案件の契約書と収入印紙|請負に当たる契約書と、継続的な基本契約の違いを解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 請負に関する契約書が第2号文書に当たるとされていることと、請負という言葉が示す契約の中身
- 継続的な取引条件を定めた契約書が第7号文書に当たることがあることと、そこから除かれる契約期間の条件
- 契約金額の記載がない契約書の扱いと、非課税とされる場合に確かめておきたいこと
案件が決まり契約書を受け取ると、多くの目は報酬の額と稼働開始日に向きます。契約書に印紙を貼る必要があるかどうかは、後回しにされがちな論点です。印紙税は、契約書に記載された内容により取扱いが異なるとされています7。同じ「契約書」という言葉でも、そこに何を定めたかによって、扱いは変わります。
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1. 印紙が関わるのは、契約書の中身で決まる
契約書に何を書いたかで扱いが変わること
案件を受けるときに交わす契約書は、同じ「業務委託契約書」という表題でも中身は一様ではありません。印紙税は、契約書に記載された内容により取扱いが異なるとされています7。表題や呼び方ではなく、実際に何を約束しているかが、扱いを分ける起点になります。
成果物の完成を約束する条項が中心の契約書と、繰り返し発注される取引の条件だけを定めた契約書とでは、そこに書かれている中身がそもそも違います。契約書の性格は、表題を眺めるだけでは決まりません。条項を一つずつ確かめることで見えてきます。
請負に関する契約書は第2号文書に位置づけられること
国税庁の案内では、請負についての契約書は、印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当するとされています1。案件で交わされる契約書も、この請負の性質を持つものとして扱われる可能性があります。
ただし請負に関する契約書に当たるからといって、話がそこで終わるわけではありません。契約書が定める中身によっては、この後の章で扱う別の号の文書に移ることがあります。まずは自分が交わした契約書に何が書かれているかを、条文の見出しではなく実際の取り決めで確かめる視点が、次の章以降を読み進める土台になります。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の案内が示す区分を整理したもので、統計データではありません
2. 「請負」とはどういう契約か
仕事の完成と報酬の支払いが対になった契約
請負とは、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいうとされています2。案件を受ける立場で読み替えると、決められた成果を仕上げる約束と、その対価としての報酬を受け取る約束が対になって、契約書に表れているということです。
指示系統や時間の管理ではなく、「何を完成させるか」という結果に対して報酬が結びついている点が、請負という言葉の中心にあります。契約書を読むときは、報酬の金額だけでなく、何をもって完成とするかという記載にも目を向けることが、この後の章を理解する手がかりになります。
有形・無形のどちらの成果も対象になること
請負には、建設工事のように有形的なもののほか、警備、機械保守、清掃などの役務の提供のように無形的な結果を目的とするものも含まれるとされています3。形のある成果物を納めるものだけが請負ではなく、システムの保守や運用支援のように、目に見えにくい成果を目的とする契約書も同じ枠組みで扱われることになります。
エンジニアが交わす契約書は、開発や保守、運用支援といった無形的な成果を対象にする契約です。請負という言葉が有形物に限られないと分かると、自分が交わしている契約書がどの位置づけにあるかを考えるときの見通しが立てやすくなります。
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3. 請負に関する契約書として挙げられている例
案内が示す具体的な契約書の例
国税庁の案内では、具体的に、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書などが請負に関する契約書に該当するとされています4。挙げられているのはあくまで例で、契約書の表題がこれらと異なっていても、中身が同じ性格を持てば同じ扱いになり得ます。
案件でやり取りされる契約書の表題は、発注する側の書式によってさまざまです。「業務委託契約書」「業務委嘱契約書」といった呼び方の違いよりも、中に定められている取り決めの中身が、どの区分に当たるかを左右します。
| 契約書の名称 | 案内が示す位置づけ |
|---|---|
| 工事請負契約書 | 請負に関する契約書の例として挙げられている |
| 工事注文請書 | 請負に関する契約書の例として挙げられている |
| 物品加工注文請書 | 請負に関する契約書の例として挙げられている |
| 広告契約書 | 請負に関する契約書の例として挙げられている |
| 会計監査契約書 | 請負に関する契約書の例として挙げられている |
案件の契約書と重なる部分
