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    フリーランスエンジニアの扶養は所得62万円まで?配偶者控除と配偶者特別控除の違い(令和8年分)

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「税の扶養の線」を示す図です。報酬を出す/経費を引く/所得で判定を並べています。強調しているのは所得で判定です。ここで見ると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 配偶者控除と配偶者特別控除、2つの控除の違いと、それぞれに設けられている配偶者の所得の要件
    • 報酬と所得は違うことと、扶養の線は必要経費を引いたあとの所得で見ること
    • 控除を受ける側の所得が1,000万円を超えると受けられなくなることと、確認する年分によって所得の線が変わること

    配偶者から「今年も扶養に入れる?」と聞かれ、案件の報酬を合計してみました。並んだ数字を見比べても、線を超えたのかどうかはすぐには分かりません。案件ごとに金額も時期も違うと、判断に迷う場面です。税の扶養で見るのは、報酬の額ではなく、経費を引いたあとの所得です。

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    1. 税の扶養は、配偶者控除と配偶者特別控除の2つです

    この記事で取り上げるのは、所得税における配偶者控除と配偶者特別控除、つまり税の扶養だけです。ほかの制度の基準は、この記事の範囲には含まれません。

    まず、配偶者控除と配偶者特別控除は、どちらも配偶者がいる納税者に関わる、所得税の制度です。名前が近く、条件も重なる部分があるので、ひとつずつ整理します。

    配偶者控除と配偶者特別控除、それぞれの中身

    配偶者控除とは、納税者に控除対象配偶者がいる場合に受けられる、一定の金額の所得控除です1。控除対象配偶者になるには、所得など複数の要件を満たす必要があります。

    一方、配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除の線を超えていても、所得に応じて受けられる場合がある所得控除です7。所得の線を1本で区切るのではなく、超えたあとにも段階を設けている仕組みです。

    2つの控除を、令和8年分の数字で並べると

    2つの違いの中心は、配偶者の所得がどの範囲にあるかです。

    そこで、誰が受けられる控除なのかと、配偶者の所得がどの範囲にあれば対象になるのかを、令和8年分の数字で並べます。年によって数字が変わる点は、このあとの節で扱います。

    控除の種類誰が受けられるか配偶者の所得の線(令和8年分)
    配偶者控除控除対象配偶者がいる納税者162万円以下3
    配偶者特別控除配偶者の所得が配偶者控除の線を超える納税者762万円超133万円以下8

    次に、ここで出てきた「所得」が何を指すのかを見ていきます。案件の報酬をそのまま所得と呼ぶわけではありません。

    2. 見るのは報酬ではなく、経費を引いたあとの所得です

    報酬が事業所得になるまで

    案件の報酬を事業所得として申告している場合、報酬は、税の計算ではいったん「総収入金額」に含まれます10。この時点では、必要経費はまだ差し引かれていません。

    そのうえで、事業所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します10。受け取った報酬の額が、そのまま所得になるわけではありません。

    図1:報酬から必要経費を引くと、事業所得になります
    報酬から必要経費を引いて事業所得になる図 報酬 (総収入金額) – 必要経費 = 事業所得

    図の作成:Remogu編集部。事業所得の計算の流れを整理したもので、統計データではありません。

    つまり、必要経費が多くかかった年ほど、事業所得は小さくなる関係にあります。扶養の線を見るときに材料になるのは、この計算のあとに残る所得の金額です。

    配偶者控除の線で見るのは「合計所得金額」

    配偶者控除や配偶者特別控除の要件で使う「合計所得金額」には、事業所得が含まれます11。案件の報酬を事業所得として申告している場合は、報酬を含む総収入金額から必要経費を引いた事業所得が、合計所得金額の一部になります。

    では、その所得の線は、いくらなのでしょうか。

    3. 配偶者控除の線は、令和8年分から所得62万円以下です

    配偶者控除の要件の1つとして定められている所得の線は、令和8年分で62万円以下です3。この62万円は、前の章で確かめた合計所得金額で見る線で、報酬の額の線ではありません。ただし、この線は年分によって違います。

    令和8年分は62万円以下、令和7年分は58万円以下

    実際、令和2年分から令和6年分までは48万円以下、令和7年分は58万円以下、そして令和8年分は62万円以下と、所得の線は段階的に上がってきました3。確認する年によって、当てはめる金額が変わります。

    そのため、今の報酬をもとに扶養の範囲を考えるときは、対象になる年分がいつなのかを、先に確かめておく必要があります。去年の感覚のまま今年の数字を当てはめると、線の位置を見誤ります。

    62万円の施行は令和8年12月1日、適用は令和8年分からです

    この62万円という金額は、令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用される金額です4。施行の日と、その金額を当てはめる年分は、別のものです。

