「フルリモートやリモートワークができる会社に転職したい」—働き方の多様化が進む中、このような理由で転職を考える人が急増しています。

しかし、面接でリモートワークを転職理由として伝える際は注意が必要です。伝え方次第では「採用した後にきちんと働いてくれるだろうか…」と企業側へ誤解される可能性があります。

本記事では、リモートワークを転職理由にする際の正しいアプローチと、面接官に好印象を与える具体的な伝え方を事例とともに解説します。

適切な表現方法を身につけることで、転職活動は成功に近づきますのでぜひ最後までご覧ください。

リモートワークが転職理由になる背景とは？

近年の働き方の変化とリモートワークの普及

新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が急速にリモートワークを導入しました。

当初は緊急事態への一時的な対応でしたが、実際に導入してみると生産性向上や従業員満足度の向上といった効果が実感されました。そのため、コロナ禍が収束した後もリモートワークを継続して採用する企業が増加しています。

働き方改革の一環として、場所に縛られない柔軟な働き方が新しいスタンダードとして定着しつつあります。

リモートワークを希望する人が増えた理由

通勤時間の削減により、プライベート時間の確保やワークライフバランスの改善を実感する人が急増しました。

また、家族との時間増加、住環境の改善、地方移住の可能性など、生活の質向上を求める価値観の変化が背景にあります。さらに集中できる環境での生産性向上を体験した人も多くいて、リモートワーカーとして今後も働きたい人が増えました。

企業側の対応に差が出てきた現状

リモートワークを積極的に推進し、制度として確立する企業がある一方で、従来の出社重視の方針に戻したい企業もあります。

リモートワークに戻すかどうかは採用戦略にも繋がり、優秀な人材の獲得競争に影響が出始めています。柔軟な働き方を提供する企業が人材確保で優位に立つ傾向が見られ、企業の成長にも変化をもたらしています。

リモートワークを転職理由にするのはアリ？

転職理由ランキングと比較

以下の表は、筆者がキャリアアドバイザーとして出会った方の転職理由ランキングとリモートワーク関連の理由の位置づけを示しています。

　

順位	転職理由	リモートワークで解消される悩み
1位	給与・待遇の改善	–
2位	キャリアアップ・スキル向上	–
3位	職場環境・人間関係の改善	○
4位	ワークライフバランスの改善	○
5位	会社の将来性への不安	–
6位	働き方の多様性・柔軟性	○
7位	通勤時間・立地条件	○
8位	業務内容への不満	–

リモートワークを転職理由とすることは決して珍しいことではありません。

上記データからも分かるように、「ワークライフバランスの改善」「働き方の柔軟性」「通勤時間の解消」といったリモートワーク関連の理由は、転職動機の上位にランクインしています。

特に、コロナ禍以降はこれらの理由で転職を検討する人が大幅に増加し、企業側も理解を示すケースが多くなっています。

志望動機とのバランスを取るコツ

リモートワークを転職理由にする際は、それが最終目的ではなく、より良いパフォーマンスを発揮するための手段であることを強調することが重要です。

• リモートワークは手段であり、目的は成果向上であることを明確にする
• 志望企業への具体的な貢献方法を併せて伝える
• 働き方改革への前向きな姿勢として位置づける
• 企業のビジョンや事業内容への関心も同時にアピールする

また、志望企業の事業内容や理念への共感も併せて示すことで、単なる働き方の希望ではなく、総合的な転職動機として説得力を持たせることができます。

ネガティブに聞こえない伝え方

• 「効率化を図りたい」という表現に変える
• 具体的な生産性向上の経験や実績を示す
• チームワークやコミュニケーションへの配慮も伝える
• 前向きな理由として、成長や貢献への意欲を強調する

リモートワーク希望がネガティブに受け取られないためには、表現方法が鍵となります。

「通勤が嫌だから」ではなく「通勤時間を業務に充てることで生産性を向上させたい」、「人間関係が面倒」ではなく「集中できる環境で質の高いアウトプットを提供したい」といった前向きな表現を心がけましょう。

また、過去にリモートワークで具体的な成果を上げた経験があれば、数値や事例を交えて説明することで説得力が増します。

さらに、オンラインでのコミュニケーション能力やセルフマネジメント能力についても積極的にアピールしましょう。

面接で好印象を与えるリモートワーク転職理由の伝え方

面接での印象の良い伝え方

面接での伝え方で印象は大きく変わります。自分本位な印象を与えないようにしましょう。

• NGな表現は個人の都合や楽さを強調してしまう
• OKな表現は企業への貢献や成果にフォーカスする
• 具体的な実績や数値を交えて説得力を高める
• 前向きで建設的な言葉選びを心がける

