Webデザイナーの案件は実装まで含むのか?担当範囲の線引きと注意点を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 専門の人が社内にいない企業が目立つという実態と、その分Webデザイナー1人が担当する範囲が実装まで広がりやすいという関係
- 自社主導で開発を進める企業と外部に任せる企業とで、Webデザイナーに求められる担当範囲がどれくらい変わるか
- 案件を受ける前に確かめておきたい順番と、実装まで担当するかどうかを相手に伝えるときの言い方
Webデザイナーの案件を探していると、募集の中身が見た目のデザインだけで終わらず、画面として動く形にする作業まで含まれている場合があります。案件の情報を読むだけでは、どこまでを引き受けることになるのか判断しづらいこともあります。この記事では、担当範囲が実装まで広がりやすい背景にある企業側の事情を確認し、受ける前に確かめておきたい順番と、担当範囲を伝えるときの言い方を整理します。
▶ あわせて読みたい
・RPAの案件は作る仕事か動かし続ける仕事か|任される範囲の見分け方を解説
・【デザイナーとの連携】実装側が持つ判断はどこまでか|条件の違いを整理
・JavaScriptの案件で担当するのは画面かデータか|範囲の違いと確かめ方を整理
1. Webデザイナーの案件は実装まで含むことがある
Webデザインの案件を探していると、募集要項に書かれた作業の範囲が、想定より広いと感じる場面があります。配色や画面の構成を決める作業に加えて、画面として動く形にする作業まで一緒に求められている案件が一定数見つかります。
見た目を決める仕事だけで区切れない案件がある
これは特定の案件だけの事情ではありません。総務省の調査では、DXを進めるうえで役割分担や範囲が不明確であることを課題に挙げた企業が27.4%にのぼります5。担当の境目があらかじめ決まっていない状態で案件が組まれると、外から参画する人が担う範囲は広がりやすくなります。
見た目を整える工程と、画面として動く形にする工程は、本来は別の専門性です。それでも社内の体制によっては、この二つを続けて一人が担当する案件が生まれます。案件を探す側からすると、募集の見出しだけではこの広がりに気づきにくい面があります。
画面として動く形にする作業まで求められる場面
画面として動く形にする作業まで求められやすいのは、社内にその作業を担う人が少ない企業です。総務省の調査では、UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業の割合は、日本では20.8%にとどまります1。専門の担当者が社内にいない分、外から参画した人が両方の工程を引き受ける流れができやすくなります。
案件情報の作業内容の欄を確認すると、見た目の指示だけでなく、実装のツールや納品形式まで書かれていることがあります。そこに書かれた内容は、社内に専門の担当者がいるかどうかを映す手がかりになります。
見た目を決める仕事の案件だからといって、作業内容がそこで終わるとは限りません。次の章では、専門の人が社内にいない前提について、もう少し具体的に見ていきます。
図の作成:Remogu編集部。案件の担当範囲の考え方を整理したもので、統計データではありません
2. 社内に専門の人がいない前提
担当範囲が実装まで広がる背景には、社内に専門の人がどれくらいいるかという事情があります。総務省の調査は、日本と他国の企業を比べる形でこの実態を数字に示しています。
UI・UXの専門家も、データ解析の専門家も少ない
UI・UXに関わるデザイナーが在籍している企業の割合は、日本では20.8%です1。同じ調査で、AI・データ解析の専門家が在籍している企業の割合も、日本では20.6%にとどまります2。どちらの専門分野も、日本企業の中で専門の担当者を置いている企業は2割程度にとどまっている形です。
他国の企業では、UI・UXに関わるデザイナーが在籍している割合は55%から70%程度です1。AI・データ解析の専門家が在籍している割合も、65%から80%程度にのぼります2。専門の担当者を置く企業の割合は、日本より他国のほうが高い状態にあります。
| 専門分野 | 日本企業 | 他国企業 |
|---|---|---|
| UI・UXに関わるデザイナー | 20.8%1 | 55%~70%程度1 |
| AI・データ解析の専門家 | 20.6%2 | 65%~80%程度2 |
出典:総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」(2025年7月)をもとに作成
専門の人がいない分、外から参画した人の役割が広がる
専門の担当者が社内にいない企業では、外から参画した人がその領域を引き受けることになりやすくなります。見た目を決める仕事の案件として募集されていても、実際にはUI・UXの視点と、画面として動く形にする作業の両方を求められる場面が生まれます。
専門の担当者がいるかどうかは、案件情報だけでは分からないこともあります。参画後に相談しながら、どこまでを担当するかをすり合わせる場面があります。
専門の人が少ないことは、担当範囲が実装まで広がる理由の一つです。次の章では、開発を自社主導で進めているかどうかという、もう一つの理由を確認します。
3. 自社主導かどうかで変わる
担当範囲は、企業がシステム開発を自社主導で進めているかどうかによっても変わります。総務省の調査は、この点でも日本と海外の差を示しています。
