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    VBAエンジニアにリモートワークは可能か?求人の実態とキャリア戦略

    働き方が多様化する中で在宅ワークといった選択肢も出てきていますが、「VBAでリモートワークはできるのか?」という疑問を抱く方も少なくありません。ExcelやAccessを使った業務効率化の自動化ツールをVBAで構築する仕事は、これまで「社内常駐」が前提とされることが多く、在宅勤務とは縁遠い印象がありました。

    しかし近年、企業のDX推進やコロナ禍以降の業務フローの変化を背景に、VBAを扱う求人にもリモート対応の波が訪れています。とはいえ、その求人数はJavaScriptやPythonのようなモダンな言語と比べると多くはなく、「どのような業務ならリモート化できるのか」「どんなスキルが求められるのか」を知っておくことが重要です。

    本記事では、VBAを軸にリモートワークを実現したい方に向けて、現在の市場動向から求人例、求められるスキル、今後のキャリア戦略までをわかりやすく解説していきます。

    VBAエンジニアとは?

    VBAの略: VBAは「Visual Basic for Applications」の略です。

    VBAエンジニアとは VBA(Visual Basic for Applications)を使用してプログラミングを行う技術者のことです。主にMicrosoft Office製品(Excel、Word、Access、PowerPoint等)の自動化やカスタマイズを行います。

    VBAエンジニアの主な業務内容

    • Excelマクロの作成・保守
    • データ処理の自動化
    • レポート作成の自動化
    • 業務システムの構築
    • Office製品間の連携システム開発

    Microsoftが開発したプログラミング言語で、Office製品に組み込まれているアプリケーション開発環境です。Visual Basicをベースにして、Office製品を操作・カスタマイズするために特化された言語として設計されています。

    VBAエンジニアは特に日本の企業で需要が高く、Excel業務が多い職場でのデータ処理効率化や定型作業の自動化において重要な役割を果たしています。

    リモートワーク

    VBAとリモートワークの関係性とは

    これまでVBAといえば「社内専任」「常駐対応」といったイメージが強く、リモートワークとは無縁に思われがちでした。しかし、業務のクラウド化や働き方改革の進展により、VBAを活用する現場にも少しずつ変化が訪れています。

    VBAは依然として多くの企業で必要とされている一方で、その活用環境は多様化しており、遠隔対応との相性も再評価されつつあります。この章では、VBAの活用シーンやリモート化の障壁、そして最近のリモート求人の増加傾向について詳しく見ていきましょう。

    VBAの活用シーンとリモート化の壁

    前述したようにVBAは、主にExcelやAccessなどのOffice製品と組み合わせて業務自動化を実現するために利用されてきました。特に経理・総務・営業事務といったバックオフィス業務では、「手作業を減らす」ための手段として活用され、多くの企業で今も稼働しています。

    一方で、VBAはあくまで「ローカル環境で動作するマクロ」であるため、使用するデバイスやファイルの場所、セキュリティ制限といった物理的な条件に影響を受けやすく、かつては「リモートワークには不向き」とされていました。

    しかし現在では、クラウドストレージやリモートデスクトップ環境の進化、VPN環境の普及などにより、こうした制約は技術的に解決可能になりつつあります。さらに、運用設計やファイル共有のルールを明確にすれば、VBAによるメンテナンス・開発も十分にリモートで対応可能な時代になってきているのです。

    なぜ今、VBAエンジニアにもリモート求人/案件が増えているのか

    VBAを使った開発や運用がリモート対応可能な業務として見直されている背景には、企業側の状況変化があります。特に中小企業や地域企業では、VBAを活用した業務フローが根強く残っており、社内にVBAの専門人材がいないという課題を抱えています。

    こうした企業では、「必要なときだけ外注する」「在宅のフリーランスや副業人材に依頼する」という選択肢が増えており、スポット対応可能なVBAエンジニアのリモート案件が徐々に増加しています。

    また、VBAのコード資産は多くの企業にとって重要な業務基盤であり、「移行せずに現状の自動化を維持したい」というニーズも存在します。このような背景から、VBAエンジニアにとっても、リモートで活躍できるフィールドは確実に広がりつつあるのです。

    VBAのリモート求人が注目される背景とは?

