フリーランスの住民税はいつ払う?普通徴収の4回と計算の仕組みを解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 住民税が前の年の所得に課税される仕組みと、確定申告から納税通知書が届くまでの流れ
- 住民税が所得割・均等割・森林環境税でできていることと、所得税とは基礎控除の額が違う点
- 普通徴収で年4回に分けて納めることと、住民税が事業の経費にならず、翌年の備えが必要な点
6月、市区町村から住民税の納税通知書が届きました。金額を見て、思っていたより大きいと驚いた場面です。「いまの報酬は先月から下がっているのに」——そう戸惑うこともあります。この通知は、いまの自分ではなく、前の年の自分の所得から届いています。
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1. フリーランスの住民税は、前の年の所得に対してかかります
「1月1日にどこに住んでいたか」で課税先が決まる
住民税は、その年の1月1日に住んでいる市区町村が、前の年の所得などの状況に応じて課税します1。基準になるのは、1月1日という一時点で、どの市区町村に住んでいたかです。
そのため、1月1日のあとに引っ越しても、その年度の住民税は1月1日に住んでいた市区町村から届きます。新しい住まいの市区町村が基準になるのは、次の1月1日からです。
所得税と住民税は、課税される年がずれています
所得税は、所得が生じたその年に対して課税されます。一方、住民税は前の年の所得に対して課税されます2。令和7年中の所得にかかる住民税は、令和8年度として扱われます2。
いま受け取っている報酬は、今年の所得税の対象になる一方で、住民税としては来年に回ってくる番です。6月に届く通知書の金額は、今月の報酬の記録ではなく、前の年一年間を通じた所得の記録です。
この1年のずれこそが、住民税を分かりにくくしている一番の理由です。所得が増えた年と、住民税の負担が増える年は重ならないため、いまの生活の実感と通知書の金額がかみ合わない場面が生まれます。案件の単価が上がった年ほど、翌年の通知書に驚きやすい構造です。
図の作成:Remogu編集部。所得税と住民税で課税される年がずれる仕組みを整理したもので、統計データではありません
ここまでの前提を押さえておくと、6月に届く金額の見え方が変わります。次は、その金額がどのように計算されて手元に届くのかを見ていきます。
2. 税額は、確定申告の内容から市区町村が計算します
所得税は自分で計算し、住民税は市区町村が計算する
所得税は、納税者自身が所得と税額を計算して申告する申告納税方式です。住民税は、これに対して確定申告書などの課税資料をもとに、市区町村が税額を計算する賦課課税方式をとっています3。自分で税額を出す作業と、届いた通知書を確かめる作業という違いです。
確定申告書は、所得税の手続きのために提出する書類ですが、その中身は住民税の計算にも使われる課税資料の一つです3。所得税の確定申告書は、個人住民税の申告書も兼ねています14。確定申告を済ませておけば、住民税のために別の申告を重ねて出す必要はありません。
確定申告から、6月の通知書までの流れ(江東区の例)
江東区の場合、3月15日までに提出された確定申告書などの申告の中身をもとに、市区町村が住民税を計算し、6月中旬に税額を決定して通知します9。確定申告を終えてから、額が手元に届くまでには、数か月かかります。
つまり、6月に届く通知書は、その場で新しく計算された数字ではありません。3月に提出した申告の内容を、市区町村が数か月かけて処理した結果です。申告した内容と届いた金額の間に時間の空白があると捉えておくと、通知書を落ち着いて確かめられます。
出典:江東区「普通徴収」をもとに作成
実務では、確定申告の内容に誤りがあると、住民税の計算もその中身を引き継ぎます。申告の段階で所得や経費を正しく整理しておくことが、6月の通知書を見て慌てないための備えになります。
こうした流れを踏まえると、住民税は自分で計算して納める税金というよりも、届いた金額を確かめて納める税金です。次は、その金額の中身がどのような要素でできているのかを見ていきます。
3. 住民税は所得割と均等割でできています
所得割は、課税される所得金額にかかります
住民税は、所得に応じてかかる「所得割」と、所得にかかわらず均一にかかる「均等割」の2つで構成されています。ここでは江東区を例に、それぞれの中身を見ていきます。
所得割は、課税される所得金額に税率をかけて計算します。江東区の場合、税率は都民税4%・特別区民税6%です4。所得が多い年ほど所得割の額も大きくなる仕組みで、次に見る均等割よりも年ごとの増減が大きく出る部分です。
均等割と森林環境税は、所得にかかわらず均一にかかります
