エージェントの使い方は情報の渡し方で決まる?案件紹介の精度を上げる伝え方と注意点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 紹介の精度が渡した情報の粒度で決まることと、自分で書ける情報と相手が補う情報の線引き方
- 取引条件の明示義務違反の件数と、指導・勧告に至った件数など、行政の運用状況からみえる実態
- 発注する側の人材不足や内製化の事情と、リモート前提で相手を選ぶときに見ておきたい点
エージェントから届く案件情報の粒度は、担当者によって差があります。同じ経験を伝えても、紹介の幅が広がる人と狭くなる人に分かれます。差を生んでいるのは担当者の力量ではなく、自分が渡した情報の具体性です。この記事では、渡す情報の作り方と、渡した情報が条件としてどう戻ってくるかを、公的なデータをもとに整理します。
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1. 紹介の精度を決めるのは渡した情報の粒度
デジタル化の現場が抱えているのは人材不足という壁
デジタル化を進める企業に課題を尋ねた総務省の調査では、人材不足を挙げる割合が最も大きく、48.7%に達しています7。人手の不足そのものというより、任せられる相手を社内で確保できていない状況が広がっていることを示す数字です。この割合の大きさは、外部の担当者を通じて開発や運用の一部を任せる動きが、一時的な事情ではないことを裏づけています。
同じ調査では、システム開発を自社主導で行っていると答えた企業は3割台にとどまっています8。裏を返せば、残る企業は外部に開発や運用の一部を委ねる前提で動いていることになります。自社だけで完結させる体制を敷いている企業のほうが、少数派だということです。
この状況は、エージェント経由で案件を探す人にとって追い風になり得ます。任せる相手を探している企業が多いほど、経験を正しく伝えられるかどうかが選ばれる分かれ目になるからです。逆に言えば、情報の伝え方を整えていない人ほど、この追い風を活かしきれずに終わってしまいます。
図の作成:Remogu編集部。情報の伝え方による紹介の幅の違いを整理したもので、統計データではありません
紹介の幅を決めるのは担当者の力量ではなく渡した情報
案件を紹介する担当者は、企業側の要望と自分の経験を、限られた時間で結びつける役割を担っています。担当者が優れているかどうかより、手元にある材料が具体的かどうかで提案の幅が変わります。材料が乏しいままでは、担当者も無難な提案しかできなくなります。
経験を「担当しました」で止めると、担当者は判断材料を自分で補うしかありません。何を、どの範囲で、どんな成果につなげたのかを言葉にしておくと、紹介の精度は自分の側で底上げできます。担当者の解釈に委ねる部分を減らすほど、企業側に伝わる内容のずれも小さくなります。
では、自分の言葉で書ける情報と、相手が補うしかない情報は、どこで線引きすればよいのでしょうか。二つを混同したまま渡してしまうと、担当者も企業側もどこまでを信じてよいか判断しづらくなります。次の章で具体的に見ていきます。
2. 自分で書ける情報と、相手が補う情報を分ける
自分の経験は自分の言葉でしか書けない
担当した範囲や使った技術、選定した理由は、本人以外が言葉にすることはできません。曖昧なまま渡すと、担当者は推測で埋めるしかなく、実態より狭い紹介になりがちです。推測で補われた情報は、実際の経験より控えめな形で企業側に伝わってしまいます。
工夫した点や成果につながった判断も同じです。「運用しました」ではなく、何を基準にどう判断したかまで書くと、担当者はそのまま企業側に伝えられます。判断の理由まで言葉にできる人は、それだけで他の候補者と並んだときの見え方が変わります。
つまり自分で書ける情報は、経験の中身そのものです。ここを曖昧にしたまま次に進んでも、紹介の精度は上がりません。まず自分の手で書ける部分をできるだけ具体的にすることが、最初の土台になります。
図の作成:Remogu編集部。情報の分担を整理したもので、統計データではありません
自分で書ける情報と、相手が補う情報の対比
自分で書ける情報の代表が担当範囲や使った技術だとすれば、相手が補う情報の代表は契約条件です。公正取引委員会の運用状況では、明示するときに示さなければならない事項を定める内容の改正が行われました3。つまり契約条件は個人の推測に頼る部分ではなく、制度として企業側が示す対象だとわかります。両者を並べて整理すると、自分の役割と相手の役割の境目がはっきりします。
