在宅の案件の始め方は?条件として示される範囲と自分で確かめる範囲の見分け
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 勧告の内訳で取引条件の明示義務違反が10件、期日における報酬支払義務違反が9件であることと、示さなければならない項目を定める改正が行われたこと
- 公正取引委員会への申出が604件に対して勧告は10件にとどまることと、発注する側からの自発的な申出はごくわずかであること
- テレワークを導入している企業の割合が47.3%まで下がっている一方で、人材の確保を課題に挙げる企業が多いこと
在宅で案件を探し始めると、条件の書き方が発注元によって大きく違うことに気づきます。稼働の時間帯まで細かく決めている案件もあれば、成果物の締切以外はほとんど書かれておらず、進め方のほとんどを本人にゆだねている案件もあります。この差を単なる相性の問題として片づけてしまうと、後になって認識の食い違いに気づき、対応が後手に回ります。まず整理しておきたいのは、条件として書面で示される範囲と、自分で確かめておく必要がある範囲が、はっきり分かれているという点です。この分かれ目を先に押さえておくと、案件ごとに何を確かめるかが決まります。
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1. 在宅を前提にできる相手の絞られ方
手元の環境の整い方
スマートフォンの世帯保有率は90.5%に達しています1。個人での保有率も80.5%まで伸びており、増加傾向が続いています1。連絡を取り合い、資料をやり取りし、打ち合わせの画面を共有する道具は、在宅で働くかどうかにかかわらず、すでに広く行き渡っているといえます。
道具が揃っていること自体は、案件を受けられるかどうかの条件にはなりません。道具が整った後にはじめて見えてくるのは、受け入れる企業の側の体制の差です。道具がそろった今、体制の差がそのまま在宅の案件を選ぶときの本題になります。ここから先は、道具ではなく進め方の設計を見ていく必要があります。
受け入れる企業の割合の減少
一方で、テレワークを導入している企業の割合は47.3%となり、前年に続き減少しています1。道具の面ではすでに条件が整っているにもかかわらず、実際に導入している企業の割合は前年に続いて下がっています。
つまり、在宅を前提にできる相手は、以前より絞られてきました。割合が下がっている以上、1件ごとの条件を丁寧に確かめる意味は大きくなります。
「選ぶ側」と「選ばれる側」の入れ替わり
受け入れる企業が限られてくると、案件を受ける側が企業を選ぶだけでなく、企業の側も条件をどう示すかが問われます。曖昧な進め方をする発注元は、条件を重く見る人にとって選びにくい相手です。
次に見るのは、実際にどのような点で条件のやり取りがつまずいているかです。公正取引委員会がまとめた令和7年度の運用状況から、具体的な傾向をたどっていきます。
2. 最初の問題は「条件が書かれていない」こと
勧告と「条件を示していない」ことの関わり
公正取引委員会がまとめた令和7年度の運用状況では、勧告の件数は10件でした2。その中身を分けて見ます。
勧告の内訳では、取引条件の明示義務違反が10件、期日における報酬支払義務違反が9件です2。条件を示すことと、期日に報酬を支払うことが、勧告の内訳として挙がっています。
内訳で見る、起きている違反
勧告の内訳を分けて見ると、件数に順番があります。もっとも多いのは取引条件の明示義務違反で、次が期日における報酬支払義務違反です2。2つの件数は10件と9件で、近い数字です。
| 違反の類型 | 件数 | 何が起きているか |
|---|---|---|
| 取引条件の明示義務違反 | 10件2 | 条件そのものが書面で示されていない |
| 期日における報酬支払義務違反 | 9件2 | 支払う期日が守られていない |
この2つの数字が示しているのは、良し悪しの判断ではなく傾向です。条件と支払いの期日は、案件を始める前にまとめて確認すると、後から食い違いに気づく場面を減らせます。
条件の明示と支払期日の件数
件数を並べると、取引条件の明示義務違反がわずかに多く、期日における報酬支払義務違反がそれに次いでいます2。どちらも勧告の内訳に挙がっています。
出典:公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」をもとに作成
では、示さなければならない項目は、どのように定められたのでしょうか。
条件が明確に示された在宅の案件をチェックする →
3. 示さなければならない項目の定め
具体的になった明示項目
令和7年度の運用状況では、明示するときに示さなければならない事項を定める内容の改正が行われています2。明示の際に何を示すかは、定めに沿って確認できます。
この改正により、示されていない状態を「まだ整っていないだけ」と流さず、定められた項目と照らし合わせて確認できます。受ける側にとっては、確認の物差しになります。
案件全体の中で書面が対象にする範囲
とはいえ、書面が対象にする範囲は案件全体を覆っているわけではありません。明示が必要な事項は定められた範囲にとどまり、進め方の相性やコミュニケーションの取り方、日々のやり取りのペースなど、書面の外側に残る部分もあります。
図の作成:Remogu編集部。案件全体を、書面で示される範囲と自分で確かめる範囲に分けて整理したもので、統計データではありません
書面に書かれていない項目を見つけたとき、「まだ伝えられていないだけ」なのか、「そもそも書面の対象ではない」のかを見分ける視点が要ります。では、書面に定められた項目は、確認にどう使えるのでしょうか。
確認の基準としての定め
示さなければならない項目が定まったことで、受ける側にとっては「何を確認すればよいか」という基準ができたともいえます。基準がないまま「何となく不安」という感覚だけで終わらせる必要はなくなりました。
では、この基準を使って確かめる動きは、実際にどれだけ起きているのでしょうか。
4. 声を上げる役割の偏り
申出の件数604件
公正取引委員会に申出がされた件数は604件です2。この数字は、疑問を感じて実際に申し出た人が一定数いることを示しています。
一方で、発注する側から自発的に申出がされた件数は、申出全体に比べてごくわずかです2。発注する側の自発的な申出がごくわずかなので、申し出る動きは受ける側に偏っています。
「示す側」と「確かめる側」の分かれ方
申出の件数を表に並べると、偏りが見えます。
