リモートワークとは?実はたくさんある「リモートワークの分類」を知っておこう

近年急速に普及しているリモートワークは、オフィス以外の場所で業務を行う働き方の総称です。自宅での在宅勤務から、カフェやコワーキングスペースでの作業、さらには旅行先での業務まで、その形態は多岐にわたります。
本記事では、リモートワークの基本概念から、働く場所・勤務頻度・雇用形態といった観点で詳細に分類し、それぞれの特徴を解説します。
フルリモートからハイブリッドワークまで、最適な働き方を見つけるための参考情報をお届けします。
1. リモートワークの基本概念

リモートワークとは、従来の固定されたオフィスから離れた場所で業務を行う働き方を指します。「Remote」は「遠隔の」という意味で、物理的な距離に関係なく、インターネットやデジタル技術を活用して業務を遂行することが特徴です。
この働き方の核心は「場所の自由度」にあります。従業員は自宅、カフェ、コワーキングスペース、図書館など、自分にとって最適な環境を選択して業務に取り組むことができます。また、通勤時間の削減により、仕事と私生活のバランスを取りやすくなり、生産性の向上も期待されます。
2. リモートワーク関連用語・2025年最新の働き方の呼び方一覧表
リモートワークと混同しやすい言葉や「新しい働き方」を呼称する言葉を一覧にしてご紹介します。
基本的なリモートワーク関連用語
用語 | 英語表記 | 定義・意味 | 使用地域/文脈 | 特徴・ニュアンス |
リモートワーク | Remote Work | オフィス以外の場所での勤務全般 | 国際的、民間企業 | 柔軟性を重視、場所の自由度 |
在宅勤務 | Work from Home (WFH) | 自宅での勤務に限定 | 日本、制度的 | 家庭との両立重視 |
テレワーク | Telework | ICTを活用した場所にとらわれない働き方 | 日本政府、行政 | 技術活用が前提、公的推進 |
ホームオフィス | Home Office | 自宅に設置された仕事専用空間 | 欧米、設備重視 | 物理的環境を重視 |
分散型勤務 | Distributed Work | チーム全体が地理的に分散して働く形態 | IT企業、スタートアップ | 組織構造の変革を含む |
非同期勤務 | Asynchronous Work | 時間を合わせずに各自のペースで働く | グローバル企業 | 時差を活用、効率重視 |
デジタル・新世代の働き方
用語 | 英語表記 | 定義・意味 | 対象層 | 特徴 |
デジタルネイティブワーク | Digital Native Work | デジタル世代の自然な働き方 | Z世代、ミレニアル世代 | ITツール活用が前提 |
ワーケーション | Work + Vacation | 休暇地で仕事をする働き方 | 体験・非日常 | 観光と仕事の融合 |
バーチャルワーク | Virtual Work | 仮想空間での協働作業 | 先進IT企業 | VR/AR技術活用 |
モバイルワーク | Mobile Work | 移動中や外出先での業務遂行 | 営業職、コンサル | 機動性重視 |
ノマドワーク | Nomad Work | 場所を転々としながら働くスタイル | フリーランス、個人事業主 | 自由度最優先 |
時代によって働き方は変わるので色々な言葉が生まれています。馴染みの深い言葉から比較的新しい言葉まで、2025年の時代の働き方を反映しています。
次の章からは、前述した言葉の中からリモートワークの理解が深まる言葉をより詳しく見ていきましょう。
3. テレワークと在宅ワーク、リモートワークの違い
まずは混同しやすい言葉として基本的なテレワークと在宅ワーク、リモートワークの違いからご説明します。
テレワークは日本政府が推進するICTを活用した場所にとらわれない働き方の総称で、在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイルワークの三形態を包括します。
在宅ワークは文字通り自宅での勤務に限定された概念で、テレワークの一部分を指します。
一方、リモートワークは国際的に使用される英語由来の用語で、オフィス以外での勤務全般を意味し、自宅だけでなくカフェやコワーキングスペースでの作業も含みます。日本では行政用語としてテレワーク、民間企業ではリモートワークが多く使われる傾向があります。
比較表
項目 | テレワーク | 在宅ワーク | リモートワーク |
語源 | 日本の造語(tele + work) | 日本語 | 英語(remote work) |
定義の範囲 | ICTを活用した場所にとらわれない働き方全般 | 自宅での勤務に限定 | オフィス以外での勤務全般 |
働く場所 | 在宅、サテライト、モバイル等 | 自宅のみ | 自宅、カフェ、コワーキング等 |
公的な位置づけ | 政府が推進する働き方改革の用語 | テレワークの一形態 | 民間で広く使用される用語 |
使用地域 | 主に日本 | 主に日本 | 国際的に使用、海外の方にも通じる言い方 |
含まれる働き方 | 在宅、サテライト、モバイルワーク | 在宅勤務のみ | 在宅、コワーキング、移動中等 次の章で具体的にご説明します。 |
技術的側面 | ICT活用が前提条件 | 特に技術的制約なし | デジタル技術の活用が一般的 |
制度的な扱い | 労働政策として体系化 | 勤務形態の一つ | 働き方の概念 |
次の章で具体的にリモートワークにはどんな分類があるのかを考察し、リモートワークの解像度を上げていきましょう。
4. リモートワークの種類

