中古パソコンの減価償却はどう計算する?フリーランスエンジニアが確かめる簡便法の使い方と私物の注意点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 減価償却資産と法定耐用年数の考え方と、取得価額が10万円未満のパソコンを使い始めた年に全額経費にできる条件
- 中古で買ったパソコンの耐用年数を、取得した時以後に使える年数で決める考え方と、見積もれないときに使う簡便法の計算式
- 私物として使っていたパソコンを事業用にしたときに、使っていなかった期間の減価を先に引く手順と、その後の償却方法の決まり方
開業して最初の確定申告の準備を始めました。仕事に使っているパソコンは中古で買ったもので、開業前から私物として使っていた機器もありました。新品と同じように減価償却すればよいのか、判断がつきませんでした。調べていくと、中古資産の耐用年数は、取得した時以後に使える年数で考えるという道筋が見えてきました。
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1. 減価償却資産としてのパソコンと法定耐用年数
時間とともに価値が下がる減価償却資産
建物や機械装置、器具備品、車両運搬具のように、事業などの業務に使いながら、時の経過によって価値が下がっていく資産があります。国税庁は、こうした資産を減価償却資産と呼んでいます1。
仕事に使うパソコンも、使ううちに価値が下がっていく道具です。新品で買ったか中古で買ったか、あるいは開業前から私物として使っていたかによって、経費にする計算の仕方は変わってきます。まず押さえるのは、パソコンがこの減価償却資産に含まれるという前提です。
使用可能期間の目安となる法定耐用年数
減価償却資産には、使用可能期間の目安になる年数があります。これが法定耐用年数で、財務省令の別表に定められています1。新品として買った資産は、原則としてこの年数に沿って経費に分けていきます。
ただし、中古で買った資産や、私物として使っていた資産をあとから事業用にした資産には、この法定耐用年数をそのまま当てはめられない場面があります。次の節から、それぞれの考え方を確かめていきます。
この記事で使う言葉
ここから先は、法定耐用年数のほかに、非業務用資産や簡便法といった言葉が出てきます。読み進める前に、それぞれの言葉が指す範囲を表で確認します。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 減価償却資産 | 事業などの業務に使いながら、時の経過によって価値が下がっていく資産です1 |
| 法定耐用年数 | 減価償却資産の使用可能期間の目安として、財務省令の別表に定められている年数です1 |
| 非業務用資産 | 家屋や自動車のように減価する資産のうち、業務に使っていなかったものです2 |
| 簡便法 | 使用可能期間の年数を見積もるのが難しいときに、決まった式で計算する方法です3 |
取得価額によって、経費にする年数の扱いは変わります。次に、10万円未満のパソコンと、10万円以上のパソコンとで扱いがどう違うかを確認します。
2. 取得価額10万円未満のパソコンの扱い
10万円未満なら全額を経費に
使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のものは、取得にかかった金額の全額を、業務に使い始めた年分の必要経費にできます1。中古で買ったパソコンでも、私物として使っていたパソコンでも、この基準に当てはまれば同じ扱いになります。
何年かけて経費に分けるかを考える前に、まず取得価額を確かめることが、最初の一歩になります。
10万円以上40万円未満の青色申告者向けの特例
一定の要件を満たす青色申告者には、令和11年3月31日までに取得した取得価額10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までに取得した場合は10万円以上30万円未満)の資産について、業務に使い始めた年分の必要経費に算入できる特例があります1。一括償却資産の扱いを受けるものは、この特例の対象から外れます。
この特例で必要経費にできるのは、取得価額の合計額のうち300万円に達するまでです1。中古のパソコンをこの価格帯で買った場合も、要件を満たせば対象になります。
| 取得価額 | 扱い |
|---|---|
| 10万円未満、または使用可能期間1年未満 | 使い始めた年に全額を必要経費にします1 |
