• ノウハウ
  • |Remogu(リモグ)" />

    業務委託の変更契約書のひな形|書く項目と印紙の扱い、変更管理書との違いを解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「変更契約書の項目」を示す図です。元の契約/変更の合意/変更契約書を並べています。強調しているのは変更契約書です。書面で結ぶと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • IPAの契約書ひな型が、契約内容の変更を書面の変更契約で行うと定めていることと、変更管理書との条の違い
    • 元の契約書の特定と、変更の内容・理由・費用・期日・契約条件への影響という、変更契約書に書く項目の整理
    • 委託料を増やす場合と減らす場合で、印紙の記載金額の数え方がどう変わるかと、フリーランス法の3条通知との関係

    業務委託で開発を受けている途中で、画面を一つ追加し、納期と委託料も見直すことになりました。チャットで合意はできたものの、変更契約書を作るのか、作るなら何を書けばよいのか、ひな形はあるのかが分からず、手が止まりました。業務委託の変更契約書のひな形について、IPAと国税庁の資料をもとに、書く項目を編集部が整理します。変更契約書の項目は、元の契約がどれかと、何を・なぜ・いくらで・いつまでに変えるかです。

    リモートワーク案件特化のエージェント|Remogu(株式会社LASSIC運営) リモートの案件を探す フルリモートの案件を見る

    1. 業務委託の変更契約書とIPAのひな型

    ひな型に置かれた変更の章

    IPAの契約書ひな型には、第4章として契約内容等の変更の章が置かれています1。IPAが公開している、システム開発の契約書のひな型です。

    この記事でいう業務委託の変更契約書は、このひな型の第33条が定める書面を指します。手元の契約書にも同じ条があるとは限らないので、ここで見るのはIPAのひな型の定めです。

    第33条が定める手順

    第33条は、本契約及び個別契約の内容の変更について、事前に協議の上、別途、書面により変更契約を締結することによってのみ行えるとしています1。

    条文の言葉を分けると、順番は三つです。まず事前の協議、次に別途の書面、そして変更契約の締結です。「のみ」とあるので、この三つを経ない形で内容を変える道は、ひな型には用意されていません。

    冒頭の場面でいえば、画面の追加や納期、委託料の見直しが決まったあとに、書面の変更契約を結ぶ段階が来ます。では、その書面には何を書けばよいのでしょうか。

    2. 変更契約書のひな形に書く項目(編集部の整理)

    変更契約書の記載事項を直接定めた資料は、この記事で使う3つの資料の中にありません。そこで、IPAの変更管理書の記載事項と、国税庁が印紙の扱いの例に挙げた事項を組み合わせて、ひな形の骨組みにしました。この節の項目は、IPAや国税庁が変更契約書について定めたものではなく、編集部の整理です。

    変更管理書の記載事項

    IPAの変更管理書には、記載事項として、変更の名称、提案の責任者、年月日、変更の理由、変更に係る仕様を含む変更の詳細事項があります1。何の変更を、誰が、いつ、なぜ提案するのかを書く欄です。

    これに続く記載事項は、費用とスケジュールです。変更のために費用を要する場合はその額と、検討期間を含めた変更作業のスケジュールが挙げられています1。

    最後の記載事項は、変更が本契約及び個別契約の条件に与える影響です。条件の例として、作業期間又は納期、委託料、契約条項等が示されています1。冒頭の場面に当てはめると、画面の追加は変更の詳細事項、納期と委託料の見直しは契約の条件への影響として書く内容にあたります。

    元の契約書を特定する事項

    国税庁は、変更前の契約書が作成されていることが明らかな場合の例として、変更契約書に変更前の契約書の名称、文書番号または契約年月日など、変更前の契約書を特定できる事項の記載がある場合を挙げています2。

    ただし、国税庁がこれを挙げたのは印紙の扱いを分ける場面で、変更契約書の必須項目として定めたわけではありません。それでも、どの契約の変更なのかを示す項目としては使えるので、編集部の整理に加えました。

