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    【kintone】フリーランス案件の単価交渉で伝える材料|ノーコードの普及とセキュリティの注意点

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「kintoneの報酬相談」を示す図です。設計/権限設計/データの確認/引き継ぎを並べています。強調しているのは権限設計です。決めたことの重さと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • DXを進める人材が不足していると答える企業が85.5%あることと、ノーコードの普及に添えられたセキュリティ上の注意
    • 外部のエンジニアが委託先として見られる立場と、その立場から打ち合わせに持ち込める伝える材料の整理
    • 見積に入れる作業の書き分けと、報酬を相談するときに話を進める順番を、4つの確認事項でそろえる方法

    kintoneのフリーランス案件の打ち合わせで、発注側から「ノーコードだから、すぐできますよね」と言われました。「ノーコードだから安くできるはず」と受け取られたとき、何を根拠に報酬を相談すればよいのか、迷っていませんか。迷うのは、画面を組む作業が軽く見える分、その裏で決めている中身が話題に上りにくいからです。ノーコードの案件で伝えるのは、操作の手間ではなく、決めたことの重さです。

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    1. kintoneのフリーランス案件で報酬の相談をする前に

    この記事は、報酬の相談の前に持っておきたい材料を、IPA(情報処理推進機構)の資料にある事実から整理します。使う資料は3つで、DXを進める人材の状況1、ローコード・ノーコードツールのセキュリティ2、組織向けの脅威3を扱っています。

    ただし、3つの資料が扱うのは特定の製品ではなく、DXとノーコード全般です。そのため、kintoneの需要や案件の数が増えているかどうかは、ここから読み取れません。この記事が扱うのは、ノーコードの案件で外部のエンジニアが何を根拠に報酬の話を切り出せるか、という点です。

    金額は書きません。報酬は案件によって条件が異なるため、「何を伝えるか」と「どの順に話すか」に絞ります。では、DXを進める人材は、企業の中でどのくらい確保できているのでしょうか。

    2. DXを進める人材の不足

    人材の「量」が不足していると答えた企業の割合

    IPAの「DX動向2026」調査のポイント(2026年7月16日公表)では、DXを推進する人材の「量」の確保状況について、「やや不足している」と「大幅に不足している」を合わせた割合が85.5%でした1。2024年度、2023年度ともほぼ同じ水準だと示されています1。

    この数字から言えるのは、DXを進める人材を確保できていないと答えた企業が85.5%に上るという点までです。kintoneを扱える人材が不足しているのか、案件が増えているのかは、この数字からは分かりません。

    一方で、2023年度から3年続けてほぼ同じ水準で推移している点は、読み取れます1。一時的な数字ではなく、DXの現場で続いている状況として、打ち合わせの前提に置けます。

    図1:人材の確保状況に関する回答の割合
    DXを推進する人材の量の確保状況 回答の大半が不足 DXを推進する人材の「量」 やや不足+大幅に不足 85.5% それ以外 2024年度・2023年度もほぼ同じ水準

    出典:情報処理推進機構「DX動向2026」調査のポイント(2026年7月)をもとに作成

    調査の項目ごとの結果

    下の表には、同じ調査のうち、この記事で使う3つの項目を並べています。人材の量、AIの位置づけ、AI関連人材の充足状況のいずれも、企業側の回答をまとめたものです。外部のエンジニアに頼む作業の中身は、この表に含まれていません。右の列には、資料が示している範囲だけを書きました。

    調査の項目結果
    DXを推進する人材の「量」の確保状況「やや不足している」「大幅に不足している」の合計が85.5%。2024年度、2023年度とほぼ同じ水準1
    AIをDX推進の手段とする位置づけDXに取り組む企業の半数以上がAIを手段に位置づけ、その合計は54.2%1
    AI関連人材の充足状況多くの人材種別で「不足している」が過半数。現場の知見と基礎的なAI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる人材なども、不足の回答割合が高いまま1

    AIの位置づけと、AI関連人材の不足

    同じ資料では、DXに取り組む企業の半数以上がAIをDX推進の手段に位置づけており、その合計は54.2%でした1。DXの手段としてAIを選ぶ企業が半数を超える中で、人材の不足はAIの領域にも及んでいます。

    AI関連人材の充足状況については、多くの人材種別で「不足している」が過半数を占めています1。現場の知見とAIの基礎知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる人材なども、不足しているとの回答割合が高いままです1。

    資料が数字で示すのは、不足の大きさまでです。外部のエンジニアに何を頼むかは、案件ごとの打ち合わせで決まります。そのため、不足の数字は報酬を決める根拠ではなく、相談の前提として置くのが資料に沿った使い方です。

    3. ノーコードの普及とセキュリティの注意点

    急速に普及したツールと、その影にあるリスク

    IPAのローコード・ノーコードツール セキュリティビギナーズガイドの紹介ページ(2025年8月29日更新)は、手軽に扱えるローコード・ノーコードツールが急速に普及している一方で、その利便性の影には情報漏えいに繋がるような重大なセキュリティリスクが潜んでいると述べています2。

