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    HTMLとCSSの案件はどこまで実装するのか|担当範囲の切り方の違いを解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「HTMLとCSSの案件の担当範囲」を示す図です。見た目を決める/動きを付ける/データを差し込むを並べています。強調しているのは見た目を決めるです。

    📘 この記事でわかること

    • 担当範囲を切る3つの場所と、社内にUI・UXの専門担当者が少ない日本の企業の実情
    • 道具で済む部分と手で書く部分の混ざり方と、要件や設計の資料がドキュメント中心で残る理由
    • 守りのデジタル化という前提のもとで品質が最優先される事情と、担当範囲を自分から示す順番

    HTMLとCSSの実装案件に参画すると、案件情報には書かれていなかった範囲の作業を任されることがあります。動きを付ける部分や、データを差し込む部分まで担当が広がるケースです。担当が広がったことに気づくのは、たいてい作業を始めたあとです。担当範囲がどこまでかは、案件情報の文面だけでは判断できません。この記事では、担当範囲を自分から示すための3つの区切り方と、その背景にある企業側の事情を整理します。

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    1. どこで切るかが書かれていない

    案件情報に工程の切れ目が書かれていないことが多い

    HTMLとCSSの実装を担当する案件に参画すると、募集の文面には書かれていなかった作業まで任される場面があります。見た目を整える作業だけを想定して参画しても、実際に着手すると、動きを付ける作業やデータを差し込む作業まで担当する展開になることがあります。

    この差が生まれる背景には、社内にUI・UXに関わる専門の担当者が在籍している企業の割合が、日本では20.8%にとどまるという事情があります1。担当を割り振る人が社内に少ないため、外部に依頼する時点で作業の範囲が固まっていない案件が一定数あります。

    加えて、部品として分けたり、データの持ち方を意識した設計に取り組む企業は、利用する側を中心にいまも少ない状態です7。仕組みが部品化されていないと、見た目と動きとデータの境目そのものがあいまいになりやすく、担当範囲の切れ目も外からは見えにくくなります。

    担当範囲がはっきりしないまま参画すると、途中で作業の見積もりを立て直す場面も出てきます。最初にどこまでを担当するかを言葉にしておくことは、進め方を安定させる材料になります。相手に確認を求める形ではなく、担当する側から先に示す形にすると、案件の進行を止めずに済みます。

    担当範囲を自分から示す3つの場所

    担当範囲があいまいなまま進めると、後から作業が積み上がる展開になりやすいです。そこで、担当範囲を自分から示す材料として、切り分けの場所を3つに整理します。見た目を決めるところ、動きを付けるところ、データを差し込むところの3つです。図にすると次のようになります。

    図1:担当範囲を切る3つの場所
    担当範囲を切る3つの場所 見た目を 決めるところ 案件の依頼に 含まれやすい 動きを 付けるところ 案件情報に 出ないことがある データを 差し込む ところ 案件情報に 出ないことがある

    図の作成:Remogu編集部。担当範囲の切り方を整理したもので、統計データではありません

    3つの場所をあらかじめ示しておくと、相手側もどこまでを依頼したいかを言葉にしやすくなります。見た目を決めるところは案件の依頼に含まれやすい一方、動きを付ける部分とデータを差し込む部分は、案件情報に出ないまま進むことがあります。次の章では、この切り分けが必要になる企業側の内部事情を見ていきます。

    2. 社内に決める人がいない状態

    UI・UXに関わる専門の担当者が少ない日本の企業

    見た目に関わる判断を社内で下せるかどうかは、専門の担当者がいるかどうかで大きく変わります。日本の企業でUI・UXに関わる専門の担当者が在籍している割合は20.8%です1。海外の企業では約55%から70%です1

    この差は、担当範囲を社内でどこまで判断できるかに直結します。専門の担当者が社内に少ない状態で外部に依頼すると、依頼する側も担当範囲を言葉にしにくくなります。結果として、案件情報の文面だけでは担当範囲が伝わりにくくなります。

    自社主導で開発する企業の割合が低いという事情

    システム開発を自社主導で行っていると答えた企業は、日本では35.7%です2。海外では自社主導での開発が約80%から90%です3

    自社主導で開発する企業が少ないと、社内に開発の進め方を最初から最後まで把握している人が少なくなります。担当範囲の切れ目を決める役割も、外部に委ねられやすくなります。そのため、案件情報の文面だけを見て担当範囲を判断するのは難しくなります。