    ひな形の項目と元にした資料

    項目は、元の契約書の特定を最初に置き、そのあとに変更管理書の記載事項を並べています。「元にした資料」の列で、IPAの変更管理書の記載事項と国税庁の例を見分けられます。変更契約書の骨組みとして、まず何の変更かを特定し、次に変更の内容と理由、費用と期日、契約条件への影響へ進む順序です。

    項目書くこと元にした資料
    元の契約書の特定名称、文書番号または契約年月日など国税庁No.7123の例2
    変更の名称何の変更かを示す名称IPAの変更管理書の記載事項1
    提案の責任者変更を提案する責任者IPAの変更管理書の記載事項1
    年月日変更を提案した年月日IPAの変更管理書の記載事項1
    変更の理由なぜ変更するのかIPAの変更管理書の記載事項1
    変更の詳細事項変更に係る仕様を含む詳細IPAの変更管理書の記載事項1
    費用変更のために費用を要する場合はその額IPAの変更管理書の記載事項1
    スケジュール検討期間を含めた変更作業のスケジュールIPAの変更管理書の記載事項1
    契約の条件への影響作業期間又は納期、委託料、契約条項等への影響IPAの変更管理書の記載事項1

    表1は、IPAの変更管理書の記載事項と国税庁No.7123の例をもとに、編集部が整理したものです。条文の文面ではなく、項目の一覧です。

    図1:ひな形の骨組み
    ひな形の骨組み 1 元の契約の特定 名称・文書番号・契約年月日など 2 変更の内容と理由 名称・責任者・年月日・理由・詳細 3 費用と期日 費用を要する場合はその額・スケジュール 4 契約条件への影響 作業期間又は納期・委託料・契約条項等

    図の作成:Remogu編集部。IPAの変更管理書の記載事項と国税庁No.7123の例をもとに整理したもので、統計データではありません

    3. 変更管理書と変更契約書の違い

    IPAのひな型には変更に関する書面が二つ出てきます。変更管理書と変更契約書です。名前が似ていますが、根拠にしている条が別なので、どちらの変更の話かを先に分けておきます。

    第37条の変更管理書

    第37条は変更管理手続の条です。対象は、第34条から第36条、つまりシステム仕様書等の変更、中間資料のユーザによる承認、未確定事項の取扱いに基づく変更提案書です。これを受領した側は、受領日から一定の日数以内に変更管理書を相手方に交付し、第12条所定の連絡協議会で変更の可否を協議します1。

    交付までの日数は、ひな型では空欄になっています。日数が決まっていない状態を前提にした書式なので、手元の契約書にこの条があるときは、日数が書かれているかを確かめます。

    第33条の変更契約書

    第33条が扱うのは、本契約及び個別契約の内容の変更です。事前の協議の上、別途、書面により変更契約を締結することによってのみ行えます1。

    つまり、第37条は仕様書等の変更などの手続、第33条は契約内容の変更の手続で、扱う範囲が違います。第37条の変更管理書を交付すれば第33条の変更契約も済む、という書き方はひな型にありません。

    冒頭の場面の納期や委託料の見直しが、第33条の契約内容の変更に当たるかどうかは、手元の契約書の条文で確かめます。

    2つの書面の比較

    表2は、変更管理書と変更契約書を、根拠の条、対象、役割の3つの観点で並べています。変更管理書は変更提案書を受けて交付するもの、変更契約書は契約内容の変更を書面で結び直すものです。どちらもIPAのひな型の定めで、同じ契約書の中に別々の条として置かれています。

    書面根拠の条対象役割
    変更管理書第37条第34条〜第36条に基づく変更提案書(システム仕様書等の変更、中間資料のユーザによる承認、未確定事項の取扱い)変更提案書を受領したら相手方に交付し、第12条所定の連絡協議会で変更の可否を協議する1
    変更契約書第33条本契約及び個別契約の内容の変更事前の協議の上、別途、書面により締結することによってのみ変更を行える1
    図2:2つの書面が別の条にある
    2つの書面が別の条にある 仕様書等の変更 第37条 変更管理書 契約内容の変更 第33条 変更契約書