自社主導で開発している企業は、日本ではまだ3割台
システム開発を自社主導で行っていると答えた日本企業の割合は35.7%です3。自社主導ではない企業では、外部の事業者に開発を委ねる場面が生まれています。
外部に開発を委ねる場面が増えるほど、Webデザイナーとして参画する人が画面として動く形にする作業まで担当する機会も増えやすくなります。自社主導かどうかは、担当範囲を左右する条件の一つです。
自社主導かどうかは、案件情報に明示されているとは限りません。担当範囲を確かめるときは、開発をどこが主導しているかも合わせて聞いておくと、実装まで担当するかどうかの見通しが立てやすくなります。
海外は8割から9割が自社主導
海外の企業では、自社主導での開発を行っていると回答した割合が80%から90%程度にのぼります4。日本より高い水準です。
自社主導の割合が高い海外の企業では、社内の担当者と外部の担当者との役割分担が、日本より明確になっている場合があります。日本の案件では、この役割分担そのものを、参画する側とクライアントとで確認しながら決めていく場面が増えます。
| 開発の主導 | 日本 | 海外 |
|---|---|---|
| 自社主導で開発している割合 | 35.7%3 | 80%~90%程度4 |
出典:総務省「令和7年版情報通信白書」をもとに作成
自分が担当する範囲がどこまでかは、参画する前に確認しておくと安心です。Remoguが取り扱う案件は、90%以上がフルリモート可能です。
Webデザイナー向けの案件をチェックする →
4. スマートフォンでの表示という条件
画面として動く形にする作業のなかでも、スマートフォンでの表示は欠かせない条件になっています。総務省の調査は、その背景にある利用状況の変化も示しています。
スマートフォンの利用率がパソコンを上回っている
総務省の調査では、「スマートフォン」の利用率が74.4%、「パソコン」の利用率が46.8%となっており、スマートフォンがパソコンを27.6ポイント上回っています7。見た目を決める段階でも、画面として動く形にする段階でも、スマートフォンでの表示を前提に考える必要が高まっています。
この条件は、案件を受ける側にとって特別なものではなく、前提として組み込まれていることが増えています。見た目を決める仕事の案件であっても、スマートフォンでの表示の確認まで担当に含まれる場合があります。
スマートフォンでの表示は、画面の幅や操作の仕方が変わるため、見た目を決める仕事の延長として扱われることもあれば、画面として動く形にする作業の一部として扱われることもあります。案件によって扱いが異なる点は、あらかじめ確認しておきたい部分です。
人材不足という課題も背景にある
スマートフォン対応まで含めた作業を、社内の人手だけでまかなえない企業もあります。総務省の調査では、デジタル化の課題として人材不足を挙げる企業の割合が48.7%と、他の課題より大きくなっています6。
人材不足の背景があるからこそ、外から参画するWebデザイナーに、見た目を決める仕事より広い範囲が委ねられる場面が生まれます。担当範囲を確認するときは、スマートフォン対応が含まれるかどうかも合わせて聞いておくと、後からの認識のずれを防ぎやすくなります。
5. 効果が出ていない現場での期待
担当範囲が広がる背景には、企業がデジタル化にどう取り組んでいるかという傾向も関わっています。総務省の調査は、その取り組み方の重心についても触れています。
攻めより守りのデジタル化に重心がある
総務省の調査では、企業は攻めのデジタル化よりも守りのデジタル化に取り組む傾向があると示されています8。新しい価値を生み出す取り組みより、今の業務を維持し、効率化する取り組みに重心が置かれているということです。
守りのデジタル化に重心があると、画面まわりの改善は後回しになりやすく、必要になった段階でまとめて外部に依頼する形になりやすくなります。担当範囲が実装まで広がる案件が生まれる背景には、この重心の置き方も関わっています。
期待する効果を得られていないという回答
総務省の調査では、「期待する効果を得られていない」という回答が、4か国の中で最も多いと示されています9。取り組みを進めても、狙った効果につながっていないと感じている企業が、他国より多いという結果です。
効果を得られていないと感じている現場ほど、次に頼る相手への期待は大きくなりがちです。案件を受ける側からすると、求められる役割の幅が広くなりやすい場面だと捉えておくと、受ける前の確認がしやすくなります。
効果が出ていないと感じる背景を理解しておくと、案件で求められている範囲が、単なる見た目の修正ではなく、成果につながる工夫までを含んでいる場合があると見通しやすくなります。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| デジタル化の重心 | 攻めより守りのデジタル化に取り組む傾向8 |
| 効果の実感 | 期待する効果を得られていないという回答が4か国の中で最多9 |
6. 線を引くときの言い方
ここまでの背景を踏まえると、担当範囲は受ける前に自分から確認し、伝えておくことが要点になります。総務省の調査に出てくる二つの課題は、その伝え方を考えるときの手がかりになります。
役割分担が不明確という課題を前提にする
総務省の調査では、DXの役割分担や範囲が不明確であることを課題に挙げた企業が27.4%にのぼります5。この課題を前提にすると、担当範囲はクライアント側にとっても曖昧なままになっている可能性があります。