    ここで注意したいのは、これがノーコードツール全般についての記述である点です。kintoneに欠陥があるという意味ではありません。ノーコードが手軽だと受け止められるほど、権限やデータの扱いといった確かめるべき中身が目に入りにくくなる、というのがこの記述の読み方です。

    図2:ノーコードの普及と、その影にあるリスク
    ノーコードの普及とリスクの対比 普及と同時に、注意も必要 急速に普及 手軽に扱えるツール 情報漏えいのリスク 重大なセキュリティリスクが潜む リスクを抑えて活用するための「8か条」

    出典:情報処理推進機構「ローコード・ノーコードツール セキュリティビギナーズガイド」紹介ページ(2025年8月更新)をもとに作成

    ベストプラクティス集としての8か条

    同じページによると、このガイドは、リスクを抑えつつ安全に活用するための「8か条」を中心に、ベストプラクティス集としてまとめたものです2。各条の中身は紹介ページにないため、この記事では扱いません。確かめたい場合は、ガイドの原文を開いてください。

    たとえば、権限やデータの扱いを打ち合わせの議題にするとき、公的な機関がまとめた資料があれば、自分の考えではなくガイドの整理として話を切り出せます。8か条が存在すること自体が、セキュリティへの配慮を作業として話題にする足がかりになります。

    では、この注意点は、発注側から見た外部のエンジニアの立場とどうつながるのでしょうか。

    4. 委託先として見られる立場

    組織向けの脅威で2位に入った項目

    IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向け脅威の2位に「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が入っています3。項目名のとおり、業務を外部に委ねる場面そのものが、脅威の一つとして整理されています。

    ただし、この2位は項目の位置づけを示す順位であり、報酬に直接つながる数値ではありません。ここから言えるのは、外部に任せる側が、委託先をセキュリティの観点でも見ているという点までです。

    外部のエンジニアが置かれる立場

    外部のエンジニアに業務アプリの構築を任せるとき、発注側から見て、自分は委託先にあたります。ノーコードの案件でも、アプリに載るデータや、だれが何を見られるかを決める作業は、委託先として任された範囲に入ります。

    そのため、権限の設計やデータの扱いを、受ける側から先に話題にする意味があります。発注側が委託先を見る観点に、こちらから答えを用意しておく形です。操作の手間だけを見られている状況を、決めたことの重さへ移すきっかけにもなります。

    では、ここで整理した資料の事実を、報酬の相談の場でどんな言葉に置き換えればよいのでしょうか。

    5. 交渉で伝える材料の整理

    資料の事実が支える範囲

    打ち合わせに持ち込める材料は、3種類の事実です。DXを進める人材が不足していると答える企業が85.5%あること1。ノーコードには手軽さと並んで、情報漏えいに繋がるリスクが潜むと述べられていること2。組織向け脅威の2位に、委託先を狙った攻撃が入っていること3です。

    どれも金額を決める数字ではありません。使い方は、報酬の水準を主張する根拠ではなく、「何を作業として見積に入れるか」を話題にする足がかりです。数字の大きさで押すと、資料が言っていない範囲まで主張することになります。

    伝える材料と言い方の対応

    下の表は、伝える材料ごとに、根拠になる資料の事実と、打ち合わせでの言い方の例を並べたものです。右の列の言い方は、資料に書かれた文言ではなく、この記事が組み立てた一例です。自分の案件の条件に合わせて、言葉を置き換えて使ってください。

    伝える材料根拠になる資料の事実打ち合わせでの言い方
    作る範囲を先に決めるDXを進める人材の「量」が不足していると答えた企業が85.5%1「今回はどこまでを範囲にするか、最初に決めさせてください」
    権限とデータの扱いを作業に含めるノーコードの手軽さの影に、情報漏えいに繋がる重大なセキュリティリスクが潜むとの記述2「だれが何を見られるかの設計も、今回の作業として見積に入れます」
    委託先としての取り決めをそろえる組織向け脅威の2位に、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃3「委託先として守る取り決めを、先にそろえておきたいです」
    見積を作業ごとに分けるリスクを抑えて安全に活用するための「8か条」を中心にまとめたガイドがあること2「作業を分けて書いたので、含める範囲を一緒に確認させてください」

    4つの材料はいずれも、操作の手間を訴えるものではありません。決めること、確かめることを先に並べる形です。次の節では、この4つをどう見積に書き分けるかを見ます。

    6. 見積に入れる作業の書き分け

    作業を4つの区分に分ける

    見積が「画面を組む一式」の1行になっていると、権限の設計やデータの確認は、頼んでいない作業のように見えます。そこで、設計、権限設計、データの扱いの確認、運用の引き継ぎの4つに書き分けます。この区分は資料にあるものではなく、この記事の整理です。

    権限設計とデータの扱いの確認を独立させる理由は、資料が、ノーコードの手軽さの影にある情報漏えいのリスクを挙げているためです2。手軽に作れるぶん、確かめる中身が見えにくくなります。作業として名前を付けておけば、頼まれている範囲が発注側にも分かります。

