繰下げ受給は1か月0.7%増える|フリーランスエンジニアが老齢基礎年金を遅らせるときの注意点を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 66歳になってから75歳になるまでの間で繰り下げられる仕組みと、遅らせた月数1か月ごとに0.7%ずつ増額率が上がっていく計算のしかた
- 75歳に達した月を過ぎると増額が止まることと、早く受け取る繰上げ受給では反対に1か月ごとに年金額が減っていく点
- 遺族年金や障害年金を受け取れる場合に繰下げが制限される条件と、65歳時点の年金をあとからさかのぼって受け取る方法
ねんきん定期便のハガキが届き、受け取りを遅らせると年金額が増えると書かれているのに気づきました。受け取りの時期をあとにずらすことも考えてみましたが、どれだけ増えるのか、遅らせることで困ることが無いのかまでは、ハガキを読んでもわかりませんでした。繰り下げた月数1か月ごとに、0.7%増えます4。
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1. 繰下げ受給は、65歳で受け取らずに遅らせて年金を増やす仕組みです
66歳になってから75歳になるまでの間で、遅らせるほど年金額が増えます
老齢基礎年金は、65歳で受け取らずに、66歳になってから75歳になるまでの間に繰り下げて、増額した年金を受け取れます1。
繰り下げた期間によって増額された年金の増額率は、一生変わりません2。
老齢厚生年金は別々に繰り下げられ、受け取りには資格期間が必要です
老齢厚生年金は、老齢基礎年金と別々に繰り下げられます3。
老齢年金を受け取るには、保険料を納めた期間と免除を受けた期間などを合算した資格期間が10年以上必要です18。
繰下げ受給の要点は、期間・増え方・増額率の変化・選べるかの4点です
繰下げ受給の要点を、表1にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 遅らせられる期間 | 66歳になってから75歳になるまでの間です1 |
| 増え方 | 遅らせた期間に応じて、年金額が増額されます1 |
| 増額率の変化 | 一生変わりません2 |
| 別々に選べるか | 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられます3 |
2. 増額率は、繰り下げた月数1か月ごとに0.7%です
増額率は、0.7%に遅らせた月数を掛けて求めます
増額率は、0.7%に、65歳に達した月から繰下げを申し出た月の前月までの月数を掛けて求め、最大で84%です4。
65歳に達した日は、誕生日の前日として数えます
65歳に達した日は、65歳の誕生日そのものではなく、誕生日の前日を指します5。
月数は、65歳に達した月から、繰下げを申し出た月の前月までを数えます4。
早見表では、66歳で8.4%、70歳で42.0%、75歳で84.0%です
日本年金機構の早見表では、請求時の年齢が66歳で8.4%、70歳で42.0%、75歳で84.0%と示されています6。
請求時の年齢と増額率を、図1にまとめます。
出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとに作成
3. 75歳に達した月を過ぎて請求しても、増額率は増えません
75歳に達した月を過ぎると、増額率は増えません
65歳の時点で老齢基礎年金を受け取る権利がある場合、75歳に達した月を過ぎて請求しても、増額率はそれ以上増えません7。ここでいう75歳に達した月とは、75歳の誕生日の前日が属する月を指します7。
繰下げを希望する時期に手続きをし、その時点で増額率が決まります
繰下げ受給を希望する場合は、66歳になってから、希望する時期に手続きをします17。増額率は、この手続きをした時点で決まります17。
参考として、増額される前の老齢基礎年金の満額は、年額847,300円(月額70,608円)です19。
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4. 早く受け取る繰上げ受給は、1か月ごとに0.4%減ります
繰上げ受給は、60歳から65歳になるまでの間に請求できます
早く受け取る繰上げ受給は、60歳から65歳になるまでの間に請求できます20。
繰り上げた月数に0.4%を掛けた分だけ、年金額が減額されます20。60歳の時点で請求すると、24%の減額です20。この減額率は、生年月日によって異なります20。
繰上げ受給の減額率も、繰下げ受給と同じく、生涯変わりません20。
繰上げと繰下げでは、時期と増減の向きが違います
繰上げ受給と繰下げ受給の違いを、表2にまとめます。
| 制度 | 受け取る時期 | 増減の率 | 増減の最大 | 一生変わるか |
|---|---|---|---|---|
| 繰上げ受給 | 60歳から65歳になるまでの間です20 | 1か月ごとに0.4%減額します20 | 24%減額です20 | 生涯変わりません20 |
| 繰下げ受給 | 66歳になってから75歳になるまでの間です1 | 1か月ごとに0.7%増額します4 | 84%増額です4 | 一生変わりません2 |
5. 遺族年金や障害年金を受け取れるときは、繰下げが制限されます
65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までは、申出ができません
65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害給付や遺族給付を受け取る権利があると、繰下げの申出はできません8。
66歳に達した日以後は、受給権を得た時点で増額率が固定されます
66歳に達した日以後の待機期間中に、配偶者が死亡して遺族年金が発生した場合など、他の公的年金の受給権を得ると、その時点で増額率が固定されます9。それ以降に請求を遅らせても、増額率はそれ以上増えません9。
ねんきん定期便のハガキでも、遺族年金や障害年金を受け取れる場合は、老齢年金の受給開始時期を遅らせられないことがあると注意しています22。
他の年金の受給権を得た時期によって何が変わるかを、図2にまとめます。
図の作成:Remogu編集部。日本年金機構「年金の繰下げ受給」の内容を整理したもので、統計データではありません
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6. 65歳からの年金を、さかのぼって受け取ることもできます
繰下げの申出をせず、65歳時点の年金をさかのぼって請求できます
繰下げ受給を希望していても、実際に請求する時点で繰下げの申出をせず、65歳時点で受け取るはずだった本来の年金をさかのぼって請求する道も選べます13。