4-1. 「勤務形態・頻度」による分類
例えば、転職活動中に求人に「リモートワーク可」や「オフィスとリモートワークのハイブリッド型」と書いてある場合、それはどのくらいの頻度なのかを確認する必要があります。
用語 | 英語表記 | 定義・意味 | リモートワーク 勤務割合 | 特徴 |
フルリモート | Full Remote | 完全にオフィスに出社しない働き方 | 100% | 地理的制約なし |
ハイブリッドワーク | Hybrid Work | オフィス勤務とリモートを組み合わせ | 20-80% | 柔軟性と協調性のバランス |
フレックスワーク | Flexible Work | 勤務時間や場所を柔軟に選択 | 変動 | 個人の裁量を重視 |
パートタイムリモート | Part-time Remote | 週の一部のみリモート勤務 | 10-40% | 段階的導入に適用 |
プロジェクトベースリモート | Project-based Remote | 特定プロジェクト期間中のみリモート | 期間限定 | 業務内容に応じて選択 |
4-1-1. 完全リモート型
- フルリモート(100%) – 一切オフィスに出社せず、完全に遠隔で業務を行う働き方です。出社圏内に住む必要もなく、海外含めどこにでも住むことができます。
4-1-2. ハイブリッドワーク
- ほぼフルリモート(90-95%) – 月1-2回程度の出社や会議のみで「ほぼフルでリモートワークを可能」としているパターンです。
- リモート中心型(70-80%) – 週4-5日リモート、週1-2日オフィス出社
- バランス型(50-60%) – 週2-3日リモート、週2-3日オフィス出社
- 出社中心型(20-40%) – 週1-2日リモート、週3-4日オフィス出社
4-1-3. 部分リモート
- 週1リモート(20%) – 週に1日だけリモートワーク
- 隔週リモート(10%) – 2週間に1日程度のリモートワーク
- 月数回リモート(5-10%) – 月に1-3日程度の不定期リモート
4-1-4. テンポラリーリモート
- 季節限定リモート – 特定の時期(夏季、冬季など)のみリモートワーク
- プロジェクトベース – 特定のプロジェクト期間中のみリモートワーク
- 緊急時リモート – 災害時や体調不良時などの一時的なリモートワーク
- 時差リモート – 海外との時差を活用した時間帯でのリモートワーク
企業によってはこれらの組み合わせや、従業員が自由に選択できる制度を導入しているところもあります。リモートワークと一括りにしても勤務頻度は千差万別、転職する際は応募の段階で確かめてみるべきポイントです。
4-2. 「働く場所」によるリモートワークの分類

