【データアナリスト】フリーランスで受ける3つの仕事の単位とデータ持ち出しの条件
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 組織の中の仕事と業務委託の仕事の違いと、定例レポート・ダッシュボードの整備・分析の設計という3つの受け方
- 公的統計の制度に見る、データを手元に移さず格納先のシステムに入って使う形と、その利用に付く条件
- 粗くしたデータと仮名加工情報という、加工されたデータで分析を受けるときの扱いの違いと注意点
業務委託の打ち合わせで、先方から「顧客データは社外に出せません」と言われました。フリーランスのデータアナリストとして受ける話なのに、組織の中で触れていたデータに外では触れなくなるのではと、やはり外からは無理かと思いかけたところで、相手が「なので、うちの分析環境に入ってもらう形でお願いしたいんです」と続けました。データは持ち出すのではなく、置き場所に入って使います。この記事では、その形を前提に、組織の中から業務委託へ移るデータアナリストが仕事をどんな単位で受け、データをどう扱うかを順に確かめます。
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1. 組織の中と外で変わるデータアナリストの仕事
依頼が流れてくる場所と、単位を決めて受ける場所
組織の中にいるデータアナリストには、依頼が日々流れてきます。営業から今週の数字の見方を聞かれ、経営から施策の効果を問われ、現場からは画面の指標を直してほしいと頼まれます。データはいつも同じ置き場所にあり、どの表がどの意味を持つかも、毎日触れているうちに身についていきます。
業務委託では、この前提がそのままでは使えません。依頼が日々流れてくるのではなく、何を、どこまで、いつまでに受けるかを先に決めて始めます。範囲を決めずに受けると、依頼の追加が際限なく続き、終わりの見えない仕事になりかねません。
もう一つ変わるのが、データとの距離です。組織の中では、データはすでに手の届く場所にありました。外から受けるときは、どこに置かれたデータを、どの範囲まで、どんな手順で使えるのかを、仕事を始める前に相手と決めます。冒頭の「うちの分析環境に入ってもらう」という申し出は、この決めごとの一つの答えです。
図の作成:Remogu編集部。働き方の違いを整理したもので、統計データではありません
データサイエンティストとの線の引き方
データアナリストの仕事は、集計と可視化を通じて、意思決定を支えることが中心です。数字を整えて見せる形にし、何が起きているかを読み解いて伝えます。一方、データサイエンティストの仕事は、予測や分類のモデルを構築するところに比重があります。
どちらが上でも下でもなく、求められる成果物が違うだけです。ただし、案件の名前だけでは区別がつかないこともあり、同じ募集の文面にモデル構築と定例の集計が並んでいる場合があります。受ける側が自分の得意な範囲を先に言葉にしておくと、打ち合わせの段階で期待のずれに気づけます。
不安の正体は、データの置き場所にある
外に出たらデータに触れなくなるのでは、という不安は、もっともです。顧客のデータは、委託する側にとって守るべき資産であり、たやすく社外へは渡せません。この不安は、分析の腕とは別のところにあります。
だからこそ、受ける側が先に考えておきたいのは、腕前の見せ方よりも、データをどこで、どんな条件で扱うかという合意の取り方です。次の節では、仕事の単位から順に整理します。
2. 業務委託で受ける3つの単位
定例レポート・ダッシュボード・分析の設計
データアナリストが業務委託で受ける仕事は、大きく3つの単位に分けると説明しやすくなります。毎月や毎週の集計と所見を納める定例レポートの作成、指標の定義と画面を整えるダッシュボードの整備、問いの立て方と集計の方針を決める分析の設計です。これは書き手の見立てで、制度で決まった区分ではありません。
単位が違えば、成果物も区切り方も変わります。定例レポートは回数、ダッシュボードの整備は改修の範囲、分析の設計は問いの数で区切ると、何をもって終わりとするかが相手と揃いやすくなります。区切りが曖昧なまま始めると、組織の中の感覚で「ついでにもう一つ」が増えていきます。
単位ごとの中身と成果物
表1では、3つの単位について、中身・成果物・区切り方を並べました。同じデータアナリストの仕事でも、納めるものは集計結果の報告、指標の定義書と画面、分析の設計書というように異なります。自分がこれまでどの単位に近い仕事をしてきたかを、この表に当てはめると、実績の説明がしやすくなります。
| 単位 | 中身 | 成果物 | 区切り方 |
|---|---|---|---|
| 定例レポートの作成 | 毎月・毎週の集計と所見 | レポート | 回数 |
