フリーランスの就業環境を守る法律とは?募集表示・育児介護・ハラスメント対策の3つの義務

📘 この記事でわかること
- フリーランス法が就業環境の整備として発注事業者に課す義務の全体像と、募集情報を正確かつ最新に保つ義務の具体的な内容
- 妊娠・出産・育児・介護と業務の両立への配慮義務と、ハラスメント対策として相談できる体制が整えられていること
- 就業環境の守られ方を確かめながら案件を選ぶ視点と、リモート中心で参画しやすい案件の見つけ方
フリーランスとして案件に参画するとき、まず目が向くのは報酬や契約期間といった取引条件です。ただ、フリーランス・事業者間取引適正化等法が発注事業者に課す義務は、取引条件だけにとどまらず、募集情報の正確さや育児・介護との両立、ハラスメント対策まで、働く場そのものを守る規定を含んでいます。取引条件だけを確かめて案件を選ぶより、こうした就業環境の整備まで含めて見比べるほうが、参画したあとの実感とのずれが小さくなります。安心して案件を選ぶには、この就業環境の整備という、もう一つの柱を知っておくことが役立ちます。
1. フリーランス法は「取引」と「就業環境」の両方を守ります
取引の適正化と就業環境の整備という2つの柱
フリーランス・事業者間取引適正化等法は、発注事業者が守るべき義務を「取引の適正化」と「就業環境の整備」という2つの観点から定めています1。取引の適正化は契約条件の明示や報酬の支払いに関わる柱で、就業環境の整備は募集情報の的確表示、妊娠・出産・育児・介護との両立への配慮、ハラスメント対策までを含む、働く場そのものを守る柱です。取引条件だけを見ていると、契約書に書かれた数字は確認できても、実際に案件を進めるなかで起こり得る困りごとまでは見えてきません。契約書の中身だけを確かめるより、この2本柱を知っておくほうが、案件を選ぶときの見落としが減ります。
取引条件は別記事で、本記事は就業環境が主題です
報酬の支払期日や契約条件の明示、中途解除の予告といった取引の適正化については、別記事「フリーランスエンジニアの案件で、新法が守る4つの契約条件」で整理しています。本記事では、募集情報の正確さから育児・介護との両立、ハラスメント対策まで、就業環境の整備に絞って解説します。取引条件は契約を結ぶ前後で確かめる項目が中心になりますが、就業環境の整備は参画してからの期間全体に関わってくる点が異なります。同じ法律のなかでも扱う場面が異なるため、両方を読み合わせることで、案件を選ぶときに確かめておきたい範囲が一通りつかめます。取引条件を先に確かめておきたい場合は、そちらもあわせて読んでみてください。
就業環境の整備に関わる発注事業者の義務一覧
就業環境の整備が扱う範囲は、募集情報の表示から育児・介護との両立、ハラスメント対策まで幅広く定められています1。次の表は、この記事で扱う3つの義務を一覧にしたもので、根拠となる条文もあわせて示しています。それぞれの詳しい内容は、このあとの章で順番に解説していきます。3つの義務は別々の場面に見えますが、いずれも「参画したあとに困らない環境をあらかじめ整えておく」という点でつながっています。案件を探す段階でこの一覧を確かめておくと、条件面だけでなく働く環境の面でも、見るべきポイントが具体的になります。
| 観点 | 内容 | 根拠となる条文 |
|---|---|---|
| 募集情報の的確表示 | 偽りの表示の禁止、正確かつ最新の表示を保つ義務 | 第12条 |
| 育児・介護等との両立 | 妊娠・出産・育児・介護と業務の両立への配慮義務 | 第13条 |
| ハラスメント対策 | 相談できる体制など、対策に係る体制整備義務 | 第14条 |
出典:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法のあらまし」をもとに作成
まず、案件との出会いは募集情報から始まります。募集情報に書かれた内容が、参画したあとに実感する働き方の見え方を大きく左右するため、次の章では、募集情報の的確表示について確かめます。
2. 募集情報は、的確に表示される義務があります
偽りの表示は禁止されています
発注事業者には募集情報の的確表示義務があり、募集情報に係る偽りの表示が禁止されています2。実際の業務内容や条件と異なる好条件を並べて案件情報を目立たせることは認められません。募集の段階で見えている条件と、参画してから分かる実態にずれがあると、案件を続ける意欲そのものに影響します。案件情報は、案件を探している人と発注事業者との最初の接点であり、そこに偽りがあると、その後の関係全体に対する信頼が揺らぎます。表面的な条件の良さより、記載内容が実態と合っているかを確かめるほうが、参画後の行き違いを防げます。
