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    案件を受け始めたら開業届はいつまで?届出と期限の一覧を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「案件と開業届の期限」を示す図です。開業届/青色申告/納税地/消費税を並べています。強調しているのは青色申告です。期限が違うと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 案件を受け始めたときに出す届出には複数の種類があり、それぞれ期限の起算日が違うこと
    • 開業届は事業を始めた年分の確定申告期限までに出し、青色申告の承認申請は始めた時期で期限が変わること
    • 納税地の届出や課税事業者になる選択にも期限があり、届出ごとに確認しておきたい起算点が変わること

    案件を受け始めるタイミングで、開業届をいつまでに出せばよいのか迷う場面は少なくありません。届出は開業届だけでなく複数の種類があり、それぞれ提出までの期限も、数え方の基準になる日も異なります。この記事では、国税庁が示す届出の種類と期限の考え方を、種類ごとに整理して確認します。期限の考え方が分かれば、案件を受ける前に何を出しておくかを、落ち着いて決められるようになります。

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    1. 始めたときに出すものが決まっている

    案件を受け始めて事業を営む形になったとき、税務まわりの届出は自動的には整いません。個人が新たに事業を開始した場合には、所得税および源泉所得税ならびに消費税に関する各種届出書等の提出が必要となります1。案件を受ける準備に気持ちが向くほど、この部分は後回しになりやすい場面です。

    何を出すかは自分の裁量ではなく制度で決まっている

    会社に所属していたときは、税務の手続きの多くを所属先が代わりに担っていました。個人で案件を受ける形になると、その役割を自分で引き受けることになります。ここで大切なのは、出す書類を自由に選べるわけではないという点です。事業を始めた事実に対して、決まった届出が対応しています1

    届出の種類は一つではありません。所得税に関するもの、源泉所得税に関するもの、消費税に関するものがそれぞれあり、事業の始め方によって関わる範囲が変わります1。まずは種類が複数あるという前提を押さえておくと、後の章で一つずつ確認するときに迷いにくくなります。

    案件を受ける前に確認しておきたい理由

    届出は事業を始めた直後にまとめて片づけられるとは限りません。案件のやり取りや環境の準備に追われているうちに、提出の期限だけが近づいてくることがあります。期限は届出ごとに異なるため、一つを片づけて安心していると、別の届出の期限を見落とすことになりかねません。

    届出のたびに新しい制度を調べ直す必要はありません。国税庁の案内は、新たに事業を始めたときに必要になる届出をまとめて示しています1。ここから先は、その内容を種類ごとに分けて見ていきます。

    次の章では、代表的な届出書等がどのように示されているかを確認します。種類と期限をまとめて見渡しておくと、案件を受けながら並行して準備を進めやすくなります。

    図1:起算日が事業開始日と違う届出ほど、期限を見落としやすい
    開業届 基準になる日:事業を始めた日 青色申告承認申請 基準になる日:事業を始めた日 納税地の届出 基準になる日:住所地から変える日 課税事業者選択届出 基準になる日:課税期間の初日の前日

    図の作成:Remogu編集部。届出ごとの期限の基準日の違いを整理したもので、統計データではありません

    2. 代表的な届出は表として示されている

    国税庁の案内では、代表的な届出書等は次の表に記載のとおりとされています2。複数の届出を一度に覚えようとするより、まず全体をひとまとめに見渡しておくほうが、後で一つずつ確認するときに位置づけをつかみやすくなります。

    この記事でも、同じ考え方で章を分けています。表に並んだ届出書等の名前と、この記事のどの章で詳しく確認できるかを、あわせて示しておきます。

    届出書等この記事で確認できる章
    個人事業の開廃業等届出書(開業届)3章・4章
    所得税の青色申告承認申請書5章・6章
    所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書7章
    消費税課税事業者選択届出書7章

    表に並んだ4つの届出書等は、期限の基準になる日という点で大きく2つに分かれます。事業を始めた日そのものが基準になるものと、事業を始めた日とは別の日が基準になるものです。次の図に、その分かれ方を示します。

    図2:期限の基準になる日が、事業を始めた日と同じ届出、別の届出
    開始日が基準 開業届 確定申告期限まで 青色申告承認申請 原則その年の3月15日まで 別の日が基準 納税地の届出 住所地を変える場合に提出 課税事業者選択届出 課税期間の初日の前日まで

    図の作成:Remogu編集部。届出の期限の基準になる日の違いを整理したもので、統計データではありません

    3. 開業届が対象にする場面

    開業届という呼び方で知られている書類の正式名称は、個人事業の開廃業等届出書です。この届出が対象にする場面は、事業を始めたときだけではありません。

    事業を始めたときだけでなく、事務所を動かしたときも対象になる

    個人事業の開廃業等届出書は、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき、又は事業を廃止したときの手続とされています3。事業を始める場面のほか、拠点を増やしたり動かしたりする場面も対象に含まれています。