    担当範囲を決める役割が社内に薄い状態は、特定の業種に限った話ではありません。規模の大きい企業でも、開発に関わる判断の一部を外部に委ねる場面は珍しくなく、案件の規模や知名度だけでは担当範囲の明確さを判断できません。

    日本と海外の企業を比べる

    担当範囲を決める役割が社内にどれだけ備わっているかは、国によって差があります。UI・UXに関わる専門の担当者が在籍している企業の割合も、システム開発を自社主導で行っている企業の割合も、日本は海外より低い水準にあります。この差は、案件情報に担当範囲がどこまで書き込まれるかにも影響します。決める人が社内に少ないほど、外部に依頼する時点で範囲が固まりきらない案件が増えるためです。数字で比べると、次の表のようになります。

    比較する内容日本海外
    UI・UXに関わる専門の担当者が在籍している企業の割合20.8%1約55%から70%1
    システム開発を自社主導で行っている企業の割合35.7%2約80%から90%3
    図2:専門の人が在籍している企業の割合
    専門の人が在籍している企業の割合 日本の企業 20.8% 海外の企業 約55〜70%

    出典:令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)総務省 2025年7月をもとに作成

    担当範囲を決める役割が社内に薄いという状況は、日本の企業に共通する傾向です。次の章では、この事情がどのように作業の混ざり方に影響するかを見ていきます。

    3. 道具で済む部分と手で書く部分

    書かずに作れる仕組みが広がっている

    見た目を組み立てる作業の一部は、書かずに作れる仕組み(ノーコード・ローコード)に置き換わりつつあります。一部利用を含めると、全体の約4割の企業がこうした仕組みを取り入れています6

    道具で済む部分が広がると、案件で求められる作業の中身も変わります。見た目の骨組みを道具で組み、細かい調整やデータを差し込む作業を手で書くという分担が増えていきます。この分担が案件情報に書かれていないと、どこまでを道具に任せてよいのか、参画してから確かめる必要が出てきます。

    部品として分ける設計はまだ少ない

    一方で、部品として分けたり、データの持ち方を意識した設計に取り組む企業は、利用する側を中心にいまも少ない状態です7

    部品ごとに分ける設計が整っていない状態だと、道具で組んだ部分と手で書いた部分の境目があいまいになりやすくなります。どこまでを道具に任せ、どこからを手で書くのかは、案件ごとに確認する必要があります。設計の整い方は企業ごとに差が大きいため、同じ言葉の案件でも中身は異なります。

    道具で済む部分と手で書く部分を比べる

    道具で済む部分と手で書く部分は、案件によって混ざり方が変わります。見た目の骨組みを道具で組み、細かい調整やデータを差し込む作業を手で書くという分担が増える一方、部品として分けたり、データの持ち方を意識した設計に取り組む企業は、利用する側を中心にいまも少ない状態です。代表的な作業を並べて比べると、次の表のようになります。

    区分代表的な作業案件での位置づけ
    道具で済む部分ノーコード・ローコードで組み立てる画面一部利用を含めて約4割の企業が取り入れています6
    手で書く部分部品として分ける設計、データの持ち方を意識した設計利用する側を中心に、取り組む企業はいまも少ない状態です7

    表からも分かるとおり、道具で済む部分は主に画面の組み立てに使われ、手で書く部分は設計や仕組みづくりに残ります。この分担を理解しておくと、担当範囲を示すときの材料が増えます。案件情報に「実装」とだけ書かれていても、その中身がどちらに寄っているかは案件ごとに異なります。

    4. 資料の残り方で変わる

    要件定義と設計はドキュメント中心で進む

    要件定義と設計は、いまもドキュメントを中心に行われています8。担当範囲を言葉にして資料に残しておくと、後から確認する手間が減ります。

    資料に残らない口頭のやり取りだけで担当範囲を決めると、参画してから認識のずれに気づくことがあります。ドキュメントとして残す文化がある企業ほど、担当範囲を先に言葉にしておく効果が大きくなります。

