防衛特別所得税はいつから?フリーランスエンジニアの報酬から引かれる10.21%が変わらない理由
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 令和9年1月に防衛特別所得税(税率1%)が始まることと、復興特別所得税が1.1%に下がり課税期間が10年延びること
- 改正の前後で合計の税率2.1%は変わらないことと、源泉徴収の額を所得税率×102.1%で求める仕組み
- 確定申告での防衛特別所得税・復興特別所得税の計算方法と、令和9年を迎える前に確かめる3つの点
令和9年1月から、「防衛特別所得税」という税が始まると知りました。受けている案件の報酬では、源泉徴収の対象になる分から10.21%が引かれてきましたが、新しい税が加わることで、この率も変わるのかが気になりました。変わるのは内訳で、合計の税率は変わりません。
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1. 防衛特別所得税は、令和9年1月から始まる付加税です
令和8年度の税制改正で、防衛特別所得税が新しく創設されました1。源泉徴収の場面では、源泉徴収すべき所得税の額の1%にあたる金額を、所得税とあわせて徴収するしくみです1。
この改正が適用されるのは、令和9年1月1日以後に生ずる所得に対する所得税からです3。財務省の資料では、防衛特別所得税は所得税額に対して税率1%の新たな付加税です10。
案件の報酬のうち、源泉徴収の対象になる報酬なら、令和9年1月からは防衛特別所得税もあわせて徴収されます1。防衛特別所得税だけでなく、もう一つの付加税にも改正が及びます。
防衛特別所得税と復興特別所得税は、税率も期間も異なります
ここでは、それぞれの税率と適用の期間を確かめます。
| 付加税 | 税率 | 適用・課税期間 |
|---|---|---|
| 防衛特別所得税 | 1%1 | 令和9年1月1日以後に生ずる所得から3 |
| 復興特別所得税 | 2.1%から1.1%への引き下げ2 | 令和29年12月31日まで(10年間の延長)2 |
表の2段目にある復興特別所得税は、税率だけでなく期間にも改正が加わりました。その中身を、次に見ていきます。
2. 復興特別所得税は1.1%に下がり、課税期間が10年延びます
まず、復興特別所得税の税率が変わります。これまでの2.1%から、令和9年1月には1.1%に引き下げられます2。防衛特別所得税と合わせて、源泉徴収される付加税の内訳が入れ替わる形です。
あわせて、適用される期間も延びます。復興特別所得税の課税期間は、改正前の令和19年12月31日までから、令和29年12月31日までへと10年間延長されました2。税率と期間の両方に、今回の改正が及んでいます。
財務省の資料は、「足下で家計負担が増加しないよう」、復興特別所得税の税率を1%引き下げるとしています10。防衛特別所得税を新しく設ける一方で、既にある付加税は率を下げる形です。
税率の引き下げと、課税期間の延長は、同じ改正の中で一緒に行われました。財務省の資料は、復興財源の総額を確保するために、課税期間を10年間延ばしたと説明しています10。
改正前と改正後を、帯の長さで比べます
ここで、防衛特別所得税と復興特別所得税の内訳を、改正の前後で並べてみます。次の図は、税率の組み合わせがどう変わったかを帯の長さで表したものです。
出典:国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」、財務省「令和8年度税制改正」をもとに作成
改正前の帯は、復興特別所得税だけの2.1%分です。改正後の帯は、防衛特別所得税1%分と復興特別所得税1.1%分を合わせた長さで、2つの帯は同じ長さに揃えています。
内訳が組み替わったことは、図から分かります。合計の税率がどうなるのかは、次の節で確かめます。
3. 合計の税率2.1%は変わりません
ここで、冒頭の疑問に戻ります。防衛特別所得税1%と復興特別所得税1.1%を合わせた税率は2.1%で、改正前の復興特別所得税2.1%と同じです4。
国税庁の資料も、改正前と改正後で合計税率に変更はないと明記しています4。内訳の組み合わせが変わっただけで、合計はそのまま据え置かれています。
この結果、源泉徴収税額の計算方法そのものにも変更は生じません4。これまで合計税率を使って求めていた場合も、令和9年1月以後は同じ求め方をそのまま使えます。
つまり、令和9年を迎えたからといって、源泉徴収される金額の求め方を新しく覚え直す必要はありません。変わるのは税の内訳の名前と割合で、計算の土台は動きません。
もっとも、合計の税率が変わらないことと、実際に何%が源泉徴収されるかは、別に確かめる点です。次の節で、源泉徴収される額の求め方を見ます。
税率の求め方が変わらないと分かったら、これからの案件の条件もあわせて見てみてください。
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4. 源泉徴収される額は、所得税率に102.1%をかけた率で求めます
前の節で、2つの付加税をあわせた税率が変わらないことを確かめました。ここからは、実際に源泉徴収される金額を、どんな式で求めるのかを見ていきます。
所得税の源泉徴収義務者は、そのまま防衛特別所得税と復興特別所得税の源泉徴収義務者にもなります5。
所得税を源泉徴収する支払は、防衛特別所得税と復興特別所得税もあわせて源泉徴収の対象になります6。受けている案件の報酬が源泉徴収の対象になる報酬なら、源泉徴収される額に、2つの付加税の分もあわせて含まれます。
では、源泉徴収される金額そのものは、どんな式で求めるのでしょうか。所得税率と、実際にかけられる合計税率の対応を、次の表で確かめます。
| 所得税率 | 合計税率 |
|---|---|
| 10% | 10.21%7 |
| 20% | 20.42%7 |
合計税率は、所得税率に102.1%をかけた率です7。源泉徴収すべき所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の3つをまとめた額は、支払金額等にこの合計税率をかけて求めます7。
この式で求めた金額には、端数をどう扱うかが残っています。次の節では、1円未満の端数をどこで切り捨てるのかを確かめます。
5. 端数は、合計額で1円未満を切り捨てます
前の節では、源泉徴収される金額を、支払金額等に合計税率をかけて求めると確かめました。この式で出た金額には、円未満の端数が残ることがあります。ここでは、その端数をどう扱うかを見ていきます。