    図の作成:Remogu編集部。IPAの契約書ひな型の第33条と第37条を並べたもので、統計データではありません

    この図のとおり、2つの書面は別の入口から始まります。では、協議がまとまらなかったとき、ひな型はどう備えているのでしょうか。

    4. 協議がまとまらないときの定め

    第38条第1項の内容

    第38条は、変更の協議不調に伴う契約終了の条です。協議の結果、変更の内容が作業期間又は納期、委託料等に影響を及ぼす等の理由で、甲が個別契約の続行を中止しようとするときは、未了部分について個別契約を解約できるとしています1。

    この第1項は、A案とB案のどちらにも共通です。ここでの甲は、ひな型での呼び方です。誰が甲に当たるかは、手元の契約書の当事者の書き方で確かめます。

    解約の範囲と前提になる協議

    解約できるのは未了部分です。すでに終わった部分まで契約を終わらせる定めではありません。

    第38条の「協議の結果」は、前の条(第37条)の変更管理手続での協議を受けたものです1。仕様書等の変更を話し合ってもまとまらないとき、未了部分の解約という出口が用意されています。次の節では、合意できた委託料の変更が、印紙の記載金額にどう響くかを見ます。

    5. 委託料を変えるときの印紙の記載金額

    前提と分かれ目

    この節は、印紙が要る契約書に当たる場合の話です。手元の変更契約書が印紙の対象になるかどうかは、案件の契約書と収入印紙を扱った別の記事で確かめてください。ここで見るのは、対象になる場合に、委託料の変更が記載金額としてどう数えられるかです。

    国税庁のタックスアンサーによると、契約金額を変更する契約書の記載金額は、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであるか否かで、扱いが異なります2。

    明らかな場合の例として、国税庁は、変更契約書に変更前の契約書の名称、文書番号または契約年月日など、変更前の契約書を特定できる事項が書かれている場合を挙げています2。第2節の表1で最初に置いた「元の契約書の特定」は、印紙の数え方の分かれ目にもつながっています。

    5つの場合の記載金額

    変更前の契約書が明らかな場合は3つに分かれます。委託料を増やすものは増加金額、減らすものは記載金額のないもの、変更後の金額だけが書かれて変更金額が明らかでないものは変更後の金額です。明らかでない場合は2つで、変更後の金額が書かれていればその金額、変更金額だけが書かれていれば増やす場合も減らす場合もその変更金額です。

    変更前の契約書変更契約書の書き方記載金額
    明らか委託料を増やす増加金額2
    明らか委託料を減らす記載金額のないもの2
    明らか変更後の金額のみ(変更金額が明らかでない)変更後の金額2
    明らかでない変更後の金額を記載変更後の金額2
    明らかでない変更金額のみを記載増やす場合も減らす場合も、その変更金額2

    表3の5つは、国税庁No.7123が挙げる場合を並べたものです。自動更新後の期間の単価を変える契約書など、別の扱いになる場合もあるので、手元の契約書がそれに当たるときは、国税庁No.7123で確かめてください。

    図3:記載金額の分かれ道
    記載金額の分かれ道 元の契約書を特定できるか 特定できる 特定できない 増やす:増加金額 減らす:記載金額なし 変更後の金額のみ:変更後の金額 変更後の金額を記載:その金額 変更金額のみ:その変更金額

    出典:国税庁「No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額」をもとに作成2

    金額の書き方は、委託料を変える合意ができたあとに書面へ移す段階で決まります。では、変更ではなく、委託内容の詳細があとから決まる場面は、フリーランス法ではどう扱われるのでしょうか。

    6. フリーランス法の3条通知との関係

    詳細があとから確定した場合のQ&A

    公正取引委員会のフリーランス・事業者間取引適正化等法Q&Aは、3条通知による明示を行ったといえる程度に委託内容を明らかにしていた場合、取引の過程でより詳細な委託内容が確定しても、改めて3条通知により明示しなくてもよい場合があるとしています3。

