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    フリーランスエンジニアの産休・育休の代わりになる5つの制度|育児免除は2026年10月から

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「産休・育休の保険料免除」を示す図です。出産前後/育児期/1歳を並べています。強調しているのは育児期です。10月からと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 出産前後の4か月に国民年金の保険料が免除される仕組みと、2026年10月から始まる育児免除の範囲
    • 出産育児一時金の額(江東区・横浜市の案内)と、6か月以上の案件で発注事業者に配慮を申し出られること
    • 産前産後免除・国保の減額・育児免除はいつ届け出られるかと、届け出なしで進む例外があること

    出産予定日が決まると、今抱えている案件をどこで区切るか、考え始める時期がやってきます。フリーランスには会社勤めのような産休・育休が無いと聞き、休むあいだの支えがどうなるのか気になります。支えは、保険料の免除と、出産のときの一時金という形で用意されています。そして、その多くは届け出てはじめて始まります。

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    1. フリーランスの出産・育児で使える制度は、5つあります

    案件の区切りを考え始めると、次に浮かぶのは「支えになる制度が、実際どれだけあるのか」という一点です。ひとつずつ調べるよりも、先に5つの制度を一覧にしておくほうが、自分に必要な届け出だけを追いやすくなります。

    案件を続けながら使える5つの支え

    この記事で取り上げる支えは、5つです。国民年金の保険料が軽くなる制度が2つ、国民健康保険料が軽くなる制度が1つ、出産のときに受け取れる一時金が1つ、そして業務委託の取引先に配慮を申し出られる制度が1つです。

    このうち、国民年金の保険料が軽くなる制度は、出産前後の4か月にあてはまるものと、2026年10月から新しく始まる育児期間の分とに分かれます。届け出る時期も対象になる期間も別なので、この記事ではひとつずつ順番に確認していきます。

    5つの制度には、それぞれに届出や申出の手続きがあります。次の表で、まず全体の位置関係を見てみます。

    制度いつ何が変わるか
    国民年金の産前産後免除出産予定日の6か月前から届出可能13出産前後4か月間、保険料が免除されます11
    国民健康保険料の産前産後の減額(江東区の案内)出産予定日の6か月前から届出可能18対象期間の保険料が減額されます(0円になるとはかぎりません)17
    出産育児一時金(江東区の案内)出産のとき出生児1人につき50万円が支給されます19
    国民年金の育児免除2026年10月から1子が1歳になるまでの期間、保険料が免除されます1
    業務委託での配慮の申出6か月以上の案件21発注事業者に必要な配慮を申し出られます21

    育児免除は「支援措置」と位置づけられています

    この5つのうち、もっとも新しいのが育児免除です。日本年金機構は、2026年10月から始まる育児免除について、育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置として案内しています2。

    育児免除は、決まった支出である保険料を、期間を区切って軽くする仕組みです。

    対象になる期間も、免除される金額の考え方も、制度によって違います。次の章から、出産前後の4か月にあてはまる産前産後免除を最初に見ていきます。

    2. 出産前後の4か月は、国民年金の保険料が免除されます

    まず取り上げるのは、出産前後にあてはまる国民年金の保険料の免除です。出産の前後は案件の稼働そのものが読みにくくなる時期ですが、決まった支出のひとつが、期間を区切って免除されます。

    対象になるのは出産月をはさむ4か月間

    対象になるのは、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間です11。双子や三つ子などの多胎妊娠では、3か月前から6か月間に広がります11。

    免除された期間についても、保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます12。

    図1:出産前後に保険料が免除される4か月の範囲
    免除される期間 前月 出産月 翌月 翌々月 4か月間

    出典:日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」をもとに作成

    届け出は出産予定日の6か月前から

    届け出は出産予定日の6か月前からでき、出産後に届け出ることもできます13。

    届け出先は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口です14。窓口に出向く時間が取りにくいときは、郵送での手続きも選べます14。

    産前産後免除の4か月が終わったあとは、2026年10月から始まる育児免除に引き継がれることがあります5。ふたつの制度がどうつながるかは、後ろの章であらためて整理します。

    出産日を待ってから動くよりも、6か月前という早い段階で届け出ておくほうが、案件の調整と並行して進めやすくなります。免除される期間そのものは出産予定日を基準に決まりますが、窓口へ届け出るタイミングは早めに選べます。