    資料に残す文化があるかどうかは、案件ごとに差があります。参画する前に、担当範囲がどのような形で共有される案件なのかを確かめておくと、後からの認識のずれを減らせます。

    アナログな文化が残っている企業もある

    デジタル化を進めるうえでの課題として、アナログな文化・価値観が定着していることを挙げる企業が27.8%あります4

    アナログな文化が残っている企業では、担当範囲の取り決めも口頭や慣習に頼りがちです。だからこそ、担当範囲を自分から資料の形で示すことに意味があります。担当範囲を示した場合と示さない場合とでは、その後の進み方が変わります。整理すると次の図のようになります。

    図3:切り方を示した場合と示さない場合
    切り方を示した場合と示さない場合 示した場合 示さない場合 資料に担当範囲がそのまま残ります 確認のやり取りが減ります 後から範囲が変わりにくくなります 資料に担当範囲が残りません 都度、確認のやり取りが発生します 後から範囲が広がりやすくなります

    図の作成:Remogu編集部。担当範囲を示した場合と示さない場合の違いを整理したもので、統計データではありません

    資料として残しておくことは、確認のやり取りを減らすだけでなく、後から担当範囲が変わりにくくなることにもつながります。担当範囲を言葉にする一手間が、参画してからの進めやすさに直結します。

    5. 守りのデジタル化という前提

    攻めより守りに取り組む傾向がある

    企業のデジタル化は、攻めのデジタル化よりも守りのデジタル化に取り組む傾向があります5。今ある業務をそのまま動かし続けることを優先する姿勢です。

    守りのデジタル化が前提にある案件では、見た目や動きを大きく作り変えるより、いまの状態を保ちながら少しずつ手を入れる進め方が中心になります。担当範囲も、既存の仕組みを崩さない範囲に収まりやすくなります。

    守りのデジタル化が前提にある案件では、大きな作り変えよりも、部分ごとの改善が積み重なっていく進め方になりやすいです。担当範囲も、その積み重ねに合わせて少しずつ広がることがあります。

    品質を最も優先する事項として捉えている

    利用する側の企業は、システムの品質を最も優先する事項として捉えています9。担当範囲を広げるより、決められた範囲をきちんとこなすことが重視されます。

    品質を優先する姿勢と、守りのデジタル化という前提が重なると、担当範囲を先に言葉にしておくことの価値がさらに高まります。範囲があいまいなまま進めると、品質を保つための確認作業まで増えてしまいます。

    品質を保つための確認は、担当範囲がはっきりしているほど短く済みます。逆に範囲があいまいだと、確認する側もどこまで見ればよいか分からず、やり取りが何度も往復することになります。

    守りのデジタル化と攻めのデジタル化を比べる

    企業のデジタル化には、今ある業務をそのまま動かし続けることを優先する守りのデジタル化と、新しい価値を生み出すことを優先する攻めのデジタル化があります。攻めよりも守りに取り組む傾向があり、利用する側の企業は品質を最も優先する事項として捉えています。目的と現状、評価の軸で比べると、次の表のようになります。

    観点守りのデジタル化攻めのデジタル化
    目的今ある業務をそのまま動かし続けることを優先します新しい価値を生み出すことを優先します
    現状の傾向攻めよりもこちらに取り組む傾向があります5まだ広がっていません
    評価の軸利用する側の企業は品質を最も優先する事項として捉えています9速さを優先する場面もあります

    守りのデジタル化が前提にある案件ほど、担当範囲を自分から言葉にしておくことが、確認の手間を減らす近道になります。

    6. 品質が最優先という前提

    品質を優先する姿勢が担当範囲の慎重さにつながる

    利用する側の企業が品質を最も優先する事項として捉えている以上9、担当範囲を広げる判断は慎重に行われます。範囲を広げると、確認しなければならない項目も増えるためです。

    この姿勢は、案件情報に担当範囲が細かく書かれていない理由のひとつでもあります。範囲を先に固定するより、進めながら必要な部分を見極めたいという事情があります。

    進めながら見極めたいという事情は、外部から見ると分かりにくい部分です。だからこそ、担当する側から先に範囲を示す動きが、双方にとって進めやすさにつながります。

    生成AIを活かせる業務が見えていないという課題

    デジタル化を進めるうえでの課題として、生成AIを活用できそうな業務がないことを挙げる企業もあります10。どこに使えるかが見えていない状態です。

    活かし方が見えていない領域では、これまでどおり手で書く作業の価値が下がりにくくなります。見た目を整えたり、動きを付けたりする作業は、当面のあいだ人の手に残りやすい領域です。

