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    定率法は届け出ないと使えない?フリーランスエンジニアの減価償却と定額法との違い

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「減価償却の定額法と定率法」を示す図です。定額法/毎年同額/定率法/初めほど多いを並べています。強調しているのは定率法です。

    📘 この記事でわかること

    • 定額法と定率法で毎年の償却費の動き方が変わることと、届出がなければ法定の方法(一般的には定額法)で計算されるしくみ
    • 国税庁の具体例(取得価額100万円・耐用年数10年)で、1年目の償却費が定額法10万円と定率法20万円に分かれる目安
    • 年の途中で取得した場合の月割り計算と、方法を変えるときに3月15日までに申請して承認を受ける流れ

    案件で使うノートパソコンを買い替え、減価償却の方法を調べました。定額法と定率法があると知りましたが、自分がどちらで計算するのか、定率法にするには何をすればよいのかが分かりませんでした。届け出なければ、法定の償却方法(一般的には定額法)で計算します。

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    1. 減価償却は、取得に要した金額を各年の必要経費に配分する手続きです

    減価償却資産とは

    業務のために使う建物や機械装置、器具備品、車両運搬具など、時の経過とともに価値が減っていく資産を、減価償却資産といいます1。

    必要経費に配分する期間と、その手続き

    減価償却資産の取得に要した金額は、使用可能期間の全期間にわたって分割し、必要経費にしていきます。この使用可能期間に当たるものとして、法定耐用年数が財務省令の別表に定められています2。

    つまり減価償却とは、取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です3。

    この配分の方法には、定額法と定率法があります。

    減価償却の基本を、表1にまとめます。

    項目内容
    減価償却資産時の経過などで価値が減っていく、業務用の建物・機械装置・器具備品・車両運搬具など
    配分する期間(法定耐用年数)財務省令の別表に定められている使用可能期間
    手続取得に要した金額を一定の方法で各年分の必要経費として配分していくこと

    2. 平成19年4月1日以後に取得した資産は、定額法か定率法で償却します

    定額法や定率法などで、1円まで償却する

    平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産は、定額法や定率法などの償却方法で減価償却を行います4。あわせて、償却可能限度額と残存価額が廃止され、1円まで償却します10。

    その後の制度改正

    平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産は、定率法の償却率等が改正されています16。また、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備や構築物は、償却方法が定額法になります5。

    償却方法の決まりの移り変わりを、図1に示します。

    図1:償却方法の決まりの移り変わり
    償却方法の決まりの移り変わり 平成19年4月1日以後 定額法・定率法など 1円まで償却 平成24年4月1日以後 定率法の償却率等を 改正 平成28年4月1日以後 建物附属設備・構築物は 定額法

    出典:国税庁No.2100「減価償却のあらまし」、No.2106「定額法と定率法による減価償却」をもとに作成

    では、届出をしなかった場合は、どちらの方法で計算するのでしょうか。

    3. 届け出なければ、法定の償却方法(一般的には定額法)で計算します

    償却方法は種類ごとに選んで届け出る

    まず、償却方法は、財務省令の別表に定められている減価償却資産の種類ごとに選びます。この場合、償却方法を選んだことの届出が必要です6。

    新たに業務を始めた場合の届出期限

    新たに業務を始めた場合は、償却方法を選んで、その翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出なければなりません7。

    届出がない場合の法定の償却方法は、一般的には旧定額法または定額法です8。

    では、定額法と定率法は、それぞれどのような動きで償却費が決まっていくのでしょうか。

    4. 定額法は毎年同額、定率法は初めの年ほど多くなります

    定額法は、償却費の額が原則として毎年同じです

    定額法は、償却費の額が原則として毎年同額になる方法です11。取得価額に、資産の種類ごとに定められた定額法の償却率を掛けて、各年分の必要経費に計上する額を出します。

    定率法は、初めの年ほど多く、年とともに減っていきます

    一方、定率法は、償却費の額が初めの年ほど多く、年とともに減少する方法です12。

    ただし、定率法の償却率で計算した額が、償却保証額に満たなくなった年分以後は、毎年同額に切り替わります12。償却保証額は、取得価額に、耐用年数に応じた保証率を掛けて出す金額です15。

    計算のしかたを表で比べます

    計算のしかたは、定額法が「取得価額×定額法の償却率」、定率法が「未償却残高×定率法の償却率」です。定率法で、調整前の償却額が償却保証額に満たなくなった年分以後は、「改定取得価額×改定償却率」で計算します13。表2に、方法ごとの償却費の動きと計算のしかたをまとめました。

