案件の収入が減ったときの国民年金の免除|申請先と4つの種類を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 免除と納付猶予が別の制度として案内されていることと、承認されて初めて効果が生じるという扱いの流れ
- 所得によらず承認される場合があることと、事業の廃止で使える書類が案内されている点
- 申請先と出し方に3通りがあることと、追納できる期間や未納のままにした場合の扱いの違い
案件の収入は、参画先の状況や契約の見直しによって波が出やすいものです。まとまった収入が続いた翌月に、急に少なくなることも珍しくありません。日本年金機構は、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合の手続きを案内しています1。この記事では、免除と納付猶予という2つの制度の違いと、申請の出し方、そして未納のまま放置した場合との扱いの違いを、案件を受けて働く立場から整理します。
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1. どんなときの手続きなのか
収入が変わりやすい案件だからこそ、知っておきたい制度
案件を中心に働いていると、契約の切れ目や単価の見直しのタイミングで、収入が落ち込む月が生まれます。会社に勤めている場合と違い、収入の波を穴埋めしてくれる仕組みは自分で確かめておく必要があります。国民年金保険料の支払いも、この波の影響を受けやすい支出のひとつです。
日本年金機構は、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合の手続きを案内しています1。案件を受けて働く形であっても、この手続きの対象になる点は変わりません。収入が不安定になりやすいからこそ、こうした手続きがあることを知っておくと、状況が変わったときに落ち着いて動けます。
収入が減った月をやり過ごすよりも、手続きがあることを先に知っておくほうが、後から選べる選択肢は多くなります。まずはどんな制度があるのかを、順番に見ていきます。
この手続きの対象にならない方もいます
一方で、この制度はすべての人を対象にしているわけではありません。学生の方、生活保護の生活扶助を受けている方、障害年金を受けている方、出産を予定している方や出産した方は、この制度の対象外とされ、それぞれ別の制度が案内されています2。
自分がこの対象外に当たるかどうかは、案内に挙げられている5つの立場と照らし合わせれば確かめられます。該当する事情がある場合は、この記事で扱う制度ではなく、その立場に向けて案内されている制度を確かめることになります。
対象になるかどうかを外側から決めつけるのではなく、まずは制度の枠組みを正しく知ることが最初の一歩です。次の章では、免除と納付猶予という2つの制度がどう違うのかを見ていきます。
2. 免除と納付猶予は別の制度として示されています
免除制度は、前年所得等の要件を満たし承認されて初めて効きます
保険料免除制度は、本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合などに、本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除される制度です3。「経済的に苦しいから自動的に免除される」という制度ではなく、申請と承認という手続きを経て初めて効果が生じます。
免除される額にも段階があります。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があるとされています4。どの段階になるかは、申請の内容と審査の結果によって決まる部分であり、この記事では算式や試算までは扱いません。
免除と納付猶予は、どちらも保険料の負担を軽くする制度ですが、対象になる人の条件は別々に示されています。年金額への反映のされ方の違いは、後の章で改めて扱います。
納付猶予制度は、年齢の条件を持つ別の制度です
納付猶予制度は、免除制度とよく似ていますが、別の制度として示されています。保険料納付猶予制度は、20歳から50歳未満の方を対象に、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が猶予される制度です5。
免除は世帯主の所得も条件に含まれるのに対し、納付猶予は本人と配偶者の所得が条件になっている点が異なります。名前が似ているというだけで同じ制度だと考えると、対象になる人も、後述する年金額への反映のされ方も取り違えてしまいます。
どちらの制度が自分に当てはまるかは、所得を誰の分まで見るのか、年齢の条件があるかどうかで分かれます。共通しているのは、どちらも申請して承認されて初めて効果が生じるという点です。次の章では、所得によらずに承認される場合について見ていきます。
2つの制度を、対象と承認後の扱いで並べて見ます
ここまでの内容を整理すると、免除制度と納付猶予制度は、対象になる条件も、承認された後の扱いも別々に示されています。同じ「保険料を納めない」ように見えても、世帯主の所得が条件に入るかどうかや、年齢の条件があるかどうかが違います。次の表で、それぞれの制度を並べて確認します。
| 制度 | 対象となる条件 | 承認された場合 |
|---|---|---|
