リモートワークの落とし穴とは?在宅勤務の7つのデメリットとその解決策

コロナ禍をきっかけに急速に普及したリモートワーク。通勤時間の削減や柔軟な働き方が可能になる一方で、「思っていたより大変だった」「予想外の問題に直面した」という声も多く聞かれるようになりました。
本記事では、リモートワークで直面しやすい7つの主要なデメリットと、それぞれに対する具体的な解決策をご紹介します。
この記事で分かること:
- リモートワークの隠れたデメリット7選
- 各デメリットの具体的な解決策
- 在宅勤務を成功させるためのコツ
- 企業と個人双方ができる対策方法
これからリモートワークを始める方、すでに在宅勤務中だけど課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
1. リモートワークが人気の理由と広がる背景

1-1. 柔軟な働き方が注目される時代に
項目 | 統計データ |
企業のテレワーク導入率 | 50%を超える |
2017年の導入率 | 13.9% |
従業員300人以上の企業 | 23.0% |
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、日本の働き方は大きく変化しました。総務省実施の令和4年通信利用動向調査によると、テレワークを導入している企業は50%を超えている状況でした。2017年時点では企業におけるテレワークの導入率は13.9%でしたが、パンデミックを経て大幅に増加したという結果になっています。また従業員数300人以上の企業では23.0%とより高い導入率を示しています。
この背景には、働き方の多様化への対応や、従業員のワークライフバランス向上への需要の高まりがあります。
1-2. 企業側のコスト削減・採用戦略としての在宅勤務
企業がリモートワークを導入する理由は従業員の利便性だけではありません。
- オフィス賃料
- 光熱費の大幅削減が可能
- 全国の優秀な人材にアクセス可能
- 通勤手当支給の削減効果
- 離職率低下による採用コスト抑制
オフィス関連の固定費削減は、特に都市部の企業にとってインパクトが大きくコスト削減はメリットと言えるでしょう。賃料や光熱費、清掃費用などを大幅に圧縮することが可能です。通勤手当についても、フルリモートなら完全にゼロにできるため、従業員数が多い企業ほど効果を実感しやすいと考えられています。
人材採用の観点では、地理的制約がなくなることで選択肢が広がっています。特に専門性の高い職種では、全国や海外からも人材を確保できるようになり、競争力のある人材獲得につながります。
従業員満足度の向上による離職率低下も重要なポイントといえるでしょう。新卒採用から戦力化までのコストを考えると、既存社員の定着率向上は長期的に大きな経済効果をもたらします。 これらの要因により、多くの企業がリモートワークを戦略的な人事施策として位置づけています。
2. リモートワークの主なデメリット7選
2-1. 孤独感・チームとの疎外感が増す
リモートワークで最も深刻な問題の一つが孤独感の増大と言われています。オフィスでの何気ない雑談や、同僚との自然な交流がなくなることで、チームの一員であるという実感を得にくくなる可能性があります。
特に新入社員や転職者にとって、組織文化を理解し、人間関係を構築することが困難になると考えられています。
課題 | 影響 |
日常的な雑談の減少 | チーム結束力の低下 |
非言語コミュニケーションの欠如 | 相互理解の困難 |
孤立感の増大 | メンタルヘルスへの悪影響 |
厚生労働省の「テレワークの労務管理等に関する実態調査」によると、管理職は「孤独感や疎外感の解消策」を46.8%が「課題だが解決していない」と回答しており、この問題の深刻さが伺えます。長期間続くと、モチベーションの低下や精神的な負担増加につながる可能性があります。
2-2. コミュニケーションの質が低下する
厚生労働省の「テレワークの労務管理等に関する実態調査」では、テレワーカー側の課題として社員同士のコミュニケーション(17.8%)、上司からの確認・指示を得にくい(10.8%)という課題が挙げられています。