    3. 国民健康保険料も、出産前後の4か月分が減額されます(江東区の案内)

    江東区の案内では、国民健康保険料も、出産前後の期間の分が減額されます。この減額は令和6年1月から始まりました15。

    対象になる期間は出産前後の4か月間

    江東区の案内では、減額の対象になるのは、出産予定日または出産日が属する月の前月から翌々月までの4か月間です16。双子などの多胎妊娠では、3か月前から翌々月までの6か月間に広がります16。

    対象になる期間は、国民年金の産前産後免除と同じく、出産予定日を基準に決まります16。案件の稼働を調整する時期に合わせて、自分の対象期間を早めに把握しておくと動きやすくなります。

    減額のしくみと届け出のタイミング

    江東区の案内では、その年度に納める保険料の所得割額と均等割額から、対象期間のうちその年度に属する月分を減額します17。

    ただし、対象期間の保険料が0円になるとはかぎりません17。

    江東区の案内では、届け出は、国民年金の産前産後免除と同じく、出産予定日の6か月前からできます18。出産後に届け出ることもできます18。

    次に、出産のときに支給される一時金を確認します。

    4. 出産育児一時金は、子ども1人につき50万円です(江東区・横浜市の案内)

    ここでは、出産育児一時金について、江東区と横浜市の案内を順に見ていきます。

    江東区の案内では、出生児1人につき50万円です

    江東区の案内では、国民健康保険の加入者が出産したとき、出生児1人につき50万円の出産育児一時金が支給されます19。令和5年3月以前の出産は42万円です19。

    妊娠85日以上であれば、死産や流産の場合でも支給の対象です19。

    案内対象金額
    江東区の案内国民健康保険の加入者(出生児1人につき)50万円(令和5年3月以前の出産は42万円)19
    横浜市の案内出産育児一時金直接支払制度を使う場合50万円(産科医療補償制度の対象外は48万8,000円)20

    横浜市の案内では、直接支払制度で50万円分は退院時に払わずに済みます

    横浜市の案内では、出産育児一時金の直接支払制度を使うと、出産費用のうち50万円分は退院時の支払いが不要です20。

    産科医療補償制度の対象外となる出産では、48万8,000円が対象になります20。

    次に、2026年10月から始まる育児免除を見ていきます。

    5. 2026年10月から、子が1歳になるまで国民年金の保険料が免除されます

    ここから確認するのは、産前産後の免除とは別に用意された、子が1歳になるまでの育児免除です。令和8年10月から始まる制度で、子を養育する国民年金の第1号被保険者を対象に、保険料の納付が免除されます1。産前産後免除は出産前後の4か月間でしたが、育児免除は対象になる期間も、実母と実父・養父母とで長さが変わります。

    対象は、子を養育する実父母・養父母です

    対象になるのは、子を養育している国民年金の第1号被保険者のうち、実父母と養父母です。所得の多い少ないにかかわらず、保険料の納付が免除されます3。

    夫婦がともに国民年金の第1号被保険者であれば、双方が育児免除の対象になります7。ただし、免除される期間の長さは、実母か実父・養父母かで異なります。

    母は産前産後免除に続く9か月、父・養父母は最大12か月です

    実母は、産前産後免除の期間に引き続き、9か月間、国民年金保険料が免除されます5。この扱いは令和8年10月1日以降に限られます5。

    実父・養父母は、子を養育することとなった月から、1歳の誕生日の前月まで、最大12か月間、保険料が免除されます6。こちらも令和8年10月1日以降に限られます6。

    対象免除される期間
    実母産前産後免除に続く9か月間(令和8年10月1日以降に限る)5
    実父・養父母養育することとなった月から1歳の誕生日の前月まで最大12か月間(令和8年10月1日以降に限る)6
    図2:母と父・養父母で異なる、育児免除の期間
    免除される期間 実母 産前産後 4か月 育児免除 9か月 実父 養父母 育児免除 最大12か月

    出典:日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」をもとに作成

    どちらも、免除された期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます4。ここからは、案件そのものの進め方にかかわる、業務委託の取引先への申出を見ていきます。