| 保険料免除制度 | 本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など | 全額、4分の3、半額、4分の1のいずれかで保険料の納付が免除されます |
| 保険料納付猶予制度 | 20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合 | 保険料の納付が猶予されます |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年8月)をもとに作成
3. 所得によらずに承認される場合もあります
災害に遭ったときは、所得を問わない道があります
免除も納付猶予も、基本の枠組みは前年の所得を条件にしています。ただし、所得の状況に関わりなく手続きが進む場合もあります。震災・風水害等で被災した方などは、所得に関係なく免除・納付猶予が承認される場合があるとされています6。
案件を受けて働く立場では、収入の記録や所得の証明を毎年整えておくことが基本になりますが、災害のような事情がある場合は、その前提そのものが変わります。所得の多い少ないを気にするよりも、まず該当する事情があるかどうかを確かめるほうが、手続きの入り口としては近道です。
この特例は、免除と納付猶予のどちらにもかかります
この特例は、免除制度・納付猶予制度のどちらか一方だけに適用されるものではなく、両方の制度にまたがって案内されています。所得の条件を満たしているかどうかを気にする前に、まず自分の状況が特例の対象になり得るかを確かめておくと、手続き全体の見通しが立てやすくなります。
次の章では、もうひとつの所得によらない道として、事業の廃止に関わる特例を見ていきます。案件を中心に働く読者にとって、こちらのほうがより身近な場面かもしれません。
所得の条件と、所得によらない条件は別に見ます
収入が読みにくい時期が続くと、所得の条件を満たせるかどうかばかりに気持ちが向きがちです。ただし承認の道筋は、前年の所得で見るものと、所得に関係なく承認される場合があるものの2通りに分かれています6。自分の状況がどちらの側にあるのかを先に分けておくと、確かめる順番がはっきりします。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年8月)をもとに作成
4. 事業の廃止で受けられる特例と、確認できる書類
案件を中心に働く人にとって身近な特例です
前の章で見た「所得によらない道」のうち、案件を受けて働く読者にとって身近なのは、事業の廃止に関わる特例です。失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があるとされています7。
案件をやめて事業を廃止したという事実そのものが、所得の条件を確かめる作業を飛び越える形になります。前年の所得がいくらだったかを気にするよりも、廃止の事実を確認できる書類を用意できるかどうかのほうが、この特例では先に確かめる点になります。
廃止の事実は、書類で確認されます
この特例を使うときに確認されるのは、事業を廃止したという事実です。事業の廃止の事実を確認できる書類として、税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写しが挙げられています8。
どの書類が手元にあるかは、事業を廃止したときにどこへ何を出したかによって変わります。案内に挙げられているのは異動届出書・個人事業の開廃業等届出書・事業廃止届出書の写しなので8、自分が実際に提出した書類がどれに当たるかを先に確かめておくと、申請の準備が進めやすくなります。次の表に、確認される書類の種類を整理しました。
| 書類の種類 | 確認される内容 |
|---|---|
| 税務署等への異動届出書 | 事業の廃止に関する届出を行った事実 |
| 個人事業の開廃業等届出書の写し | 個人事業を廃業した事実 |
| 事業廃止届出書の写し | 事業を廃止した事実 |
同じ理由で過去に申請したことがある場合
一度この特例を使って申請したことがある場合は、次回以降の手間が変わります。過去に同一の失業等の事由により申請し、失業等の事実が確認できる書類を添付したことがある場合は、あらためて添付する必要はないとされています9。
書類をもう一度探し直す手間がかからない点は、繰り返し申請が必要になりやすいこの制度にとって助かる仕組みです。次の章では、この申請を実際にどこへ、どうやって出すのかを見ていきます。
5. 申請先と、出し方の3通り
紙の申請書は、窓口に届けます
手続きの中身が分かったところで、次に気になるのは実際の出し方です。紙で申請する場合の申請先は、住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金の担当窓口、または年金事務所であるとされています10。
案件で全国各地のクライアントとやり取りしていても、申請先は住んでいる場所の窓口です。出先で用事を済ませるような感覚とは違い、住所地を基準に考える必要があります。
窓口に行けなくても、郵送という道があります
窓口に足を運ぶ時間を確保しづらい場合でも、方法は用意されています。申請書は郵送で提出することも可能であるとされています11。案件の作業に追われている時期でも、窓口の営業時間に合わせて動く必要はありません。
案件の稼働と窓口の営業時間が重なる時期でも、郵送という道があれば期日に合わせて動けます。