正確かつ最新の表示を保つ義務があります
募集情報は、正確かつ最新の表示に保つ義務が挙げられています3。案件の内容や条件が変わったにもかかわらず、古い表示のまま放置することは、この義務に反する状態です。募集の時期によって条件が更新されるのは自然なことですが、更新されないまま古い情報が残り続けるかどうかは別の問題です。募集を開始した時点の条件と、実際に問い合わせた時点の条件が食い違っていないかを確かめることは、正確かつ最新の表示が保たれているかを見極める手がかりになります。掲載されている情報がいつ時点のものかを意識しておくと、条件確認の精度が上がります。
募集情報で確かめておきたい観点
募集情報の的確表示義務があるとはいえ、表示を読み取る側にもいくつかの確認ポイントがあります2。次の表は、案件情報を見るときに意識しておきたい4つの観点をまとめたものです。たとえば、募集時に示されていた業務範囲と、参画後に案内される業務範囲との間にずれがないかは、表示の正確さを確かめる具体的な手がかりになります。すべてを一度に確かめる必要はなく、気になった案件について順番にチェックしていく形で十分です。
| 観点 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 表示の正確さ | 業務内容・報酬・契約期間などの記載が実態と合っているか |
| 表示の最新さ | 掲載日や更新日が確認でき、古いままになっていないか |
| 好条件の表現 | 実態と比べて誇張した表現になっていないか |
| 変更時の対応 | 条件が変わった際に表示が更新される運用になっているか |
出典:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法のあらまし」をもとに作成
働き続けるうえでは、募集条件の正確さだけでなく、ライフイベントとの両立も関わってきます。案件に参画したあとの時間は、募集を見ていた時点よりずっと長く続くためです。
3. 育児・介護と業務の両立への配慮
妊娠・出産・育児・介護との両立に配慮する義務があります
発注事業者には、妊娠・出産・育児・介護と業務の両立に対する配慮義務が定められています4。案件に参画したあとにライフイベントが重なっても、業務委託の関係そのものを理由に一方的に途切れさせられるものではなく、両立できるよう配慮する義務が発注事業者側にあります。案件に参画する時点ではライフイベントを想定していなくても、時間が経つにつれて状況が変わることは珍しくありません。こうした配慮が法律上の義務として位置づけられていることは、案件を選ぶ側からも確かめておきたい観点になります。個別の対応方法は案件ごとに異なるため、具体的な進め方は契約内容や相談窓口、専門家に確かめておくと安心です。
長く続けられる環境の裏づけになります
この配慮義務は、育児や介護と両立しながら案件を続けたい働き手にとって、環境面の裏づけになります4。稼働時間や打ち合わせの方法について相談できる余地があるかどうかは、契約前に確かめておきたい点です。ライフイベントは一時的なものではなく、案件に参画している期間を通じて形を変えながら続くことがあるうえ、家庭の状況によって必要な配慮の中身も一様ではないため、画一的な対応より、そのつど相談できる関係を築けるかどうかが鍵になります。条件を確かめずに参画するより、両立への配慮について事前にすり合わせておくほうが、長く続けやすくなります。
出典:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法のあらまし」をもとに作成
安心して働き続けるには、育児・介護との両立だけでなく、ハラスメント対策の体制も欠かせません。両立への配慮が整っていても、困りごとを相談できる先がなければ、安心して案件を続けることは難しくなります。
4. ハラスメント対策の体制整備
ハラスメント対策に係る体制整備義務があります