基本的には以下の4つが代表的なリモートワークで働く場所とされています。
- 在宅勤務(Home Office) – 自宅を職場として業務を行う最も一般的な形態
- サテライトオフィス勤務 – 会社が設置した本社以外のオフィスで勤務
- コワーキングスペース勤務 – 共用の作業空間を利用して業務を行う
- モバイルワーク – カフェ、図書館、移動中など場所を問わず働く形態
これらをさらに細かく分類すると以下のようなワークスタイルになります。
自宅
基本的には自宅からリモートワークをするという方が一番多いでしょう。
- 専用ホームオフィス – 自宅内に仕事専用の部屋を設置
- 共用スペース在宅 – リビングやダイニングテーブルなどで作業
- 寝室オフィス – 寝室の一角をワークスペースとして利用
企業系施設
- サテライトオフィス – 会社が設置した地方や郊外のオフィス
- ブランチオフィス – 本社以外の支社・営業所での勤務
- シェアードオフィス – 複数企業が共同利用するオフィス空間
- 企業専用リモートハブ – 特定企業の社員専用の地域拠点
商用ワークスペース
- コワーキングスペース – 個人や企業が共用で利用する作業空間
- レンタルオフィス – 時間単位で借りられる個室オフィス
- ビジネスホテルのワークスペース – ホテル内の仕事用エリア
- インターネットカフェ – ネットカフェの個室ブースを利用
公共・半公共スペース
- 図書館 – 公立図書館の閲覧室や学習スペース
- 大学施設 – 大学のオープンスペースや学習室
- 公民館・市民センター – 地域の公共施設内のスペース
- 空港ラウンジ – 空港内の有料・無料ラウンジ
リモートワークができる公共施設の多くは、静かで集中しやすく無料で使用可能なスペースがあります。
飲食店・カフェ
- チェーン系カフェ – スターバックス、ドトールなどの全国チェーン
- 個人経営カフェ – 地域密着型の個人店
- ファミリーレストラン – ファミレスのフリードリンク席
- ホテルラウンジ・カフェ – ホテル内のカフェスペース
PCを開いているリモートワーカーをよく見かけるのは、やはりカフェが多いでしょう。
移動・交通系
- 新幹線・特急列車 – 長距離移動中の車内作業
- 高速バス – Wi-Fi完備の長距離バス内
- フェリー – 船内の休憩スペースや客室
- 空港待合室 – 搭乗待ち時間を利用した作業
アウトドア・特殊環境
- キャンプ場・グランピング – 自然環境でのワーケーション
- 温泉地・リゾート – 観光地でのワーケーション
- 車中(車内オフィス) – 車を移動オフィスとして活用
- 公園・屋外スペース – 天気の良い日の屋外作業
宿泊施設系
- ビジネスホテル – 出張先での長期滞在
- マンスリーマンション – 月単位での賃貸住宅
- ゲストハウス・民泊 – 短期宿泊施設での作業
- ワーケーション専用宿泊施設 – リモートワーク向けに特化した宿泊施設
それぞれの場所には、Wi-Fi環境、静寂性、プライバシー、コスト、利用時間制限などの押さえておくべき特徴があり、業務内容や好みに応じて選びましょう。
4-3. 「雇用形態」によるリモートワーク分類
- 正社員でのリモートワーク – 正規雇用でリモートワークを行う
- 契約社員・派遣でのリモートワーク – 非正規雇用でのリモートワーク
- フリーランス – 個人事業主として複数の企業と契約してリモートで働く
- 副業でのリモートワーク – 本業とは別にリモートで副業を行う
雇用形態×リモートワークでも「働き方」を分けることができます。従来はフリーランスが「フルリモート」という印象でしたが、現在では正社員でもフルリモートを含めたリモートワークの求人が数多くあります。
5. リモートワークのメリット(従業員側と企業側)

リモートワークについての知識が深まったところで、従業員と企業、それぞれの視点で見たメリットとデメリットを考察してみましょう。
5-1. 従業員側のメリット
時間的な効率性
通勤時間が不要になることで、1日2-3時間程度の時間を有効活用できます。この時間を自己研鑽、家族との時間、趣味などに充てることで、生活の質が大幅に向上します。また、満員電車のストレスからも解放され、朝の時間をより有意義に過ごせます。
ワークライフバランスの向上
家事や育児と仕事を並行して行えるため、特に子育て世代や介護が必要な家族を持つ人にとって大きなメリットとなります。昼休みに洗濯物を干したり、子供の送迎に対応したりと、柔軟な時間管理が可能になります。
集中力の向上
オフィスでの雑談や電話、会議の音などに邪魔されることなく、自分のペースで集中して作業に取り組めます。特に集中を要するクリエイティブな業務や分析作業において、生産性の大幅な向上が期待できます。
経済的メリット
交通費、外食費、オフィス用の服装代などが削減できます。月に数万円の節約効果があり、年間で見ると大きな経済効果を実感できます。
健康面での改善
通勤ラッシュのストレス軽減、自分のペースでの休憩取得、昼食の質の向上などにより、身体的・精神的な健康状態が改善される傾向があります。
5-2. 企業側のメリット
オフィス運営コストの削減
賃料、光熱費、清掃費、オフィス用品代などの固定費を大幅に削減できます。特に都市部の高額な賃料負担が軽減されるため、企業の収益性向上に直結します。
優秀な人材の確保
地理的制約がなくなることで、全国・全世界から優秀な人材を採用できます。また、リモートワーク制度があることで、転職市場での競争力も向上します。
離職率の低下
ワークライフバランスの向上により、従業員満足度が高まり、離職率の低下が期待できます。採用・教育コストの削減にもつながります。
事業継続性の向上
自然災害や感染症などの緊急事態時でも、業務を継続できる体制を構築できます。
メリットがある一方、やはりデメリットもあるのでリモートワークの課題を次の章でご紹介します。
6. リモートワークのデメリット(従業員側と企業側)

