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    フリーランスと正社員、どっちが得か|収入・安定・自由度を公的データで比較

    フリーランスと正社員の違いを示すアイキャッチ画像

    「フリーランスになろうかな」と思ったとき、最初に浮かぶのは不安だ。収入が安定しないかもしれない。社会保険が不利かもしれない。でも、その不安の中身を、数字で確かめた人は少ない。

    正社員のままでいることにも、実は見えにくいコストがある。場所を選べない。時間を選べない。スキルを活かす案件を自分で選べない。この記事では、フリーランスと正社員を公的データに基づいて比較し、あなた自身が判断できる材料を整理します。

    目次

    1. フリーランスと正社員、何が違うのか

    フリーランスと正社員の働き方の違いを示す図

    フリーランスと正社員の最大の違いは「労働契約の有無」です。正社員は会社と労働契約を結び、毎月定額の報酬と社会保障を受けます。フリーランスはクライアントと業務委託契約を結び、案件単位で報酬を得る個人事業主です。総務省「令和4年就業構造基本調査」によると、自営業主(フリーランスを含む)は全就業者の約10.5%を占め、多様な働き方が広がっています※1。あなたがどちらを選ぶかは、報酬水準だけでなく、自由度・安定性・キャリア設計の優先順位によって変わります。

    まず前提を整理します。「フリーランス」と「正社員」は、法律上の分類では次のように位置づけられます。

    1-1. 契約形態の基本的な違い

    比較項目 正社員 フリーランス
    契約形態 労働契約(労働基準法適用) 業務委託契約・請負契約
    報酬の受け取り方 毎月定額の給与(源泉徴収済み) 案件ごとの報酬(確定申告が必要)
    社会保険 会社が半額負担(健康保険・厚生年金) 国民健康保険・国民年金を全額自己負担
    就業場所・時間 原則として会社の指定に従う クライアントと協議して決める
    副業・複数案件 就業規則による(副業禁止の企業が多い) 原則として自由(複数クライアントも可)
    有給・退職金 法令に基づいて付与・支給される なし(自分で資産形成が必要)

    フリーランスと正社員の基本的な違いを整理した比較表です。最も重要な違いは「労働契約の有無」と「社会保険の負担構造」です。正社員は健康保険・厚生年金保険料を会社と折半できますが、フリーランスは全額を自己負担します。一方で、就業場所や時間の自由度はフリーランスが高く、複数の案件を並行して受けることも可能です。どちらが有利かは、収入水準・ライフスタイル・リスク許容度によって異なります。

    1-2. フリーランス人口の実態

    内閣府の調査(2021年)によると、国内のフリーランスは約462万人と推計されています※2。そのうちITエンジニア・クリエイター系が一定の割合を占め、特にリモートワーク案件の増加とともに、エンジニア領域でのフリーランス転身が加速しています。

    フリーランスと正社員は「どちらが優れているか」という問いに一つの答えはありません。それぞれの構造を理解した上で、自分のキャリアと生活設計に合わせて選ぶものです。では次に、最も気になる「お金の話」を数字で見ていきます。

    2. 収入・税・社会保険:数字で見る差

    フリーランスと正社員の収入・社会保険の違いを示す図解

    「フリーランスは収入が不安定」という声をよく聞きます。一方で「フリーランスのほうが年収が高い」という声も聞きます。どちらも正しく、どちらも条件次第です。

    2-1. 年収・手取りの比較

    厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、情報通信業の正社員平均年収は約563万円とされています※3。一方、内閣府「フリーランス実態調査」(2021年)によると、フリーランス全体の年収中央値は200〜300万円台が最多層ですが、ITエンジニア領域では500〜800万円台の層も一定数存在します※2。単純な年収額ではなく、「スキルと案件単価の掛け算」で決まる構造が正社員との大きな違いです。

