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    【案件の常駐とリモート】場所の条件はどこで決まるのかを解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「案件の常駐とリモート」を示す図です。常駐/一部リモート/フルリモートを並べています。強調しているのはフルリモートです。ここを見ると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • テレワーク導入率が下がっていることと、新しい働き方に向けた取組みは全社的に多いという実態
    • 何らかの形でDXに取り組む企業は77.8%に上ることと、外部への委託を担う意思決定の置き方は企業によって差があること
    • 取引条件として明示される事項に報酬の額や支払期日が含まれることと、参画前に確かめておきたい着眼点

    常駐かリモートかという条件は、案件情報の記載を見比べるだけでは判断がつきにくいものです。この条件は読者の好みではなく、発注する企業の体制と委託のかたちによって決まっています。企業側の事情と、契約条件として明示される項目を順に追うと、場所の条件がどこで決まり、どこで確かめられるのかが見えてきます。この記事では、その道筋を出典とともに整理していきます。

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    1. 企業のテレワークは減る側に動いている

    案件情報を眺めていると、常駐と書かれた案件が目につく時期があります。ここでまず押さえておきたいのは、企業側の姿勢そのものが数年前から変わってきているという事実です。テレワークを導入している企業の割合は47.3%となり、前年に続き減少しています1

    この数字だけを見ると、リモートで進める案件は狭まっているように感じられるかもしれません。ただし、割合が下がっているのは導入率であって、企業が働き方の検討そのものをやめたわけではありません。

    図1:場所の条件が決まる場所
    場所の条件が決まる場所 企業の体制 テレワークの位置づけ 意思決定の置き方 委託のかたち 外部への委託の範囲 契約条件の明示 場所の条件 ここで決まります

    図の作成:Remogu編集部。企業の体制と委託のかたちの関係を整理したもので、統計データではありません

    導入率は前年に続き下がっている

    総務省の調査では、テレワークを導入している企業の割合が47.3%という数値で示されています1。前年からの変化を「前年に続き」と表現している点は、単年の落ち込みではなく、複数年にわたる流れであることを意味します。

    案件を探す側からすると、この流れは常駐を求める案件が増えているという印象につながりやすいところです。ただし、導入率の低下と、個々の案件が常駐を条件にするかどうかは、別の階層の話として整理しておく必要があります。

    白書も減少の流れを示している

    令和7年版の情報通信白書でも、民間企業のテレワークは2022年以降、減少傾向が続いていると整理されています2。総務省の調査結果と白書の記述は、同じ方向を指しています。

    減少の理由そのものは、この記事の主題ではありません。ここで押さえておきたいのは、常駐かリモートかという条件は、業種全体の空気ではなく、発注する一社ごとの体制によって決まるという前提です。次の章では、その体制の中でも取組という別の指標に目を向けます。

    2. それでも新しい働き方の取組は多い

    導入率が下がっているという数字だけを見ると、企業は案件のリモート化に消極的になっていると受け取りたくなります。ところが、同じ情報通信白書は別の角度からの数字も示しています。

    新しい働き方の実現(テレワークなど)や、業務プロセスの改善・改革に向けた取組は、全社的に多いと整理されています3。導入率という一つの指標と、取組の広がりという別の指標は、同じ向きに動くとは限りません。

    図2:テレワーク導入の推移の位置
    テレワーク導入の推移の位置 テレワーク導入率 47.3%まで低下 2022年以降 減少傾向 新しい働き方の取組 全社的に多い

    出典:総務省「通信利用動向調査の結果」「令和7年版 情報通信白書」をもとに作成

    「新しい働き方」への取組は全社的な広がりを見せている

    白書が示しているのは、テレワークをすでに導入しているかという点と、新しい働き方に向けて取り組んでいるかという点が、別の設問として置かれているという構造です3。導入率が下がっていても、検討や試行を続けている企業は含まれます。

    案件を探す側にとって意味があるのは、ここです。常駐を条件にする案件が目につく時期でも、体制そのものを見直している企業が案件を出すことがあります。条件は一律ではなく、企業ごとの取組の段階によって幅が生まれます。

    導入率の低下と、取組の広がりは矛盾しない

    導入率の低下と、取組の広がりは、矛盾する数字ではありません。前者はすでに定着しているかどうかを測り、後者は今、動きがあるかどうかを測っています。測っている対象が違えば、数字の向きがそろわないのは自然なことです。

    この整理を踏まえると、案件情報を見るときの視点も変わります。常駐という条件だけで企業の姿勢を判断せず、その企業が委託というかたちをどう扱っているかまで見る視点を持っておくとよいでしょう。次の章では、委託そのものの広がりを見ていきます。

    3. DXへの取り組みと外部への委託の広がり

    常駐かリモートかという条件の背景には、企業がDXにどう向き合っているかという事情も関わっています。IPAの調査では、何らかの形でDXに取り組んでいる企業の割合は77.8%となっています4