曖昧さを前提にすれば、線を引く言い方も変わります。「ここまでは担当します」「ここから先は別の対応が必要です」というように、担当する範囲と、そうでない範囲を分けて伝える言い方が伝わりやすくなります。
アナログな文化・価値観という課題も踏まえる
総務省の調査では、アナログな文化・価値観が定着していることも課題として挙げられています10。この課題があると、担当範囲の変更や追加が、口頭のやり取りだけで進んでしまう場面も起こりやすくなります。
口頭だけのやり取りに頼らず、担当する範囲を言葉にして残しておくことが、線を引くときの支えになります。次の章では、受ける前に確かめておきたい順番を具体的に整理します。
線を引く言い方は、断る言い方ではありません。担当する範囲を先に示すことで、クライアントとの間で認識をそろえ、参画した後の行き違いを防ぐための言い方です。
担当範囲の伝え方に迷うときは、実際にどんな案件があるかを見ながら考えると、線の引き方がつかみやすくなります。
担当範囲が明記された案件をチェックする →
7. 受ける前に確かめる順番
担当範囲を実装まで広げるかどうかは、受ける前に確かめておくと、参画した後の行き違いを防ぎやすくなります。ここまで見てきた総務省の調査の内容を踏まえて、確かめる順番を整理します。
確かめる4つの順番
最初に確かめたいのは、案件情報にどこまでの作業が書かれているかです。見た目を決める仕事とだけ書かれていても、画面として動く形にする作業が含まれるかどうかは、別途確認しておくと安心です5。
次に確かめたいのは、社内に専門の担当者がいる体制かどうかです。専門の担当者が少ない企業では、参画した人が担う範囲が広がりやすくなります1。
三つ目は、開発を自社主導で進めているかどうかです。自社主導の度合いによって、外部に委ねられる範囲の広さが変わります3。
四つ目は、確かめた内容をもとに、自分が担当する範囲を言葉にして伝えることです。「ここまでは担当します」という一文を先に示しておくと、参画した後の認識のずれを防ぎやすくなります。
図の作成:Remogu編集部。整理したもので統計データではありません
実装まで担当したくない場合、どう伝えればよいですか
担当したくない範囲がある場合は、確かめた順番と同じように、担当する範囲を先に言葉にして伝える方法が有効です。「見た目を決める仕事の範囲で担当します」と伝えたうえで、画面として動く形にする作業が必要なら、別の対応が必要になる旨を添えると、線引きが伝わりやすくなります。
担当範囲を先に示しておくと、報酬や進め方の相談も、その範囲を前提に進めやすくなります。
社内に専門の担当者がいる企業かどうかは、どこで見分けられますか
案件情報だけで見分けるのは難しい場合があります。参画前の面談で、これまで見た目を決める仕事と、画面として動く形にする作業をどちらが担当してきたかを聞いておくと、社内の体制が見えやすくなります。
専門の担当者が少ない企業ほど、参画した人に委ねられる範囲は広がりやすくなります2。面談で聞いた内容と、この記事で確認した傾向を合わせて考えると、受ける前の判断材料になります。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
担当範囲の線引きが分かれば受けやすくなります。リモートの案件を見てみてください。
会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料
※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」設計する人の不在(2025年7月・2026年8月確認)
*2 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」専門家の不在(2025年7月・2026年8月確認)
*3 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」内製の実際(2025年7月・2026年8月確認)
*4 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」外との差(2025年7月・2026年8月確認)
*5 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」範囲の曖昧さ(2025年7月・2026年8月確認)
*6 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」最大の課題(2025年7月・2026年8月確認)
*7 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」使う道具の偏り(2025年7月・2026年8月確認)
*8 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」投資の向き(2025年7月・2026年8月確認)
*9 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」効果の実感(2025年7月・2026年8月確認)
*10 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」文化の壁(2025年7月・2026年8月確認)