発注事業者には、ハラスメント対策に係る体制整備義務が定められています5。案件を進めるなかで困りごとが生じた場合に、相談できる窓口や仕組みがあることは、就業環境の整備の一部として位置づけられています。業務委託は案件ごとに関わる相手や進め方が変わるため、困りごとが生じたときにどこへ伝えればよいのかが分かりにくくなる場面もあります。関わる相手が案件ごとに変わることは、フリーランスならではの柔軟さでもありますが、同時に、困りごとを相談する先が固定されていないという側面も持っています。困りごとを一人で抱え続けるより、相談できる体制があるかどうかを事前に確かめておくほうが、案件選びの安心材料になります。
相談できる体制があることを確かめておきます
体制整備義務があるといっても、その内容や運用は案件によって異なります。参画前に相談窓口の有無を確かめておくと、困りごとが起きたときの動き方をあらかじめ把握できます。窓口の名称や連絡方法が案件情報にはっきり示されていないことも考えられるため、その場合は契約前の面談などで直接尋ねてみることも、確認の方法のひとつです。困りごとが起きてから相談先を探すより、参画する前に確かめておくほうが、いざというときに動きやすくなります。なお、個別のトラブルについての判断は、契約内容や相談窓口、専門の機関に委ねる部分が大きく、本記事は一般的な整理にとどめています。
案件に参画する前に確認しておきたいチェック項目
ハラスメント対策の体制整備義務や、これまでの章で見てきた募集情報の的確表示、育児・介護への配慮をふまえると、案件に参画する前に確かめておきたい項目が見えてきます5。次の表は、その確認項目を一覧にしたものです。契約を結ぶ前の段階で目を通しておくと、参画後の見え方が変わります。すべての項目が明確に示されていない案件もありますが、その場合はクライアントに直接確かめてみることも、参画前にできる確認のひとつです。
| 確認項目 | チェックの視点 |
|---|---|
| 相談窓口の有無 | ハラスメントに関する相談先が明記されているか |
| 募集情報との一貫性 | 募集時の説明と契約内容にずれがないか |
| 両立への配慮 | 稼働時間や打ち合わせの方法について相談できる余地があるか |
| 稼働の形態 | リモートを中心に進められる案件か |
出典:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法のあらまし」をもとに作成
相談体制が整った案件をチェックする →
これらを知って案件を選べることは、安心して働き続けるための土台になります。募集情報の正確さ、育児・介護への配慮、ハラスメント対策の体制整備という3つの観点は、それぞれ単独で確かめるものというより、案件を選ぶ段階から参画を続ける段階まで、一連の流れとして意識しておきたいものです。次の章では、これらを踏まえたうえで、実際にどのように案件を選んでいけばよいかを見ていきます。
5. 安心して働ける案件を選ぶ
就業環境の守られ方を知って案件を選べます
ここまで見てきた募集情報の的確表示、育児・介護への配慮、ハラスメント対策の体制整備は、いずれも発注事業者側に課された義務です1。案件を選ぶ側がこの枠組みを知っておくと、報酬や契約期間といった条件だけでなく、就業環境の面からも案件を見比べられるようになります。求められている経験やスキルが自分に合っているかを見るのと同じように、就業環境が整っているかどうかも、案件を比べるときの軸のひとつになります。これまでは報酬や契約期間といった数字で比べることが中心になりがちでしたが、就業環境という軸を加えることで、案件を見る視点が一段階増えます。条件の良し悪しだけで判断するより、就業環境が整っているかどうかもあわせて確かめるほうが、参画後の安心につながります。
リモート中心の案件でも確かめられます
Remogu(株式会社LASSIC運営)が扱う案件の90%以上がフルリモート可能です6。場所に縛られず案件を進めながら、募集情報の正確さや相談できる体制を確かめておけば、働く場所の自由と就業環境の安心を両立させやすくなります。リモート中心で案件を進める場合、対面の現場に比べて困りごとが見えにくくなる面もあるため、相談窓口の有無や連絡の取りやすさを事前に確かめておくと、離れた場所からでも安心して続けやすくなります。場所に縛られる働き方を続けるより、リモートを中心にしながら就業環境も確かめられる案件を選ぶほうが、理想の働き方に近づきやすくなります。まずは自分の経験に合う案件がどのような条件で公開されているか、実際に見てみることが次の一歩になります。
登録して自分に合う条件を確かめる →