    8割近くの企業が、程度の差はあってもDXに取り組んでいるという数字は、開発を進める体制そのものが、社内だけで完結しない場面が増えていることを裏づけています。取り組みの中身を分けて見ると、内製と外部への委託の位置づけがより具体的になります。

    数字を並べると見えてくること

    DXへの取り組みの割合と、外部への委託を選んでいる割合を並べてみると、両者が別々の集計であることが分かります。前者は取り組んでいるかどうかという有無を測り、後者はどのような開発の進め方を選んでいるかという内訳を測っています。単位が違う数字を一つの表に並べることで、委託という選択肢がどの程度の位置づけにあるかを確かめられます。

    指標数値
    何らかの形でDXに取り組んでいる企業77.8%4
    外部への委託による開発を行っている(競争にかかわる事業)4割弱で最も多い5

    外部への委託は内製と並ぶ選択肢になっている

    競争にかかわる事業では、外部への委託による開発を行っている回答率が4割弱で、選択肢の中では最も多くなっています5。内製だけで完結させる体制と並んで、外部への委託を選ぶ体制が一定の位置を占めているとわかります。

    この数字が示しているのは、常駐を求める企業が多いという話ではありません。委託というかたちそのものが広がっている以上、リモートで完結する契約の余地も、企業ごとの体制によって変わってくるという点です。

    図3:外部への委託と内製の実態
    外部への委託と内製の実態 DXに取り組んでいる企業 77.8% 外部への委託による開発 4割弱で最多 対象:競争にかかわる事業の回答

    出典:IPA「DX動向2025」をもとに作成

    委託のかたちが広がっている一方で、社内の受け入れ体制が追いついていない現場もあります。次の章では、決定する立場そのものの置かれ方を見ていきます。

    4. 決める人が置かれていない現場がある

    委託というかたちが広がっている一方で、受け入れる側の体制が整っているとは限りません。IPAの別の調査では、意思決定を担う責任者を設置していない企業が、約半数に上ると報告されています6

    約半数という数字は、決める人がいる現場といない現場が、ほぼ同じくらいの比率で存在することを示しています。案件を通じて関わる企業が、同じ体制を持っているとは限らないという前提が、ここから見えてきます。

    意思決定を担う責任者が置かれていない現場がある

    責任者が置かれていない現場では、方針そのものを固める役割が分散していたり、確認を重ねる工程が増えたりする場面があります。これは良し悪しの話ではなく、企業ごとの体制の違いとして受け止める部分です。

    常駐かリモートかという条件も、この体制の違いと無関係ではありません。意思決定の置かれ方が定まっている企業ほど、条件そのものを早い段階で明確にできる傾向がある一方、そうでない現場では条件の確定に時間がかかることがあります。

    参画する側から見た影響

    参画する側にとって重要なのは、責任者の有無そのものを詮索することではなく、条件がいつ、誰の名前で確定するのかを、契約の入り口で確かめておくことです。決める人の置かれ方が見えにくい現場ほど、この確認が後の行き違いを防ぎます。

    次の章では、この確認がなぜ手間として意識されやすいのかを、別の調査から見ていきます。

    5. 契約の手間そのものが課題に挙がっている

    委託のかたちが増え、決める人の置かれ方が現場によって違うとなると、次に課題になりやすいのが契約そのものの手間です。IPAの調査では、システム開発の契約において、取引ごとに手間や工数がかかる点を課題に挙げる企業が多いと報告されています7

    案件ごとに条件をすり合わせる工程は、発注する企業にとっても負担になっているという点は、押さえておきたいところです。負担が大きい工程ほど、条件の記載が省略されたり、曖昧なまま進んでしまったりする余地が生まれます。

    契約ごとの手間や工数が課題として挙げられている

    手間として挙げられているのは、契約の内容そのものではなく、取引ごとに発生する工数です7。案件が変わるたびに、見積りや検収の基準をゼロから調整し直す必要がある点が、負担として意識されています。

    委託する側にとっても、この手間は無視できない負担です。案件を出す頻度が高い企業ほど、契約のたびに生じる手間の総量は大きくなります。

    手間が生じやすい場面を分けて見る

    手間が生じやすい場面を分けてみると、見積りの前提をすり合わせる段階、契約書を作成し内容を確認する段階、検収の基準を共有する段階という、性質の違う工程が並んでいることが分かります。どの段階で条件が固まるのかを知っておくと、常駐かリモートかという条件がいつ確定するのかを見通しやすくなります。

    手間が生じやすい場面具体的な内容
    見積りと条件のすり合わせ案件ごとに、契約条件や工数の前提をすり合わせる工程が発生します
    契約書の作成と確認案件ごとに契約書を作成し、内容を確認する工程が発生します
    検収の基準の共有何をもって完了とするかを、事前にすり合わせておく工程が発生します

    このような手間が背景にあるからこそ、契約条件をどこで、どのように確かめられるかという制度側の仕組みが重要になります。次の章では、その仕組みそのものを取り上げます。

