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    食品表示データの標準化で収集より先にそろえる項目定義

    「集めるより先にそろえる」を示す図です。集める/そろえるを並べています。強調しているのはそろえるです。先に来る仕事と添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 食品表示データは集めるだけでは使えないという資料の指摘と、崩れが形・中身・鮮度の3方向に分かれること
    • 商品規格書の書式が現場でどれだけ書き直しの負荷になっているかと、それがネットスーパーの機能にどうつながるか
    • データを1か所に集めずにそろえる分散管理という考え方と、そこで求められるエンジニアの役割

    食品表示のデータを事業者ごとに集めてみると、同じ項目のはずなのに形がそろっていない場面によく行き当たります。消費者庁の資料でも、集めるだけでは利用できないデータが多いという整理が示されています。崩れているのは一箇所ではなく、形・中身・鮮度という3つの方向に分かれているという見立てです。どこから手を付ければよいかは、この3つを分けて見ることで整理できます。事業者をまたぐデータの案件に関わってきたエンジニアなら、心当たりのある崩れ方かもしれません。

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    1. 集めても使えないという結果が出ている

    「集めれば使える」という前提が崩れる

    エンジニアとして、まず各社からデータを集めるところから仕事を始めた経験を持つ方は多いはずです。集める作業そのものは、想像していたよりも早く終わることも珍しくなく、次の工程に進みたくなる場面です。

    しかし消費者庁の資料は、食品表示データについて各事業者においてコード体系の解釈にばらつきがあり、各社から収集するだけでは利用することができないデータが多いと示しています2。集めた直後に、次の壁が現れる構造です。

    各社が同じ項目名を使っていても、コードの割り当て方や区分の切り方が事業者ごとに異なれば、突合の段階でつまずきます。集める工程と使える状態にする工程は、別の作業だと考えたほうが実態に近いといえます。

    この崩れは食品表示に限った話ではありません。事業者をまたいでデータを扱う案件では、同じ項目名の裏側にある解釈の違いを洗い出す工程が、案件の初期に組み込まれることが多くあります。

    集めた量よりも、そろえた質のほうが評価される場面が増えています。量を集める経験よりも、崩れを見分けて直す経験のほうが、この領域では価値になります。

    実際の仕事では、集めたデータをそのまま次の工程に渡す前に、どの項目でコードの解釈が割れているかを洗い出す確認作業が挟まります。ここを丁寧にできるかどうかが、案件の後半の手戻りを左右します。

    フォーマットの不統一が、その入り口にある

    資料はまず、各社において管理している食品表示データのフォーマットは統一されていないという状態を挙げています1。項目の並び方も、値の書き方も、事業者ごとに独自のルールを持っている状態です。

    フォーマットがそろっていない状態から、コード体系の解釈のばらつきという次の崩れにつながっていきます。入り口でそろっていない情報は、後工程でも崩れたまま流れていきやすいという構造です。

    フォーマットがそろっていない状態のまま次の工程に進むと、システム側でどれだけ丁寧に設計しても、入力の時点にある崩れを吸収しきれません。まずデータの入り口を整えることが、後工程の設計を楽にします。

    入り口のフォーマットを整える仕事は、地味に見えて後工程全体に影響します。ここを整理してから次に進む案件のほうが、結果として手戻りが少なくなる傾向があります。

    この崩れは、形・中身・鮮度の3方向に分かれます。

    図1:「集める」と「使える」の間にある崩れ
    集めるだけでは使えないデータが多いことを示す図 各社が管理する 食品表示データ コード体系の 解釈のばらつき 収集するだけでは 使えないデータが 多い状態

    出典:食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組(消費者庁、2024年10月)をもとに作成

    2. 崩れ方は3方向ある

    崩れているのは「形」だけではない

    資料を読み解くと、崩れ方は大きく3つに分けられます。1つ目は形の崩れです。各社において管理している食品表示データのフォーマットは統一されていません1。項目の並び順も値の入れ方も事業者ごとに異なります。

    形の崩れは、画像データにも及びます。資料は、商品パッケージの画像データを含んでいない場合が多く、含んでいる場合も格納方法等が標準化されていなかったと述べています3。画像の有無だけでなく、どう入れるかもそろっていない状態です。

    2つ目は中身の崩れです。同じ項目に見えても、コード体系の解釈が事業者ごとに異なるため、各社から収集するだけでは利用することができないデータが多いという状態が生まれます2。値の見た目ではなく、意味の割り当て方がそろっていない崩れです。