6. まとめ
フリーランス法は、取引の適正化だけでなく、募集情報の的確表示、育児・介護との両立への配慮、ハラスメント対策の体制整備という、就業環境の整備も発注事業者に義務づけています1。取引条件だけを見て案件を選んでいた段階から一歩進んで、働く環境そのものを確かめる視点を持てることが、この法律を知る意味です。案件を探すときに確かめておきたい点を、あらためて整理します。
- 募集情報は偽りの表示が禁止され、正確かつ最新の表示を保つ義務があること
- 妊娠・出産・育児・介護と業務の両立に配慮する義務があること
- ハラスメント対策として相談できる体制の整備が義務づけられていること
- これらを踏まえて、条件だけでなく就業環境の面からも案件を見比べられること
抽象的な安心感を求めるより、こうした義務の中身を具体的に知っておくほうが、案件選びの判断材料が増えます。就業環境の整備という視点を持てたことで、案件情報を見る目も少し変わってきたのではないでしょうか。取引条件と就業環境の両方を確かめる視点は、一度身につけてしまえば、次にどの案件を見るときにも使える判断材料になります。まずは自分の経験に近い案件がどのように公開されているかを確かめ、気になる条件があれば登録して詳しい内容を確かめてみることが、次の一歩になります。
7. よくある質問
就業環境の整備では何が守られるのですか
募集情報の的確表示、育児・介護との両立への配慮、ハラスメント対策に係る体制整備が、発注事業者の義務として定められています1。取引条件とは別の柱として、働く場そのものを守る規定です。契約書に書かれた条件だけでなく、案件を進めるなかでの環境面まで対象になっている点が特徴です。案件を選ぶときは、報酬や契約期間だけでなく、こうした就業環境の面も確かめておくと、参画後の見え方が変わります。
募集情報の内容が実際と違ったらどうすればよいですか
募集情報に係る偽りの表示は禁止されており、正確かつ最新の表示を保つ義務があります2。表示と実態にずれを感じた場合の対応は案件ごとに異なるため、契約内容や相談窓口に確かめることをおすすめします。ずれの大きさによっては、契約内容そのものを見直す相談につながることもあります。気になった時点で確かめておくほうが、参画を続けるかどうかを判断しやすくなります。
ハラスメントに関する困りごとがあったらどうすればよいですか
発注事業者にはハラスメント対策に係る体制整備義務があり、相談できる窓口が設けられていることが前提になっています5。困りごとの内容によって適切な相談先は変わるため、契約内容や専門の相談窓口に確かめておくと安心です。一人で抱え込まず、まずは相談できる窓口があるかどうかを確かめるところから始めてみてください。
リモート中心の案件でも就業環境は守られますか
就業環境の整備は稼働場所にかかわらず発注事業者に課される義務です1。リモートを中心に進められる案件でも、募集情報の正確さや相談体制については、これまでの章で見てきた観点で確かめられます。稼働場所が離れていることを理由に義務の適用範囲が変わるわけではないため、リモート案件だからといって就業環境の確認を省略する必要はありません。顔を合わせる機会が少ない分、相談できる窓口の存在や連絡の取りやすさは、あらかじめ確かめておきたい点です。
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Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
働く環境の守られ方は案件によって変わります。まずは安心して働けるリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年)
*2 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年)
*3 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年)
*4 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年)
*5 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年)
*6 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能