- テキストベースのやり取りでニュアンスが伝わりにくい
- 会議での発言機会の偏り
- 緊急時の迅速な連絡が困難
- プロジェクト進捗の把握が不十分
対面でのコミュニケーションでは、表情や身振り手振りなどの非言語情報が重要な役割を果たすと言われていますが、リモートワークではこれらの情報が限定的になる傾向があります。さらに、気軽に質問や相談をする機会が減少し、問題の早期発見や解決が遅れるリスクも高まると考えられています。
これらの要因により、チーム全体の生産性や品質に影響を及ぼす可能性があります。
2-3. 自己管理能力が求められすぎる
リモートワークでは、従来オフィス環境が提供していた構造やルーチンを自分で作り出す必要があります。上司や同僚の目がない環境で、自分自身を律して業務に取り組むことは想像以上に困難です。
必要なスキル | 課題内容 |
時間管理 | スケジュール作成・遂行 |
集中力維持 | 誘惑への対処 |
モチベーション管理 | 内発的動機の維持 |
健康管理 | 運動不足・生活リズム |
家庭内の誘惑(テレビ、家事、ペットなど)に対抗し、適切な労働時間を維持することが求められます。
また、運動不足になりがちで、生活リズムが乱れやすいという健康面での課題もあり、これまで他律的に管理されていた要素を全て自己管理する必要があるため、規則正しいルーティンを重視する方や、同僚との直接的なコミュニケーションを好む方にとってはストレスが増大する可能性があります。
2-4. 働きすぎてしまう「終わりなき勤務」問題
厚生労働省の「テレワークの労務管理等に関する実態調査」によると、管理職は「オーバーワークを回避する制度や仕組み」を43.8%が「課題だが解決していない」と回答しています。
- オフィスと自宅の境界が曖昧になる
- 常時接続状態による緊急性の錯覚
- 休憩時間の取得が困難
- 深夜・休日対応の増加傾向
リモートワークでは物理的な職場からの離脱がないため、労働時間の境界が曖昧になりがちです。「もう少しだけ」という気持ちで作業を続けてしまい、気づけば深夜まで働いているという状況が起こりやすくなります。特に責任感が強い方や完璧主義の傾向がある方は、このような働き方に陥りやすいと言われています。
また、メールやチャットの通知により、本来の勤務時間外でも仕事に関する思考が働き、真の意味での休息が取れなくなる可能性があります。普段からスマートフォンやPCを頻繁にチェックする習慣がある方は、特に注意が必要でしょう。この状態が続くと、燃え尽き症候群や過労による健康問題のリスクが高まり、長期的には生産性の大幅な低下を招く可能性があります。
2-5. 評価されにくくキャリアが不安になる
評価の課題 | 従来との違い |
プロセス評価の困難 | 成果のみでの判断 |
昇進・昇格機会の減少 | 上司との接触減少 |
スキル習得機会の限定 | OJTの機会減少 |
ネットワーク構築の困難 | 人間関係の希薄化 |
リモートワークでは、日常的な業務プロセスや努力の過程が見えにくくなるため、成果物のみで評価される傾向が強まります。しかし、成果だけでは測れない貢献や成長も多く存在するため、適切な評価を受けられないという不安を抱える従業員が増加していると言われています。特に、プロセス重視の働き方を好む方や、チームへの貢献を大切にする方にとって、この評価方法に戸惑いを感じる可能性があります。
また、上司や先輩との日常的な接触が減ることで、キャリア相談やアドバイスを受ける機会も限定され、将来のキャリアパスに対する不安が増大する傾向があります。普段から上司や同僚との相談を通じて安心感を得ている方は、特に注意が必要でしょう。
2-6. セキュリティリスクと情報漏洩の不安
- 家庭内Wi-Fiのセキュリティレベルの問題
- 機密情報の持ち出しリスク
- 第三者による画面覗き見の可能性
- 私用デバイス使用による情報管理の複雑化
リモートワークでは、企業の機密情報を社外で取り扱うため、情報セキュリティのリスクが格段に高まると考えられています。公共のWi-Fi環境は企業ネットワークほど堅牢ではなく、不正アクセスのリスクがあります。特に、ITセキュリティに詳しくない方や、家族との生活空間を完全に分離できない環境の方は、より注意深い対策が求められます。