一方、均等割は、所得の額にかかわらず、一定額以上の所得がある人に均一にかかる部分です。江東区の場合、均等割は特別区民税3,000円・都民税1,000円をあわせた4,000円です5。
これに加えて、令和6年度からは森林環境税という国税が、均等割の枠組みを使って1人年額1,000円徴収されています6。江東区の場合、均等割の4,000円と森林環境税の1,000円をあわせた5,000円が、所得割とは別にかかる計算です。
つまり、住民税の通知書に書かれている金額は、所得割と均等割、そして森林環境税という、性格の違う3つの数字を足し合わせたものです。所得割だけを見て全体の額を見積もると、実際の通知書とのずれが生まれます。
| 区分 | かかり方 | 江東区の額 |
|---|---|---|
| 所得割 | 課税される所得金額に税率をかける | 都民税4%・特別区民税6%4 |
| 均等割 | 一定額以上の所得がある人に均一にかかる | 特別区民税3,000円・都民税1,000円(計4,000円)5 |
| 森林環境税(国税) | 均等割の枠組みを用いて徴収される | 1人年額1,000円6 |
ここで挙げた内訳は、江東区の例です。住んでいる市区町村の内訳は、届いた通知書か、市区町村の案内で確かめます。
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4. 所得税と住民税では、基礎控除の額が違います
基礎控除は、所得税にも住民税にもあります
所得税にも住民税にも、所得から一定額を差し引く「基礎控除」という控除があります。合計所得金額が2,500万円以下の範囲で、所得の額に応じて段階的に適用されます。
しかし、同じ「基礎控除」という名前でも、所得税と住民税とでは差し引かれる額が違います7。ここを知らずにいると、確定申告の書類の数字と、住民税の通知書の数字が合わないように見えることがあります。
控除される額は、所得税と住民税で違います
所得税の基礎控除は、合計所得金額2,500万円以下の範囲で95万円から16万円です7。住民税の基礎控除は、同じ所得の範囲で43万円から15万円です7。所得税のほうが、住民税よりも控除の幅が大きく設定されています。
同じ所得を申告していても、税の種類によって控除の額が変わります。この前提を知っておくと、通知書の数字を見たときに落ち着いて確かめられます。
| 控除の種類 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 基礎控除(合計所得金額2,500万円以下) | 95万円〜16万円7 | 43万円〜15万円7 |
ここで押さえておきたいのは、控除の額の違いであり、自分の税額をこの場で計算することではありません。実際の税額は所得や他の控除の状況によって変わるため、正確な金額は届いた通知書で確かめます。
つまり、基礎控除の名前は同じでも、所得税と住民税とでは中身が異なります。次は、この税額をどうやって納めるのか、納付の回数を見ていきます。
5. フリーランスは普通徴収で、6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて納めます
個人事業主は、自分あてに届く「普通徴収」で納めます
普通徴収は、個人事業主などの納税義務者本人に納税通知書を送り、決められた納期までに納めてもらう方法です8。案件を受けて仕事を進める働き方では、住民税もこの形で向き合うことになります。届いた通知書を確認し、期日までに自分で納付先へ動くところまでが一続きの流れです。
税額をまとめて計算するのは市区町村であっても、実際に納める段取りを組むのは自分自身です。案件の報酬は月によって変わることもあるため、納期がいつ来るかをあらかじめ知っておくと、日々の資金繰りに組み込みやすくなります。ここからは、通知が届く時期と、納める回数を見ていきます。
通知が届く時期は、市区町村によって書き方が違います
たとえば江東区の場合、3月15日までに提出された申告書や所得税の確定申告書などをもとに、6月中旬に住民税の決定を行い、納税の通知をしています9。申告を終えてから数か月をかけて、税額が固まっていく流れです。
一方、横浜市の場合は、確定申告などに基づいて計算した税額を、6月初旬に送る税額決定・納税通知書で知らせています11。江東区は6月中旬、横浜市は6月初旬と、同じ6月でも案内の書き方が違います。
納める回数は、江東区の案内では、毎年6月・8月・10月・翌年1月の4回です10。一度にまとまった額を納めるのではなく、1年を4つに分けて向き合う仕組みです。
出典:江東区「普通徴収」・横浜市「納税の方法」をもとに作成
つまり、住民税は一度にまとめて納める税金ではなく、1年を通して4回に分けて向き合う税金です。次は、この住民税が案件の必要経費とどう関わるのかを見ていきます。
6. 住民税は、事業の必要経費になりません
