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    フリーランスエンジニアの老後資金はいくら必要?生活費の実態と年金の満額、上乗せ制度の違い

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「フリーランスの老後資金」を示す図です。老後の生活費/老齢基礎年金/上乗せの備えを並べています。強調しているのは上乗せの備えです。差を見ると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 家計調査(2025年平均)で、高齢の単身無職世帯と夫婦無職世帯が1か月に得ている実収入と、使っている消費支出の額
    • 老齢基礎年金の満額が年額847,300円であることと、その額を受け取るために必要な40年間の納付という条件
    • 生活費と年金を同じ物差しで並べたうえで、付加年金や国民年金基金などの上乗せの制度を選んでいく順番

    案件の単価や稼働時間は、毎月のように見直しています。ところが、老後にいくら要るのかを数字で確かめたことは一度もない。そんな人は少なくないはずです。国民年金だけで暮らしていけるのか、見当がつかないまま、不安だけが残ります。生活費と年金を同じ物差しで並べると、上乗せが要るかどうかが見えます。

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    1. フリーランスエンジニアの老後資金を数字で確かめる理由

    国民年金の第1号被保険者という立場

    自営業者やフリーランスは、国民年金の第1号被保険者に当たります。国民年金基金に加入できるのも、この第1号被保険者などです1。老後に向けた備えは、会社の制度に任せられるものではなく、自分で選んで組み立てる部分が大きくなります。

    厚生年金保険に加入している人との違い

    一方、厚生年金保険や共済組合に加入している人は、国民年金の第2号被保険者です。第2号被保険者は、国民年金基金に加入できません1。同じ年金でも、立場によって使える仕組みが違います。そこで、まず老後の生活費がどのくらいかを、公的な統計で確かめます。

    2. 家計調査に見る老後の生活費

    単身世帯の実収入と消費支出

    総務省統計局の家計調査(2025年平均)によると、高齢単身無職世帯の実収入は1か月131,456円です2。無職の世帯の平均であり、フリーランスが受け取る年金額を示す数字ではありません。

    同じ調査で、高齢単身無職世帯の消費支出は1か月148,445円、平均消費性向は125.3%でした2。平均消費性向が100%を超えているので、この平均では消費支出が可処分所得を上回っています。

    夫婦世帯の実収入と消費支出

    夫婦高齢者無職世帯では、実収入が1か月254,395円です2。消費支出は263,979円で、平均消費性向は119.2%でした2。単身世帯と同じく、100%を超えています。

    世帯の型ごとの金額

    単身世帯と夫婦世帯の数字を、世帯の型ごとに並べ直しました。見るのは、実収入、消費支出、平均消費性向の3つです。実収入と消費支出はどちらも1か月あたりの額で、平均消費性向は割合です。どの世帯でも、消費支出が実収入を上回っています。単位の違う数字が混ざっているので、金額どうしは同じ列の中で比べてください。

    世帯の型実収入(1か月)消費支出(1か月)平均消費性向
    高齢単身無職世帯131,456円2148,445円2125.3%2
    夫婦高齢者無職世帯254,395円2263,979円2119.2%2
    図1:収入と支出の長さ比べ(1か月あたり)
    高齢無職世帯の実収入と消費支出 単身・実収入 131,456円 単身・消費支出 148,445円 夫婦・実収入 254,395円 夫婦・消費支出 263,979円

    出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとに作成

    3. 実収入に含まれるもの

    実収入は年金だけの額ではない

    家計調査でいう実収入には、勤め先収入のほか、事業・内職収入、公的年金等の社会保障給付、財産収入などが含まれます2。前の節の131,456円や254,395円は、このすべてを合わせた平均です。

    自分の年金額とは読まない

    したがって、この平均をそのまま自分の年金額と読むのは避けます。年金の額は、保険料を納めた期間によって決まります。次の節で、国民年金の老齢基礎年金がいくらになるのかを確かめます。

    4. 老齢基礎年金の満額

    年額847,300円という額

    老齢基礎年金の年金額(満額)は、令和8年4月分から年額847,300円です3。この額は、昭和31年4月2日以後生まれの人に当てはまります。

    満額を受け取る条件

    満額を受け取れるのは、20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めた場合です4。納付していない期間や免除された期間があれば、その分だけ満額より少なくなります。

    図2:納付の期間と満額の関係
    40年間の納付と老齢基礎年金の満額 20歳 60歳 40年間すべて納付 老齢基礎年金 満額 年額847,300円

    出典:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」をもとに作成

    5. 生活費と年金を並べる

    月額の生活費と年額の年金

    生活費は家計調査の1か月の額、老齢基礎年金は年額で示されています。単位が違うので、計算でそろえる前に、それぞれの数字を元の単位のまま並べて眺めます。単身世帯の消費支出は148,445円2、夫婦世帯の消費支出は263,979円です2。老齢基礎年金の満額は、年額847,300円です3。

