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    社内SEの案件で部門の間に立つ、4つの場面

    「間に立つ場面は4つ」を示す図です。責任が外にある/進め方が違う/社内と外が混ざる/役割が未定義を並べています。強調しているのは役割が未定義です。だから自分で書くと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 部門間の連携が弱く、成果の責任が外側に置かれやすい実態と、そこで確認しておきたい進め方
    • アジャイルの取入れも内製化も部門によって足並みがそろっていない現状と、その間に立つ動き方
    • 求められる人材像が言語化されていない現状だからこそ、自分の持ち場を書いて示す意味と型

    社内SEの案件情報を開くと、業務範囲の記載がとても短いことがあります。要件定義から運用まで、部門をまたいだ調整までひとまとめに書かれ、どこまでが引き受ける範囲なのか判然としません。IPAの調査では、日本企業は経営層・IT部門・事業部門の連携が米独と比べて著しく弱く、サイロ化が進んでいると示されています1。この記事では、その調査結果をもとに、案件で実際に問われている役割を4つの場面に分けて整理します。

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    1. 社内SEの案件が「間に立つ仕事」になっている背景

    部署ごとに閉じた依頼が、案件の入り口になっている

    案件の説明を読んでも、誰の依頼で何を実現したいのか、全体像が掴みにくいと感じる場面があります。IPAの調査によれば、日本企業は経営層・IT部門・事業部門の連携が米独と比べて弱く、サイロ化が進んでいます1。案件情報が曖昧に見えるのは、依頼する側でも全体像が十分に共有されていないことが背景にあるといえます。まずこの前提を知っておくと、情報の少なさに戸惑う場面が減ります。

    さらに同じ調査では、日本企業のDXは全社的な視点よりも、個別の業務プロセスを改善する「部分最適」に留まる傾向が示されています2。部署の中だけで完結する改善が優先されやすいため、部署をまたぐ調整は特定の誰かに集中しやすくなります。その役を、部門の外から加わる案件担当者が担う場面が増えているのが実情です。改善そのものが問題なのではなく、範囲の広げ方が課題として残っているという整理です。

    特定の技術をどれだけ深く扱えるかよりも、部署の間に立って要件を束ね、決めごとを前に進める動きのほうが、この種の案件では評価されやすくなります。図1は、経営層・IT部門・事業部門の間が空いている状態と、そこに立つ役割の位置づけを整理したものです。

    図1:経営層・IT部門・事業部門の間が空いている状態
    経営層 DXの方針を示す IT部門 仕組みを作る 事業部門 現場で使う 連携が弱い 連携が弱い 部門の間に立つ人 頼まれごとを整理し、進め方を決めていく

    図の作成:Remogu編集部。部門間の連携の弱さと、間に立つ役割の位置づけを整理したもので、統計データではありません

    次章では、この「間に立つ」働き方が最初に問われる場面——成果の責任がIT部門の外に置かれているという状況——から具体的に見ていきます。

    2. 場面1|成果の責任が、IT部門の外にあるとき

    誰が責任を持ち、誰が作るのかを最初に確かめる

    要件を詰めて実装まで進めても、最終的な承認が誰から出るのか分からず、後戻りが増えることがあります。調査では、定性的な成果指標についてIT部門が達成責任部門である割合は、事業部門やDX推進部門と比べて低いという結果が示されています3。これは成果への向き合い方が事業側に厚く配分されているという整理であり、IT部門の関わりが軽んじられているという話ではありません。

    つまり、要件を作る人と、その成果に責任を持つ人が、最初から別の部署に分かれている案件が一定数あるということです。参画の初期に「誰が何の責任を持っているか」を項目ごとに言葉で確認しておく型が、ここで役立ちます。曖昧なまま進めるよりも、先に確認しておくほうが後の手戻りを防ぎやすくなります。

    確認しておきたい責任の所在

    責任の所在をあとから確かめようとすると、案件が進んでからの手戻りにつながりやすくなります。参画が決まった直後の面談で、成果の評価基準や承認の流れ、報告の相手、仕様変更が起きたときの判断者を、それぞれ誰に確認すればよいかをあらかじめ言葉にしておくと、進め方の見通しが立てやすくなります。次の表は、確認しておきたい項目とその相手、確認のタイミングを整理したものです。

    確認する項目確認する相手確認のタイミング
    成果の評価基準事業部門の担当者参画前の面談
    要件の最終承認者プロジェクトの発注担当要件を固める前
    進捗の報告先IT部門の担当者稼働開始の初回
    仕様変更が起きたときの判断者クライアントとの協議変更が発生した都度

    表にある項目を参画初期の面談で一つずつ言葉にしておくと、後から「思っていた話と違う」という食い違いが起きにくくなります。責任の所在を先に言葉にできる案件ほど、任される範囲も明確になりやすい傾向があります。