    6. 6か月以上の案件なら、発注事業者に配慮を申し出られます

    ここまでの4つの制度とは別に、案件を続けながら発注事業者に申し出られる配慮もあります。

    妊娠・出産・育児・介護と業務を両立できるよう、業務委託の期間に応じた仕組みが用意されています。

    6か月以上の業務委託は、配慮しなければならない義務があります

    業務委託の期間が6か月以上の案件では、発注事業者は申出に応じて必要な配慮をしなければなりません21。

    一方、期間が6か月に満たない案件では、配慮するよう努める努力義務にとどまります22。6か月以上の案件のほうが、発注事業者に求められる対応が強くなります。

    図3:業務委託の期間で変わる、発注事業者の扱い
    業務委託の期間 6か月以上 配慮しなければ なりません (義務) 6か月未満 配慮するよう 努めます (努力義務)

    出典:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法(パンフレット)」をもとに作成

    申出の例と、詳しい手順は別の記事で確認できます

    申出の例としては、「育児があるのでオンラインでの業務に変更したいです」が挙げられています23。

    申出の手順と配慮の中身は、この記事の末尾の「あわせて読みたい」にある記事(案件と育児・介護)で詳しく扱っています。

    7. どの制度も、届け出てはじめて始まります

    ここまで、出産前後の国民年金の免除と国民健康保険料の減額、出産育児一時金、育児免除、業務委託での配慮を順に見てきました。最後に、それぞれの届出がいつ動き出すのかを整理します。案件の区切りを考える時期と、窓口へ動く時期をそろえておくことが、出産後に慌てないための備えです。

    3つの届出は、それぞれのタイミングで動き出します

    国民年金の産前産後免除は、出産予定日の6か月前から届け出られます13。届出先は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口です14。国民健康保険料の減額も、江東区の案内では同じ時期から届出でき、出産後に届け出ることもできます18。

    育児免除の届出は、要件を満たした日から速やかに行います8。令和8年10月1日より前から子を育てている場合は、10月1日以降の届出です8。産前産後免除と合わせて届け出ることもできます8。届出が動き出す時期を、次の図にまとめました。

    図4:届出は、出産前・出産後・育児免除の順で動き出します
    届出が動き出す順番 出産前 産前産後免除 国保の減額 6か月前から 出産後 出産育児一時金 育児免除 2026年10月から 条件によって 分かれます

    出典:日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」「国民年金保険料の育児免除制度」、江東区の案内をもとに作成

    実母は届出が不要になる場合があり、実父・養父母は必要です

    産前産後免除を届け出た実母のうち、免除期間が令和8年9月以降に終わり、そのあとも子を育てていることを日本年金機構が確認できる人は、育児免除の届出が要りません9。あてはまる人には、該当通知書が送られます9。

    一方、実父・養父母と、産前産後免除をまだ届け出ていない実母は、育児免除の手続きが必要です10。同じ育児免除でも、それまでの届出の有無によって、進み方が変わります。

    出産前から動く産前産後免除や減額の届出もあれば、出産のあとに条件で決まる育児免除の届出もあり、進み方はさまざまです。それでも、支えの多くは、届け出てはじめて始まります。

    出産前に出せる届出は、国民年金の産前産後免除と、国民健康保険料の減額です。産前産後免除を出しておくことが、その後の育児免除にもつながります。

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    出典・参考情報

    *1 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *2 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *3 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *4 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *5 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *6 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *7 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *8 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *9 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *10 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月・2026年9月確認)
    *11 日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」(2024年11月・2026年9月確認)
    *12 日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」(2024年11月・2026年9月確認)
    *13 日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」(2024年11月・2026年9月確認)
    *14 日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」(2024年11月・2026年9月確認)
    *15 江東区「産前産後期間の国民健康保険料の減額」(2026年9月・2026年9月確認)
    *16 江東区「産前産後期間の国民健康保険料の減額」(2026年9月・2026年9月確認)
    *17 江東区「産前産後期間の国民健康保険料の減額」(2026年9月・2026年9月確認)
    *18 江東区「産前産後期間の国民健康保険料の減額」(2026年9月・2026年9月確認)
    *19 江東区「出産育児一時金の支給(国保)」(2026年4月・2026年9月確認)
    *20 横浜市「出産育児一時金の支給」(2024年12月・2026年9月確認)
    *21 公正取引委員会 中小企業庁 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法(パンフレット)」(2026年9月・2026年9月確認)
    *22 公正取引委員会 中小企業庁 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法(パンフレット)」(2026年9月・2026年9月確認)
    *23 公正取引委員会 中小企業庁 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法(パンフレット)」(2026年9月・2026年9月確認)