    6. 場所の条件も明示される事項から確かめられる

    ここまで見てきた企業側の事情に対して、確かめる側の手がかりになるのが、取引条件を明示する義務です。公正取引委員会のパンフレットでは、取引条件の明示義務は、フリーランス同士の取引も対象になっています8

    同士の取引も対象という書き方は、発注する側が企業か個人かを問わず、この義務が及ぶことを意味します。常駐かリモートかという条件も、この明示の対象となる取引条件の一部として扱われます。

    取引条件の明示義務はフリーランス同士の取引にも及ぶ

    明示義務が及ぶ範囲が広いということは、条件を確かめる材料が、口頭のやり取りだけに留まらないということでもあります。書面や電磁的方法で示された内容を、契約の入り口で確認できる立場にあるという点は、押さえておきたいところです。

    明示される事項の中に、確かめる材料がある

    明示される事項の中身を見ると、いつ何を確認できるのかがより具体的になります。公正取引委員会のパンフレットでは、給付の内容について検査する場合は検査を完了する期日を、また報酬については報酬の額および支払期日を、明示する事項に含めています9。場所に関する条件そのものも、こうした明示の枠組みの中で確認していく対象になります。

    区分明示される内容
    対象フリーランス同士の取引も対象になっています8
    検収検査を完了する期日9
    報酬報酬の額および支払期日9

    検査を完了する期日や報酬の額、支払期日がいつ、どのような形で示されるかを確認しておくと、常駐かリモートかという条件についても、同じ書面の中で確かめられることがあります。

    次の章では、この明示が実際にどれくらい徹底されているのか、そして参画前に何を確かめておくとよいのかを見ていきます。

    7. 実際に多い不備と、参画前に確かめること

    明示の枠組みが整っていても、実際の運用がすべて行き届いているとは限りません。公正取引委員会の運用状況の報告では、取引条件の明示義務違反が1,126件(41.3%)にのぼると示されています10

    違反として報告されている件数がある以上、明示される事項を確認する側にも、一定の注意が必要になります。常駐かリモートかという条件も、明示が徹底されていない場面では、確認を後回しにしないことが重要です。

    明示義務の違反は実際に一定数報告されている

    1,126件、全体の41.3%という数字は、取引条件の明示という制度が整っていても、運用の段階で漏れが生じていることを示しています10。この漏れは、企業の規模や業種を問わず起こり得るものとして受け止めておく部分です。

    参画する側としては、この数字を不安の材料としてだけ受け止めるのではなく、確認しておきたい項目を先に把握しておく材料として使う方が建設的です。

    参画前に確かめておきたいこと

    参画前に確かめておきたいのは、検査を完了する期日、報酬の額、支払期日という、明示の対象に含まれる3つの事項です9。これらが契約の入り口でどのように示されるかを見ておくと、常駐かリモートかという条件についても、同じ書面の中で扱われているかを確認しやすくなります。

    図4:参画前に確かめること
    参画前に確かめること 検査を完了する 期日 報酬の額 支払期日

    出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレットをもとに作成

    場所の条件は、企業の体制と委託のかたち、そして明示される事項という、性質の違う3つの層で決まっています。案件情報を見るときは、常駐かリモートかという一点だけでなく、その条件がどの書面のどこに書かれているかまで確かめる視点を持っておくと、判断の材料が増えます。

    初めて案件に参画する場合でも、常駐かリモートかを事前に確認できますか

    明示義務はフリーランス同士の取引も対象になっているため8、参画の経験にかかわらず、契約条件を確認する立場そのものは変わりません。初めての参画であっても、検査を完了する期日や報酬の額、支払期日と合わせて、場所に関する条件を書面で確認しておくとよいでしょう。

    地方に住んだままリモート中心の案件に参画することはできますか

    Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件に特化したエンジニアマッチングです。案件の90%以上がフルリモート可能です。地方に住んでいることを理由に、参画そのものが難しくなるわけではありません。ただし、常駐が条件になる案件もあるため、条件は案件ごとに確認する必要があります。

    週3日など稼働日数が少ない条件でも、契約条件の明示は行われますか

    明示義務は稼働日数の多さによって扱いが変わる制度ではありません。検査を完了する期日や報酬の額、支払期日といった事項は9、稼働日数にかかわらず明示の対象になります。週3日など稼働日数が少ない条件で参画する場合も、常駐かリモートかを含めた条件を、同じ書面で確認しておくとよいでしょう。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 総務省「通信利用動向調査の結果」受け入れ側の事情(2025年5月・2026年9月確認)
    *2 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」受け入れ側の変化(2025年7月・2026年9月確認)
    *3 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」取組の中身(2025年7月・2026年9月確認)
    *4 IPA「DX動向2025」取組の広がり(2025年6月・2026年9月確認)
    *5 IPA「DX動向2025」外に出る仕事(2025年6月・2026年9月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」決める人(2025年4月・2026年9月確認)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」契約の負担(2025年4月・2026年9月確認)
    *8 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *9 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *10 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」2番目に多い違反(2026年6月・2026年9月確認)