    ただし、家計調査の数字は無職世帯の平均です2。実収入には公的年金等のほかにも収入が含まれているため2、消費支出を老齢基礎年金だけで賄えるかどうかは、この数字だけでは決まりません。

    元の単位のままの3つの数字

    表2は、単身世帯の消費支出、夫婦世帯の消費支出、老齢基礎年金の満額を、出典に書かれた単位のまま並べたものです。生活費の統計は世帯ごとの平均、年金額は制度上の額と、数字の性質が異なるためです。自分の暮らしに近い行を見て、次に取る確認を考える材料にします。

    項目額単位
    高齢単身無職世帯の消費支出148,445円21か月
    夫婦高齢者無職世帯の消費支出263,979円21か月
    老齢基礎年金の満額847,300円3年額

    老齢基礎年金の満額は、40年間の保険料をすべて納めた場合の額です4。納付の月数が40年に届かなければ、表2の満額は自分の額とは異なります。

    6. 上乗せの制度の位置づけ

    付加年金

    老齢基礎年金に上乗せする仕組みの1つが、付加年金です。付加保険料を納めた期間がある場合、200円に付加保険料納付月数を乗じた額が、老齢基礎年金(年額)に上乗せされます4。

    国民年金基金

    国民年金基金に加入できるのは、自営業者やフリーランスなどの国民年金の第1号被保険者などです1。年金は、65歳から生涯受け取る終身年金が基本です1。

    制度ごとの位置づけ

    表3は、老齢基礎年金と2つの上乗せの制度について、資料に書かれた内容だけを整理したものです。掛金の上限や、受け取り額が掛金に見合うまでの年数は、この記事では扱いません。iDeCoの加入と受け取り方は、別の記事で扱っています。

    制度内容対象
    老齢基礎年金満額は年額847,300円340年間の保険料をすべて納めた場合に満額4
    付加年金200円に付加保険料納付月数を乗じた額が上乗せ4付加保険料を納めた期間がある場合
    国民年金基金65歳から生涯受け取る終身年金が基本1第1号被保険者などが加入できる立場1
    図3:基礎の上に重ねる上乗せの層
    老齢基礎年金に重ねる上乗せの制度 国民年金基金 終身年金が基本 付加年金 200円×付加保険料納付月数 老齢基礎年金 満額は年額847,300円

    出典:日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」、厚生労働省「国民年金基金制度」をもとに作成

    上乗せの制度は、老齢基礎年金に重ねるものです。土台にあたる老齢基礎年金の額を確かめたうえで、次の節で選ぶ順番を整理します。

    7. 老後資金を考える順番

    確かめる順番

    最初に確かめるのは、自分の保険料の納付月数です。満額の老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めた場合の額です4。納付の状況が分かれば、表2の847,300円3が自分にどのくらい当てはまるかを判断できます。

    次に、満額と生活費を並べます。単身世帯の消費支出は1か月148,445円で、平均消費性向は125.3%でした2。老齢基礎年金の満額は年額847,300円です3。単位が違う2つの数字を、元の単位のまま見比べます。

    最後に、上乗せの制度を選びます。付加年金は付加保険料を納めた月数に応じて上乗せされ4、国民年金基金は第1号被保険者などが加入できる、終身年金が基本の制度です1。

    図4:老後資金を考える3つの手順
    老後資金を考える順番 1 納付月数の確認 満額の条件は40年間の納付 2 満額と生活費を並べる 年額847,300円と1か月の消費支出 3 上乗せの制度を選ぶ 付加年金・国民年金基金

    図の作成:Remogu編集部。公式資料の内容を手順として整理したもので、統計データではありません

    並べてから、選ぶ

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    冒頭の物差しに戻ります。家計調査では、高齢単身無職世帯の消費支出は148,445円、平均消費性向は125.3%でした2。老齢基礎年金の満額は年額847,300円です3。生活費と年金を同じ物差しで並べると、上乗せが要るかどうかが見えます。

    8. よくある質問

    家計調査の実収入は年金の額ですか

    いいえ、年金の額ではありません。家計調査の実収入には、勤め先収入のほか、事業・内職収入、公的年金等の社会保障給付、財産収入などが含まれます2。年金だけの額として読まないでください。

    老齢基礎年金の満額は、誰でも受け取れますか

    満額を受け取れるのは、20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めた場合です4。納付していない期間や免除された期間があれば、満額より少なくなります。

    国民年金基金は、厚生年金保険に加入している人も入れますか

    入れません。厚生年金保険や共済組合に加入している人(国民年金の第2号被保険者)は、国民年金基金に加入できません1。加入できるのは、自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者などです1。

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    出典・参考情報

    *1 厚生労働省「国民年金基金制度」(2026年・2026年10月確認)
    *2 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」(2026年・2026年10月確認)
    *3 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」(2026年4月・2026年10月確認)
    *4 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」(2026年9月・2026年10月確認)
    *5 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能