住民税そのものは、必要経費に数えられません
案件で得た所得を計算するとき、所得税や住民税は必要経費になりません12。住民税の通知書が届くと、この金額も経費として扱えないかと考える場面があるかもしれません。
案件の報酬から必要経費を差し引いて所得を求めたあと、その所得をもとに計算される住民税を、逆向きに経費へ含めることはできません。
税の種類によって、経費になるかどうかが分かれます
一方、事業税は全額が必要経費になります13。固定資産税は、業務用の部分に限って必要経費になる税金です13。同じ税金でも、経費になるかどうかは種類ごとに分かれています。
この違いを知らずにいると、確定申告のたびに同じ迷いが繰り返されます。ここで、税の種類ごとの扱いを表にまとめて確かめておきます。
| 税の種類 | 必要経費になるかどうか |
|---|---|
| 事業税 | 全額が必要経費になります13 |
| 固定資産税 | 業務用の部分に限って必要経費になります13 |
| 所得税 | 必要経費になりません12 |
| 住民税 | 必要経費になりません12 |
つまり、住民税を経費に含めることはできません。案件の報酬から、生活費と納税の両方を賄う組み立てが求められます。
次の案件を選ぶときも、受け取る報酬の額だけでなく、こうした税の扱いまで含めて考えておくと、一年を通じた見通しが立てやすくなります。
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7. 所得が大きく増えた年は、翌年の住民税に備えます
所得が増えた年の翌年度に、その所得に応じた住民税が届きます
住民税は、前の年の所得に対してかかる仕組みです2。案件が増え、所得が大きく変わった年があると、その所得に応じた住民税は、翌年度になってから届きます。
いまの報酬がどれだけ上がっていても、いま届いている通知書の金額は、前の年の所得を映したものです。逆に、所得が大きく伸びた年の翌年度には、住民税の額も大きくなって届く番が回ってきます。
備えは、所得が増えた年のうちに始められます
この1年のずれが分かっていれば、所得が増えた年のうちに、翌年度の住民税への心づもりを始められます。具体的な金額をこの場で決めることはできませんが、仕組みを知っておくだけで、通知書を受け取ったときの構えが変わります。
図の作成:Remogu編集部。所得が増えた年と、その翌年度に住民税が届く仕組みを整理したもので、統計データではありません
所得が変わる年と、住民税の通知が届く年度は、1年ずれています。今年の所得が来年の住民税につながり、来年の所得はさらにその翌年の住民税につながっていきます。
だからこそ、案件の内容や報酬が変わったタイミングこそ、翌年度の住民税を意識する好機です。所得が増えた年ほど、翌年度の通知書に驚きやすい構造だからです。
6月の通知は、前の年の自分からの便りです。受け取る準備は、所得が増えた年のうちに始められます。
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住民税の仕組みが分かれば、1年の報酬の見通しも立てやすくなります。リモートの案件を見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 江東区「住民税について」どこで・何に対してかかるか(2025年12月・2026年9月確認)
*2 江東区「住民税について」1年のずれ(2025年12月・2026年9月確認)
*3 江東区「住民税について」住民税は計算されて届く(2025年12月・2026年9月確認)
*4 江東区「住民税の税率・計算例」所得割の税率(江東区の例)(2025年12月・2026年9月確認)
*5 江東区「住民税について」均等割(2025年12月・2026年9月確認)
*6 江東区「住民税について」森林環境税(2025年12月・2026年9月確認)
*7 江東区「住民税について」所得税と住民税で控除額が違う(2025年12月・2026年9月確認)
*8 江東区「普通徴収」フリーランスは普通徴収(2026年6月・2026年9月確認)
*9 江東区「普通徴収」通知が届く時期(江東区)(2026年6月・2026年9月確認)
*10 江東区「普通徴収」4回の納期(2026年6月・2026年9月確認)
*11 横浜市「納税の方法」横浜市でも同じ4回(通知の時期の書き方は違う)(2026年4月・2026年9月確認)
*12 国税庁「必要経費の知識」住民税は経費にならない(2026年4月・2026年9月確認)
*13 国税庁「必要経費の知識」経費になる税・ならない税の対比(2026年4月・2026年9月確認)
*14 国税庁「ふるさと納税(寄附金控除)」確定申告をすれば住民税の申告は別に要らない(2026年4月・2026年9月確認)