電子申請という道も案内されています
提出に当たっては、手続きの簡素化および迅速化が見込める電子申請が案内されているとされています12。窓口へ持参する、郵送で送る、電子申請で済ませるという3通りの出し方があることになります。
どの方法を選ぶにしても、申請書を出すという行為そのものは変わりません。まずはどの出し方が自分の状況に合うかを確かめておくと、実際に動くときに迷いが少なくなります。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年8月)をもとに作成
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6. 申請すると何に同意することになるのか
所得の証明を、市区町村から年金事務所へ渡すことに同意します
申請書に署名して提出するという行為には、見えにくい同意が含まれています。免除・納付猶予の申請を行うと、市区町村長に対して申請者本人、配偶者、世帯主の前年または前々年の所得状況の証明を求め、その証明内容を年金事務所長に提出することに同意したことになるとされています13。
申請書を出す時点で、所得の情報が市区町村と年金事務所の間でやり取りされることに同意している形になります。この点を知らずに申請すると、後から「そんなことは聞いていない」と感じる原因になりかねません。
所得の申告が済んでいない場合は、先に済ませておきます
前年または前々年の所得についての税の申告が行われていない方がいる場合は、市(区)役所・町村役場の税務担当窓口で市区町村民税の申告を行ったうえで、申請書を提出するとされています14。
案件の収入があっても確定申告や住民税の申告を済ませていない年があると、免除・納付猶予の審査に必要な所得の情報がそろわないことになります。申請書を出してから慌てるよりも、申告状況を先に振り返っておくほうが、手続きが二度手間になりにくくなります。
申請は、原則として毎年度必要です
一度承認されれば、その後もずっと同じ扱いが続くわけではありません。申請は、原則として毎年度必要であるとされています15。収入の状況は毎年変わり得るため、その年ごとに改めて申請書を提出する形になります。
「去年申請したから今年は大丈夫」と思い込まず、年度が変わるタイミングで、あらためて申請の要否を確かめる習慣を持っておくと安心です。次の章では、承認された後の扱いと、未納のままにした場合の違いを見ていきます。ここまでの申請の流れを、次の表に整理しました。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 同意すること | 本人・配偶者・世帯主の所得状況の証明を、市区町村長が年金事務所長に提出することへの同意 |
| 申告が済んでいない場合 | 市区町村民税の申告を先に済ませたうえで申請書を提出 |
| 申請の頻度 | 原則として毎年度必要 |
7. 追納できる期間と、未納のままにした場合の違い
承認された期間の保険料は、10年以内なら追納できます
免除や納付猶予が承認されたからといって、その期間の保険料が完全に消えてなくなるわけではありません。免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出により後から納付(追納)することができるとされています16。
収入が落ち着いた時期に、過去の期間の保険料を後から納めるという選択肢が残されている形です。案内が示しているのは10年以内という区切りなので、追納を考えている場合は、いつまでの期間が対象になるのかを先に確かめておくことになります。
免除と納付猶予は、年金額への反映のされ方が違います
免除と納付猶予は、どちらも保険料の納付という点では負担が軽くなりますが、その後の扱いまで同じというわけではありません。保険料の「免除」と「納付猶予」は、その期間が年金額に反映されるかどうかに違いがあるとされています17。
「免除も納付猶予も、結局は同じように保険料を納めていない期間」とひとまとめにすると、この違いを見落とします。どちらの制度で承認されたのかを、自分自身で把握しておくことが欠かせません。
未納のままにするのとは、扱いがまったく違います
ここまで見てきた免除・納付猶予は、いずれも申請して承認されて初めて効果が生じる制度です。これに対して、何も手続きをせず未納のままにしておくと、扱いはまったく別になります。未納のままにしておくと、病気やけがで障害や死亡といった不測の事態が発生したとき、障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取ることができない場合があるとされています18。
同じ「保険料を納めていない」状態に見えても、申請して承認された期間と、何もせず未納のままにした期間は、別のものとして扱われます。収入が減った月をそのままにしておくよりも、まず手続きがあることを確かめておくほうが、この先の選択肢を残せます。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年8月)をもとに作成
案件を受け始めたばかりでも、この手続きはできますか
国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合の手続きは、収入が減った時期の状況をもとに案内されており、案件を受け始めてからの年数を条件にしている案内にはなっていません1。案件を始めたばかりの時期でも、出し方や申請先は他の場合と同じです10。