    これまで「VBAの仕事=出社が前提」という認識が一般的でしたが、近年ではその前提が少しずつ変わってきています。特に、業務効率化やコスト削減を目的としたリモート人材の活用が進むなかで、VBAエンジニアの役割も再定義されつつあります。

    ここでは、なぜ今あらためてVBAに関連するリモート求人が注目を集めているのか、その背景を3つの視点から紐解いていきます。

    業務効率化ニーズの高まりとノーコード文脈

    多くの企業が「限られた人員で最大限のパフォーマンスを出す」ことを求められている中で、ExcelやAccessを活用したノーコード的な業務改善は、今もなお現場に根付いています。

    この潮流の中で、VBAは「新しいツールを導入せずに、今ある資源で効率化を図れる手段」として再評価されています。特に中小企業では、既存のOffice環境を最大限に活かすVBAのニーズが依然として高いのです。

    こうした状況では「業務改善ツールをリモートで構築・メンテナンスしてくれる外部人材」が求められるようになり、VBAエンジニアにとってもリモート案件が身近な選択肢になってきています。

    中小企業・地方企業におけるVBA人材の外注ニーズ

    大手企業と異なり、自社にIT部門を持たない企業ではVBAを使える人材がいないというケースが少なくありません。その一方で、過去に作られたExcelマクロが日常業務に深く組み込まれていることも多く、修正や再構築を外部に委託せざるを得ない状況にあります。

    このようなニーズは、スポット型のリモートワークと非常に相性が良いのが特徴です。「週に数時間だけ」「問題が発生したときだけ対応」といった契約形態でのVBA業務は、全国どこからでも請け負えるため、フリーランスや副業人材にとって魅力的な選択肢となります。

    DX推進によるレガシー資産の継続運用と保守の重要性

    近年、あらゆる企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる中、レガシーシステムの移行や刷新が進められています。しかし、現実的には「すべてを一度に入れ替えることは難しい」「既存のExcelベースの自動化は残したい」といった現場の声も根強く存在します。

    そのため、新システム導入と並行して既存VBAツールの安定稼働を維持することが、移行期において不可欠です。こうした過渡期のサポート役として、リモートで柔軟に対応できるVBAエンジニアが重宝されているのです。

    VBAエンジニアに多いリモート対応の求人例

    VBAのリモート案件は、JavaScriptやPythonなどの最新言語と比べると数こそ少ないものの、実務経験を活かせる求人は存在しています。特に、継続的な運用支援や社内ツールの改修といった「部分的に外注しやすい業務」において、リモート化との親和性が高い傾向にあります。

    この章では、実際にVBAスキルを活かせる主なリモート求人のパターンを、仕事内容とともにご紹介します。

    社内ツールのメンテナンス・運用支援

    多くの企業で、ExcelやAccessを使ったVBAのツールは「担当者ベースで運用されている」ことが一般的です。しかし、その担当者が異動・退職した場合にメンテナンスできる人が社内におらず、外部のエンジニアに定期的な保守運用を依頼するケースが増えています。

    こうした案件では、すでに存在するマクロの構造を読み解きながら、エラー対応、仕様変更、軽微な改修などに対応できる実務力が求められます。また、コミュニケーションや報告の丁寧さも評価されやすいため、遠隔でも信頼関係を築ける人材が重宝されます。

    この手の業務は短時間・低負荷での契約も多く、副業や週数時間の稼働を希望するフリーランスにも非常にマッチする働き方といえるでしょう。

    業務自動化ツールの設計・開発

    業務改善の一環として「定型作業をExcelマクロで自動化したい」というニーズは依然として根強く、リモートでの新規開発案件も散見されます。たとえば、「売上集計を自動化するレポート作成ツール」や「AccessとExcelを連携した在庫管理表」など、VBAによる効率化の要望は多岐にわたります。

    このような案件では、ユーザー部門とのすり合わせをしながら、要件を引き出し、仕様に落とし込んで開発・納品までを一人で担える力があると評価は高まります。オンラインMTGやチャットツールを駆使したヒアリング力、そして柔軟な対応力がカギとなるでしょう。

    特に中小企業からの依頼では、仕様書がなく口頭での要望のみで進行するケースも多いため、ヒューマンスキルと技術の両立が求められます。

    他言語との連携スクリプトやマクロ最適化

    近年では、VBA単体ではなく、他のツールや言語と連携する「橋渡し」の役割としての開発ニーズも注目されています。たとえば、Pythonで収集したデータをExcelで整形しやすくするためにVBAを用いたり、Google Apps Script(GAS)からVBAベースのファイル操作を補完したりといった案件です。