| 10万円以上40万円未満(青色申告者・一定の要件) | 使い始めた年分の必要経費に算入できる特例があります(合計300万円まで)1 |
特例の対象になるか確かめながら、案件を見てみる →
3. 中古パソコンの耐用年数(取得した時以後に使える年数)
法定耐用年数の代わりに使える年数
中古資産のうち一定のものを取得した場合は、法定耐用年数によらずに、中古資産を取得した時以後の使用可能期間の年数を耐用年数にできます3。ここでいう「取得した時」は、業務に使い始めた時ではなく、中古資産を手に入れた時点を指します。
新品として計算する法定耐用年数ではなく、その中古資産があと何年使えるかという見通しに沿って、耐用年数を決められるということです。
見積もりが難しいときの簡便法
使用可能期間の年数を合理的に見積もることが難しいときは、簡便法で計算した年数によることもできます3。中古で買ったパソコンの残りの使える年数を、自分で正確に見積もるのは容易ではありません。
ただし、その資産を使うために取得価額の50パーセントを超える資本的支出をした場合は、簡便法を使えません3。中古のパソコンを買ったあとに大きく手を加えた場合は、この条件に当てはまらないかを確かめます。
出典:国税庁 No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却をもとに作成
4. 見積もれないときの簡便法と2年の下限
経過年数で使い分ける2つの式
簡便法では、中古資産が法定耐用年数のうち、どれだけの期間をすでに経ているかによって使う式が変わります。法定耐用年数の一部を経過した資産は、(法定耐用年数-経過年数)に、経過年数×20/100を足した年数で計算します3。
一方、法定耐用年数の全部をすでに経過している資産は、法定耐用年数×20/100という、もう一つの式で計算します3。どちらの式に当てはまるかは、中古資産を取得した時点で、法定耐用年数の期間をすでに超えているかどうかで分かれます。
端数の切り捨てと2年の下限
簡便法で計算した年数に1年未満の端数が出たときは、切り捨てます3。そのうえで、計算した年数が2年に満たない場合は、2年として扱います3。
取得してから年数が経っている中古資産ほど、計算上の年数は短くなっていきます。それでも2年という下限があるため、耐用年数が1年やそれより短い年数になることはありません。
経過年数に含めない、業務に使っていなかった期間
簡便法で使う経過年数は、その資産が新築や製造などをされてから、中古資産として取得した時までの期間です3。中古で買ってから私物として使っていた期間は、経過年数に含めません。
取得した時点までの期間だけを数えるという線引きは、次の節で扱う、私物を事業用にしたときの計算にもつながります。私物として使っていた期間の扱いは、簡便法の経過年数とは別に考えます。
出典:国税庁 No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却をもとに作成
5. 私物のパソコンを事業用にしたときの減価の額
非業務用資産を業務用にしたときの減価の額
家屋や自動車のように使用や期間の経過によって減価する資産で、業務に使っていなかったもの(非業務用資産)を業務に使い始めた場合は、まず非業務用資産として使っていた期間の「減価の額」を計算し、取得価額から差し引いた金額を、業務に使い始めた日の未償却残高とします2。
私物として使い、業務には使っていなかったパソコンも、この考え方で計算します。新品と同じ耐用年数で経費に分けるのではなく、私物だった期間の減価の額を先に計算するという手順を、事業用にする前に押さえます。
法定耐用年数の1.5倍・旧定額法に準じた計算
業務に使い始めた日の未償却残高は、取得価額から、業務に使われていなかった期間について、法定耐用年数(新品の耐用年数)の1.5倍に相当する年数で旧定額法に準じて計算した減価の額を差し引いて計算します2。この減価の額の計算は、旧定額法によります2。
新品として計算する法定耐用年数ではなく、その1.5倍の年数を使う点が、私物を事業用にしたときの計算の特徴です。事業用にしたあとの耐用年数を決める、中古資産の考え方とは別の物差しを使います。
使っていなかった期間の端数と6か月の区切り
業務に使われていなかった期間の年数に1年未満の端数があるときは、6か月以上の端数は1年とし、6か月に満たない端数は切り捨てます2。私物として使っていた期間を数える最初の一歩は、この端数の区切り方を確かめることです。
私用していた期間、減価の額の計算、未償却残高への反映という3つの手順は、この順番で進みます。