    比較項目 正社員(情報通信業) フリーランス(ITエンジニア)
    年収の目安 平均約563万円※3 400〜800万円台(スキル・経験依存)
    社会保険料負担 約15%(会社が残り約15%を負担) 約30%(全額自己負担)
    手取り率の目安 額面の約75〜80% 額面の約65〜75%(経費控除後)
    経費計上 原則なし(給与所得控除のみ) 業務関連費用を経費として計上可能
    退職金・賞与 制度がある企業が多い なし(iDeCo・小規模企業共済で代替可)

    正社員(情報通信業)とフリーランスITエンジニアの収入構造を比較した表です。社会保険料の自己負担率と経費控除の可否が手取り額に大きく影響します。正社員は会社が社会保険料の約半額を負担するため、同じ額面でも手取り率が高い傾向にあります。フリーランスは経費計上の自由度が高く、節税の余地があります。また、退職金・賞与がない分、iDeCoや小規模企業共済などを活用した自助努力の資産形成が重要となります。どちらが「得か」は個人の状況・スキルレベル・税務戦略によって大きく変わります。

    2-2. 社会保険の構造:正社員が有利な理由

    見落とされやすいのが社会保険料の負担差です。正社員の場合、健康保険料・厚生年金保険料は会社と折半します。年収600万円の正社員であれば、会社が負担する社会保険料は年間で約50〜60万円に達します。これはフリーランスに換算すると、実質的な「隠れた報酬」に相当します。

    フリーランスは国民健康保険と国民年金を全額自己負担します。さらに国民年金の老齢基礎年金は、厚生年金と比べて受給額が低くなる傾向があります(2025年度の満額は月額約6万8,000円)。そのため、老後への備えとしてiDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の活用が実質的に必要となります。

    収入額だけで比較するのではなく、社会保険の構造まで含めてトータルで比較することが、正確な判断につながります。

    3. 安定 vs 自由:ライフステージで変わる最適解

    「安定している」とはどういう状態か。毎月決まった金額が振り込まれることだろうか。それとも、自分が選んだ案件で、自分のペースで働けることだろうか。

    どちらの「安定」を求めるかは、ライフステージによって変わります。

    3-1. フリーランスに向いている人の特徴

    内閣府「フリーランス実態調査」(2021年)によると、フリーランスを選んだ理由として最も多かったのは「自分の裁量で仕事ができる」(64.5%)と「仕事の場所・時間を自由に決められる」(57.2%)でした※2。これらは、職場環境や勤務体系に強い制約を感じている人が転身を検討しやすい理由でもあります。

    状況・タイプ フリーランス 正社員
    専門スキルが明確・市場価値が高い
    住宅ローン・育児中で安定収入が必要
    働く場所・時間を自分で決めたい
    経験年数3年未満・スキル形成中
    複数の案件を掛け持ちして収入を最大化したい
    チームで働くことにやりがいを感じる
    特定の技術領域を深く追求したい

    フリーランスと正社員、どちらが向いているかをライフスタイル・状況別に整理した比較表です。◎は特に適合度が高い、○は適合、△は条件次第、✕は不向きを示します。住宅ローンや育児などで収入の安定が必要な時期は正社員が有利な場面が多い一方、専門スキルが確立した段階でフリーランスに転身することで、より高い報酬と自由度を得られる可能性があります。「どちらが正解か」ではなく「今の自分のライフステージにどちらが合っているか」で判断することが重要です。

    3-2. 「フリーランスは不安定」という固定観念を疑う

    フリーランスが不安定に見える理由の一つは「収入が変動する」ことです。ただし、これは条件次第です。スキルが明確で、複数のクライアントとの関係が構築されていれば、特定の一社への依存度が低い分、リスクが分散されます。

    正社員も、企業の業績悪化・組織再編・技術の陳腐化によって突然キャリアを見直さなければならない局面があります。どちらの形態にも不確実性はあります。問題は「不安定か安定か」ではなく、「自分のスキルと準備が伴っているか」です。