案件のうち、成果物の作成や保守、点検といった仕事を引き受ける契約書には、この例に近い性格を持つものがあります。表題が一致していなくても、仕事の完成を約束し、それに対して報酬を受け取るという骨格が共通していれば、請負に関する契約書として位置づけられる可能性があります。
もっとも、この位置づけは固定されたものではありません。契約書が請負の性格に加えて、繰り返し発生する取引の条件までまとめて定めている場合には、次の章で扱う別の号の文書に移ることがあるとされています5。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の案内が示す区分を整理したもので、統計データではありません
4. 継続的な取引条件を定めると第7号文書に移る
継続する取引の基本条件を定めた契約書という性格
請負に関する契約書に該当するものであっても、営業者間において継続する複数の取引の基本的な取引条件を定めるものは、第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」に該当することがあるとされています5。ここでいう「ことがある」という言い方の通り、常にそうなると決まっているわけではなく、契約書が何を定めているかによって分かれます。
第2号文書と第7号文書は、どちらか一方に固定される関係ではありません。1件の案件について交わされた契約書であっても、そこに何が書き込まれているかによって、どちらの性格が強く出るかが変わってきます。
この条件に出てくる「営業者」という言葉にも定義があります。営業者とは、印紙税法別表第1第17号文書の非課税物件の欄に規定する営業を行う者をいうとされています12。第7号文書に当たるとされているのは営業者間の契約書なので、誰と誰の間で交わした契約書なのかも、条件の一部になっています。
第7号文書に当たるとされる取り決めの項目
第7号文書に当たるのは、営業者間において複数取引を継続的に行うため、その取引に共通する基本的な取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうち1以上の事項を定める契約書であるとされています10。これらの項目のうち1つでも定めがあれば当てはまるとされる点は、見落としやすいところです。
案件の契約書でいえば、単発の成果物を定めるだけでなく、単価や支払方法、継続する取引の条件までまとめて書き込んだ契約書が、この項目に触れやすい形といえます。何が書かれているかを条項ごとに見ていく必要があるのは、この項目が複数にわたっているためです。
| 項目 | 案内が示す位置づけ |
|---|---|
| 目的物の種類 | 第7号文書の判断材料の一つとして挙げられている |
| 取扱数量 | 第7号文書の判断材料の一つとして挙げられている |
| 単価 | 第7号文書の判断材料の一つとして挙げられている |
| 対価の支払方法 | 第7号文書の判断材料の一つとして挙げられている |
| 債務不履行の場合の損害賠償の方法 | 第7号文書の判断材料の一つとして挙げられている |
| 再販売価格 | 第7号文書の判断材料の一つとして挙げられている |
図の作成:Remogu編集部。国税庁の案内が示す項目を整理したもので、統計データではありません
5. 第7号文書から除かれる場合
契約期間3か月以内かつ更新の定めがない場合
第7号文書に当たる取り決めをしていても、その契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれるとされています9。この条件は「期間が短ければ除かれる」という一点だけでなく、「更新の定めがない」という点も同時に満たす形で示されています。
期間だけを見て判断してしまうと、更新の定めの有無を見落とすことになります。3か月以内という期間の条件と、更新の定めがないという条件は、どちらか一方ではなく、両方がそろって初めて、除かれる側に当てはまる形になっています。
条件を確かめる視点
契約書に更新の定めがあるかどうかは、期間の長さだけでは分からない部分です。除かれる条件に当てはまるかどうかは、契約期間の記載と更新の定めの有無を合わせて確かめることで見えてきます。
この条件は、案件の契約書が第7号文書から離れるかどうかを分ける、数少ない明確な基準です。ただし条件に当てはまるかどうかは契約書ごとの記載によって異なるため、契約書に書かれている内容を確かめることが起点になります。
6. 金額が書かれていない契約書の扱い
契約金額の記載がない場合の第2号文書の扱い
第2号文書の税額は契約金額に応じて定められており、契約金額の記載のないものは200円とされています6。金額を書き込むかどうかも、契約書の性格を左右する記載の一つだということが、この扱いから見えてきます。
案件の契約書で契約金額を明記しない形を取ることもありますが、その場合にどう扱われるかは、この200円という記載として案内に示されています。金額の書き方一つで、契約書の記載内容が変わることを意識しておく意味があります。
第7号文書としての税額
第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち一定の文書をいい、税額は1通につき4,000円とされています8。この1通につき4,000円という定めは、契約金額の記載がない場合の200円とは別の話です。