    方法償却費の動き計算のしかた
    定額法原則として毎年同額取得価額×定額法の償却率
    定率法初めの年ほど多く、年とともに減少(償却保証額に満たなくなった年分以後は毎年同額)未償却残高×定率法の償却率(償却保証額に満たなくなった年分以後は改定取得価額×改定償却率)

    次の節では、国税庁が示している具体例の数字で、2つの方法の1年目の償却費を比べます。

    5. 国税庁の具体例では、1年目の償却費は定額法10万円、定率法20万円です

    取得価額100万円・耐用年数10年の例

    国税庁は、取得価額100万円、耐用年数10年の資産を1年間業務に使用した場合の具体例を示しています17。この条件で1年目の償却費の額を計算すると、定額法は100,000円、定率法は200,000円になります17。

    定率法の償却率・改定償却率・保証率

    同じ具体例で、定率法の償却率は0.200です18。

    この例では、改定償却率が0.250、保証率が0.06552、償却保証額が65,520円と示されています18。未償却残高に償却率を掛けた額が、この65,520円を下回った年分以後は、改定取得価額に改定償却率を掛けて計算する形に切り替わります13。

    図2:1年目の償却費(取得価額100万円・耐用年数10年・1年間業務に使用した具体例)
    定額法 100,000円 定率法 200,000円

    出典:国税庁No.2106「定額法と定率法による減価償却」の具体例をもとに作成

    次の節では、年の途中で機器を購入した場合の計算と、方法を変更するときの手続きを取り上げます。

    6. 年の途中で買ったときは月数で割り、方法を変えるときは申請します

    年の途中で取得した場合は、月数で割ります

    資産を年の途中で取得した場合などは、計算した金額を12で割り、その年に業務に使っていた月数を掛けた金額になります14。

    方法を変更するときは、3月15日までに申請します

    減価償却の方法を変更しようとするときは、変更しようとする年の3月15日までに所轄の税務署長に申請書を提出し、その承認を受ける必要があります9。方法を変えるときの流れを、図3に示します。

    図3:方法を変えるときの流れ
    変更しようとする年の3月15日までに 申請書を提出する 所轄の税務署長の承認を受ける 変更後の方法で計算する

    出典:国税庁No.2100・No.2106をもとに作成

    次の節では、ここまで確かめてきたことを3つの視点に整理します。

    7. 減価償却の方法を決める前に、3つを確かめます

    減価償却の方法を決める前に確かめる3つを、表3にまとめます。

    確かめること内容
    届出をしたか届け出ていなければ、法定の償却方法(一般的には旧定額法または定額法)で計算します8
    年の途中で使い始めたか計算した金額を12で割り、業務に使っていた月数を掛けた金額になります14
    変更するなら申請したか変更しようとする年の3月15日までに申請書を提出し、承認を受けます9

    確かめる順番を、図4に示します。

    図4:確かめる順番
    1 届出をしたか なければ法定の方法(一般的には定額法)になります 2 年の途中で使い始めたか 12で割り、業務に使った月数を掛けて計算します 3 変更するなら申請したか 3月15日までに提出し、承認を受けます

    図の作成:Remogu編集部。ここまでの内容を確認の順番として整理したもので、統計データではありません

    最初に、案件で使うノートパソコンを買ったときの疑問に戻ります。減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を、一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です3。平成19年4月1日以後に取得した資産は、定額法や定率法などの方法で償却します4。償却方法は、財務省令の別表に定められている種類ごとに選び、選定の届出が必要です6。新たに業務を始めた場合は、その翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出ます7。

    届け出なければ、法定の償却方法(一般的には定額法)で計算します8。定率法を選ぶなら、業務を始めた翌年の3月15日までに届け出ます7。

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    出典・参考情報

    *1 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」概要(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *2 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」概要(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *3 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」概要(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *4 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」償却方法(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *5 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」償却方法(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *6 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」償却方法の選定(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *7 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」償却方法の選定(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *8 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」償却方法の選定(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *9 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」償却方法の選定(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *10 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」概要(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *11 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」定額法と定率法の特徴(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *12 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」定額法と定率法の特徴(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *13 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」計算方法(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *14 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」計算方法の注1(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *15 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」計算方法の注2(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *16 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」概要の注(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *17 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」具体例(2026年4月1日・2026年9月確認)
    *18 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」具体例(2026年4月1日・2026年9月確認)