出典:国税庁 No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却をもとに作成
私物のパソコンを事業用にする準備をしながら、案件を見てみる →
6. 事業用にした後の償却方法を決める取得年月日
償却方法を分ける取得年月日
未償却残高を計算したあとに残るのは、業務に使っている期間の償却方法をどう決めるかという問いです。業務に使っている期間の償却の方法は、その資産の取得年月日によって異なり、私物を事業用に転用した日で決まるのではありません2。
基準になるのは業務に使い始めた日ではなく、そのパソコンを取得した年月日です。
簡便法の経過年数と私物だった期間の関係
簡便法で使う経過年数は、新築や製造などをされてから中古資産を取得した時までの期間で、業務に使われていなかった期間は含まれません3。中古で買った私物のパソコンを事業用にした場合も、この数え方は変わりません。
私物として使っていた期間は、前の節で確かめた「使っていなかった期間の減価の額」を計算するときの材料になります。簡便法の経過年数と、私物だった期間の端数の扱いは、別の場面で使う数字です。
7. パソコンを経費にする前に確かめる4点
確かめる4点の一覧
パソコンを経費にする前に確かめる点は、次の4つです。
| 確かめること | 確認する内容 |
|---|---|
| 取得価額 | 10万円未満、または使用可能期間1年未満なら、使い始めた年に全額を必要経費にできます1 |
| 中古で買った場合 | 取得した時以後に使える年数を見積もれるか確かめます。見積もれなければ簡便法を使います3 |
| 私物を事業用にした場合 | 使っていなかった期間の減価の額を先に計算し、取得価額から差し引きます2 |
| 償却方法 | 事業用に転用した日ではなく、取得年月日で決まります2 |
確かめる4点の流れ
表で並べた4つの確認は、上から順に一つずつ済ませていく形です。
出典:国税庁 No.2100・No.2108・No.2109をもとに作成
開業して最初の確定申告の準備を始めたとき、中古で買ったパソコンも、開業前から私物として使っていたパソコンも、新品と同じように考えればよいのか分かりませんでした。実際には、取得価額が10万円未満であれば、業務に使い始めた年に全額を必要経費にできます1。
中古で買ったパソコンは、法定耐用年数ではなく、取得した時以後に使える年数を耐用年数にできます3。その年数を見積もるのが難しいときは、簡便法で計算します3。
私物として使っていたパソコンを事業用にした場合は、使っていなかった期間の減価の額を、法定耐用年数の1.5倍の年数で旧定額法に準じて計算し2、取得価額から先に差し引きます2。
中古資産の耐用年数は、取得した時以後に使える年数で考えます。見積もれないときは簡便法を使い、私物を事業用にしたときは、使っていなかった期間の減価を先に引きます。
8. よくある質問
取得価額が10万円未満の中古パソコンも、耐用年数で分けて経費にしますか
使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のものは、取得に要した金額の全額を、業務の用に供した年分の必要経費にします1。
簡便法が使えないのは、どんなときですか
使用可能期間を合理的に見積もることが困難なときは、簡便法で計算した年数を使えます。ただし、その資産を使用するために取得価額の50パーセントを超える資本的支出を行った場合は、簡便法を使えません3。
私物だったパソコンの償却方法は、事業用にした日で決まりますか
業務の用に供している期間の償却の方法は、その資産の取得年月日によって決まり、非業務用から業務用に転用した日で決まるのではありません2。
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出典・参考情報
*1 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年9月確認)
*2 国税庁「No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却」タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年9月確認)
*3 国税庁「No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却」タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)(2026年4月1日・2026年9月確認)