    では、リモートワークが普及した今、フリーランスの現実的な姿はどう変わっているのでしょうか。

    4. リモートワーク時代のフリーランス:第三の選択肢

    地方在住フリーランスエンジニアのリモートワーク働き方イメージ

    場所を選ばない働き方が、フリーランスという選択の「コスト」を変えた。

    以前は、フリーランスとして案件を受けるためには都市部に居住していることが実質的な前提条件でした。今は違います。

    4-1. リモートワーク案件の拡大とフリーランスへの影響

    株式会社LASSICが運営するテレリモ総研「リモートワーク実態調査2024」によると、IT・情報通信業のリモートワーク実施率は80%超を維持しており、フリーランスエンジニア向けのリモート対応案件も継続的に増加しています※4。地方在住のまま東京・大阪圏の案件に参画できる環境が整いつつあります。

    Remoguの公開案件は3,790件(うちフルリモート案件1,428件、ハイブリッド案件2,362件)。フルリモートとハイブリッドを合わせると、リモート対応案件は全体の100%となっており、地方在住のエンジニアでも参画しやすい環境が揃っています。

    変化のポイント 以前のフリーランス リモート対応後のフリーランス
    案件の地理的範囲 居住地の近郊が中心 全国・海外のクライアントと契約可能
    移住・転居の必要性 都市部への移住が実質必要なことも 地方居住のまま高単価案件へ参画できる
    通勤コスト 移動時間・交通費が発生 ゼロ(その分を稼働時間・休息に充当)
    案件の選択肢数 地域の需給バランスに左右される 全国規模の案件プールから選択できる

    リモートワーク普及前後でフリーランスの働き方がどう変わったかを比較した表です。以前は居住地に近いクライアントとの契約が中心でしたが、リモート対応の普及により、地方在住のまま都市部の高単価案件に参画できる環境が整いました。通勤コストの削減と案件選択肢の拡大は、フリーランスとして働くハードルを大きく下げています。場所の制約がなくなったことで、「フリーランスは不安定」という前提自体が変わりつつあります。

    4-2. 地方在住×フリーランスという選択肢

    生活コストの低い地域に居住しながら、都市部水準の報酬を得る。これは、フリーランス×リモートワークが生み出した具体的な選択肢です。

    たとえば、東京都市圏の平均家賃(1LDK・約13万円/月)と、地方主要都市の平均家賃(1LDK・約6〜8万円/月)を比べると、年間で60〜84万円の差が生まれます。同じ報酬でも、居住地を選ぶことで実質的な生活水準は大きく変わります。

    フリーランスとして独立するかどうか、その判断材料の一つとして「案件がどこにあるか」を確認することが、現実的な第一歩です。

    5. フリーランスへの転身:準備と手順

    フリーランスになると決めたとして、何から始めればいいのか。不安の多くは「知らないこと」から来ています。

    チェック項目 確認内容・目安
    ①スキルと市場単価の確認 自分のスキルで月額いくらの案件が存在するか、実際の案件情報で確認する
    ②生活費3〜6か月分の手元資金 初回案件の入金まで2〜3か月のタイムラグが生じることがあるため、余裕資金を用意しておく
    ③健康保険の切り替え手続き 退職後14日以内に国民健康保険への加入手続きが必要(住民票のある市区町村窓口で手続き)
    ④開業届の提出 事業開始から1か月以内に税務署へ提出。青色申告を選択すると最大65万円の特別控除が受けられる
    ⑤案件の見通し確認 退職前に案件エージェントへの登録・面談を済ませ、参画の見通しを立ててから退職する

    フリーランスへの転身前に確認すべき5つのポイントを整理した表です。多くの方が見落としがちなのは、健康保険の切り替え手続きと開業届の提出期限です。健康保険は退職後14日以内、開業届は事業開始から1か月以内という期限があります。また、青色申告を選択すると最大65万円の特別控除が受けられるため、税務面でも事前準備が重要です。案件の見通しを立ててから退職することが、スムーズな転身につながります。