| 区分 | 具体例 | 言葉にする側 |
|---|---|---|
| 担当した範囲 | どの工程をどこまで担当したか | 自分 |
| 使った技術と判断根拠 | 選定の理由や工夫した点 | 自分 |
| 社内の体制や稼働の事情 | 体制の変更や稼働開始の時期 | 相手(企業側) |
| 契約条件の明示事項 | 報酬の支払時期などの明示 | 相手(企業側) |
表の左側は自分の言葉で埋められる欄、右側は担当者や企業からの提示を待つ欄です。埋め方が違う情報を同じ扱いで渡すと、伝わり方にずれが生まれます。左側を先に固め、右側は担当者に確認する形で進めると、情報の抜け漏れを減らせます。
この線引きができると、次に確かめたいのは、渡した情報が実際に条件として戻ってくるかどうかです。自分の役割を果たした先に、相手側の役割がどう果たされるかを見ていきます。
3. 渡した情報は条件として戻ってくるか
情報を渡してから条件が書面に戻るまでの流れ
経験を伝え、担当者が企業に共有し、企業が契約条件を提示し、明示される事項を確認する。渡した情報が条件として戻ってくるまでには、いくつかの段階があります。どの段階で情報が欠けても、最終的な条件は自分が伝えた内容と食い違ったものになりかねません。
図で示すように、自分の役割は最初の一歩を具体的にすることまでです。その先は担当者と企業側のやり取りに委ねられますが、最初の一歩が曖昧だと、その後の段階もあいまいなまま進んでしまいます。
だからこそ、最後に戻ってきた条件を確かめる段階を省かないことが重要です。ここを飛ばすと、伝えた情報が正しく反映されたかどうかが分からないまま進んでしまいます。確認は手間に見えても、後から食い違いに気づくよりずっと負担が小さい作業です。
図の作成:Remogu編集部。情報が条件として戻るまでの流れを整理したもので、統計データではありません
勧告の内訳に見る、明示義務と支払義務の重さ
条件が戻ってこない例は、制度の外側にもあります。公正取引委員会の運用状況では、勧告10件の内訳が示されています4。取引条件の明示義務違反が10件、期日における報酬支払義務違反が9件です1。勧告に至った件数だけを見ても、明示や支払いに関わる違反が中心を占めていることがわかります。渡した情報がどう扱われるかは、制度の運用実績からも推し量ることができます。
| 違反の類型 | 件数 |
|---|---|
| 取引条件の明示義務違反 | 10件 |
| 期日における報酬支払義務違反 | 9件 |
表からわかるのは、違反の類型が一つに偏っていないという点です。条件を渡すこと自体だけでなく、渡した条件どおりに支払いが行われるかも、あわせて確かめる対象になります。片方だけを気にしていると、もう片方で食い違いが起きたときに気づきにくくなります。
渡した情報がどう扱われたかは、契約条件と支払いの両方に目を向けて初めて見えてきます。次の章では、こうした件数を全体像として並べて確認します。
自分が渡した情報がどんな案件につながるか、一覧で確かめる →
4. 数字で見る全体像——申出・指導・勧告・処理件数
申出から処理までの件数を並べてみる
公正取引委員会に寄せられた申出は604件です2。そこから指導に進んだ件数は1,542件でした5。申出の件数を上回る規模で指導が行われていることが、この二つの数字からわかります。
勧告に至った件数は10件です4。申出から勧告までの間には、指導という段階が挟まっていることがわかります。指導で収まる例が大半で、勧告まで進む例は限られた件数にとどまっています。
違反被疑事件の処理件数は1,597件です10。申出・指導・勧告・処理件数を並べると、件数の重心がどこにあるかが見えてきます。次の図で、四つの件数の大きさを一度に見比べてみます。
出典:公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」(2026年6月)をもとに作成
件数の大きさが示していること
指導1,542件は申出604件よりも大きい数です。数字の差は、申出だけがすべてではないことを示しています。申出以外の経路からも、指導につながる事案が把握されていると考えられます。