    責任の置き所が分かったら、次に確かめておきたいのは、その責任を果たすための「進め方」が部門ごとにそろっているかどうかです。

    3. 場面2|進め方が部門ごとにそろっていないとき

    「決め方の決め方」から入る仕事がある

    部署によって要件の決め方も承認のタイミングもばらばらで、同じ案件の中でやり方を二重に覚える必要が出ることがあります。調査では、アジャイルの原則とアプローチの取入れについて、一部取り入れているを含めても、一番進んでいるIT部門で5割弱にとどまると示されています4。最も進んでいる部門でもこの水準ということは、部門間でやり方がそろっていない状態を前提に案件へ入ったほうが動きやすくなります。

    図2:部門ごとに進め方がそろっていない状況
    IT部門|5割弱 全体の半分 取り入れていない 全社の標準 全社の標準化までは、まだ距離があります

    出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)をもとに作成

    決まったやり方に沿って手を動かすことよりも、「このプロジェクトではどう決めるか」を最初に部門間ですり合わせる動きのほうが、参画直後の案件では価値を持ちます。プロセスの巧拙よりも、決め方そのものを言語化して共有できるかどうかが問われる場面です。アジャイルを取り入れること自体が目的ではなく、決め方をそろえる手段のひとつとして選ばれているにすぎません。

    進め方がそろっていない状態は、体制そのものが「内製」と「外部」の間で揺れていることとも重なります。次の場面では、その混ざり方を具体的に見ていきます。

    4. 場面3|社内と外が混ざる体制のとき

    内製化は進行中で、外部の関わりも同時に続く

    「この会社は内製化を進めているから、外部の出番は減っていくのでは」と感じる場面があります。調査では、DXに取組んでいる企業ほど内製化を進めているという整理が示されています5。一方で、コア事業や競争領域のソーシング手段では、日本は外部委託による開発の回答率が4割弱で最も多いという結果も出ています6。内製化を進める企業でも、外部への委託は同時に続いているということです。

    さらに、「必要な部分は内製化済みなので、現在は進めていない」という回答は日本で16.7%にとどまり、これは米国・ドイツの半分以下です7。つまり内製化は完了した状態ではなく、途中の状態が長く続くという前提で読むほうが実態に近いといえます。外部の関わりが今後も続く体制だと考えておくと、案件選びの見通しが立てやすくなります。

    図3:「必要な部分は内製化済み」と回答した企業の割合
    日本 16.7% 米国・ドイツ 日本より高い割合

    出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)をもとに作成

    内製化が完了しているかどうかを気にするよりも、いま混ざっている体制の中で誰が何を担っているかを確かめるほうが、案件選びでは実用的です。

    内製と外部委託が混ざる体制で確かめること

    内製と外部委託が混ざった体制では、担当の境目があいまいなまま案件が進みやすくなります。どの領域がすでに内製で進んでいるか、どの領域が外部委託を続けているか、内製化の計画がいつ動き出すか、引き継ぎの想定があるかを、参画前にひとつずつ確認しておくと、任される範囲の輪郭と、関われる期間の見立てがはっきりします。次の表は、確かめておきたい項目とその視点、分かることを整理したものです。

    確認する項目確認する視点確認できると分かること
    どの領域が内製で進んでいるか担当チームの構成自分が担う範囲の輪郭
    どの領域が外部委託を続けているか発注の経緯継続して関われる期間の見立て
    内製化の計画があるか今後のロードマップ求められる役割が変わる時期
    引き継ぎの想定があるか契約の期間契約更新時に確認しておきたい事柄

    体制が混ざっている状態は珍しいことではなく、むしろ標準に近い状態です。確認する項目を先に持っておくと、参画してから戸惑う場面を減らせます。

    体制が混ざっている状態が続くとして、次に気になるのは、その中で自分に求められる役割がどこまで言葉にされているかという点です。

    5. 場面4|求められる役割が、言語化されていないとき

    「過不足はない」という回答は、日本で際立って少ない

    案件の説明を読んでも、求められている経験や役割の輪郭がつかめないことがあります。調査では、DXを推進する人材の「質」について「過不足はない」と回答した企業の割合は、日本3.8%、米国52.9%、ドイツ25.1%と示されています8。社内だけで質の面が満たされているという回答が少ないということは、外部から関わる人材が入る余地が広いという読み方ができます。

    図4:DXを推進する人材の「質」に過不足はないと回答した割合
    日本 3.8% 米国 52.9% ドイツ 25.1%

    出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(2025年6月26日)をもとに作成

    さらに、DXを推進する人材像を設定し社内に周知しているかという問いでは、日本は「設定していない」という回答割合が非常に大きいと示されています9。求められる人材像そのものが言葉になっていないのなら、その言葉を担当者に代わって示すことが、案件選びの決め手になります。輪郭がない場所には、先に言葉にした人の形がそのまま残りやすいものです。