    区分ごとの含める中身

    下の表では、4つの作業区分に、含める中身と、見積での書き方の例を対応させました。金額の欄は設けていません。報酬は案件の条件によって変わるため、ここでは何を作業として書くかだけを扱います。

    作業区分含める中身見積での書き方
    設計作る範囲、アプリ同士の関係、入力項目の決め方「範囲の確定と設計」を独立した行にする
    権限設計だれが何を見られるか、変更できるかの決め方「権限の設計と確認」を独立した行にする
    データの扱いの確認載せるデータの種類と、情報漏えいに繋がる経路の洗い出し「データの取り扱いの確認」を独立した行にする
    運用の引き継ぎ設定した理由と手順を、発注側が続けられる形で残す「運用の引き継ぎ資料」を独立した行にする
    図3:見積に入れる作業の積み上げ
    見積に入れる作業の4つの区分 見積は画面づくりの外側まで広がる 設計 権限設計 データの扱いの確認 運用の引き継ぎ

    図の作成:Remogu編集部。作業の区分はこの記事の整理で、統計データではありません

    運用の引き継ぎを独立させる意味

    運用の引き継ぎは、4つの中でいちばん見落とされる行です。作って終わりではなく、発注側が続けられる形で理由と手順を残すところまでを、作業として見積に書いておきます。ただし、どこまで引き継ぐかは案件の条件によって異なります。

    では、この4つの区分は、報酬を相談する場でどの順に出せばよいのでしょうか。

    7. kintoneの案件で報酬を相談する順番

    4つの確認事項を順に出す

    順番は、作る範囲、権限とデータの扱い、委託先としての取り決め、見積の書き分けの4つです。金額の話は最後に置きます。先に範囲と中身がそろっていれば、「ノーコードだから、すぐできますよね」という一言にも、何を作業として見ているかを添えて答えられます。

    図4:相談する順番
    報酬を相談する4つの順番 範囲が先で、見積は最後 ①作る範囲 どこまで作るか ②権限とデータの扱い だれが何を見られるか ③委託先としての取り決め 先にそろえる約束 ④見積の書き分け 作業ごとに分ける

    図の作成:Remogu編集部。相談の順番はこの記事の整理で、統計データではありません

    最初の「作る範囲」では、DXを進める人材が不足していると答える企業が85.5%ある1、という状況を前提に置きます。人の不足が続くなかで、どこまでを今回の案件とするかを先に決めておけば、後から範囲が広がる場面でも話し合いの基準があります。

    2つ目の「権限とデータの扱い」では、ノーコードの手軽さの影にリスクが潜むという記述2を、作業として名前を付ける理由にします。3つ目の「委託先としての取り決め」では、委託先を狙った攻撃が組織向け脅威の2位に入っている事実3を、取り決めを先にそろえる背景として話します。

    4つ目が「見積の書き分け」です。ここまでの3つで決まった中身を、設計、権限設計、データの扱いの確認、運用の引き継ぎの行に落とします。リスクを抑えて安全に活用するための「8か条」を中心にまとめたガイドがある2ので、権限やデータの扱いを項目として立てる説明にも使えます。

    打ち合わせの最初の一言に戻る

    「ノーコードだから、すぐできますよね」と言われたら、画面を組む作業が軽く見えていると受け取ります。そのうえで、権限やデータの扱いのように、決めなければならない中身があることを、上の順番で一つずつ示します。反論ではなく、作業の内訳を並べる形です。

    Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで、扱う案件の90%以上がフルリモート可能です4。まず登録して、自分の経験に合うリモート案件の条件を確かめておくと、報酬を相談する前に、どの作業を自分の見積に入れるかを具体的に考えられます。

    kintoneの案件で、報酬の相談の前に持っておきたいのは、操作の手間を数える物差しではありません。ノーコードの案件で伝えるのは、操作の手間ではなく、決めたことの重さです。

    8. よくある質問

    kintoneの案件が増えているという資料はありますか

    この記事で使ったIPAの3つの資料に、kintoneという製品別の案件数や需要を示す記述はありません。資料から言えるのは、DXを進める人材が不足していると答える企業が85.5%あること1と、ノーコードツールが急速に普及していること2までです。

    ノーコードの案件は報酬が下がりやすいですか

    資料には、ノーコードの案件の報酬についての記述がありません。そのため、下がりやすいとも、そうでないとも言えません。報酬は案件の条件で変わるので、数字を比べる前に、見積に入れる作業と伝える材料を整理することから始めます。

    セキュリティの確認も作業に含めてよいですか

    資料は、ノーコードの手軽さの影に情報漏えいのリスクが潜むと述べ2、リスクを抑えて安全に活用するための「8か条」をまとめたガイドを紹介しています2。含めるかどうかは案件ごとの打ち合わせで決まります。含める場合は、「データの取り扱いの確認」のように、独立した行で見積に書きます。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 情報処理推進機構「DX 動向 2026」(2026年7月・2026年10月確認)
    *2 情報処理推進機構「ローコード・ノーコードツール セキュリティビギナーズガイド」(2025年8月・2026年10月確認)
    *3 IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年・2026年10月確認)
    *4 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能