    形をそろえる作業よりも、中身の意味をそろえる作業のほうが難易度は高くなります。見た目をそろえるだけでは、突合の段階でまた食い違いが出てくるためです。

    3つの崩れのうち、どこにいちばん時間がかかるかは案件によって異なります。事前にどの崩れが大きいかを見立てておくと、見積もりや進め方の相談がしやすくなります。

    鮮度の崩れを含めて一覧で整理する

    3つ目は鮮度の崩れです。食品表示データが最新状態に保たれておらず、修正が必要なものもあると資料は述べています4。集めた時点では正しくても、そのあと更新が届かなければ古いまま流れ続けます。形・中身・鮮度は、それぞれ直し方が異なる崩れです。下の表に整理します。

    崩れの方向資料が示す内容
    フォーマットが統一されていません1。画像データの格納方法も標準化されていません3
    中身コード体系の解釈にばらつきがあり、収集するだけでは利用できないデータが多い状態です2
    鮮度最新状態に保たれておらず、修正が必要なものもあります4

    形は書式を決めれば直せますが、中身は解釈のすり合わせが要り、鮮度は更新が届く経路そのものを作る必要があります。直し方が違う以上、1つの対策だけで3つとも解決するとは限りません。

    表にある3方向は、優先順位を決めるときの手がかりにもなります。鮮度の崩れが大きい案件では更新の経路を作る設計が先に必要になり、形の崩れが大きい案件では変換ルールの整備が先に来ます。

    案件を選ぶときも、この3方向のどこが課題になっているかを聞いておくと、必要になる工程の見立てが立てやすくなります。案件情報の説明だけでは分からない部分は、面談で直接確認する価値があります。

    この3方向を切り分けて見る視点は、食品に限らず事業者をまたぐデータを扱う案件全般で使える整理です。次の章では、書式の不統一が現場でどんな負荷になっているかを見ていきます。

    3. 書式の不統一が現場の負荷になる

    事業者ヒアリングに挙がった声

    事業者へのヒアリングでは、商品規格書フォーマットの不統一及び記載対応に係る負荷、商品情報の正確性・適時性が課題として挙げられました5。書式がそろっていないことは、資料の中でも独立した課題として扱われています。

    製造の現場からは、小売に提出する商品規格書様式が不統一で、対応負荷が大きいという声も挙がっています6。同じ内容を、提出先の書式に合わせて何度も書き直している状態です。

    書き直す作業そのものは目立ちにくい仕事です。しかし提出先の数だけ様式があるとすれば、そこにかかる時間は小さくありません。負荷は「量」ではなく「重複」から生まれています。

    新しい項目を増やす仕事よりも、既存の項目を共通の様式に整える仕事のほうが、この現場ではまず求められています。

    書式が事業者ごとに違う状態は、担当者が変わるたびに引き継ぎの手間も増やします。属人化しやすい作業ほど、共通の様式に整理する価値が上がります。

    「そろえる」ことそのものが仕事になる

    委託元ごとに異なる様式を共通の規約に変換する仕組みを作ることは、それ自体がひとつの案件になります。事業者をまたいでデータをやり取りする場面では、様式の違いを吸収する層を挟む発想が使われています。

    この仕事に必要なのは、業界固有の専門知識よりも、複数の様式を見比べて共通点と差分を洗い出す力です。データ連携やマスタ管理の経験を積んできたエンジニアの経験が、そのまま生きる場面です。

    様式を吸収する層を一度作っておけば、新しい提出先が増えても、変換のルールを足すだけで対応できます。最初から全部をそろえようとせず、頻度の高い様式から着手する進め方も有効です。

    提出先が増えるほど、様式を吸収する層の価値も上がります。1つの案件で作った変換の仕組みが、次の案件でもそのまま使える土台になることは珍しくありません。

    書式がそろわないことの影響は、事業者間の負荷にとどまりません。

    図2:同じ情報を様式ごとに書き直す負荷
    同じ情報を様式ごとに書き直す負荷を示す図 事業者が持つ 商品規格の情報 提出先の様式A 提出先の様式B 提出先の様式C