    ここで効いてくるのが、自分の経験を「層」に分けて言語化する型です。技術の操作経験だけでなく、意思決定にどこまで関わったかを層ごとに書き出すと、案件の担当者にとって輪郭が伝わりやすくなります。操作した経験を並べるよりも、判断に関わった経験を一つ添えるほうが、伝わり方は大きく変わります。

    社内SEの経験を4つの層で言語化する

    経験を書き出すとき、「〇〇を運用した」「〇〇に対応した」という動作の記録だけでは、判断にどこまで関わったかが伝わりません。ツールを操作した層、部門間を調整した層、判断を担った層、基準を文書として残した層の4つに分けて書き直すと、同じ経験でも案件の担当者に伝わる情報量が増えます。次の表は、層ごとの内容と書き方の例を整理したものです。

    内容書き方の例
    操作層ツールや基盤を動かす経験「〇〇の運用を担当」ではなく「〇〇の運用ルールを設計」
    調整層部門間の要望をすり合わせる経験「調整した」ではなく「どの基準で優先順位を決めたか」
    判断層責任者に代わって選択肢を絞る経験「提案した」ではなく「どの案をどんな理由で選んだか」
    言語化層役割や基準を文書に残す経験「対応した」ではなく「どんな基準を新たに文書にしたか」

    層に分けて書き出した言葉は、参画後の会話でも使えます。求められる人材像が決まっていない案件ほど、自分から示した言葉がそのまま役割の定義になっていく場面があります。まず自分の経験をこの4つの層で棚卸ししてみることが、次の案件を選ぶ準備になります。

    6. まとめ

    社内SEの案件で問われているのは、特定の技術をどれだけ深く扱えるかよりも、部門の間に立って決めごとを進められるかという点です。成果の責任の置き所、進め方のそろい方、内製と外部が混ざる体制、そして言語化されていない人材像——4つの場面はどれも、「間が空いている」という同じ背景から生まれています。

    間が空いているということは、そこに立てる人の居場所があるということでもあります。求められる役割が言葉になっていないのなら、自分の経験を層に分けて先に言葉にしてしまう。これが、案件選びで迷ったときの一番実用的な手がかりになります。

    まずは自分に合う案件がどんな条件で募集されているかを確かめてみることから始められます。Remoguは案件の90%以上がフルリモート可能で10、リモートワークに特化したエンジニアマッチングです。登録して自分の経験に近い案件の条件を見るところから、次の一歩を選んでいけます。

    7. よくある質問

    内製化が進むと外部の出番は減るのか

    DXに取組む企業ほど内製化を進めている一方で5、コア領域でも外部委託の回答率が4割弱で最も多く6、「必要な部分は内製化済み」という回答は日本で16.7%にとどまります7。内製化が進むことと外部の関わりが続くことは、同時に起きている状態です。出番が一律に減っていくと決めつけるより、どの体制で何を担うかを案件ごとに確かめる動き方のほうが実態に近くなります。

    社内SEの経験は案件でどう見られるのか

    「社内SEの経験は伝わりにくいのでは」と感じる場面があるかもしれません。調査では、DXを推進する人材像を設定し周知している割合について、日本は「設定していない」という回答が非常に大きいと示されています9。求められる役割そのものが言語化されていない現状があるからこそ、経験を層に分けて自分の言葉で示すことが、伝わる入り口になります。

    曖昧な依頼を次々引き受ける状態を避けるには

    部署ごとに閉じた依頼が飛んでくる背景には、部門間の連携の弱さがあります1。曖昧な依頼を際限なく引き受ける流れを避けるには、参画の初期に「誰が何の責任を持っているか」を項目で確認し、担当する範囲を層に分けて言葉にしておくことが役立ちます。役割を先に言葉にしておくほど、依頼の輪郭も定まりやすくなります。

    情シスとDX推進部門のどちらに近い案件を選ぶか

    調査では、定性的な成果指標についてIT部門が達成責任部門である割合は、事業部門やDX推進部門と比べて低いという結果が示されています3。情シスに近い案件では既存の仕組みを整える動きが、DX推進部門に近い案件では成果の責任を事業側とすり合わせる動きが求められやすくなります。自分の経験がどちらの動きに近いかを先に整理しておくと、案件を選ぶ基準になります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」日本のDXの特徴「連携が弱い」(2025年6月26日)
    *2 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」日本のDXの特徴「部分最適」指向(2025年6月26日)
    *3 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」成果指標の達成責任部門(図表1-28・1-29)(2025年6月26日)
    *4 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」アジャイルの原則とアプローチの取入状況(図表1-31)(2025年6月26日)
    *5 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」第2章の概要(2025年6月26日)
    *6 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」ソーシング手段の変化(図表2-13)(2025年6月26日)
    *7 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」システム開発の内製化(図表2-14)(2025年6月26日)
    *8 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」DXを推進する人材の「質」の確保(図表3-2)(2025年6月26日)
    *9 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」DXを推進する人材像の設定と周知状況(図表3-9)(2025年6月26日)
    *10 Remoguサイト公開情報(フルリモート可能案件の割合)