2-7. 家庭環境に左右されるパフォーマンス
影響要因 | パフォーマンスへの影響 |
住環境の制約 | 集中できる空間の不足 |
家族の存在 | 中断・騒音による集中力低下 |
育児・介護 | 業務時間の分散化 |
設備・インフラ | 通信環境・機器の性能差 |
家庭環境の違いにより、リモートワーク時のパフォーマンスに大きな差が生まれる可能性があります。独立した書斎を持つ従業員と、家族と共有するリビングで作業する従業員では、集中できる環境に雲泥の差があります。特に小さな子どもがいる家庭や、家族の在宅時間が長い環境の方では、突然の中断が避けられず、継続的な集中が困難になる傾向があります。
また、インターネット回線の速度や安定性、使用するデバイスの性能によっても業務効率が左右されます。
これらの環境差は個人の努力だけでは解決が困難な場合が多く、公平な労働環境の提供という観点から課題となっています。
3. リモートワークのデメリットを克服する方法

3-1. 定期的な出社や対面交流を取り入れる
孤独感や疎外感の解消には、完全リモートではなく、定期的な対面交流を組み合わせることが効果的です。多くの企業では週に1-2回の出社を義務づけるハイブリッド勤務を採用し、チームの結束力維持と個人の柔軟性のバランスを取っています。
- 週1-2回の出社日設定によるハイブリッド勤務
- 月1回のチームビルディング活動実施
- プロジェクト開始時の対面キックオフミーティング
- 四半期ごとの全社会議での直接交流
また、業務以外でのコミュニケーション機会として、オンラインでの雑談時間や、月1回程度のチームランチなどを設けることで、人間関係の構築を促進します。重要なプロジェクトの開始時には対面でのキックオフミーティングを行い、メンバー間の連携を強化することも有効です。
3-2. タスク管理ツールとルールを活用する
ツール分類 | 具体的な活用方法 |
プロジェクト管理 | 進捗の可視化・共有 |
コミュニケーション | 定時連絡・相談窓口 |
時間管理 | 作業時間の記録・分析 |
文書共有 | リアルタイム編集・履歴管理 |
自己管理能力の不足やコミュニケーション不足を補うために、適切なツールの活用が重要です。プロジェクト管理ツールを使用して、各メンバーのタスクの進捗状況を可視化し、チーム全体で共有することで、透明性を高めます。
また、定時報告のルールを設け、1日の作業内容と翌日の予定を共有することで、上司や同僚との連携を維持します。時間管理ツールを使用して作業時間を記録し、自分の働き方のパターンを把握することで、より効率的な業務遂行が可能になります。
これらのツールとルールにより、リモートワークでも質の高いマネジメントを実現できます。
3-3. オンオフの切り替えを意識する環境作り
- 専用の作業スペース設置
- 勤務開始・終了時刻の明確化
- 通知設定の工夫によるプライベート時間の確保
- 定期的な休憩時間の設定とアラーム活用
「終わりなき勤務」問題を解決するためには、物理的・精神的な境界線の設定が不可欠です。可能な限り仕事専用のスペースを確保し、そこでのみ業務を行うことで、空間的な区切りを作ります。
リモートワークで働きやすい空間をご自身で用意しましょう。
3-4. 自己アピールと報連相を習慣化する
- 日報・週報による定期的な成果報告
- プロセスの見える化と共有
- 積極的な発言・提案の実施
- 成果物の品質向上への取り組み
評価不安を解消するためには、自分の働きぶりを積極的に可視化し、アピールすることが重要です。
日報や週報を通じて、単に完成した成果物だけでなく、そこに至るまでのプロセスや工夫も共有します。会議では積極的に発言し、建設的な提案を行うことで、チームへの貢献を示します。また、成果物のクオリティにこだわり、期待を上回る結果を継続的に提供することで、信頼と評価を獲得します。
定期的な1on1ミーティングを上司に提案し、キャリア相談や フィードバックを受ける機会を自ら作ることも効果的です。
3-5. リモートワークもそれぞれなので他の企業に転職を考える!