| ダッシュボードの整備 | 指標の定義と画面の改修 | 定義書と画面 | 改修の範囲 |
| 分析の設計 | 問いの立て方と集計の方針 | 設計書 | 問いの数 |
ダッシュボードの整備は、画面を作る前に指標の定義を決める仕事でもあります。作り方の手順そのものは、ダッシュボードを目的から設計する別の記事で扱っているので、ここでは受ける単位としての位置づけだけを押さえます。
この3つの単位は、組み合わせて受けることもできます。ただし最初の一件は、成果物と区切りがはっきりした単位を一つ選んで始めるほうが、相手との認識を合わせやすいでしょう。
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3. データは手元に移さず、置き場所に入って使う形

公的統計に見る、データの使い方の分け方
データを手元に移さずに使う形は、公的統計の世界にすでにあります。総務省は、通常の調査結果の提供に加え、公益性のある学術研究等に向けて、調査対象の秘密の保護を図ったうえで、個票形式のデータの提供と、委託を受けて新たな集計表を作成して提供するオーダーメード集計を行っています1。
ここで押さえたいのは、この制度が学術研究等に向けたものである点です。企業が自社の分析案件で使える仕組みではなく、フリーランスが受ける仕事の話でもありません。ただ、データの使い方を目的に応じて分け、秘密を守る条件を付けたうえで提供しているという考え方は、顧客データの扱いを相手と決めるときの参考になります。
個票そのものを渡す形と、集計表を作って渡す形では、相手に見えるデータの粒度が変わります。業務委託でも同じように、手元に届くのが個票なのか、集計済みの表なのかによって、受ける仕事の進め方が変わります。
格納先のシステムに入って使う形
総務省のこのページによると、令和7年3月から、調査票情報の提供を受ける研究者等が、自宅や研究室等の自身の拠点から、セキュリティレベルを保ったまま、調査票情報を格納するシステムにアクセスして利用するリモートアクセスの仕組みが導入されました1。データを手元に移すのではなく、格納先のシステムに入って使う形です。
こちらも、利用できるのは調査票情報の提供を受けた研究者等です。企業の分析案件で同じ仕組みが使われているわけではなく、案件のフルリモートの根拠にもなりません。冒頭の場面で相手が示した「分析環境に入ってもらう」形の、公的な世界での一例として見てください。
出典:総務省「「公的統計調査の調査票情報等の学術研究等への活用」について」(2025年3月)をもとにRemogu編集部が作成。公的統計の例を示したもので、企業の分析案件の仕組みではありません
この形を、業務委託の打ち合わせに持ち込む
公的統計の仕組みをそのまま企業の案件に当てはめることはできません。それでも、データを渡してもらう前提で話を始めるのではなく、データの置き場所に入って使う前提で話を始めると、打ち合わせの空気が変わります。「渡してください」は相手に負担を求める言い方で、「入って使わせてください」は相手の管理のもとで動く言い方だからです。
この形なら、相手はデータを社外に出さずに済みます。受ける側も、データの管理の手間を負わずに分析に集中できます。どの範囲に入れるのか、集計結果は持ち出せるのかを決める作業は残りますが、まずは置き場所の話から始めるのが、双方にとって無理のない入り方です。
4. 粗くしたデータ、加工したデータで受ける分析
公的統計の匿名データ
個票形式のデータには、そのまま渡せないものもあります。公的統計の匿名データでは、氏名など直接識別できる情報の削除だけでなく、地域区分や属性の詳細な分類区分を統合して情報を粗くしたり、特異なデータを削除したりする匿名化措置を行うと、総務省は説明しています1。
分析する側から見ると、これは区分が粗くなったデータを扱うということです。細かい地域別の集計や、ごく少数の特異な値を前提にした分析は、そのままではできません。粗くなった区分の範囲で何が言えるかを考えるのが、この形で受ける分析の出発点になります。
仮名加工情報という別の制度
民間の事業者が扱うデータには、個人情報保護法の仮名加工情報があります。個人情報保護委員会のガイドラインは、仮名加工情報を扱う事業者に対して本人を識別する目的での照合を禁じる一方、識別行為に当たらない取扱いの事例の一つとして、複数の仮名加工情報を組み合わせて統計情報を作成することを挙げています2。
公的統計の匿名データと仮名加工情報は、別の法律に基づく別の制度です。同じ「加工したデータ」でも、名前の呼び方も守るべき条件も異なります。統計情報の作成が識別行為に当たらない事例の一つに挙がっているからといって、仮名加工情報なら何をしてもよいわけではなく、禁止されているのは本人を識別する目的の照合です。