    また、過去に作られたマクロの可読性が低く、メンテナンス性が悪い状態を改善するためのコード整理・最適化案件も増えており、「読みやすさ」「再利用性」「エラー処理」が評価対象になります。

    こうしたニーズに応えるには、VBA+αの技術的知識や、全体を俯瞰できる構造的な視点が不可欠です。結果として単なる「マクロ職人」ではなく、「業務全体を見ながら最適解を提供できる人材」としての価値を高めることができるでしょう。

    リモートで活躍するために求められるスキルとは

    リモートワークでVBAエンジニアとして安定的に仕事を受注・継続していくためには、単に「マクロが書ける」というだけでは不十分です。企業が求めているのは、遠隔であっても信頼して仕事を任せられるスキルセットと人間性です。

    ここでは、リモート環境において特に重視される3つのスキルと、その理由について解説していきます。

    VBA+αのスキル(SQL、Excel関数、Accessなど)

    VBAだけで完結する仕事は徐々に減少しつつあり、周辺知識や関連技術との掛け合わせができるエンジニアの需要が高まっています。たとえば、AccessやSQLと組み合わせたデータベース連携、複雑なExcel関数の理解と応用などができると、依頼される業務の幅は大きく広がります。

    特に、企業が依頼するのは「業務全体の自動化」や「情報の一元化」が多く、単体のマクロでなくシステム的な視点を持って構築できる人材が重宝されます。これらのスキルを併せ持っていれば、「ただのVBA開発者」から「業務改善パートナー」へとポジションを引き上げることができます。

    リモートで信頼を得るコミュニケーション力

    リモートワークにおいて、最も重要かつ難しいのが信頼構築のためのコミュニケーション力です。物理的に顔を合わせる機会が少ない分、SlackやChatwork、Zoomなどを通じた定期的かつ丁寧な報告・連絡・相談が信頼を築くうえで欠かせません。

    例えば、仕様に関する確認事項を曖昧にせず明文化する、進捗をこまめに共有する、トラブル時にはすぐに相談するなどの姿勢は、「任せて安心できる人」としての印象を強化します。

    このようなコミュニケーションが円滑であれば、リモートであっても長期的な契約につながりやすく、単価交渉や条件面の相談もしやすくなります。

    ドキュメント作成と可読性への意識

    もうひとつ、見落とされがちですがリモートワークで評価されるのが、わかりやすいドキュメントの作成スキルと、メンテナンスしやすいコードを書く習慣です。読みやすい資料やコードの存在がコミュニケーションの代替手段となります。

    たとえば、マクロの構成を図解した資料、処理手順を明記したレジュメ、引き継ぎ用のメモなどがあると信頼度は格段に上がります。また、コメントのないコードよりも、構造化され、コメント付きで可読性の高いコードの方が再評価される傾向にあります。

    結果として、こうした配慮ができるエンジニアには再依頼が増え、リピートや長期契約につながっていくのです。

    VBA経験を活かせる“意外な”リモート職種とは?

    VBAは「ツール開発」や「マクロ作成」に特化したスキルとして知られていますが、実はその経験を応用できる職種は多く存在します。とくにリモートワークの拡大により、開発以外の分野でもVBA経験者が重宝される場面が増えているのです。

    この章では、VBAスキルをベースにしながら、視野を広げて挑戦できる“意外な”リモート職種について紹介します。キャリアの幅を広げたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

    業務改善コンサルタントとしての道

    VBAを活用した業務効率化は、単なる「作業の自動化」にとどまりません。業務全体の流れを把握し、どこに無駄があるかを見つけ出す力は、そのまま業務改善コンサルタントとしての資質につながります。

    中小企業やスタートアップでは、日々の業務に追われるあまり、非効率な業務フローを見直す時間が取れないことも多々あります。そうした現場で、「VBAでこれまでにこういった業務を改善した」という具体的な実績をもとに提案できる人材は、非常に頼りにされます。

    特に、IT導入補助金やデジタル化支援のニーズが高まっている現在、外部パートナーとして業務改革をリードできる人材は価値が高まっています。コードだけでなく「全体をどう効率化するか」を考えられる人にこそ、次のフィールドが待っているのです。

