フリーランスの少額訴訟|報酬の未払いを60万円以下で請求する手続きと電子申立ての注意点を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 60万円以下の金銭の支払を求める訴えが対象で、原則1回の審理で終える少額訴訟の仕組みと、判決・和解の種類
- 令和8年5月21日からオンラインで訴状を出せる電子申立てと、mintsのアカウント登録・手数料の納付方法
- 申立先の簡易裁判所と年間10回までの利用回数、判決のあとの異議2週間と強制執行までの流れ
納品から2か月たっても入金がなく、3度目の催促メールにも返信がありません。通帳の残高を見つめながら、裁判まで進むのは大げさではないか、自分で手続きできるのかと迷っていませんか。裁判所には、60万円以下の金銭の支払を求める少額訴訟という手続きがあります。この記事の軸は一つで、請求額と証拠をそろえてから、手続きを選びます。
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1. フリーランスが少額訴訟を確かめる理由
報酬の不払いに対応する裁判所の手続き
報酬が払われないときに使える裁判所の手続きは、一つではありません。裁判所の簡易裁判所Q&Aは、報酬の不払いなどの紛争に、支払督促・調停・訴訟の手続が対応しているとしています1。少額訴訟は、そのうち60万円以下の金銭の支払を求める場合に限られる手続きです1。
そのため、最初に確かめるのは手続きの名前ではなく、請求する報酬の額です。請求額が60万円を超えるなら、少額訴訟の対象にはなりません。60万円以下であれば、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続きを選べます2。
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では、少額訴訟は具体的にどんな手続きなのでしょうか。
2. 少額訴訟の仕組み
対象と審理の回数
少額訴訟は、民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えが対象です。審理は原則として1回で、その1回で紛争解決を図ります2。報酬の未払いは「約束した報酬を支払ってほしい」という金銭の請求なので、請求額が60万円以下ならこの手続きの入口に立てます。
出典:裁判所「少額訴訟」をもとに作成
対象の上限が決まっていて、審理も原則1回で終わる分、準備を期日の前に済ませる手続きだと言えます。
最初の期日までに出すもの
原告は、最初の期日までに、すべての言い分と証拠を提出します2。審理が原則1回である以上、その場で欠けた部分を補う前提の手続きではありません。
証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べられるものに限られます2。当日までにそろえられる書類や記録はどれかを、申し立てる前に数えておきたいところです。
判決と和解の2つの終わり方
原告の言い分が認められる場合でも、分割払、支払猶予、遅延損害金免除の判決がされることがあります2。請求した金額が、一括で支払われる形になるとは限りません。
一方で、話合いによる和解で解決することもできます2。判決で結論を出す道と、話合いで着地させる道の両方が、この手続きの中に用意されています。
この手続きには、令和8年5月に申立ての方法が加わりました。
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3. 令和8年5月からの電子申立て
開始日と使うシステム
令和8年5月21日以降は、書面による申立てに加えて、オンラインで訴状を提出できます。これが電子申立てです2。書面での申立ても、選べる方法として残っています。
電子申立てには、民事裁判書類電子提出システム(mints)を使います2。利用にはアカウント登録が必要です2。登録の手順や必要な書類は、この資料には書かれていません。登録の方法は、裁判所の案内で確かめます。
郵便費用と申立手数料の納付
従来必要だった郵便費用は、申立手数料に一本化されました2。申立手数料は、原則としてペイジーによる電子納付です2。
申立手数料の金額は、この記事の資料には書かれていません。金額は、申し立てる簡易裁判所の案内や窓口で確かめます。
書面と電子申立ての違い
令和8年5月21日以降は、書面による申立てと電子申立ての2つから方法を選べます2。表に並べたのは、提出の方法、利用の準備、申立手数料の納付の3項目です。書面の申立てについて資料に書かれていない項目は、裁判所の案内で確かめます。
| 項目 | 書面の申立て | 電子申立て |
|---|---|---|
| 提出の方法 | 書面で提出します | オンラインで訴状を提出します2 |
| 利用の準備 | この資料には書かれていません | mintsのアカウント登録が必要です2 |
| 申立手数料の納付 | この資料には書かれていません | 原則としてペイジーによる電子納付です2 |
次は、申立てをどの簡易裁判所に出すかです。
4. 申立先の簡易裁判所と利用回数
申立先の2通り
少額訴訟は、原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に起こします2。報酬を支払わない相手方の住所地が、基準になります。
金銭の請求では、支払の場所となる簡易裁判所にも起こせます2。どちらの裁判所が自分の場合に当たるかは、この資料には書かれていません。簡易裁判所の案内で確かめます。
出典:裁判所「少額訴訟」をもとに作成
年間10回までの利用回数
少額訴訟手続の利用回数は、1人につき同じ裁判所に年間10回までに制限されています2。年間10回という上限は、同じ裁判所に対する回数についての決まりです。
では、申し立てたあとの判決や和解は、どう進むのでしょうか。
5. 判決・和解とその後
判決と和解の内容
審理のあとの結論は、判決か和解のどちらかです。判決は、請求が認められる場合でも、分割払や支払猶予、遅延損害金の免除を含む形でされることがあります2。報酬が一度に全額支払われる判決だけが出る手続きではありません。