- 現在の環境が自分に合わない場合の選択肢として転職検討
- リモートワーク専門の転職支援サービス活用
- より良いリモートワーク環境を提供する企業への移籍
- フリーランスとしての独立も視野に入れた検討
現在の職場でリモートワークの課題が解決できない場合、転職を検討することも一つの解決策です。
企業によってリモートワークの制度や文化は大きく異なるため、より自分に適した環境を求めて転職することは合理的な判断です。
リモートワーク専門エージェントのRemogu(リモグ)などを活用すれば、リモートワークに特化した求人情報を効率的に収集できます。
フルリモートやリモート中心の正社員求人を専門に扱う転職エージェントです。
フリーランスや副業のエンジニアと企業の業務委託案件を繋ぐリモートワーク専門のエージェントです。
また、完全リモートワークを前提とした企業や、より柔軟な働き方を提供する企業への転職により、現在抱えている課題の多くを解決できる可能性があります。場合によっては、フリーランスとして独立することで、より自由度の高い働き方を実現することも選択肢の一つです。
4. リモートワークが合わない人の特徴と対策

リモートワークに向いていない、合わない方の特徴を見ていきましょう。
4-1. 自宅に集中できるスペースがない
住環境の課題 | 対策方法 |
狭小住宅 | コワーキングスペース利用 |
家族との共有空間 | 時間帯による使い分け |
騒音問題 | ノイズキャンセリング機器 |
設備不足 | 企業による環境整備支援 |
住環境の制約によりリモートワークが困難な場合、いくつかの対策を講じることが可能です。
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自宅での対策としては、パーテーションや家具の配置変更により、視覚的・心理的な区切りを作ることが有効とされています。特に、家族との共有スペースで作業されている方や、生活空間と仕事空間の切り替えが苦手な方には効果的な方法です。また、家族との生活時間を調整し、集中できる時間帯を確保することも重要でしょう。
外部の音に敏感な方や集中力の維持が課題の方には、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンや、集中力を高める環境音アプリの活用も効果的と言われています。
4-2. 人との交流でエネルギーを得るタイプ
- 外向的性格の人に多い特徴
- オンライン交流の頻度増加
- 業務外でのコミュニケーション機会創出
- 完全リモートではなくハイブリッド勤務選択
外向的な性格で、他者との交流からエネルギーを得るタイプの人にとって、リモートワークは精神的な負担が大きくなります。このような場合、オンラインでの交流機会を意識的に増やすことが重要です。業務に関係のない雑談時間を設けたり、オンラインランチ会を企画したりすることで、人との繋がりを維持しましょう。
また、地域のコミュニティ活動への参加や、趣味のサークル活動など、業務外での人との接触機会を積極的に作ることも効果的です。
どうしても対面での交流が必要な場合は、完全リモートではなく、週に数回出社するハイブリッド勤務を選択することも検討すべきです。
4-3. 自分でモチベーション維持が難しい人
課題 | 対策方法 |
目標設定の困難 | 短期目標の細分化 |
進捗管理の不備 | 可視化ツールの活用 |
達成感の不足 | 小さな成功の積み重ね |
外部刺激の不足 | 定期的な環境変更 |
自律的なモチベーション維持が困難な方は、外部からの構造やサポートを意識的に取り入れることが効果的とされています。大きな目標を小さなタスクに分割し、短期間で達成可能な目標を設定することで、定期的な達成感を得られる可能性があります。進捗管理ツールを使用して、自分の成長や貢献を可視化し、モチベーション維持に活用してみてはいかがでしょうか。
また、作業環境を定期的に変更する(自宅内の別の場所、カフェ、図書館など)ことで、新鮮な刺激を得ることができると言われています。特に、環境の変化によって気分転換を図りたい方には有効な方法でしょう。同僚や上司との定期的なチェックイン会議を設け、外部からの期待や評価を感じられる機会を作ることも重要と考えられています。
なお、これらの対策を試してもモチベーション維持が困難な場合は、リモートワークよりも出社勤務の方が適している可能性もあります。ご自身の働き方について見直しを検討されることをおすすめします。
5. まとめ
リモートワークには確かに多くのデメリットが存在しますが、それらを正しく理解し、適切な対策を講じることで、従来の働き方を上回る生産性と満足度を実現できる可能性があります。
重要なのは、リモートワークを単なる「家で仕事をすること」ではなく、新しい働き方のパラダイムとして捉え、それに適したスキルや環境を整備することと考えられています。孤独感やコミュニケーション不足、自己管理の困難さなどの課題は、適切なツールの活用、定期的な対面交流、明確な境界設定などにより克服可能とされています。
また、現在の職場環境がご自身に合わない場合は、より良い条件を提供する企業への転職や、Remogu(リモグ)のようなリモートワーク専門の転職支援サービスの活用も選択肢の一つでしょう。
リモートワークのデメリットを恐れるのではなく、それらを理解し対策を講じることで、時間と場所に縛られない理想的な働き方を実現できる可能性があります。