| 申出の主体 | 申出の状況 |
|---|---|
| 公正取引委員会への申出全体 | 604件2 |
| 発注する側からの自発的な申出 | 申出全体に比べてごくわずか2 |
この偏りを見ると、受ける側が条件を確かめることは特別な行動ではなく、ごく普通の進め方といえます。
声を上げることと、関係を壊すことは別
条件を確かめる行動を「関係を悪くする行為」と捉えてしまうと、曖昧なまま進める選択に傾きます。しかし申出は604件ありました2。声を上げることと関係を壊すことは、別の話です。
では、申出から実際の措置まで、数字はどう並ぶのでしょうか。
5. 数字で見る全体像——申出から措置まで
申出・指導・勧告という3つの数字
公正取引委員会に申出がされた件数は604件です2。指導は1,542件でした2。勧告の件数は10件です2。3つの数字は、同じ母集団を段階ごとに絞り込んだものではなく、それぞれの件数を別々に表している点に注意が要ります。
3つの数字は、それぞれの措置が実際に使われた件数です。比率として計算し直す必要はありません。
申出・指導・勧告の件数の違い
3つの件数を棒の高さで並べると、指導の1,542件に対して、勧告の10件はごく小さく見えます。
出典:公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」をもとに作成。棒の高さは件数に比例させています(勧告は見える最小の高さにしています)。
件数の規模を見ると、勧告まで進む例は、申出や指導に比べてごく限られます。
数字から読める範囲
これらの数字は、ある年度に実際に扱われた件数を示すものであり、すべての案件で同じ結果になることを保証するものではありません。数字は、条件を確かめることが特別な行動ではないと理解するための材料として使うのが妥当です。
では、この数字を踏まえて、自分で確かめる範囲はどう決まるのでしょうか。
6. 自分で確かめる範囲の決め方
定められた範囲と違反が多い範囲の重なり
示さなければならない事項が定められた範囲と、勧告の内訳でもっとも多い範囲を並べると、同じ明示の場面を指しています。定めが具体化されたのは明示の事項であり2、勧告のうちもっとも多いのも取引条件の明示義務違反です2。確認の優先順位は、この重なりから決められます。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 定めが具体化された範囲 | 明示するときに示さなければならない事項2 |
| 勧告の内訳でもっとも多い範囲 | 取引条件の明示義務違反10件2 |
この重なりを知っていれば、条件を確かめるときにどこから手をつければよいか、優先順位を自分で組み立てられます。すべてを一度に確かめようとする必要はありません。まずは示す義務がある部分から順に見ていくだけで十分です。
示されていない部分の書き出し
書面に示されていない部分を見つけたときは、あいまいなまま進めるのではなく、先に言葉にして残しておく進め方が有効です。何が書かれていて、何が書かれていないかを分けて整理すると、後から確認する点が明確になります。
図の作成:Remogu編集部。書面の記載を確認してから、示されていない点を明らかにする進め方を整理したもので、統計データではありません
この手順を踏んでおくと、進め方の相性のように書面の外側にある部分についても、早い段階で認識をそろえられます。あとから調整する手間も減らせます。
案件を選ぶ材料としての確認
条件を確かめる過程そのものが、その案件を続けるかどうかを判断する材料にもなります。確認のやり取りは、案件を見分ける最初の手がかりでもあります。
では、案件を受け入れる企業の側には、どんな事情があるのでしょうか。
7. 受け入れ側にも事情がある——人材の確保
内製化の課題としての人材の確保
内製化の課題として人材の確保と新技術への対応を挙げる企業が多くなっています3。人材の確保が課題である以上、受け入れる側にも事情があります。
一方、テレワークを導入している企業の割合は47.3%まで下がっています1。受け入れる側の事情は、この数字とあわせて見る必要があります。
在宅で受ける側にとっての意味
受け入れる側に事情があるからといって、条件を確かめる責任が軽くなるわけではありません。ただし、双方の事情を知っておくと、条件のやり取りを一方的な要求と感じずに進められます。
在宅で場所に縛られずに働きたいという理想と、実際に受け入れる企業が限られてきたという現実は、条件を丁寧に確かめることで初めてすり合わせられます。Remoguでは案件の90%以上がフルリモート可能です。リモートワークの案件に絞って、条件を確かめながら参画先を探せます。
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8. よくある質問
在宅の案件で、書面に条件が何も書かれていないときはどうすればよいですか
まずは、明示するときに示さなければならない事項が実際に示されているかを確認します2。示されていない項目は、進める前に文書に書き出して残します。
条件を確かめることは、案件を受けにくくする行動になりませんか
条件を確かめることと関係を壊すことは、別の話です。法律に違反する事実があるとして申出がされた件数は604件で2、疑問を声にする動きは実際に起きています。
テレワークを導入している企業が減っているなら、在宅の案件自体も減っていきますか
テレワークを導入している企業の割合は47.3%で、前年に続き減少しています1。ただしこれは企業の割合の数字で、案件の増減を示すものではなく、案件の傾向は時期によって変わります。
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示される条件と自分で確かめる条件を分けられる人は、最初の案件でつまずきません。在宅で働きたいなら、案件の条件から確かめてみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「通信利用動向調査の結果」受け入れ側の事情(2025年5月・2026年10月確認)
*2 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」違反の中身(2026年6月・2026年10月確認)
*3 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」入る余地(2025年4月・2026年10月確認)