どちらの数字も、契約書の中身によって当てはまるかどうかが変わる、別々の定めです。3か月以内かつ更新の定めがない場合に除かれる条件と合わせて、3つの数字がそれぞれ独立した話であることを分けて捉えておく必要があります。
| 文書の種類 | 該当する記載 | 税額 |
|---|---|---|
| 第2号文書(請負に関する契約書) | 契約金額の記載がない場合 | 200円 |
| 第7号文書(継続的取引の基本となる契約書) | 該当する場合 | 1通につき4,000円 |
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7. 非課税とされる場合と、確かめ方
非課税とされる場合があること
東日本大震災により被害を受けられた方が作成する契約書等については、印紙税が非課税とされる場合があるともされています11。この定めも、すべての契約書に当てはまるものではなく、条件に沿った場合に限られる形で示されています。
軽減されている場合もあります。建設工事の請負契約書のうち記載された契約金額が一定額を超えるもので、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成するものの税額については、印紙税額が軽減されているとされています13。これは建設工事の請負契約書についての定めなので、案件の契約書がそのまま当たるわけではありません。
ここまで見てきたように、印紙税は、契約書に記載された内容により取扱いが異なるとされています7。請負に関する契約書として第2号文書に当たるか、継続的な取引条件を定めて第7号文書に移るか、そこから除かれる条件を満たすか、契約金額の記載があるかどうか、非課税に当たる事情があるか。分かれ道はいくつも重なっています。
契約書の中身を確かめる順番
条件が重なっているからこそ、契約書を読むときの順番を決めておくと迷いにくくなります。まず契約書が何を約束しているかを確かめ、次に継続する取引の条件が書かれていないかを見て、契約期間と更新の定めを確認し、最後に契約金額の記載の有無を見る。この順番で条文を追うと、契約書の性格を段階的に絞り込めます。
判断に迷う記載があるときは、契約書の写しを手元に置いた上で、所轄税務署に確かめる方法があります。契約書ごとに記載は異なるため、この記事で示した区分や条件を手がかりにしつつ、実際の当てはめは契約書の中身に沿って進めることになります。
図の作成:Remogu編集部。国税庁の案内が示す区分を整理したもので、統計データではありません
契約書に金額を書かなければ第7号文書になりますか
金額の記載の有無は、契約金額の記載のない第2号文書の税額を200円とする定めに関わるものであり6、第7号文書に当たるかどうかを直接決める条件ではありません。第7号文書に当たるかどうかは、目的物の種類や取扱数量、単価などの取引条件を定めているかどうかで判断されるとされています10。両者は別の記載に関わる話として、分けて捉える必要があります。
契約期間を3か月にすれば第7号文書から外れますか
契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれるとされていますが9、期間の記載だけでなく更新の定めがあるかどうかも合わせて確かめる必要があります。どちらか一方だけでは、除かれる条件に当てはまるとは限りません。
自分の契約書がどちらの文書に当たるか、この記事だけで分かりますか
この記事で示したのは、案内が示している区分と条件までです。実際の当てはめは契約書に記載された内容によって変わるため7、判断に迷う場合は契約書の写しを手元に、所轄税務署に確かめる方法があります。
契約書の中身を確かめる作業は、条件を理解した上で案件に向き合うための土台になります。Remoguで扱う案件は90%以上がフルリモート可能です。契約書の記載を確かめながら、自分の経験に合う案件を見ておくところから始められます。
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出典・参考情報
*1 国税庁「請負に関する契約書」何号文書に当たるか(2026年4月・2026年9月確認)
*2 国税庁「請負に関する契約書」請負の意味(2026年4月・2026年9月確認)
*3 国税庁「請負に関する契約書」形のない仕事も含む(2026年4月・2026年9月確認)
*4 国税庁「請負に関する契約書」挙げられている例(2026年4月・2026年9月確認)
*5 国税庁「請負に関する契約書」第7号文書に移る場合(2026年4月・2026年9月確認)
*6 国税庁「請負に関する契約書」金額が書かれていない場合(2026年4月・2026年9月確認)
*7 国税庁「請負に関する契約書」中身で決まる(2026年4月・2026年9月確認)
*8 国税庁「継続的取引の基本となる契約書」第7号文書の額(2026年4月・2026年9月確認)
*9 国税庁「継続的取引の基本となる契約書」除かれる場合(2026年4月・2026年9月確認)
*10 国税庁「継続的取引の基本となる契約書」第7号文書の条件(2026年4月・2026年9月確認)
*11 国税庁「請負に関する契約書」非課税になる場合(2026年4月・2026年9月確認)
*12 国税庁「請負に関する契約書」営業者の意味(2026年4月・2026年9月確認)
*13 国税庁「請負に関する契約書」軽減されている場合(2026年4月・2026年9月確認)