• ノウハウ
  • |Remogu(リモグ)" />

    建設DXの案件|図面ではなくデータを納品する要件

    「受け渡しの形が本体」を示す図です。受け渡すデータ/図面を並べています。強調しているのは受け渡すデータです。ここが成果物と添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 要領が定めているのは作り方ではなく受け渡しの形であることと、確かめたい論点が整合・属性・連携の3点に整理できること
    • 後工程まで見込んだ納品が必要になる場面があることと、重複するデータの置き場所は受発注者の協議で決まること
    • IFCやLandXMLのような形式は版や仕様が今後も更新されていくことと、建設DXの経験は工程ごとに書き出すと伝わりやすくなること

    建設DXの案件を打診されると、まず頭に浮かぶのは三次元モデルを組む技術です。けれど国土交通省が定める要領が扱っているのは、モデルの作り方ではなく受け渡しの形そのものです。整合や属性、後工程への連携まで含めて、何を、どの形式で、誰と決めて納めるかが問われます。案件に参画する前に確かめておきたい論点を、要領の記載に沿って整理します。

    リモートワーク案件特化のエージェント|Remogu(株式会社LASSIC運営) 3次元データ・GISに関わるリモート案件を、条件から探す フルリモートの案件を見る

    1. 要領が定めているのは、受け渡しの形

    建設DXの案件は、三次元モデルを組み上げる技術力が問われる仕事に見えます。実際に打診の場で示されるのも、モデリングの経験や扱えるデータの種類がほとんどです。けれど国土交通省が2025年3月に整理した要領を確かめると、主眼はモデルの精度ではなく、情報の受け渡し方そのものに置かれています。この違いに気づけるかどうかが、参画してから戸惑う場面を減らす分かれ目になります。

    目的は生産性向上そのものではなく、共有のしやすさ

    要領が掲げる目的は、建設事業で扱う情報をデジタルデータとして統合管理し、受発注者のデータ活用・共有を容易にすることだと示されています1。効率化や生産性向上はその先にある成果であり、まず整えるのは共有できる状態そのものです。三次元モデルを美しく仕上げることよりも、受け取った側がそのデータをすぐに使えるかどうかが、評価の軸になります。

    打診された案件で確かめたいのは、モデルの見た目の完成度よりも、発注者側が受け取った後にどう使えるかという視点です。作って終わりではなく、渡した先で活きる形になっているかどうかが評価の軸になります。この視点を持てているかどうかは、打診の段階でのやり取りの中にも自然に表れます。

    扱うデータは三次元モデルだけではない

    要領では、三次元モデルや点群データ、GISなど、目的に応じたデータやツールを活用して情報を統合管理すると示されています3。案件によって主役になるデータは変わり、三次元モデル単体で完結する仕事ばかりではありません。求められるデータの組み合わせは案件ごとに異なるため、どのデータが中心になるかを事前に確かめておく姿勢が役立ちます。

    点群データやGISの扱いに慣れてきた経験は、建設DXの案件でもそのまま生きる材料になります。三次元モデルの制作経験だけを基準に案件を見送る必要はありません。これまで別の分野で培ってきたデータ処理の経験を、建設DXという領域に接続できないかを考えてみる価値があります。

    図1:案件で扱うデータの3つの種類
    案件で扱うデータの3つの種類 三次元モデル 形状を表すデータ 点群データ 計測で得られる位置情報 GIS 地理空間の情報 統合管理 受発注者が共有・活用できる状態

    出典:国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」(2025年3月)をもとに作成

    受け渡す情報の枠組みがわかると、次に見えてくるのは仕事の内訳です。要領は仕事の中身を、大きく3つの項目に整理しています。この3項目を知っているかどうかで、打診の場での聞き取り方も変わってきます。

    2. 仕事の中身は、整合・属性・連携

    要領の目的がつかめたら、次に確かめたいのは実際に手を動かす中身です。三次元モデルをつくる作業そのものより、その周辺に広がる工程のほうが仕事の輪郭を決めます。ここを見落とすと、担当する範囲を実際より狭く見積もってしまいがちです。

    三次元モデルと二次元図面の整合

    要領は、三次元モデルと二次元図面の整合、属性情報の活用、プロセスを横断したデータ連携という項目で構成されていると示しています4。三次元の形状だけを仕上げる仕事ではなく、既存の二次元図面と食い違いがないかを合わせ込む工程が含まれます。図面とモデルの両方に目を配れるかどうかが、この仕事の実質的な範囲を決めます。