和解は、話合いで解決する道です2。和解の進め方の細部は資料に書かれていないので、申し立てる簡易裁判所の案内で確かめます。
異議の2週間と確定
少額訴訟判決は、判決を受け取った日の翌日から2週間以内に異議を申し立てなければ確定します2。不服申立ては異議に限られ、控訴はできません2。
起点は判決を受け取った日の翌日なので、判決書が手元に届いた日付は控えておきたいところです。一方、異議が申し立てられたあとに手続きがどう進むかは、この資料には書かれていません。
出典:裁判所「少額訴訟」をもとに作成
強制執行と通常訴訟への移行
判決書や和解調書があれば、それに基づいて強制執行を申し立てられます2。ただし、強制執行の対象や手順は、この資料には書かれていません。申し立てる前に、裁判所の案内で確かめます。
もう一つ、手続きの途中で道が変わる場合があります。被告の申立てや裁判所の判断で、通常訴訟に移行することがあるのです2。原則1回の審理で終える前提で準備を進めても、移行した場合の進み方は資料に書かれていません。
次は、名前の似た支払督促との違いです。
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6. 支払督促との違い
報酬の不払いに対応する3つの手続き
簡易裁判所Q&Aによると、報酬の不払いなどの紛争には、支払督促・調停・訴訟の手続が対応しています1。少額訴訟は、訴訟のうち60万円以下の金銭の支払を求める場合に限られます1。
少額訴訟の特徴は、審理が原則1回で終わる点です2。支払督促と調停の進み方は、この資料には書かれていません。
支払督促に異議を出さないとき
支払督促は、送達日から2週間以内に異議の申立てをしないと、仮執行宣言が付されることがあります1。仮執行宣言が付いたあとの扱いは、この資料には書かれていません。
少額訴訟判決の異議の期限も2週間です2。数字は同じでも、数え始める日が異なります。少額訴訟は判決を受け取った日の翌日から、支払督促は送達日からです。
2つの手続きの比べ方
表に並べたのは、少額訴訟と支払督促について、資料から言える範囲の特徴です。少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えが対象で、審理は原則1回です。どちらの手続きにも2週間の異議の期限がありますが、起点が異なります。資料に書かれていない項目は、裁判所の案内で確かめます。
| 手続き | 対象と特徴 | 2週間の異議 |
|---|---|---|
| 少額訴訟 | 60万円以下の金銭の支払を求める訴えが対象で、原則1回の審理です2 | 判決を受け取った日の翌日から2週間以内に異議を申し立てなければ確定します2 |
| 支払督促 | 報酬の不払いなどの紛争に対応する手続きの一つです1 | 送達日から2週間以内に異議の申立てをしないと、仮執行宣言が付されることがあります1 |
では、申し立てる前には、何をどの順で確かめるのでしょうか。
7. 申し立てる前に確かめる順番
確かめる4つの項目
確かめる項目は4つです。①請求額が60万円以下か、②契約書・請求書・メールなどの証拠を最初の期日までにそろえられるか、③申立先の簡易裁判所はどこか、④書面か電子申立てか。この順に確かめると、手続きを選ぶ前に、自分の請求が少額訴訟の条件に合うかが見えてきます。表には、それぞれの項目の根拠になる資料の記述を並べました。
| 順番 | 確かめること | 資料にある条件 |
|---|---|---|
| 1. 請求額 | 請求する報酬が60万円以下か | 60万円以下の金銭の支払を求める訴えが対象です2 |
| 2. 証拠 | 契約書・請求書・メールなどを、最初の期日までにそろえられるか | 最初の期日までにすべての言い分と証拠を出し、審理の日にその場で調べられるものに限られます2 |
| 3. 申立先 | 相手方の住所地を管轄する簡易裁判所か、支払の場所となる簡易裁判所か | 原則は相手方の住所地で、金銭請求は支払の場所の簡易裁判所にも起こせます2 |
| 4. 申立ての方法 | 書面か電子申立てか | 令和8年5月21日以降は、書面に加えてオンラインで訴状を提出できます2 |
出典:裁判所「少額訴訟」をもとに作成
手続きを選ぶ前の一歩
通帳の残高を見つめて迷っていた夜に、手元で動かせるものは多くありません。それでも、請求額が60万円以下か、証拠を最初の期日までにそろえられるかは、今日から数えられます。
少額訴訟を選ぶかどうかは、その数えた結果で決まります。請求額と証拠をそろえてから、手続きを選びます。
未払いの手続きに目途が立ったら、次に参画する案件の条件を確かめる段階です。Remoguに登録して、自分の経験に合う案件の条件を確かめてみてください。
8. よくある質問
オンラインで申し立てできますか
令和8年5月21日以降は、オンラインで訴状を提出できます2。電子申立てには民事裁判書類電子提出システム(mints)を使い、利用にはアカウント登録が必要です2。書面による申立ても、引き続き選べます。
相手が遠方の会社でも近くの裁判所に起こせますか
少額訴訟は、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に起こします。金銭請求の場合は、支払の場所となる簡易裁判所にも起こせます2。自分の近くの裁判所がそれに当たるかは、資料に書かれていません。簡易裁判所の案内で確かめます。
判決に納得できないときは控訴できますか
少額訴訟判決への不服申立ては異議に限られ、控訴はできません2。異議は、判決を受け取った日の翌日から2週間以内に申し立てます2。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」(2026年・2026年10月確認)
*2 裁判所「少額訴訟」(2026年・2026年10月確認)
*3 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能