    つまり、施行は令和8年12月1日でも、62万円を当てはめるのは令和8年分の所得です。令和7年分は58万円以下のまま、令和8年分から62万円以下に切り替わります。

    年分配偶者控除の所得の線
    令和8年分62万円以下3
    令和7年分58万円以下3
    令和2年分〜令和6年分48万円以下3

    この表のとおり、配偶者控除の所得の線は、令和7年分と令和8年分で続けて上がりました。今の所得が、確認したい年分の線に対してどちら側にあるかで、対象になるかどうかが変わります。

    では、令和8年分の所得が62万円を超えると、控除はそこで終わりになるのでしょうか。

    4. 62万円を超えても、133万円以下なら配偶者特別控除があります

    所得が令和8年分の62万円を超えても、そこで控除の道がすべて閉じるわけではありません。配偶者の所得金額に応じて、配偶者特別控除という、別の所得控除が受けられる場合があります7。

    配偶者特別控除の所得の線は、令和8年分で62万円超133万円以下です

    配偶者特別控除の要件の1つは、令和8年分でいうと、配偶者の年間の合計所得金額が62万円を超え、133万円以下であることです8。

    この133万円という上の線を超えると、配偶者特別控除の対象からも外れます。令和7年分は58万円を超え133万円以下で、違うのは下の線だけです8。

    2つの控除の間に、切れ目はありません

    つまり、令和8年分でいえば、62万円以下なら配偶者控除、62万円を超え133万円以下なら配偶者特別控除と、所得の線に沿って対象になる制度が切り替わる形です7。所得の線だけで見れば、133万円以下のあいだは、どちらかの控除の要件を満たします。ほかの要件は、このあとの節で確かめます。

    もっとも、配偶者特別控除の額は、配偶者の所得金額に応じて決まります7。この記事では額には立ち入らず、対象になるかどうかを分ける線として、令和8年分の62万円と133万円の2つを確かめます。

    図2:所得62万円と133万円で分かれる、配偶者控除と配偶者特別控除の対象(令和8年分)
    所得62万円と133万円で分かれる、控除の対象区間(令和8年分) 配偶者控除 62万円以下 配偶者特別控除 62万円超133万円以下 対象外 133万円超 62万円 133万円

    出典:国税庁「配偶者控除」「配偶者特別控除」をもとに作成

    ここまでは、配偶者の所得がどこにあるかで、対象になる控除を見てきました。では、控除を受ける側、つまり配偶者を扶養する側の所得は、まったく関係ないのでしょうか。

    5. 控除を受ける側の所得が1,000万円を超えると、受けられません

    控除を受ける側の所得にも、要件があります。扶養に入る側だけでなく、扶養する側の所得も、この2つの控除では見られています。

    配偶者控除は、本人の所得が1,000万円を超えると対象外です

    配偶者控除の要件では、配偶者の所得だけでなく、控除を受ける納税者本人の合計所得金額も見られます。本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除そのものが受けられません2。

    一方、本人の合計所得金額が900万円以下であれば、一般の控除対象配偶者について38万円、老人控除対象配偶者について48万円の控除が受けられます6。案件の報酬が伸びて本人の所得が上がってきた場面では、配偶者の所得だけでなく、自分自身の所得も基準の1つになります。

    配偶者特別控除も、本人の所得1,000万円が線になります

    配偶者特別控除でも、考え方は同じです。控除を受ける納税者本人のその年の合計所得金額が1,000万円以下であることが、要件の1つに挙げられています9。線の位置は、配偶者控除と同じ1,000万円です2。配偶者の所得がいくらであっても、本人の所得がこの線を超えていれば、どちらの控除も対象になりません。

    案件の報酬が伸びた年は、配偶者の所得だけでなく、本人の合計所得金額が1,000万円を超えていないかも確かめます。

    所得の線は、配偶者の側にも本人の側にもあります。ただし、控除の対象になるかどうかを決めるのは、所得だけではありません。

    6. 所得のほかにも、要件があります

    ここまで見てきた所得の線は、控除対象配偶者になるための要件の1つです。控除対象配偶者は、その年の12月31日の現況で、4つの要件すべてに当てはまる人と定められています2。

    4つの要件を、その年の年末時点でまとめて確かめます

    4つのうち1つでも欠けていれば、その年の控除対象配偶者には当てはまりません。

    年の途中で状況が変わっても、控除対象配偶者に当たるかどうかは、その年の12月31日の現況で見ます2。

    所得以外の3つの要件

    所得以外の要件は3つです。1つ目は民法の規定による配偶者であること、2つ目は納税者本人と生計を一にしていることです。3つ目は、青色申告者の事業専従者としてその年に一度も支払いを受けていないこと(または白色申告者の事業専従者でないこと)です5。