    属性情報の活用とは、形状に付随する名称や仕様などの情報を、後から検索・集計できる形で整えることを指します。見た目のモデルづくりより地味に見える工程ですが、発注者側の使い勝手を左右します。仕上がりの美しさよりも、後から扱いやすいかどうかのほうが、この工程では重視されます。

    プロセスを横断した連携

    プロセスを横断したデータ連携という項目も、要領が挙げる仕事の中身の1つです4。設計の段階でつくったデータが、施工や維持管理の段階でも読み込める状態になっているかが問われます。自分の担当工程だけで完結させる発想では、この項目を満たせません。

    打診の場でこの3項目を尋ねておくと、担当する範囲がモデリングだけなのか、整合や連携まで含むのかが早い段階で見えてきます。範囲があいまいなまま引き受けるより、先に輪郭をつかむほうが仕事は進めやすくなります。聞きにくいと感じる問いほど、先に確かめておく価値があります。

    打診の場で確かめておきたい問い

    要領が示す3つの項目を、打診の段階でそのまま問いに変えると、後からの手戻りを防ぎやすくなります。整合・属性・連携という言葉のままでは仕事の実感がつかみにくいため、具体的な問いの形に整理しました。次の表を、打診を受けたときの確認リストとして使えます。

    確認する観点具体的に尋ねる問い
    整合三次元モデルと二次元図面の食い違いは、どちらが直す想定か
    属性形状に付ける情報の項目は、誰がどこまで指定するか
    連携つくったデータは、次の工程のどの担当者が引き継ぐか

    この3つの問いに答えられる案件は、範囲があらかじめ整理されている案件だと判断できます。答えがあいまいな場合は、契約の前に確かめておく価値があります。答えを持たない先方であっても、問いを投げること自体が信頼につながる場面があります。

    3. 納品は、自分の工程の外まで見る

    仕事の中身が整理できたら、次に確かめたいのは納品の範囲です。自分が担当した工程の成果物だけを納めればよい、とは限りません。ここでも、視野を自分の作業の外まで広げられるかどうかが問われます。

    後工程で使われるデータも対象になる

    要領は、後工程での利活用が見込まれるデータも必要に応じて納品することと示しています5。自分の担当が終わった時点で完成とみなすのではなく、その先の工程で使われる想定があるかどうかを確かめる必要があります。納品物を渡した後の使われ方まで想像できるかが、この項目の理解を深めます。

    後工程まで見込んだ納品は、モデリングの技術より視野の広さが問われる場面です。自分の作業範囲だけに閉じた発想より、次に使う人の立場で考える発想のほうが評価につながります。渡した後の工程を思い浮かべながら作業を進める姿勢が、この項目では特に重視されます。

    見込みがあるかどうかは、事前に確かめる

    後工程での利活用が見込まれるかどうかは、案件ごとに異なります。打診の段階で、自分がつくるデータが維持管理などの後の工程でも使われる想定があるかを尋ねておくと、納品の範囲を見誤りにくくなります。想定の有無を確かめる一言が、後の手間を大きく左右します。

    見込みが不明なまま作業を始めると、納品の直前になって追加のデータを求められる場面が出てきます。範囲を早めに確かめておくことは、手戻りを防ぐ実務的な備えです。想定を確かめずに進めるより、最初に確認するほうが結果的に手間は少なくなります。

    図2:自分の工程の外まで見る納品の流れ
    自分の工程の外まで見る納品の流れ 調査・測量 現況の把握 モデル作成 三次元で表現 整合の確認 二次元図面と照合 納品 自分の担当分 後工程での利用 維持管理などで 使われる想定

    出典:国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」(2025年3月)をもとに作成

    納品する範囲を自分の工程の外まで広げて考える発想は、次に説明する重複の扱いにもつながります。範囲の広さと、置き場所の決め方は、切り離せない関係にあります。

    4. 重複する部分は、協議で決まる

    後工程まで見込んで納品する発想が身についても、同じデータを何度もつくるのは負担になります。要領はこの重複についても扱っています。重複を避ける仕組みを知っておくと、作業量を無駄に増やさずに済みます。

    重複して納品する必要はない

    要領は、双方に必要なデータについては重複して納品する必要はなく、受発注者が協議していずれかの置き場所に納品すればよいと示しています6。同じデータを二重につくる前提ではなく、置き場所を先に決めておく前提です。この一文を知っているかどうかで、作業量の見積もりは大きく変わります。

    置き場所が明文で1つに固定されているわけではなく、協議の対象として扱われています。案件ごとに事情が異なるため、この余地は進め方の分かれ目にもなります。決まっていない部分があると知っておくことが、混乱を防ぐ第一歩です。