例えば、「前職でリモートワーク時に営業成績が20%向上した経験があり、集中できる環境で御社の売上目標達成に貢献したいと考えております」は、具体的な成果と企業への貢献意欲を示しています。

「働き方」より「生産性」や「キャリア」にフォーカスする

面接では「リモートワークを活用して、引き続き高い成果を出したい」という視点で話すことが重要です。

• 働き方の変更を目的ではなく手段として位置づける
• 生産性向上の具体的な根拠や経験を示す
• キャリア目標達成のためのツールとして説明する
• 企業の業績向上への貢献意識を強調する

例えば「集中力が高まる環境で作業効率が向上し、クライアントへの提案書作成時間を短縮できました」といった具体的な生産性向上事例を示しましょう。

また「将来的にはマネジメント職を目指しており、リモートチームの統括経験を積むことでリーダーシップスキルを向上させたい」など、キャリア発達の文脈で説明することで、単なる働き方の希望ではなく戦略的なキャリア構築として印象づけることができます。

自己成長やスキルアップと関連づけるテクニック

リモートワークを自己成長の機会として捉える姿勢を示すことで、前向きな印象を与えることができます。

• リモートワークで身につくスキルを具体的に挙げる
• 自己管理能力やデジタルツールの習熟度をアピール
• 継続学習やスキル向上への時間確保との関連性を示す
• 将来のキャリアビジョンとの整合性を説明する

「リモートワークにより通勤時間を学習時間に充て、業務に直結する資格を3つ取得しました」や「オンラインコミュニケーションツールを活用したプロジェクト管理スキルを向上させ、チームの業務効率を改善しました」といった具体例が効果的です。

長期的な成長戦略としてリモートワークを位置づけることで、計画性と向上心をアピールできます。

リモートワーク転職の成功事例・失敗事例

ITエンジニア職のケーススタディ

【成功事例】Aさん（28歳・Webエンジニア）

転職理由の伝え方： 「前職でリモートの開発チームのリーダーを務め、分散開発での生産性向上を実現しました。御社のグローバル展開において、時差も考慮したコミュニケーションをで開発体制構築に貢献したいと考えています」

●結果： SaaS企業のテックリードとして内定獲得

成功要因： 具体的な経験と企業への貢献をセットで提示できたこと

【失敗事例】Bさん（32歳・システムエンジニア）

転職理由の伝え方： 「通勤が大変で、家で集中して開発したいです。コードを書くのに人とのコミュニケーションは必要ないと思います」

★結果： １次面接選考で落選

失敗要因： チームワーク軽視の印象とネガティブな動機を伝えてしまったこと

【解説 ➢】少し大袈裟な表現でご紹介しましたが、ITエンジニア職では技術スキルとともに、リモートでのコラボレーション能力が重視されます。成功例では過去の実績を示しながら企業のビジネス課題解決への意欲を示していますが、失敗例では個人的な都合を優先し、チーム開発への理解不足が露呈することになってしまいました。

営業職のケーススタディ

【成功事例】Cさん（35歳・法人営業）

転職理由の伝え方： 「リモート営業により訪問効率が向上し、前職では年間売上を40%増加させました。御社の全国展開において、デジタル営業手法を駆使して新規開拓エリアの売上拡大に貢献したいです」

●結果： IT企業の営業マネージャーとして転職成功

成功要因： 数値実績とデジタル営業スキルのアピールができたことです

【失敗事例】Dさん（29歳・個人営業）

転職理由の伝え方： 「お客様先への移動時間がもったいないし、オンライン商談の方をしたいです。顔を合わせなくても売れると思います。」

★結果： 面接で不採用

失敗要因： 顧客との関係構築を軽視していると捉えられてしまいます

【解説 ➢】わかりやすく極端な例を出しましたが、こちらの失敗事例も難ありの答えでした。営業職では顧客との信頼関係構築が最重要です。成功例では効率性と成果の両立を示していますが、失敗例では営業の本質的な価値を理解していない印象を与えています。リモート営業でも顧客価値創造への意識が不可欠です。

リモートワークを重視する人におすすめの転職対策

求人サイトや転職エージェントの選び方とチェックポイント

• リモートワーク専門の求人サイトを積極的に活用する
• 「フルリモート」「一部リモート」「リモート相談可」の違いを確認
• 求人票の働き方に関する記載の詳細度をチェックする
• 企業の実際のリモートワーク導入状況を口コミサイトで確認