勧告10件は指導1,542件と比べるとごく少ない数です。件数の差の大きさが、指導と勧告の位置づけの違いを表しています。指導は幅広く行われる一方で、勧告は限られた重い事案に絞られていることがうかがえます。
処理件数1,597件は、これらの手続き全体を合わせた数です。数字を並べて見ることで、渡した情報が制度の中でどう扱われているかの土台が見えてきます。次の章では、申出のうち自発的なものがどれくらいあるのかを見ていきます。
5. 自発的な申出はほとんどない
声を上げるのは、申出を受けた後ではなく前から
公正取引委員会の運用状況では、発注する側からの自発的な申出は、申出全体と比べてごく少ない件数にとどまっています6。申出604件2の大半は、発注する側以外から寄せられたものだとわかります。声を上げているのは、条件を渡す側ではなく受け取る側だという構図です。
つまり、条件が明示されていない状況に気づいても、発注する側が自分から声を上げる例は限られています。声を上げる主体は、受ける側になりやすい構図です。この構図は、待っているだけでは条件が整理されにくいことも意味しています。
だからこそ、受ける側が自分の経験や渡した情報を記録しておくことに意味があります。何を、いつ、どう伝えたかが残っていれば、条件を確かめるときの材料になります。記録がなければ、後になって伝えた内容自体があいまいになってしまいます。
記録を残すことが、次の判断材料になる
記録といっても身構える必要はありません。いつ、どんな情報を、誰に伝えたかを短いメモに残すだけで十分です。案件ごとにまとめておけば、複数の担当者とやり取りしていても混同しにくくなります。
メモが残っていれば、明示された条件と自分が伝えた内容にずれがないかを、後から確かめられます。ずれに気づいたときに初めて、担当者に確認するという次の行動につながります。記録がなければ、そもそもずれに気づくこと自体が難しくなります。
自発的な申出が少ない構図の中では、自分の記録が唯一の手がかりになる場面もあります。渡した情報を自分の側でも管理しておく意識が、条件の食い違いを防ぐ助けになります。次の章では、受け入れ側の事情に目を向けます。
6. 受け入れ側の事情——人材不足と内製化
人材不足を課題に挙げる企業の割合が最も大きい
総務省の調査では、デジタル化を進めるうえでの課題として人材不足を挙げる企業の割合が最も大きく、48.7%です7。受け入れ側にとっても、任せられる相手を確保できるかどうかが大きな関心事になっています。この割合の大きさは、社内の体制だけで課題を解決できていない企業が広く存在することを示しています。
割合の大きさは、外部の担当者を通じて人を探す動きが、特別な状況ではないことを示しています。企業側の事情を知っておくと、自分がどんな立場で迎えられるのかが見えやすくなります。受け入れる側の余裕のなさが、渡す情報の受け止め方にも影響します。
では、実際にどれくらいの企業が開発を内製化できているのでしょうか。人材不足という課題の裏側にある、内製化の実情を次に見ていきます。
自社主導の開発は3割台にとどまっている
同じ調査で、システム開発を自社主導で行っていると答えた企業は35.7%です8。人材不足の割合48.7%7と、自社主導の割合35.7%8を並べると、外部に開発や運用を委ねる前提で動いている企業の広がりが数字の面から見えてきます。この二つの数字は、同じ調査の中で並べて読むことができます。
| 指標 | 割合 |
|---|---|
| デジタル化の課題として人材不足を挙げる企業 | 48.7% |
| システム開発を自社主導で行っている企業 | 35.7% |
表の二つの数字は別々の調査項目ですが、向いている方向は同じです。任せる相手を必要としている企業は、少なくとも数字の上では珍しくないことがわかります。この傾向は、特定の業種に限った話ではありません。
受け入れ側の事情を踏まえると、渡す情報の粒度がなぜ重視されるのかが、より具体的につながります。任せる前提で動いている企業だからこそ、渡された情報の質がそのまま判断材料になります。
まず登録して、経験に合う条件を確かめる →
7. リモート前提の相手は絞られてきた
テレワークの導入は2022年以降減少傾向
総務省の調査では、民間企業のテレワークは2022年以降、減少傾向が続いています9。制度としての導入が広がり続けているわけではないことが、この数字から読み取れます。一度広がった制度でも、その後の運用は企業ごとに差が出ていることがうかがえます。