    品質を優先する姿勢と、生成AIの使いどころが見えていないという課題は、どちらも担当範囲を慎重に決める方向に働きます。だからこそ、外部から担当範囲を言葉にして示す動きが求められています。ここまでの5つの事情を踏まえると、担当範囲を自分から示すことの意味がはっきりしてきます。次の章では、示す順番を具体的に整理します。

    7. 切り方を示す順番

    3つのステップで示す

    担当範囲を自分から示すときは、順番が大切です。最初に見た目を決める範囲を書き出し、次に動きの有無を確認し、最後にデータの受け渡し方法を確認するという3つのステップで進めます。

    見た目を決める範囲から始めるのは、社内にUI・UXに関わる専門の担当者が少ない企業が一定数あるためです1。ここが最もあいまいになりやすい部分なので、先に言葉にしておく効果が大きくなります。

    図4:切り方を示す順番
    切り方を示す順番 1 見た目を決める範囲を書き出す 社内に決める人が少ないため、まず自分から示します 2 動きの有無を確認する 書かずに作れる仕組みを使っているかどうかを見ます 3 データの受け渡し方法を確認する この順番で示すと、案件情報にない部分も伝わります

    図の作成:Remogu編集部。担当範囲を示す順番を整理したもので、統計データではありません

    動きの有無を確認する段階では、書かずに作れる仕組みをどこまで使っているかを見ます6。道具で済ませている部分が分かれば、手で書く必要がある部分もはっきりします。

    データの受け渡し方法まで確認しておくと、担当範囲の切れ目が最後まで見通せるようになります。この順番で示しておくと、案件情報に書かれていない部分も、参画する前に共有できます。

    3つのステップは、一度に全部を確認しなくても構いません。参画してから分かる部分は、進めながら確認していく形も選べます。順番だけを覚えておけば、案件ごとに必要な分だけ当てはめられます。

    担当範囲を自分から示せるようになると、案件を選ぶときの判断材料も増えます。Remoguが取り扱う案件の90%以上がフルリモート可能です。担当範囲を確かめながら、自分に合う進め方の案件を探すこともできます。

    担当範囲は誰が最初に言葉にすればよいですか

    担当範囲を決める役割が社内に薄い企業も一定数あります1。そのため、担当する側から先に3つの場所を示しても、進行の妨げにはなりにくいです。示した内容は、資料としてそのまま残ります。

    書かずに作れる仕組みを使う案件でも、担当範囲を示す意味はありますか

    あります。道具で済む部分が広がっても、部品ごとに分ける設計や、データの持ち方を意識した部分は、いまも手で書く形が中心です7。道具に任せる部分と手で書く部分を分けて示すと、担当範囲がより伝わりやすくなります。どちらの部分を担当するのかを最初に言葉にしておくと、案件が進むあいだの認識のずれも防ぎやすくなります。

    案件情報だけでは分からないとき、どのタイミングで確認すればよいですか

    参画する前の段階で、3つのステップに沿って確認しておくと、後から作業が積み上がる展開になりにくいです。見た目を決める範囲から始め、動きの有無、データの受け渡し方法の順で確認する進め方が向いています。参画したあとに範囲が広がりそうだと感じたときも、同じ3つの場所に当てはめて確認すると、話が整理しやすくなります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」設計する人の不在(2025年7月・2026年8月確認)
    *2 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」内製の実際(2025年7月・2026年8月確認)
    *3 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」外との差(2025年7月・2026年8月確認)
    *4 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」文化の壁(2025年7月・2026年8月確認)
    *5 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」投資の向き(2025年7月・2026年8月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」書かない選択(2025年4月・2026年8月確認)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」境界の不在(2025年4月・2026年8月確認)
    *8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」引き継ぎの材料(2025年4月・2026年8月確認)
    *9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」評価の軸(2025年4月・2026年8月確認)
    *10 IPA「DX動向2025」使いどころの不明(2025年6月・2026年8月確認)