【現金主義】フリーランスエンジニアの青色申告で入金した日に計上できる条件と届出の期限
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 原則として収入すべき権利が確定した金額を計上することと、前々年の所得が300万円以下の青色申告者なら届出で現金主義を選べること
- 届出書は使いたい年の3月15日までに出す必要があることと、選ぶと55万円の青色申告特別控除は受けられなくなること
- 振込や手形など受け取り方ごとに計上する日が違うことと、年末に残る売掛金はその年の収入にならないこと
12月に納品した案件の報酬が、翌年の1月に振り込まれました。売上をどちらの年に入れるのか迷い、入金した日で計上できる方法があると聞きましたが、条件も手続きも分かりませんでした。現金主義は、前々年の所得が300万円以下で、届出をした青色申告者が使えます。
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1. 原則は、収入すべき権利が確定したときに計上します
受け取っていなくても、収入になる金額があります
その年の収入として計上する金額は、原則として、年末までに現実に受け取っていなくても、収入すべき権利が確定した金額になります3。
入金が翌年になっても、原則の基準では、受け取った日ではなく、収入すべき権利が確定した金額で計上します3。
青色申告者は、別の数え方を選べます
一方で、青色申告をしている場合は、収入や必要経費を計上する時期を、現金の出し入れを基準にして計算する方法を選べることがあります1。これが現金主義による所得計算の特例です。
対象になるのは、前々年分の事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下の青色申告者です1。この特例を使うには、届出が必要です1。原則と現金主義の違いを、表1にまとめます。
| 区分 | 計上の基準 | 使える人 | 手続き |
|---|---|---|---|
| 原則 | 収入すべき権利が確定した金額3 | 届出をしていない場合 | 不要 |
| 現金主義 | 現実に現金を受け取った時4 | 前々年の事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下の青色申告者1 | 届出が必要1 |
2. 現金主義を使えるのは、前々年の所得が300万円以下の青色申告者です
条件は、前々年の所得の合計額で決まります
青色申告者で、前々年分の事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下の場合は、届出をすることで、現実に現金を受け取った時を総収入金額の計上時期にできます4。基準になるのは、今年ではなく前々年の所得の額です。
もっとも、事業所得や不動産所得ではなく業務に係る雑所得の場合は、前々年分の収入金額が300万円以下であれば、その年に収入した金額と支出した費用の額で計算できます7。使える条件の2つを、図1に示します。
出典:国税庁「現金主義」(令和7年分よくある質問)をもとに作成
3. 届出書は、使いたい年の3月15日までに出します
期限は、特例を使いたい年の3月15日です
現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書は、特例を受けようとする年の3月15日までに、納税地の所轄税務署長へ出します5。1月16日以後に新たに開業した場合は、開業した日から2か月以内です5。
提出期限が土曜日や日曜日、祝日などにあたるときは、その翌日が期限になります6。
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4. 現金主義を選ぶと、55万円の青色申告特別控除は受けられません
55万円の青色申告特別控除との関係
現金主義による所得計算の特例を選んでいる人は、55万円の青色申告特別控除を受けられません2。
決算書は、現金式簡易帳簿にもとづいて作ります
国税庁は、現金主義で青色申告をする営業所得者を中心に、「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」を出しています8。
手引きは、現金式簡易帳簿にもとづいて決算書を作るための決算の仕方と、決算書の書き方を説明しています8。控除と決算書の扱いを、表2にまとめます。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 青色申告特別控除 | 55万円の控除は受けられません2 |
| 決算書の作り方 | 現金式簡易帳簿にもとづいて作ります8 |
5. 振込は振り込まれた日、手形は支払を受けた日の収入です
収入になるのは、本年中に実際に入金した金額です
現金主義による場合の収入金額は、本年中に実際に入金した商品の売上代金や請負代金などです9。受け取り方によって、収入になる日が変わります。
受け取り方によって、計上する日が違います
まず、小切手で受け取った場合は、受け取ったときの収入金額になります10。手形で受け取った場合は、受け取ったときではなく、支払を受けたときや、割り引いたときなどの収入金額になります11。
預金口座に直接振り込まれた金額も、振り込まれたときが収入になる日です12。こうした受け取り方ごとの計上日を、図2に示します。
出典:国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」をもとに作成
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6. 現金主義では、年末の売掛金はその年の収入になりません
売掛金や未収入金は、年末の時点では収入になりません
現金主義では、年末の時点で売掛金や未収入金として残っている金額は、本年分の収入金額になりません13。
前年以前の売上代金と前受金も、受け取った時期で決まります
前年以前の売上代金であっても、本年中に実際に入金があった金額は、本年分の収入金額になります14。前受金として受け取った金額も、受け取ったときの収入金額になります15。
助成金なども、雑収入として計上します
国や地方公共団体などから事業に関連して支給を受けた助成金等で、非課税とされないものは、雑収入として事業所得の収入金額になります16。
ここまでの内容を、12月の納品から1月の入金までの流れとして、図3に示します。
出典:国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」をもとに作成
7. 現金主義を使う前に、3つを確かめます
使う前に確かめる3つ
ここまでの内容を、使う前に確かめる3つの点としてまとめます。
一つ目は、前々年分の事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下かどうかです4。
二つ目は、その年の3月15日までに届出書を出したかどうかです5。
三つ目は、55万円の青色申告特別控除を受けられなくなっても良いかどうかです2。
3つの確認事項を、表3にまとめます。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 前々年の所得 | 事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下か4 |
| 届出書の提出 | その年の3月15日までに出したか5 |
| 特別控除への影響 | 55万円の青色申告特別控除を受けられなくなっても良いか2 |
3つを確かめる順番を、図4に示します。
図の作成:Remogu編集部。使う前に確かめる3つの点を整理したもので、統計データではありません
ここまでの内容を、冒頭の場面に戻って整理します。
原則は、収入すべき権利が確定した金額で計上します3。前々年分の事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下の青色申告者は、届出をすることで、現実に現金を受け取った時を計上時期にできます4。これが現金主義による所得計算の特例です1。
届出は、特例を受けようとする年の3月15日までです5。現金主義を選ぶと、55万円の青色申告特別控除は受けられません2。
現金主義は、前々年の所得が300万円以下で、届出をした青色申告者が使えます。使うなら、その年の3月15日までに届出書を出します。
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出典・参考情報
*1 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(注1)の注記(2026年4月1日・2026年9月確認)
*2 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(注1)(2026年4月1日・2026年9月確認)
*3 国税庁「現金主義」現金主義(2025年・2026年9月確認)
*4 国税庁「現金主義」現金主義(2025年・2026年9月確認)
*5 国税庁「現金主義」現金主義(2025年・2026年9月確認)
*6 国税庁「現金主義」現金主義の注記(2025年・2026年9月確認)
*7 国税庁「現金主義」現金主義(2025年・2026年9月確認)
*8 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」冒頭(2025年10月1日・2026年9月確認)
*9 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」Ⅱ 収入金額の整理(2025年10月1日・2026年9月確認)
*10 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」Ⅱ 収入金額の整理(2025年10月1日・2026年9月確認)
*11 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」Ⅱ 収入金額の整理(2025年10月1日・2026年9月確認)
*12 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」Ⅱ 収入金額の整理(2025年10月1日・2026年9月確認)
*13 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」Ⅱ 収入金額の整理(2025年10月1日・2026年9月確認)
*14 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」Ⅱ 収入金額の整理の注記(2025年10月1日・2026年9月確認)
*15 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」前受金(2025年10月1日・2026年9月確認)
*16 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(現金主義用)」雑収入(2025年10月1日・2026年9月確認)