データの形ごとの扱い
表2では、2つのデータの形について、中身と分析での扱いを並べました。粗くしたデータは区分の範囲で分析し、仮名加工情報は本人の識別につながる照合を避けて統計を作る、というのが基本の整理です。どちらの形で受けるのかは、仕事を始める前に相手と確かめておきます。
| データの形 | 中身 | 分析での扱い |
|---|---|---|
| 公的統計の匿名データ | 分類区分を統合して粗くし、特異なデータを削除したもの | 粗くなった区分の範囲で集計・分析します |
| 仮名加工情報 | 他の情報と照合しない限り本人が分からないよう加工した情報 | 本人を識別する照合は禁止です。複数を組み合わせた統計情報の作成は、識別行為に当たらない事例の一つです |
加工の設計そのものは、仮名加工情報と匿名加工情報の違いを扱った別の記事で詳しく整理しています。ここでは、受ける側がどの形のデータを渡されるのかを確かめる、という入口の話にとどめます。次の節では、データを渡す側に課される義務を見ます。
5. 委託する側に課される監督の義務
仮名加工情報の委託で問われること
データを預ける側には、守らなければならない義務があります。個人情報保護委員会のガイドラインは、仮名加工情報である個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合、委託元の事業者が、委託を受けた者に対して必要かつ適切な監督を行わなければならないとしています2。
ただし、この義務を負うのは委託元の事業者です。仕事を受けるフリーランスの義務として読むのは誤りで、この一文から、監督の具体的な方法や契約書に書く内容まで決まるわけでもありません。この記事では監督の方法には踏み込まず、受ける側がどう向き合うかに絞ります。
監督を受ける前提で、手順に合わせる
委託元が監督を行う以上、受ける側は、監督を受ける前提で仕事を組み立てることになります。具体的には、データの置き場所、入れる権限の範囲、作業の手順を、委託元の決めたとおりに合わせます。これは書き手の見立てで、ガイドラインが受ける側に求めている内容ではありません。
たとえば、冒頭の「分析環境に入ってもらう」形なら、環境への入り方や権限の範囲は委託元が決めます。受ける側がその決めごとに先に合わせる姿勢を見せると、顧客データを預ける側は、任せる範囲を説明しやすくなります。手順に合わせることは、信頼につながると見ています。
出典:個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)」(2024年12月2日)をもとにRemogu編集部が作成。受ける側の項目は編集部の見立てで、ガイドラインが求める内容ではありません
データの持ち出しが問われる場面は、案件ごとに異なります。参画前にどの順番で確かめるかは、案件のセキュリティで「持ち出し」が問われる場面と参画前に確かめる順番を解説した記事で整理しています。次の節では、受ける前に決めておく項目を一覧にします。
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6. 受ける前に決めておくこと

打ち合わせで決める6つの項目
仕事を受ける前に決めておく項目は、6つに分けられます。仕事の単位と成果物、データの置き場所と入り方、扱うデータの形、集計結果の持ち出しの範囲、公開データを使うときの利用規約、連絡の時間帯です。この6項目は書き手の見立てで、制度で定められた一覧ではありません。
表3では、6項目それぞれについて、決める中身の例を並べました。打ち合わせの段階で一つずつ相手と確かめる材料になります。
| 決めること | 決める中身の例 |
|---|---|
| 仕事の単位と成果物 | 定例レポート・ダッシュボードの整備・分析の設計のどれで、何を納めるか |
| データの置き場所と入り方 | 委託元の分析環境に入るのか、どの範囲まで入れるか |
| 扱うデータの形 | 集計済み、加工済み、個票のどれか |
| 集計結果の持ち出しの範囲 | 画面で見るだけか、集計表を納められるか |
| 公開データの利用規約 | 使う公開データごとに、示されている規約を確かめる |
| 連絡の時間帯 | 連絡がつく時間と、返信の目安 |
なかでも、データの置き場所と入り方は、冒頭の場面で中心になった項目です。置き場所が委託元の分析環境なら、その環境にどの範囲まで入れるかが次の論点になり、集計結果の持ち出しの範囲もあわせて決めます。連絡の時間帯も、リモートで進める仕事では、先に合わせておく項目の一つです。
公開データを使うときの利用規約