6-1. 従業員側のデメリット
コミュニケーションの課題
対面でのコミュニケーションが減ることで、微妙なニュアンスの伝達が困難になったり、チームの一体感が薄れたりする可能性があります。特に新入社員や転職者にとって、職場の文化や人間関係の理解が困難になることがあります。
自己管理の困難さ
自宅という環境では、テレビ、家族、家事などの誘惑が多く、集中力を維持することが困難な場合があります。また、仕事とプライベートの境界が曖昧になり、長時間労働になりがちな傾向もあります。
孤独感・孤立感
同僚との日常的な交流が減ることで、孤独感や職場からの疎外感を感じる人も少なくありません。特に一人暮らしの場合、社会的な繋がりが希薄になる可能性があります。
キャリア形成への不安
上司や同僚との接触機会が減ることで、昇進や昇格の機会を逃すのではないかという不安を抱く人もいます。また、メンタリングやOJTの機会が限られることも課題です。
設備・環境の整備負担
自宅にワークスペースを確保し、デスク、椅子、照明、ネット環境などを整備する必要があり、初期投資や維持費用が発生します。
6-2. 企業側のデメリット
管理・評価の困難さ
従業員の勤務状況や成果を直接確認できないため、適切な人事評価や勤怠管理が困難になります。成果主義への転換が必要ですが、評価基準の設定が複雑になります。
セキュリティリスクの増大
社外からの業務アクセスにより、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。VPNやセキュリティソフトの導入、従業員教育など、セキュリティ対策の強化が必要です。
企業文化の継承困難
新入社員への企業文化の浸透や、チームワークの醸成が困難になります。組織の一体感や帰属意識の維持が課題となります。
初期投資コスト
リモートワーク環境の構築には、ITインフラの整備、セキュリティ対策、従業員への機器支給など、相当な初期投資が必要です。
業務の属人化リスク
個人の業務プロセスが見えにくくなることで、業務が属人化し、ナレッジの共有や引き継ぎが困難になる可能性があります。
7. 社会的な視点から見たリモートワークを定着させるメリット

リモートワークは個人や企業だけでなく、社会全体に大きな影響を与える働き方の革命です。社会的にみるとメリットが大きく、デメリットはほぼ見つかりません。
リモートワークによる6つの社会的メリット
①地域格差の是正
リモートワークにより、都市部の企業に地方在住者が就職できるようになり、地域間の雇用格差や所得格差の縮小が期待されます。過疎化が進む地方にとって、人口流出を防ぎ、地域経済を活性化させる重要な手段となります。
②地方創生・地域活性化
都市部で働いていた人材が地方に移住することで、地方への知識やスキルの流入が促進されます。これにより、地方の産業発展や新しいビジネスの創出が期待され、地域の多様性と競争力が向上します。
③環境負荷の軽減
通勤による交通量の減少により、CO2排出量の削減や大気汚染の改善が期待できます。また、オフィスビルの電力消費量削減にも寄与し、持続可能な社会の実現に貢献します。
④交通渋滞の緩和
ラッシュアワーの通勤者数減少により、都市部の交通渋滞が緩和され、社会全体の移動効率が向上します。これは物流や緊急車両の運行にも好影響を与えます。
⑤災害時の事業継続性向上
分散型の働き方により、自然災害や感染症などの非常事態時でも社会機能を維持できる強固な社会構造の構築が可能になります。
⑥働き方の多様性促進
高齢者、障がい者、育児・介護中の人々など、従来の働き方では就労が困難だった人々の社会参加が促進され、労働人口の拡大と社会包摂の実現が期待されます。
8. リモートワークを過去・現在・未来の視点で考察

過去から現在への変化、未来への展望
産業革命以降、人々は工場やオフィスという固定された場所で働くことが当たり前でしたが、インターネットの普及により、この常識が根本的に変わりました。特に2020年のコロナ禍により、リモートワークが急速に普及し、働き方の概念が大きく転換しました。
今後は、VR/AR技術の発達により、よりリアルなリモートコラボレーションが可能になると予想されます。また、AI技術の進歩により、リモートワークでの生産性管理や業務効率化がさらに向上すると考えられます。10-20年後には、物理的なオフィスの概念自体が大きく変わる可能性があるでしょう。
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