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    案件を始めた年の青色申告の申請はいつまでか|3つの期限と帳簿の残し方を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「青色申告を始めるときの期限」を示す図です。原則/新規開業/承継を並べています。強調しているのは新規開業です。ここで分かれると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 青色申告の申請には立場によって3つの期限があることと、相続の場合はさらに死亡日で分かれること
    • 記帳と書類の保存が制度の土台になっていることと、正規の簿記でなくても簡易な記帳でよい場合があること
    • 保存する年数は書類によって7年間と5年間に分かれることと、取りやめるときにも届け出る期限があること

    案件を始めた年、青色申告の申請をいつまでに出せばよいのか、期限を調べるほど言葉が増えていきます。3月15日、2か月以内、4か月以内という表現が並ぶと、自分がどれに当てはまるのか迷いやすくなります。国税庁の案内は、立場によって期限を分けて示しています。まず自分の立場を1つ決めれば、確かめる期限も1つに絞れます。

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    1. 青色申告の土台は、記帳と書類の保存

    所得金額の計算を支えるのが帳簿と書類です

    案件で得た収入と、そのために支払った費用をまとめて、1年間の所得金額を正しく計算し申告するためには、日々の取引の状況を帳簿に記帳し、取引に伴って作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります1。申告書そのものだけでなく、その手前にある帳簿と書類が、申告の内容を裏づける土台になります。

    案件が1件の段階でも、複数の案件を掛け持ちする段階でも、記帳の必要性は変わりません。取引が増えるほど、後からまとめて記帳しようとすると抜けや誤りが出やすくなります。日々の記録を積み重ねる姿勢が、申告全体の正確さにつながります。

    「取引に伴って作成したり受け取ったりした書類」は、案件の進み方に沿って自然に増えていきます。自分が作って渡すもの、相手から受け取るもの、支払いのときに残るものが、それぞれ別の場面で発生します。案件ごとに置き場所を決めておくと、後から年単位でまとめ直す手間が減ります。

    一定水準の記帳をした方に開かれている制度です

    青色申告は、誰にでも自動であてはまる仕組みではありません。一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方について、青色申告の制度が設けられています2。記帳の水準と申告の正確さが、この制度の前提になっています。

    案件の内容を自分の言葉で説明できるようになるのと同じで、日々の取引を記録に残す習慣も、続けるほど身についていきます。制度を使うかどうかを考える前に、まず記帳という土台を整えることが出発点になります。

    この土台を踏まえたうえで、次に確かめたいのが、青色申告の対象になる所得の範囲です。

    図2:青色申告の土台になっているもの
    青色申告の土台になっているもの 日々の記帳 取引の状況を 帳簿に残す 書類の保存 作成・受領した 書類を残す 正しい申告 一定水準の 記帳に基づく 青色申告の制度 一定水準の記帳を した方の制度

    図の作成:Remogu編集部。制度の位置づけを整理したもので、統計データではありません

    2. 対象になるのはどの所得か

    対象は不動産所得・事業所得・山林所得です

    青色申告をすることができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です3。案件を通じて得た所得がこの範囲に入るかどうかは、本人と納税地の所轄税務署が確かめるものであり、ここでは立場ごとの期限と条件の説明にとどめます。

    所得の種類によって申告の仕方が変わる場面は多くありますが、青色申告の対象になるかどうかを分ける最初の線引きは、この3つの所得のいずれかに当たるかどうかです。まずこの範囲を確かめることが、次に見る期限を絞り込む手がかりになります。

    3つの所得が並んでいるということは、この3つのいずれにも当たらない所得は、青色申告の対象として挙げられていないということです。案件の報酬をどの所得として申告するかは、収入の生じ方によって考え方が変わる部分なので、対象の範囲を確かめる段階と、期限を確かめる段階を分けて進めるほうが混乱しにくくなります。

    表で対象になる所得を確かめる

    青色申告の対象になる所得の範囲を、次の表にまとめました。自分が得ている所得がこの3つのいずれかに当たるかどうかを確かめてから、後の章で立場ごとの期限を見ていくと、迷わずに読み進められます。所得の種類は法令上の区分であり、案件の内容だけで機械的に決まるものではないため、判断に迷う場合は納税地の所轄税務署に確かめる方法もあります。