    出典:食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組(消費者庁、2024年10月)をもとに作成

    4. データがそろわないと機能が載らない

    適時性と正確性が条件になる

    資料には、適時に利用可能な正確な食品表示データがないため、ネットスーパーで食品表示情報を掲載していない事業者が多いという指摘があります7。表示する場を用意しても、そこに載せるデータの側が整っていなければ機能は動きません。

    「適時」という言葉が示すとおり、正確であるだけでは条件を満たさず、更新されたタイミングで届くことも必要になります。データがそろうとは、形が合っていることと、そのときの状態を映していることの両方を指します。

    機能を先に作っても、データの側がそろっていなければ、その機能は使われないまま残ります。ここでの優先順位は、機能を増やすことよりもデータをそろえることのほうが先に来るという順番です。

    機能を先に公開してから後でデータを整える、という順番は一見早く見えますが、データが追いつかない間はその機能自体が不完全な状態のまま残ります。

    見た目の機能を増やす仕事よりも、その機能を支えるデータの経路を作る仕事のほうが、根本の解決につながります。

    エンジニアの経験が生きる場面

    データ連携やスクレイピング・取込み処理の経験があると、どこで形式が崩れやすいかの見立てが立てやすくなります。何を集めるかより、集めたあとにどう突合するかを設計できる経験のほうが、この領域では評価されます。

    過去に扱ってきたデータの分野が食品でなくても、崩れの見分け方そのものは業界をまたいで通用します。案件を移るたびにゼロから学び直す必要がないという点も、この領域で経験を積む利点です。

    事業者をまたぐデータの案件は食品表示に限らず、幅広い分野に広がっています。次の表で、機能が動く条件と現場で起きることを整理します。

    条件資料が示す現状現場で起きること
    データが正確であること適時に利用可能な正確なデータがないという指摘があります7表示する機能があっても使われない状態が残ります。
    データが最新であること最新状態に保たれていない場合があります4情報が古いまま公開される懸念が残ります。
    データの形がそろっていることフォーマットが統一されていません1突合や変換の工程が別途必要になります。

    この表からもわかるとおり、3つの条件はどれも独立していて、1つが欠けるだけで機能全体が動かなくなります。案件に入るときは、どの条件が特に崩れているかを最初に確認しておくと、進め方の見通しが立てやすくなります。

    この3つの条件がそろって初めて、集めたデータは機能として使える状態になります。次の章では、集めずにそろえるという、この領域の設計方針を見ていきます。

    5. 集約しない、という設計方針

    オープンデータとしての条件

    容器包装上の表示事項を利活用可能な形態とするためには、食品表示データを無償かつ制約なく利用可能なオープンデータとすることが望ましいと資料は述べています8。使える形にするための条件が、ここで示されています。

    無償であることと、制約がないことは、どちらも欠けてはいけない条件として並んでいます。一部だけ公開する、一部だけ有償にするという形では、この条件を満たしません。

    オープンデータという言葉は、公開されているという意味だけにとどまりません。誰でも同じ形式で機械的に扱えることまでを含んだ条件です。

    この条件を満たすには、公開する側の姿勢だけでなく、受け取る側が扱いやすいファイル形式を選ぶ設計判断も欠かせません。ここにも、外から入るエンジニアが関わる余地があります。形式の選び方ひとつで、後から連携できる相手の幅が変わってきます。

    集めずにそろえるという結論

    資料はさらに、概念実証の結果として、データを一元的に集約しない、分散管理型のデータ管理が可能になると述べています9。1か所に集める設計ではなく、各社が持ったままの状態で形式をそろえて連携する設計です。

    データを集める仕組みよりも、データの形式をそろえて連携する仕組みのほうが、この領域では本筋の設計だとわかります。分散管理型という結論は、集約にかかる負担を避けるための妥協ではなく、概念実証を経て確かめられた設計の選択肢です。

    この考え方は、Remoguが扱うリモートワーク案件全体の性質とも重なります。案件の90%以上がフルリモート可能です10。働く場所を1か所に集めない発想と、データを1か所に集めない発想は、根っこの部分でよく似ています。

    形式をそろえて分散のまま連携する設計は、食品表示に限らず、事業者をまたぐデータを扱う案件に共通して求められる型です。自分の経験がどこで生きるかは、次のまとめで整理します。

    図3:集める設計と、そろえて分散させる設計
    集約する設計と分散管理型の設計を比較した図 集める設計 各社データ 各社データ 各社データ 1か所に集約 したデータ 分散管理型の設計 各社データ 各社データ 各社データ 共通の形式でそろえる