    案件を受けながら働く場所を整えていく過程では、自宅の一室から始めて、後から事業用の部屋や小さな事務所を構える流れも珍しくありません。その節目ごとに、この届出が関わってくる可能性があります。

    案件を受ける前に押さえておきたい範囲

    この届出が対象にする場面は、事業の開始、事務所等の新設・増設・移転・廃止、事業の廃止という決まった区分に沿っています3。区分の外にある変化、たとえば案件の内容や取引先が変わっただけの場面は、この届出の対象には含まれていません。

    対象になる場面を先に押さえておくと、届出が必要な節目とそうでない節目を、案件を受けながら見分けやすくなります。次の章では、この届出の提出期限を確認します。

    個人事業の開廃業等届出書という一つの書類の中に、複数の場面がまとめられている点も特徴です3。次の章で期限を確認するときも、この区分を思い出しながら読み進めると流れがつかみやすくなります。

    4. 開業届の提出期限

    開業届の提出期限は、事業を始めた日そのものではなく、確定申告の期限と結びついています。ここを取り違えると、期限の感覚がずれてしまいます。

    期限は「確定申告の期限まで」という形で決まっている

    個人事業の開廃業等届出書の提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとされています4。事業を始めた日からの日数ではなく、その年分の確定申告の期限という形で示されている点が特徴です。

    案件を受け始めた月がいつであっても、期限の考え方そのものは同じ形で示されています4。年の前半に始めた場合と後半に始めた場合とで、期限までの余裕は変わりますが、期限の数え方の形は変わりません。

    案件のやり取りと並行して進めやすい期限でもある

    確定申告の期限までという幅のある期限は、案件のやり取りに追われている時期でも、少し落ち着いた段階で対応しやすい形になっています。始めた直後にすぐ対応しなければならない届出よりも、余裕を持って準備できる部類に入ります。

    余裕があるからこそ、後回しにしたまま確定申告の時期を迎えてしまう場面も起こりえます。次の章で確認する青色申告承認申請は、これとは別の期限の数え方になるため、両方をまとめて把握しておくと安心です。

    開業届の期限を確定申告の期限と結びつけて覚えておくと、確定申告の準備を始める時期に合わせて届出も見直す、という流れを作りやすくなります4

    5. 青色申告の承認を受けるための申請

    青色申告の承認を受けるためには、開業届とは別に、所得税の青色申告承認申請書という書類を提出する必要があります。ここを一つの届出だと思い込んでいると、どちらか片方だけを出して終えてしまうことがあります。

    青色申告承認申請は、開業届とは別の手続

    所得税の青色申告承認申請書は、青色申告の承認を受ける場合の手続とされています5。個人事業の開廃業等届出書が「事業を始めたことを届け出る」ものであるのに対し、こちらは「青色申告という申告の方法を選ぶ」ための手続という位置づけです。

    個人事業の開廃業等届出書は事業を始めたことを届け出る手続であり3、所得税の青色申告承認申請書は青色申告の承認を受ける手続です5。目的が異なる別々の書類として、それぞれの期限を確認しておく必要があります。

    期限は「その年の3月15日まで」が原則

    所得税の青色申告承認申請書の提出期限は、原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までとされています6。開業届のように確定申告の期限までという幅ではなく、3月15日という決まった日が基準になっています。

    この「原則」という言葉が示す通り、始めた時期によっては別の数え方が用意されています。次の章で、事業を始めた時期による違いを確認します。

    青色申告を選ぶかどうかは、この届出を出すかどうかで決まります5。案件を受け始めた段階で、申告の方法まで決めておくと、期限に追われずに準備を進めやすくなります。

    6. 年の途中で始めたときの数え方

    青色申告承認申請の期限は、その年の3月15日までが原則です6。では、年の途中で案件を受け始めた場合、この期限はどう数えればよいのでしょうか。

    1月16日以後に始めた場合は、始めた日からの日数で数える

    その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合には、その事業開始等の日から2月以内とされています7。3月15日という決まった日ではなく、事業を始めた日を起点にした2か月という幅に置き換わります。

    この置き換えがあるため、1月の早い時期に案件を受け始めた場合と、年の後半に受け始めた場合とでは、期限の数え方の形そのものが変わります7

    自分がどちらに当てはまるかを、始めた日から確かめる

    数え方が2種類あるということは、自分がどちらの数え方に当てはまるかを、事業を始めた日から確かめる必要があるということでもあります。1月15日までに始めたか、1月16日以後に始めたかという一点で、期限の形が分かれます。