    そのうえで、後に定めたより詳細な委託内容を特定受託事業者に伝え、委託内容の明確化に努めることが望まれます3。

    変更契約書とは別の場面

    このQ&Aが扱うのは、最初の明示より詳細な委託内容があとから確定した場合です。冒頭の場面のように、すでに合意した納期や委託料、追加する画面を変える場面に、そのまま当てはめた答えではありません。

    合意済みの条件を変えるときは、第33条のとおり、事前の協議と書面の変更契約が前提です。詳細の確定と条件の変更は別の話として分けて考えます。最後に、変更契約書を作る前に確かめる点を順に見ます。

    7. 変更契約書を作る前に確かめる3点

    確かめる順番

    一つ目は、元の契約書を特定できる事項を書けるかです。名称、文書番号または契約年月日などが挙げられています2。二つ目は、変更が仕様書等の変更の話か、契約内容の変更の話かです。前者は第37条の変更管理書、後者は第33条の変更契約書という別々の条にあたります1。

    三つ目は、合意した契約内容の変更を書面にしたかどうかです。IPAのひな型は、書面により変更契約を締結することによってのみ、内容を変更できるとしています1。

    図4:確かめる順番
    確かめる順番 特定・種類・書面の順 見るところ 1 元の契約書の特定 名称・文書番号・契約年月日 2 条の見きわめ 第37条か第33条か 3 書面での締結 合意した内容を書面に

    図の作成:Remogu編集部。IPAの契約書ひな型の第33条・第37条と国税庁No.7123の例をもとに整理したもので、統計データではありません

    冒頭の場面に戻って

    画面を一つ追加し、納期と委託料も見直すことになった場面に戻ります。IPAの契約書ひな型では、契約内容の変更は事前に協議の上、書面で変更契約を締結することによってのみ行います1。項目は、変更管理書の記載事項と、元の契約書を特定できる事項を組み合わせた編集部の整理で組み立てます。

    印紙が要る契約書なら、委託料を増やすか減らすかで記載金額の数え方が変わります2。減らす場合は、元の契約書が明らかなときに限って、記載金額のないものになります2。

    変更契約書の項目は、元の契約がどれかと、何を・なぜ・いくらで・いつまでに変えるかです。合意した変更は、ひな型の第33条のとおり書面の変更契約にします。契約の手続を整えたら、次の案件も探してみてください。Remoguでは、案件の90%以上がフルリモート可能です4。登録して、自分の経験に合う案件の条件を確かめてみてください。

    8. よくある質問

    変更はチャットの合意だけで済ませてよいですか

    IPAの契約書ひな型の第33条は、契約内容の変更を、事前に協議の上、別途、書面により変更契約を締結することによってのみ行えるとしています1。手元の契約書に同じ定めがあるかは、条文で確かめてください。

    委託料を減らす変更契約書にも記載金額はありますか

    印紙が要る契約書で、変更前の契約書が明らかな場合は、委託料を減らす変更契約書の記載金額はないものになります2。変更前の契約書が明らかでなく、変更金額のみが書かれているときは、減らす場合もその変更金額が記載金額です2。

    詳細が後から決まったら、改めて3条通知が要りますか

    3条通知による明示を行ったといえる程度に委託内容を明らかにしていれば、より詳細な内容があとから確定しても、改めて明示しなくてもよい場合があります3。その場合も、後に定めた詳細を伝え、委託内容の明確化に努めることが望まれます3。

    リモートワーク案件をお探しの方へ

    Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。

    変更の書き方を押さえたら、次は受ける案件の条件も見てみてください。リモートの案件から探せます。

    フルリモートの案件を見る30秒で無料登録

    会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料

    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 IPA「システム開発の健全化に向けて(情報システム・モデル取引・契約書 講演資料)」(2025年4月・2026年10月確認)
    *2 国税庁「No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額(タックスアンサー)」令和8年4月1日現在法令等(2026年4月・2026年10月確認)
    *3 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法Q&A」随時更新(2026年8月・2026年10月確認)
    *4 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能