分析には、公的機関が公開しているデータを使う場面もあります。デジタル庁は、公共データ利用規約を、国又は地方公共団体等の公的機関のWebサイトやオープンデータに適用できる利用規約と位置づけています3。政府標準利用規約やCC BY 4.0等を適用しているWebサイトやオープンデータにも、公共データ利用規約の利用を案内しています3。
ただし、公共データ利用規約が個々のデータに適用されているとは限りません。CC BY 4.0など、ほかの規約が示されているデータもあります。公開データを使うときは、そのデータごとに示されている利用規約を確かめます。規約の中身は、この記事では扱いません。なお、民間の顧客データには、この規約は当てはまりません。
契約の形との結びつき
仕事の単位と成果物を決めると、契約が準委任なのか成果物型なのかという話にもつながります。違いと見分け方は、案件の契約が準委任かどうかは何で分かる|成果物型と役務型の違いを解説で扱っています。定例レポートは回数、ダッシュボードの整備は改修の範囲で区切る前の整理は、契約の形を話し合うときの下地になります。次の節では、これらを移る順番に並べ直します。
7. 組織から業務委託へ移る順番
決める順番は4つ
組織の中から業務委託へ移るときは、決める順番を間違えないことが最初の一歩になります。受ける単位、データの形と置き場所、持ち出しの範囲、契約の形の順です。これも書き手の見立てです。
先に単位を決めるのは、単位によって、必要になるデータの形が変わるためです。単位が決まれば、データの形と置き場所の話に進めます。
図の作成:Remogu編集部。移るときに決める順番を整理したもので、統計データではありません
契約から入らず、仕事の中身から入る
データの形が決まれば、置き場所と入り方を相手と決め、そのうえで集計結果の持ち出しの範囲を詰め、最後に契約の形を確かめます。契約から入るのではなく、仕事の中身から入る順番です。公開データを使う仕事なら、利用規約の確認もこの途中に入ります。
冒頭の場面に戻ります。「顧客データは社外に出せません」と言われたとき、組織の中で触れていたデータに外では触れなくなるという不安は、置き場所の話に置き換えると答えが見えてきます。委託元が決めた環境に入り、決められた範囲と手順で使う形なら、データが社外に出なくても、分析の仕事は成り立ちます。
Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です。まず登録して、データ分析に関わるリモート案件を見ながら、自分が受けたい単位と、必要な条件を確かめてみてください。
データは持ち出すのではなく、置き場所に入って使います。
8. よくある質問
データアナリストは未経験からフリーランスになれますか
なれるかどうかは、断定できません。書き手の見立てでは、組織の中で集計や可視化の実績を作ってから移るほうが、受ける単位を相手に説明しやすくなります。定例レポートやダッシュボードの整備など、どの単位の仕事をどこまで担ってきたかを言葉にできると、打ち合わせで話が進めやすくなります。
データサイエンティストの案件にも応じられますか
応じられるかどうかは、案件の中身で決まります。モデル構築を求める案件と、集計・可視化が中心の案件とでは、成果物が違います。案件の名前だけでは区別がつかないことがあるので、文面にモデル構築が含まれているのか、定例の集計と可視化が中心なのかを読み分けます。リモートで参画できるかどうかは、案件によって異なります。
フルリモートで分析の仕事は受けられますか
置き場所と入り方を受ける前に合意できれば、リモートで進める形は組み立てられます。公的統計にも、令和7年3月から、調査票情報の提供を受ける研究者等が自宅や研究室等から格納先のシステムにアクセスして利用する仕組みが導入された例があります1。ただし、これは企業の分析案件の根拠にはなりません。案件ごとに、入り方と範囲を相手と決めます。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
データアナリストのフリーランスは、仕事の単位とデータの置き場所を受ける前に決めておくと進めやすくなります。リモートで受けられるデータ分析の案件から探してみてください。
会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料
※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「「公的統計調査の調査票情報等の学術研究等への活用」について」(2025年3月・2026年10月確認)
*2 個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)」(2024年12月2日・2026年10月確認)
*3 デジタル庁「オープンデータ」(2026年9月9日・2026年10月確認)