    次の表と図に、2つの場合の期限をまとめています。事業を始めた日が分かっている段階で、早めに確かめておくと、期限ぎりぎりでの対応を避けやすくなります。

    事業を始めた時期青色申告承認申請の提出期限
    その年の1月1日から1月15日までに始めた場合原則、その年の3月15日まで6
    その年の1月16日以後に始めた場合事業を始めた日から2か月以内7
    図3:事業を始めた時期によって、青色申告承認申請の期限の数え方が変わる
    1月1日〜1月15日に始めた場合 期限:その年の3月15日まで 1月16日以後に始めた場合 期限:事業を始めた日から2か月以内

    図の作成:Remogu編集部。事業を始めた時期による期限の数え方の違いを整理したもので、統計データではありません

    年の途中で案件を受け始める働き方は珍しくありません。始めた時期によって期限の数え方が変わるという点だけを覚えておけば、あとは自分がどちらに当てはまるかを確かめるだけです。

    7. 納税地と課税事業者の選択と、期限の一覧

    ここまで、開業届と青色申告承認申請を中心に確認してきました。事業の状況によっては、納税地の届出や、課税事業者になることを選ぶ届出も関わってきます。

    住所地に代えて事業所を納税地にしたい場合

    所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書は、住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合の手続とされています8。自宅の住所地ではなく、案件のための事業所等の所在地を納税地にしたい場合に関わってくる届出です。

    納税地をどこにするかは、案件を受ける拠点の整え方によって変わってきます。事業所を構える予定がある場合は、この届出が対象になるかどうかを確認しておく必要があります。

    免税事業者から課税事業者になることを選ぶ場合

    消費税課税事業者選択届出書は、免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続とされています9。その提出期限は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までとされています10

    この届出は、始めた直後にすぐ関わるとは限りません。免税事業者のままでいるか、課税事業者になることを選ぶかは事業の状況に応じて考える場面であり、選ぶ場合には適用を受けたい課税期間の前日までという期限を確かめておく届出です。

    ここまで確認してきた届出は、それぞれ対象にする場面も期限の数え方も異なります。最後に、これまでの内容を一覧の形で確認します。

    届出書等内容と期限
    個人事業の開廃業等届出書期限は事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで4
    所得税の青色申告承認申請書原則その年の3月15日まで6。1月16日以後に始めた場合は事業を始めた日から2か月以内7
    所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合に提出8
    消費税課税事業者選択届出書免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続9。期限は適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで10
    図4:届出の前に確かめておきたい4つの項目
    事業を始めた日はいつか 青色申告承認申請をするかどうか 納税地をどこにするか 課税事業者を選択するかどうか

    図の作成:Remogu編集部。届出の前に確かめておきたい項目を整理したもので、統計データではありません

    事業を始めた日は、いつと考えればよいですか

    個人事業の開廃業等届出書は、事業を開始したときの手続とされています3。この「事業を開始したとき」をいつと考えるかが、開業届だけでなく青色申告承認申請の期限の数え方にも関わってきます。開業届の期限は事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとされ4、青色申告承認申請も同じ日を起点に数えます6

    納税地を今の住所地から事業所に変更したい場合、何をすればよいですか

    所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書は、住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合の手続とされています8。案件を受ける事業所の場所が定まった段階で、この届出が関わってくるかどうかを確認しておくと安心です。

    免税事業者から課税事業者になることを選びたい場合、何が必要ですか

    消費税課税事業者選択届出書は、免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続とされ9、その提出期限は適用を受けようとする課税期間の初日の前日までとされています10。適用を受けたい時期から逆算して、期限を確かめておく届出です。

    この記事だけで、届出の書き方や提出先も分かりますか

    この記事で扱っているのは、届出の種類と期限の考え方までです。実際の記入方法や提出先の窓口は範囲の外にあります。案件を受けながら準備を進める段階では、まず自分に合う案件の条件を確かめておくと、届出と並行して次の一歩を決めやすくなります。Remoguは案件の90%以上がフルリモート可能です。関心のある条件を確認しながら、登録して詳しい条件を見ておくのも一つの道です。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」何が要るか(2026年1月・2026年9月確認)
    *2 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」示され方(2026年1月・2026年9月確認)
    *3 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」開業届の範囲(2026年1月・2026年9月確認)
    *4 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」開業届の期限(2026年1月・2026年9月確認)
    *5 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」承認の申請(2026年1月・2026年9月確認)
    *6 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」3月15日の期限(2026年1月・2026年9月確認)
    *7 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」途中で始めたとき(2026年1月・2026年9月確認)
    *8 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」納税地の扱い(2026年1月・2026年9月確認)
    *9 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」課税事業者の選択(2026年1月・2026年9月確認)
    *10 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など(タックスアンサー No.2090)」選択の期限(2026年1月・2026年9月確認)