だからこそ、最初からリモート前提で募集する相手は、以前より絞られてきていると考えられます。前提が合わない相手に情報を渡しても、条件面でのすれ違いが起きやすくなります。渡す前に、相手がリモートを前提にしているかどうかを確かめておく価値があります。
自分がリモートを前提にしているなら、その前提を最初の情報として明確に伝えることが、紹介の精度にも条件の一致にもつながります。後から前提の違いが発覚するより、最初に共有しておくほうが双方にとって負担が小さくなります。
前提が合う相手を、渡す情報の側から絞り込む
Remoguでは、案件の90%以上がフルリモート可能です。減少傾向にある中でも、リモート前提で進めやすい案件を扱う相手を選ぶことは、渡した情報を無駄にしないための一歩になります。前提が合う相手であれば、伝えた経験がそのまま条件の一致につながりやすくなります。
ここまで見てきたように、渡す情報の具体性、契約条件の明示、企業側の事情はそれぞれ独立していません。リモートという前提も、その情報の一つとして扱うことが大切です。どれか一つを整えるだけでは、紹介の精度も条件の一致も安定しません。
次に、よくある質問として、実務で迷いやすい点を確認します。
経験をどこまで具体的に書けば、紹介の精度は上がりますか
担当した範囲、使った技術と選定の理由、工夫した点と成果につながった判断まで書くと、担当者がそのまま企業側に伝えられる材料になります。「担当しました」で止めず、判断の中身まで言葉にしてみてください。書き出した内容は、案件ごとに少しずつ言葉を調整しながら使い回すこともできます。
契約条件が明示されないときは、どう対応すればよいですか
契約条件の明示は制度上の対象であり、公正取引委員会の運用状況でも明示に関わる違反が扱われています1。伝えた情報の記録を残しておき、担当者を通じて確認することが次の一歩になります。条件が曖昧なまま進めるより、早い段階で確認したほうが後の負担は小さくなります。
リモート前提で案件を探すには、どこを見ればよいですか
リモートを前提にしていることを最初の情報として伝えたうえで、実際に案件がどのように並んでいるかを確認すると、前提が合う相手かどうかを判断しやすくなります。前提を共有してから確認する順番を守ると、条件面でのすれ違いを減らせます。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
渡す情報を整えれば紹介の精度は上がります。まずは案件の条件を見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」違反の中身(2026年6月・2026年8月確認)
*2 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」申出の件数(2026年6月・2026年8月確認)
*3 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」示す項目(2026年6月・2026年8月確認)
*4 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」勧告の件数(2026年6月・2026年8月確認)
*5 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」指導の件数(2026年6月・2026年8月確認)
*6 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」自発の少なさ(2026年6月・2026年8月確認)
*7 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」最大の課題(2025年7月・2026年8月確認)
*8 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」内製の実際(2025年7月・2026年8月確認)
*9 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」受け入れ側の変化(2025年7月・2026年8月確認)
*10 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」処理の件数(2026年6月・2026年8月確認)