    この3つと、これまで確かめてきた所得の要件をあわせると、控除対象配偶者になるための4つの要件がそろいます。次の図で、4つの要件を並べて確かめます。

    図3:控除対象配偶者になるための4つの要件
    控除対象配偶者になるための4つの要件 民法上の配偶者 生計を一にする 事業専従者の要件 所得の要件 この記事で見てきた線

    出典:国税庁「配偶者控除」をもとに作成

    こうして並べると、所得の要件は4つのうちの1つです。

    所得の要件は、ここまで見てきたとおりです。では、これらの要件やそれぞれの年分の数字を、実際にはどんな順番で確かめればよいのでしょうか。

    7. 何年分の話かを、まず確かめます

    ここまで、所得の線と、所得以外の要件を見てきました。実際に自分の状況へ当てはめるときは、まず、どの年分の数字を確かめているのかを決めます。

    令和7年分と令和8年分とでは、配偶者控除の所得の線が58万円から62万円に変わっています3。確かめる年分がずれていると、当てはめる線を取り違えます。

    確かめる観点は、年分・所得・ほかの要件の3つです

    そのため、扶養の範囲を確かめるときは、次の3つを順番に見ていきます。まず年分、次に所得、最後に所得以外の要件です。

    確かめること見る内容
    年分令和7年分か、令和8年分か3
    所得報酬などの総収入金額から必要経費を引いたあとの金額10
    ほかの要件所得以外の要件を満たしているか

    年分は、令和7年分の話なのか、令和8年分の話なのかを最初に決めます。62万円は令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用されます4。令和7年分の所得には、58万円の線を当てはめます3。

    次に所得は、案件の報酬そのものではなく、総収入金額から必要経費を引いたあとの金額で確かめます10。ここまでの節で見てきたとおり、報酬の額を合計しただけでは、扶養の範囲は分かりません。

    最後に、所得以外の要件です。民法の規定による配偶者であること、生計を一にしていること、事業専従者の要件を満たしていることも、あわせて確かめます5。所得の線を満たしていても、この3つのどれかが欠けていれば、控除対象配偶者には当てはまりません。

    確かめる順番を図で見ます

    この3つを確かめる順番を、図にまとめます。

    図4:確かめる順番(年分→所得→ほかの要件)
    確かめる順番を示す図 1 年分 確認する年 2 所得 経費のあと 3 ほかの要件 所得以外

    図の作成:Remogu編集部。確かめる順番を整理したもので、統計データではありません。

    順番どおりに確かめると、今の所得がどちらの控除の要件に当たるのか、どちらにも当たらないのかが分かります。

    令和8年分で配偶者の所得が62万円を超えたら、控除は無くなりますか

    令和8年分でいえば、62万円を超えても133万円以下であれば、配偶者特別控除の要件の1つを満たします8。62万円を超えたところで、控除の対象から外れるわけではありません。

    今年の所得は、どちらの年分の基準で見ますか

    令和8年の所得は令和8年分として見るので、配偶者控除の線は62万円以下です3。令和7年分の所得なら58万円以下です3。年をまたいで確かめるときは、どちらの年分の話かを先に決めます。

    必要経費を引く前の報酬額が62万円を超えていたら、対象外ですか

    案件の報酬を事業所得として申告している場合、線と比べるのは、必要経費を引く前の総収入金額ではなく、事業所得を含む合計所得金額です11。令和8年分でいえば、総収入金額が62万円を超えていても、必要経費を引いたあとの合計所得金額が62万円以下なら、配偶者控除の要件の1つを満たします3。

    配偶者から「今年も扶養に入れる?」と聞かれて案件の報酬を合計したとき、線と比べる額は、その合計ではありませんでした。事業所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します10。事業所得を含む合計所得金額が、令和8年分で62万円以下なら配偶者控除の要件の1つを満たし3、62万円を超え133万円以下なら配偶者特別控除の要件の1つを満たします8。ただし、所得の要件を満たしていても、所得以外の要件がそろっていなければ、控除対象配偶者には当てはまりません。

    税の扶養の線は、報酬ではなく所得で引かれます。令和8年分なら、所得62万円と133万円が目安の線です。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「配偶者控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *2 国税庁「配偶者控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *3 国税庁「配偶者控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *4 国税庁「配偶者控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *5 国税庁「配偶者控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *6 国税庁「配偶者控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *7 国税庁「配偶者特別控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *8 国税庁「配偶者特別控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *9 国税庁「配偶者特別控除」(2026年4月・2026年9月確認)
    *10 国税庁「事業所得の課税のしくみ(事業所得)」(2026年4月・2026年9月確認)
    *11 国税庁「合計所得金額とは」(2026年1月・2026年9月確認)