案件を副業として受けている場合も対象になりますか
保険料免除制度は、本人・配偶者・世帯主の前年所得等をもとに判断される制度です3。案内が条件として挙げているのは所得の状況であり、案件が専業か副業かという区分ではありません。まずは前年の所得の状況を確かめておくことが、対象になるかどうかを考える出発点になります。
地方に住んでいても、申請の窓口や出し方は同じですか
申請先は、住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金の担当窓口、または年金事務所です10。地方に住んでいても、この窓口の仕組みは変わりません。郵送で提出することも可能で11、手続きの簡素化および迅速化が見込める電子申請も案内されています12。
週3日など、案件の稼働日数が少ない場合はどうなりますか
この手続きの対象になるかどうかは、前年の所得等の状況をもとに判断されるものであり、案件の稼働日数の多さや契約形態を条件にしている案内にはなっていません3。稼働日数にかかわらず、まずは所得の状況を確かめておくことが、手続きを考える出発点になります。
案件の収入は、これからも波が出ることがあります。そのたびに未納のままにするのではなく、免除や納付猶予という手続きがあることを思い出し、申請先や出し方を確かめてみることが、次の一歩になります。Remoguは、案件の90%以上がフルリモート可能です。まずは登録して、自分の経験に合う条件を確かめておくと、収入の波にも備えやすくなります。
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出典・参考情報
*1 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」どんなときの手続きか(2026年8月・2026年9月確認)
*2 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」対象外になる方(2026年8月・2026年9月確認)
*3 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」免除される仕組み(2026年8月・2026年9月確認)
*4 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」免除の4種類(2026年8月・2026年9月確認)
*5 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」猶予の対象になる年齢(2026年8月・2026年9月確認)
*6 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」所得によらない場合(2026年8月・2026年9月確認)
*7 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」特例免除(2026年8月・2026年9月確認)
*8 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」確認できる書類(2026年8月・2026年9月確認)
*9 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」2回目以降の添付(2026年8月・2026年9月確認)
*10 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」申請先(2026年8月・2026年9月確認)
*11 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」郵送でもよい(2026年8月・2026年9月確認)
*12 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」電子申請(2026年8月・2026年9月確認)
*13 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」申請に伴う同意(2026年8月・2026年9月確認)
*14 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」申告が済んでいない場合(2026年8月・2026年9月確認)
*15 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」毎年度の申請(2026年8月・2026年9月確認)
*16 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」追納できる期間(2026年8月・2026年9月確認)
*17 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」免除と猶予の違い(2026年8月・2026年9月確認)
*18 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」未納のままにした場合(2026年8月・2026年9月確認)