    先に決めておくほうが手戻りが少ない

    重複するデータの置き場所は協議で決まる前提であるため、打診や参画の初期段階で先方に確かめておくと、後からつくり直す事態を避けやすくなります。初期段階での1つの問いが、後工程の負担を左右します。

    決め方を確かめずに作業を始めると、どちらの置き場所に納めるか判断できないまま作業が進み、二重につくることになりかねません。先に条件を確かめる姿勢のほうが、着手後に慌てるより負担は軽くなります。慌ててつくり直すより、最初に立ち止まって確かめるほうが結果は早くなります。

    先に決めておきたい受け渡しの条件

    協議で決まる部分があるとわかれば、何を先に確かめるかを具体的にしておくと安心です。重複が生じやすい場面を想定し、確かめておきたい条件を整理しました。次の表を、参画の初期に使う確認材料にしてください。

    条件確かめておきたいこと
    重複データの扱い双方に必要なデータをどちらの置き場所に納めるか
    決定のタイミング協議をいつ行うか、参画の初期か納品の直前か
    変更が生じた場合途中で置き場所の合意が変わったときの連絡の経路
    図3:重複するデータは協議で置き場所を決める
    重複するデータは協議で置き場所を決める 受け渡し先A Aのみで使うデータ 協議で決める 重複するデータの置き場所 受け渡し先B Bのみで使うデータ

    出典:国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」(2025年3月)をもとに作成

    重複の扱いが協議で決まるという前提を知っておくと、案件ごとの違いに戸惑う場面は減っていきます。前提を知っているかどうかが、案件への向き合い方を大きく変えます。

    5. 形式そのものが動いている

    受け渡す中身と置き場所の決め方がわかったところで、最後に確かめたいのは形式そのものの性質です。この要領は完成した固定のルールではありません。形式もまた、動き続けるものとして扱う必要があります。

    要領そのものが随時更新される前提

    要領は作成時点の取り組み状況に基づくものであり、対象範囲や内容を随時更新すると明記されています2。参画するときに確かめたいのは、いま手元にある版が最新のものかどうかという点です。更新される前提を知っているだけで、案件ごとの違いに落ち着いて対応できます。

    固定されたルールを一度覚えれば済む仕事ではなく、更新のたびに内容を確かめ直す仕事だと捉えると、実務での構えが変わります。丸暗記より、確かめる習慣のほうが長く役に立ちます。一度覚えた知識に頼るより、確かめ直す手間を惜しまないほうが、結果的に信頼につながります。

    納品形式の表記も見直されている

    IFCと呼ばれる形式は、これまでバージョンを明記した呼び方が使われてきましたが、新しい規格への対応が始まることから、バージョンを限定する表記は行わないことになったと示されています7。特定の版の名称を覚え込むより、呼び方自体が変わり得ると知っておくほうが実務では役立ちます。

    LandXMLと呼ばれる形式は、日本国内で必要な情報が不足していたことから、独自の内容とデータ形式を定めたものが用いられています8。国際的な規格をそのまま当てはめるのではなく、国内の実情に合わせて整えられている領域だとわかります。国際標準と国内独自の形式が併存している点も、この領域の特徴です。

    IFCは特定のソフトウェアに依存しないデータ記述形式であり、国際標準として承認されていると示されています9。特定の製品名を覚えることより、形式が持つ性質を理解しておくことのほうが、案件が変わっても応用が利きます。性質を理解しておけば、新しい案件に移っても知識をそのまま持ち越せます。

    経験を4つの層で書き出す

    形式そのものが動く前提だとわかると、経験を語るときも版や製品名に頼らないほうが安定します。案件で積んだ経験を、4つの層に分けて書き出す型を整理しました。次の表を、経験を棚卸しするときの型として使えます。

    書き出す内容
    扱ったデータ三次元モデル・点群データ・GISなど、実際に扱った種類
    担った工程整合の確認、属性情報の整備、後工程への連携のどこを担当したか
    納品の範囲自分の工程の外まで見込んだ納品があったかどうか
    更新への対応要領や形式の更新を確かめながら進めた経験があるかどうか
    図4:形式そのものが動く前提
    形式そのものが動く前提 表記が見直される 形式の呼び方が変わる 国内向けに整えられる 不足を補う形式が使われる 要領は随時更新される 今の版が最新とは限らない

    出典:国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」(2025年3月)をもとに作成

    版や形式の呼び方は今後も動きます。確かめる力は、覚えた知識の量よりも、更新を追いかける習慣に支えられます。この習慣こそが、案件を重ねるほど効いてくる資産になります。

