機に委ねる場面が残っており、確認の機会をどう配分するかという段取りの経験が求められます。

    止まったときの備えは、どの案件でも同じように整っていますか

    整い方には企業ごとの差があります。ITのリスク管理と業務継続計画は、全体の5〜6割程度の企業が整えている状況です8。受ける前に、この体制がどこまで整っているかを確認しておくと、参画してから求められる役割が見通しやすくなります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」現場側の関心(2025年4月・2026年8月確認)
    *2 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」限られた導入(2025年4月・2026年8月確認)
    *3 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」重視度の低さ(2025年4月・2026年8月確認)
    *4 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」導入の限定(2025年4月・2026年8月確認)
    *5 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」構成の把握(2025年4月・2026年8月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」部品の一覧(2025年4月・2026年8月確認)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」不安の所在(2025年4月・2026年8月確認)
    *8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」止まる備え(2025年4月・2026年8月確認)
    *9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」評価の軸(2025年4月・2026年8月確認)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」工程の前提(2025年4月・2026年8月確認)