リモートワークを重視する転職では、求人サイトや転職エージェント選びが成功の鍵となります。一般的な転職サイトに加えて、Remogu（リモグ）のようなリモートワーク特化型エージェントの利用が効果的です。

求人票では「リモートワーク可」の記載だけでなく、週何日リモート可能か、完全在宅勤務なのか出社日があるのかを詳しく確認しましょう。口コミサイトで実際の社員の声も参考にし、建前と実態のギャップがないかを事前に調査することが重要です。

企業研究で確認すべきポイント

企業研究では、表面的なリモートワーク制度の有無だけでなく、その運用実態を深く調べることが重要です。

• リモートワーク制度の導入時期と定着度を調査する
• 管理職・経営陣のリモートワークに対する考え方を確認
• ITインフラやデジタルツールの整備状況をチェック
• 人事評価制度がリモートワークに対応しているかを把握

経営陣の発言やインタビュー記事から、リモートワークに対する本音の姿勢を読み取ることもできます。

さらに、成果主義的な人事評価制度が導入されているか、リモートワーク環境でも適切に評価される仕組みがあるかも重要な判断材料となります。転職エージェントに聞くか、公開されている採用ページや社員ブログで実際の働き方事例を確認しましょう。

面接前に準備しておくべき逆質問のリスト

面接の最後に、「何か質問はありますか？」という問いを受けたときの質問例を一部ご紹介します。

ITエンジニア職向けの逆質問（面接官がエンジニア組織のリーダーや開発責任者だった場合）

技術・開発環境について

• 「リモート開発時のコードレビューやペアプログラミングはどのように実施されていますか？」
• 「開発環境の構築やセキュリティ対策について、在宅勤務時のサポート体制を教えてください」
• 「リモートワーク時のインフラ障害対応やオンコール体制はどうなっていますか？」

キャリア・スキル開発について

• 「リモートワークでも技術的なメンタリングや知識共有の機会はありますか？」
• 「オンライン勉強会や技術カンファレンス参加への支援制度について教えていただけますか？」

ITエンジニアにとってリモートワークでは、技術的なコラボレーションやスキル向上機会の確保が重要な課題となります。これらの質問により、企業がリモート開発環境を本格的に整備しているか、エンジニアの成長をサポートする体制があるかを確認できます。特にコードレビューや障害対応などの実務的な運用方法について詳しく聞くことで、実際の働きやすさを判断できるでしょう。

営業職向けの逆質問（面接官が営業のチームリーダーなどの場合）

営業活動・顧客対応について

• 「リモート営業での顧客訪問とオンライン商談の使い分け基準はありますか？」
• 「CRMシステムや営業支援ツールのリモートアクセス環境はどうなっていますか？」
• 「リモートワーク時の顧客情報管理やセキュリティ対策について教えてください」

チーム連携・目標管理について

• 「営業チーム内での情報共有や進捗管理はどのような仕組みになっていますか？」
• 「リモートワーク時の営業目標設定や評価方法に違いはありますか？」

営業職では顧客との関係構築とチーム内連携が成果に直結するため、リモートワークでもこれらを効果的に行える環境が整っているかが重要です。

特に営業の数字や組織貢献への評価制度については、実際入社後のキャリアに大きく影響するポイントなので確認しておきましょう。

共通して重要な質問（面接官が人事や配属部署の統括だった場合）

• 「リモートワーク制度の今後の方針や変更予定はありますか？」
• 「在宅勤務手当や通信費補助などの支援制度はどうなっていますか？」

これらの質問を通じて、企業のリモートワークに対する本気度と継続性を判断し、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

まとめ：リモートワークを転職理由にするなら、前向きに伝える工夫を

リモートワークを転職理由にすることは決して珍しいことではなく、適切な伝え方をすれば面接官に好印象を与えることができます。重要なのは、単なる働き方の希望ではなく、企業への貢献や自己成長の手段として位置づけることです。

ネガティブな理由ではなく、「生産性向上」「効率的な業務遂行」「スキルアップ時間の確保」など、前向きで建設的な表現を心がけましょう。

また、過去の実績や具体的な成果を示すことで説得力を高め、志望企業のビジョンや事業内容への関心も併せて伝えることが成功の鍵となります。しっかりとした準備と戦略的なアプローチで、理想の働き方を実現する転職を成功させましょう。

転職に関しての不明点があったり求人を探している場合は、ぜひリモートワーク専門のエージェントRemogu（リモグ）にご相談ください。