    6. まとめ

    国土交通省の要領が定めているのは、三次元モデルの作り方ではなく、情報の受け渡し方でした1。扱うデータは三次元モデルだけでなく、点群データやGISにも広がっています3。この2点を押さえるだけでも、案件の見え方は変わります。

    仕事の中身は整合・属性・連携の3項目に整理され4、納品は自分の工程の外まで見込む場面があります5。重複するデータの置き場所は、受発注者の協議で決まります6。3つの項目と、置き場所の決め方を先に知っておけば、打診の場で戸惑う場面は減っていきます。

    形式そのものも、要領の随時更新や表記の見直しを通じて動き続けています2。覚えた知識の量より、確かめる習慣を持つ人のほうが、この領域では長く通用します。動く前提を受け入れられるかどうかが、この分野で長く働き続けられるかの分かれ目になります。

    リモートで進めやすい案件を探すなら、Remoguは案件の90%以上がフルリモート可能です10。まずは登録して、整合・属性・連携のどこに自分の経験が活きるか、条件を確かめてみるところから始められます。動く前提の領域だからこそ、確かめる一歩を早く踏み出す価値があります。

    7. よくある質問

    建設の知識がないと、この領域の案件には入れないのか

    要領が求めているのは、三次元モデルと二次元図面の整合、属性情報の活用、プロセスを横断したデータ連携という技術的な仕事の中身です4。建設現場の実務そのものではなく、データの受け渡しに関わる領域なので、これまでの経験がどこまで活きるかは、扱ってきたデータの種類によって変わります。

    点群データやGISを扱った経験があれば、要領が挙げるデータの種類と重なります3。打診の場で、自分が担当してきたデータの種類と、要領が示す項目のどこが重なるかを照らし合わせてみると、入りやすさが見えてきます。重なりが見つかった時点で、参画への距離はぐっと縮まります。

    どの形式を覚えておけば十分なのか

    形式の呼び方は、要領そのものが随時更新される前提で扱われています2。ある形式はバージョンを限定する表記を行わないことになり7、別の形式は日本独自の内容とデータ形式が用いられています8。特定の版を覚え込む発想とは相性がよくありません。

    確かめておきたいのは、個別の版の名称よりも、参画する案件で指定されている版がいまどれかという点です。案件ごとに最新の指定を確認する習慣のほうが、1回の暗記より長く役に立ちます。版そのものより、確認する動きを身につけておくことのほうが応用が利きます。

    成果物として納品する範囲はどこまでか

    後工程での利活用が見込まれるデータは、必要に応じて納品の対象に含まれます5。自分が担当した工程の成果物だけで完結するとは限りません。範囲を狭く見積もると、後から追加を求められる場面が出てきます。

    双方に必要なデータが重複する場合は、重複して納品する必要はなく、受発注者の協議でいずれかの置き場所に納めればよいと示されています6。範囲そのものが最初から固定されているわけではなく、協議を通じて決まっていく部分が含まれます。

    建設DXで積んだ経験は、どう書き出せば伝わるのか

    扱ったデータの種類、担った工程、納品の範囲、更新への対応という4つの層に分けて書き出すと、経験の中身が伝わりやすくなります。三次元モデルをつくったという一言だけでは、整合や連携までどこまで担当したのかが伝わりません。層に分けて語れるかどうかが、経験の伝わり方を左右します。

    まずは登録して、自分がこれまで積んできた経験がどの層に厚みを持つかを整理してみると、参画できる案件の幅が見えてきます。整理する作業そのものが、次の案件を選ぶときの土台になります。

    リモートワーク案件をお探しの方へ

    Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。

    BIM/CIMの案件は3次元モデルを作る仕事に見えます。まずは3次元データ・GISのリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。

    フルリモートの案件を見る30秒で無料登録

    会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料

    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」1-1 目的(2025年3月)
    *2 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」1-1 目的(2025年3月)
    *3 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」1-1 目的(解説)(2025年3月)
    *4 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」目次(2-3)(2025年3月)
    *5 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」2-5 成果物の納品(2025年3月)
    *6 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」2-5 成果物の納品(2025年3月)
    *7 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」2-5 成果物の納品(注記)(2025年3月)
    *8 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」2-5 成果物の納品(注記)(2025年3月)
    *9 国土交通省「BIM/CIM 取扱要領」2-5 成果物の納品(注記)(2025年3月)
    *10 Remoguサイト公開情報(フルリモート可能案件の割合)