端数の計算は、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の3つをまとめた合計額で行います8。3つの税をひとつの金額として扱ってから、端数を切り捨てる考え方です。
支払金額等に合計税率をかけて求めた金額のうち、1円に満たない端数は切り捨てます8。切り捨てたあとの金額が、実際に源泉徴収する額になります8。
ここで、支払金額等から源泉徴収する金額にたどり着くまでの流れを、図で整理します。
出典:国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」をもとに作成
図のとおり、支払金額等に合計税率をかけ、出た金額の1円未満を切り捨てます8。端数は税ごとに分けず、3つの税の合計額で切り捨てます。
支払金額等に合計税率をかけて、端数を切り捨てる。この2段階で、源泉徴収される金額の求め方はひととおり確かめられました。
次の節では、この計算が確定申告の場面でどうつながるのかを見ていきます。
源泉徴収の計算を確かめたところで、いまの案件を見る →
6. 確定申告では、基準所得税額に税率をかけて計算します
ここまでは、報酬を受け取る時点の源泉徴収を見てきました。案件の報酬を確定申告するときも、防衛特別所得税と復興特別所得税は、同じように加わるのでしょうか。
これまでの確定申告では、所得税と復興特別所得税をあわせて申告・納付してきました9。復興特別所得税の額は、原則としてその年分の基準所得税額の2.1%です9。
確定申告に、新しく防衛特別所得税が加わります。個人の防衛特別所得税の額は、その年分の基準所得税額に1%の税率を乗じて計算した金額です11。
あわせて、復興特別所得税の税率も1.1%に引き下げられます2。防衛特別所得税の創設と復興特別所得税のこの見直しは、どちらも令和9年1月1日以後に生ずる所得に対する所得税から適用されます3。
これまでと、令和9年1月1日以後に生ずる所得からとで、確定申告で申告・納付する内訳がどう変わるのかを、次の図で並べてみます。
出典:国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」「No.2260 所得税の税率」、財務省「令和8年度 税制改正の解説」をもとに作成
図のとおり、防衛特別所得税の1%と復興特別所得税の1.1%を合わせると2.1%で、これまでの復興特別所得税の2.1%と同じ率です。
確定申告で申告・納付する内訳が入れ替わることは、ここまでで確かめられました。次の節では、令和9年を迎える前に確かめる3つの点を整理します。
7. 令和9年を前に、3つを確かめます
ここまで、源泉徴収でも確定申告でも、防衛特別所得税と復興特別所得税がどう計算に組み込まれるかを確かめてきました。令和9年を迎える前に、自分の状況にあてはめて見直す点を3つに絞ります。
1つ目は、受けている案件の報酬が、源泉徴収の対象になる報酬かどうかです。源泉徴収の対象になる報酬なら、ここまで確かめてきた税率と計算の求め方が、そのままあてはまります。
2つ目は、源泉徴収される額が、合計税率どおりに計算されているかどうかです。合計税率は所得税率に102.1%をかけた率で、所得税率10%なら10.21%、20%なら20.42%です7。
3つ目は、その所得が、令和9年1月1日以後に生ずる所得かどうかです。防衛特別所得税の創設と復興特別所得税の見直しは、この日以後に生ずる所得に対する所得税から適用されます3。
3つの確かめる点を、次の表にまとめます。
| 確かめる点 | 内容 |
|---|---|
| 源泉徴収の対象になる報酬 | 対象になる報酬なら、2つの付加税もあわせて源泉徴収されます6 |
| 合計税率どおりの源泉徴収額 | 所得税率に102.1%をかけた率です7 |
| 令和9年1月1日以後に生ずる所得 | この日以後に生ずる所得から、内訳が変わります3 |
この3つは、税額そのものを決める計算式ではなく、令和9年を迎える前に見直す確認の観点です。3つを確かめる順番を、次の図に整理します。
出典:国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」をもとに作成
図の順に、報酬が源泉徴収の対象か、源泉徴収の額、適用の時期を確かめます。
変わるのは内訳で、合計の税率は変わりません。源泉徴収の対象になる報酬なら、令和9年以後も所得税率に102.1%をかけた合計税率で計算されます。
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出典・参考情報
*1 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」令和8年5月1日現在の法令・通達等に基づく(2026年5月・2026年9月確認)
*2 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」Q1(2026年5月・2026年9月確認)
*3 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」Q1(2026年5月・2026年9月確認)
*4 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」Q1(2026年5月・2026年9月確認)
*5 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」Q2(2026年5月・2026年9月確認)
*6 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」Q3(2026年5月・2026年9月確認)
*7 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」Q5(2026年5月・2026年9月確認)
*8 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」Q6(2026年5月・2026年9月確認)
*9 国税庁「No.2260 所得税の税率」[令和8年4月1日現在法令等](2026年4月・2026年9月確認)
*10 財務省「令和8年度税制改正(パンフレット)防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」(2026年・2026年9月確認)
*11 財務省「令和8年度 税制改正の解説(防衛特別所得税の創設等)」(2026年・2026年9月確認)