繰下げの申出をする道と、さかのぼって請求する道の2つを、図3にまとめます。
図の作成:Remogu編集部。日本年金機構「年金の繰下げ受給」の内容を整理したもので、統計データではありません
70歳到達後にさかのぼると、増額された年金を一括で受け取れます
70歳に到達した日より後に、65歳からの本来の年金をさかのぼって受け取ることを選ぶと、増額された年金を一括で受け取れます14。このとき、請求の5年前の日の時点で繰下げの申出があったものとみなします14。
ただし、この特例的な繰下げみなし増額制度は、80歳以後に請求する場合や、請求の5年前の日以前から障害年金や遺族年金を受け取る権利がある場合には、適用されません15。
一括で受け取ると保険料や税金に影響し、遺族は請求を代われません
過去分の年金を一括で受け取ると、さかのぼって医療保険や介護保険の自己負担、保険料、税金などに影響する場合があります16。繰下げそのものも、年金生活者支援給付金や保険料、税金に影響することがあります10。
繰下げ請求は、遺族が代わって行うことはできません11。待機している間に亡くなり、遺族が未支給年金を請求できる場合は、65歳時点の年金額で決定したうえで過去分が一括して支払われます。ただし、請求した時点から5年以上前の分は時効で受け取れません12。
7. 繰り下げる前に、3つを確かめます
手続きの時期と、遺族年金や障害年金の権利を確かめます
繰下げ受給を希望するときは、66歳になってから、希望する時期に手続きをします。増額率は、この手続きをした時点で決まります17。
65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に障害給付や遺族給付を受け取る権利があると、繰下げの申出はできません8。66歳に達した日以後の待機期間中に他の公的年金の受給権を得た場合も、その時点で増額率が固定されます9。
税金や保険料などへの影響も確かめておきます
繰下げは、年金生活者支援給付金や、医療保険・介護保険等の自己負担、保険料、税金に影響する場合があります10。
繰り下げる前に確かめる3つを、表3にまとめます。
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| いつ手続きをするか | 手続きをした時点で、増額率が決まります17 |
| 遺族年金や障害年金を受け取る権利があるか | 権利があると繰下げの申出ができない場合があり8、待機中に権利を得ると増額率が固定される場合もあります9 |
| 税金や保険料などへの影響 | 年金生活者支援給付金や保険料、税金に影響する場合があります10 |
3つは、この順番で確かめます
ここまでの3つを確かめる順番を、図4にまとめます。
図の作成:Remogu編集部。繰り下げる前に確かめることを整理したもので、統計データではありません
老齢基礎年金は、66歳になってから75歳になるまでの間に繰り下げて、増額した年金を受け取れます1。この増額率は、一生変わりません2。
増額率は、0.7%に繰り下げた月数を掛けて求め、最大で84%です4。75歳に達した月を過ぎて請求しても、それ以上は増えません7。
繰り下げた月数1か月ごとに、0.7%増えます4。手続きをした時点で増額率が決まるので、遅らせるなら請求の時期を先に決めます。
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出典・参考情報
*1 日本年金機構「年金の繰下げ受給」冒頭(2026年8月12日・2026年9月確認)
*2 日本年金機構「年金の繰下げ受給」冒頭(2026年8月12日・2026年9月確認)
*3 日本年金機構「年金の繰下げ受給」冒頭(2026年8月12日・2026年9月確認)
*4 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げ加算額(2026年8月12日・2026年9月確認)
*5 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げ加算額の注2(2026年8月12日・2026年9月確認)
*6 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げ増額率早見表(2026年8月12日・2026年9月確認)
*7 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げの注意点(2026年8月12日・2026年9月確認)
*8 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げの注意点(2026年8月12日・2026年9月確認)
*9 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げの注意点(2026年8月12日・2026年9月確認)
*10 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げの注意点(2026年8月12日・2026年9月確認)
*11 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げの注意点(2026年8月12日・2026年9月確認)
*12 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げの注意点(2026年8月12日・2026年9月確認)
*13 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げ請求を行わず、さかのぼって年金を受け取る場合(2026年8月12日・2026年9月確認)
*14 日本年金機構「年金の繰下げ受給」特例的な繰下げみなし増額制度(2026年8月12日・2026年9月確認)
*15 日本年金機構「年金の繰下げ受給」特例的な繰下げみなし増額制度(2026年8月12日・2026年9月確認)
*16 日本年金機構「年金の繰下げ受給」特例的な繰下げみなし増額制度(2026年8月12日・2026年9月確認)
*17 日本年金機構「年金の繰下げ受給」繰下げ受給の手続き(2026年8月12日・2026年9月確認)
*18 日本年金機構「老齢年金ガイド」老齢年金とは(2026年4月・2026年9月確認)
*19 日本年金機構「老齢年金ガイド」老齢基礎年金の年金額(2026年4月・2026年9月確認)
*20 日本年金機構「老齢年金ガイド」繰上げ受給(2026年4月・2026年9月確認)
*21 日本年金機構「令和8年度「ねんきん定期便」50歳未満の方」表面(2026年4月・2026年9月確認)
*22 日本年金機構「令和8年度「ねんきん定期便」50歳未満の方」表面の(注)(2026年4月・2026年9月確認)