    テクニカルサポート・マニュアル制作も視野に

    VBAを使いこなせるということは、技術的な仕組みを理解し、それを人に説明する力も自然と身についていることが多いです。このスキルは、テクニカルサポートやマニュアル作成といった分野でも非常に役立ちます。

    たとえば、既存の社内ツールを他部署に展開する際に、誰でも使えるようにマニュアル化する業務や、導入後のリモートサポートを担当する案件なども存在します。開発現場からは一歩離れた役割ですが、VBAを理解しているからこそできる「橋渡し役」としての価値は高いです。

    また、非エンジニアとの調整役や、ユーザー目線での改善提案ができることも評価され、結果的に長期的なパートナーシップにつながるケースもあります。

    VBAエンジニアのキャリア展望と注意点

    VBAを武器にリモートワークで活躍することは十分可能ですが、長期的にキャリアを築いていくためにはいくつかのポイントに注意が必要です。レガシー技術であるVBAは一方で、将来的な代替といったリスクもはらんでおり、戦略的なスキル拡張と案件選びが重要になります。

    ここでは、VBAエンジニアとしてのキャリア展望と、注意しておきたい点を解説します。

    VBAからステップアップするための選択肢

    現在VBAで仕事をしている人にとって、有効なキャリアパスのひとつは「隣接技術への展開」です。具体的には以下のようなスキル領域があります

    • 【GAS(Google Apps Script)やPower Automateなどのローコード・ノーコードツール】
       Excel VBAの延長線上にあり、クラウド環境やGoogle Workspaceへの対応力が高まります。

    • 【Pythonによる業務自動化やデータ分析】
       スクリプト言語としてVBAと近い文法を持ちつつ、より汎用的で高収入案件も狙えるスキルです。

    • 【RPA(UiPath、WinActorなど)による業務プロセス自動化】
       VBAの経験がある人は、RPA開発にもスムーズに移行できるケースが多く、業務改善系のキャリアを継続しやすいです。

    こうしたスキルを組み合わせることで、「VBAもできる自動化エンジニア」「業務改善全般に強い人材」としての市場価値が高まり、案件選びの自由度も広がっていきます。

    レガシー技術のまま留まらないために必要な視点

    VBAは実務的なニーズが今も根強くある一方で、「いつまでこのスキルが求められるのか」という不安がつきまとうのも事実です。特に大手企業ではクラウド化や新技術への移行が進んでおり、VBAからモダンな技術環境へのシフトが始まっています。

    そのため、リモートワーカーとしての将来を考える際には、「今のスキルを活かしながら、次の柱をどう築くか」という視点が不可欠です。たとえば、VBAの業務を通じて得た「業務理解力」や「コミュニケーション力」を強みに、上流工程へのシフトやマネジメントへの展開も視野に入れてみましょう。

    重要なのは、VBAを捨てるのではなく、VBAを軸にキャリアの幅を広げることです。その結果、単なる技術者ではなく、「現場の業務改善をリードできるパートナー」として信頼を得ることができます。

    まとめ

    VBAはちょっと前の技術と思う方もいますが、実際には現在も多くの企業現場で根強いニーズが存在しています。特にリモートワークの普及とともに、VBAのスキルを活かして遠隔で業務を支援できる人材の需要は着実に高まっています。

    本記事では、VBAのリモート求人が注目される背景や、リモートで対応可能な業務内容、求められるスキルセット、そして将来のキャリア展望まで幅広く解説してきました。重要なのは、VBAという技術を「古いから」と切り捨てるのではなく、今あるスキルを土台に、次のステップへとつなげていく柔軟性と成長意欲です。

    また、リモートで活躍するためには技術力だけでなく、信頼構築のための報連相の徹底、丁寧なドキュメント作成、そして可読性を意識した開発が欠かせません。フリーランスの場合はこうした積み重ねが、継続的な案件獲得や高単価案件へのステップアップにつながっていきます。

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    VBAを起点にキャリアを広げたい方は、ぜひ自身の得意領域や業務改善力を活かして、“現場を支えるプロフェッショナル”としての道を切り拓いていきましょう。

    ※本記事はVBA業務をしていたライターさんのご経験を元に執筆いただいています。