    出典:食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組(消費者庁、2024年10月)の概念実証の結果をもとに作成

    6. まとめ

    ここまで見てきた崩れ方は、形・中身・鮮度の3方向でした。形はフォーマットの統一で、中身は解釈のすり合わせで、鮮度は更新が届く経路で、それぞれ直し方が変わります。

    現場に効くのは、集める前に規約をそろえることでした。書式の不統一が負荷になり、データがそろわなければ機能も載らない。ここまでの流れは、集約するかどうかではなく、そろえてから連携するかどうかで決まっていました。オープンデータとしての条件を満たしたうえで、分散管理型のまま連携するという設計方針も、その延長にあります。

    崩れの方向現場で起きること対応する仕事
    収集しても使える形になっていません。そろえる規約を決める仕事
    中身コード体系の解釈にばらつきがあります。変換・突合の設計を行う仕事
    鮮度最新状態に保たれません。更新が届く経路を作る仕事

    3つの崩れは、そのままエンジニアが担う3つの仕事に置き換えられます。食品表示に限らず、事業者をまたぐデータの案件で共通して使える型です。自分がどの崩れに強いかは、これまで扱ってきたデータの種類によって変わります。取込み処理を多く担当してきたなら形の崩れに、マスタ管理を担当してきたなら中身の崩れに、経験が重なりやすいはずです。

    この記事で挙げた3つの崩れと3つの仕事は、食品表示という題材を借りていますが、事業者をまたぐデータを扱うあらゆる案件に応用できる整理です。

    まず登録して、自分の経験に近い案件がどのあたりにあるかを確かめてみることから始められます。集めるより先にそろえる、という視点を持つ人を、この領域は探しています。

    7. よくある質問

    ここでは、食品表示データの案件についてよく聞かれる点をまとめます。まずは、外から入るエンジニアが担う仕事を3つに整理した図を挙げます。どの仕事が自分の経験に近いかを確かめながら読み進めてみてください。

    図4:外から入るエンジニアが担う3つの仕事
    外から入るエンジニアが担う3つの仕事を示す図 そろえる規約を 決める仕事 更新が届く経路を 作る仕事 欠けているときの 扱いを決める仕事

    図の作成:Remogu編集部。案件で担う仕事を整理したもので、統計データではありません

    食品表示データの案件で、具体的にどんな作業をしますか

    各社から集めたデータの形式を突合し、共通の規約に変換する設計や、更新が届く経路を作る作業が中心になります。商品規格書の様式をそろえる仕事も、この延長にあります。

    これまでデータ連携やマスタ管理を担当してきた経験は生きますか

    生きる場面は多いといえます。業界固有の知識よりも、複数の様式を見比べて共通点と差分を洗い出す経験や、突合の設計経験のほうが、この領域では評価されます。案件に参画してから業界の知識を補っていく進め方でも十分に対応できます。

    食品業界の経験がなくても案件に参画できますか

    事業者をまたぐデータの案件は食品表示に限らず、幅広い分野に広がっています。まず自分の経験に近い案件がどのあたりにあるかを確かめてみることから始められます。

    リモートで参画できる案件はありますか

    案件の90%以上がフルリモート可能です10。データ連携やマスタ管理の設計は、常駐を必須としない進め方と相性がよい仕事です。まず登録して、自分に合う条件を確認してみることをおすすめします。

    参画するとき、まず何を確認すればよいですか

    対象のデータが形・中身・鮮度のどの崩れを多く抱えているかを、案件の初期に確認しておくとよいです。優先して直す箇所が見えると、進め方の相談もしやすくなります。自分の経験が活きる崩れから、まず登録して探してみることをおすすめします。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」実証調査事業の技術的課題(2024年10月)
    *2 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」実証調査事業の技術的課題(2024年10月)
    *3 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」実証調査事業の技術的課題(2024年10月)
    *4 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」実証調査事業の技術的課題(2024年10月)
    *5 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」事業者ヒアリングの結果(2024年10月)
    *6 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」製造事業者の声(2024年10月)
    *7 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」小売事業者の声(2024年10月)
    *8 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」オープンデータの考え方(2024年10月)
    *9 消費者庁「食品表示へのデジタルツール活用に関する消費者庁の取組」概念実証の結果(2024年10月)
    *10 Remoguサイト公開情報(フルリモート可能案件の割合)