    目安として、エンジニアとしての実務経験3年以上・1つの技術領域での専門性が確立されている段階が、フリーランス転身を現実的に検討できる一つの基準です。ただし、案件の種類によっては2年以下の経験でも対応可能なものもあります。実際に案件情報を確認することが、最も正確な判断材料になります。

    なお、経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年)では、IT人材不足が2030年に最大79万人規模に達すると試算されています(2019年時点の試算値)※5。この構造的な需要超過は、一定の経験を持つエンジニアにとってフリーランス転身の追い風となっています。

    6. よくある質問(FAQ)

    Q1. フリーランスは住宅ローンを組めますか?

    フリーランスでも住宅ローンを利用できます。ただし、審査基準が正社員と異なる点があります。多くの金融機関では、確定申告書(直近2〜3年分)による収入証明が必要です。収入が安定していること・青色申告で所得を適切に申告していることが、審査通過の主な条件となります。フリーランスになって年数が浅い場合は、正社員として在籍中にローンを組む選択肢も検討に値します。

    Q2. フリーランスから正社員に戻ることはできますか?

    できます。フリーランス経験は、プロジェクト管理能力・自律的な業務遂行力として評価される場面があります。特にITエンジニアの領域では、フリーランスとして多様な案件を経験したことがプラスに働くケースもあります。一方で、正社員としての最終在籍から期間が開くほど職歴の説明が必要になる場合があります。将来的に戻る可能性を残したい場合は、フリーランス期間中もスキルアップデートを継続することが重要です。

    Q3. 副業としてフリーランスを始めることはできますか?

    可能です。正社員として在籍しながら、業務委託契約で副業案件を受けるスタイルは増えています。ただし、就業規則で副業を禁止または申請制としている企業も多いため、事前に確認が必要です。副業から始めることで、フリーランスとしての実績を積みながら転身のリスクを低減できます。なお、副業収入が年間20万円を超えた場合は確定申告が必要になります(給与所得者の場合)。

    Q4. 案件が途切れた場合はどうすればいいですか?

    複数の案件エージェントに登録しておくことがリスク分散の基本です。また、案件終了の1〜2か月前から次の案件を探し始めることで、空白期間を最小化できます。Remoguでは現在3,790件の公開案件を掲載しており、担当者が次の案件探しをサポートします。フルリモート案件も1,428件あるため、地域を問わず探すことができます。

    Q5. フリーランスの税金はどう計算すればいいですか?

    フリーランスは「売上-必要経費=事業所得」として確定申告します。青色申告を選択した場合、最大65万円の特別控除があります。主な経費として計上できるものは、PC・ソフトウェア費用、通信費(業務利用分)、書籍・研修費、在宅ワーク用のスペース費用(按分)などです。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で試算することをおすすめします。

    7. まとめ

    フリーランスか正社員か。どちらが正解かという問いに、一つの答えはありません。ただ、判断できる材料はあります。

    📋 この記事のポイント

    • フリーランスは業務委託契約で動く個人事業主であり、社会保険料の全額自己負担・確定申告が必要です
    • ITエンジニア領域では、スキルと経験次第でフリーランスの報酬が正社員平均を上回る場面があります
    • 社会保険・退職金・有給を含めたトータルコストで比較すると、正社員が有利な側面も存在します
    • リモートワーク対応案件の増加により、地方居住のままフリーランスとして働く現実的な選択肢が広がっています
    • 転身を検討するなら、実際の案件情報を確認することが最初の一歩です

    場所を変えなくていい。働き方だけ、変えればいい。その選択肢が今、具体的にあります。

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    出典・参考情報

    ※1 総務省「令和4年就業構造基本調査」(2023年公表)
    ※2 内閣府「フリーランス実態調査」(2021年公表)
    ※3 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(2023年公表)
    ※4 テレリモ総研「リモートワーク実態調査2024」(株式会社LASSIC運営)
    ※5 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表、2019年時点の試算値)