    所得の種類青色申告の対象
    不動産所得対象になります
    事業所得対象になります
    山林所得対象になります

    3. 原則の期限は、その年の3月15日

    新たに申請する方の原則の期限です

    新たに青色申告の申請をする方は、青色申告をしようとする年の3月15日までに、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出します8。この期限が、青色申告の申請における基本の形になります。

    3月15日という日付は、所得税の確定申告の期限としても目にする日付です。青色申告の承認申請の期限と確定申告の期限が同じ日に並んでいるため、混同しないように、それぞれ何の期限かを区別しておくと確認がしやすくなります。

    区別のしかたは、その期限が「どの年について」のものかを見ることです。承認申請の期限は、青色申告をしようとする年の3月15日までです8。これから青色申告をしようとする年に向けて、その年の3月15日までに出すという形になります。案件の予定を立てるときと同じで、どの年の話をしているのかを先に決めておくと、同じ日付が並んでも取り違えにくくなります。

    この期限が当てはまるのはどんな場合か

    この3月15日までという期限が当てはまるのは、その年の年始から引き続き案件に取り組んでいる方が、新たに青色申告の申請をする場合です。年の途中から新しく業務を始めた場合や、相続で業務を承継した場合には、別の期限が定められています。次の章で、それぞれの期限を見ていきます。

    4. 案件を始めた年は「業務を開始した日から2か月以内」

    年の途中から始めた場合の期限です

    その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内に、青色申告承認申請書を提出します9。案件を始めた時期が1月16日以後であれば、この2か月以内という期限が基準になります。

    3月15日という原則の期限と、業務を開始した日から2か月以内という期限は、起算点が違います。原則の期限はその年の3月15日という固定した日付が基準ですが、こちらの期限は業務を開始した日を起点に数えます。どちらの起算点になるかを取り違えないことが大切です。

    2か月以内が当てはまるのはどの場合か

    この2か月以内という期限が置かれているのは、その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合です9。つまり「その年の1月16日以後に新規に業務を開始した」という条件に当たるかどうかが、この期限を見るかどうかの分かれ目になります。この条件に当たらない場合は、新たに青色申告の申請をする方の原則である、青色申告をしようとする年の3月15日までという期限を見ることになります8

    案件を始めた日がいつだったかを、まず確認しておきます。1月16日という区切りの前か後かで、見るべき期限が変わるためです。

    5. 相続で業務を承継した場合の期限

    承継した場合も2か月以内が基準です

    その年の1月16日以後に相続により業務を承継した場合は、業務を承継した日から2か月以内に、青色申告承認申請書を提出します10。起算点は業務を承継した日であり、新規に業務を開始した場合の2か月以内という期限と同じ数え方になります。

    死亡の日が1月1日から8月31日の場合は4か月以内です

    承継の内訳はさらに分かれていて、被相続人が青色申告者で、死亡の日がその年の1月1日から8月31日である場合は、死亡の日から4か月以内に提出します11。同じ相続でも、死亡した日がいつだったかによって、2か月以内と4か月以内のどちらが当てはまるかが変わります。

    自分が当てはまるのがどちらの期限かを取り違えると、提出のタイミングそのものがずれてしまいます。相続で業務を承継した場合は、死亡の日がいつだったかを、まず確認しておく必要があります。

    死亡の日が9月以降になる場合は、期限の示し方そのものが変わります。被相続人が青色申告者で、死亡の日がその年の9月1日から10月31日である場合は、その年12月31日が期限です13。死亡の日がその年の11月1日から12月31日である場合は、翌年2月15日が期限です14

    1月から8月までは「死亡の日から4か月以内」と、死亡の日を起点に数える形ですが、9月以降は「その年12月31日」「翌年2月15日」と、暦の上の日付で示されています。起点から数えるのか、決まった日付を見るのかが入れ替わるので、死亡の日がどの期間に入るかを最初に確かめておくと迷いにくくなります。

    立場ごとの期限を一覧で確かめる

    ここまで見てきた、原則・新規開始・相続による承継という3つの立場と、それぞれの期限を、次の表にまとめました。相続の場合は死亡の日によってさらに分かれるため、自分がどの行に当てはまるかを確かめてから、次の章に進んでください。

    立場起算点提出期限
    新たに青色申告の申請をする方(原則)青色申告をしようとする年の3月15日まで
    その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合業務を開始した日2か月以内
    その年の1月16日以後に相続により業務を承継した場合業務を承継した日2か月以内
    被相続人が青色申告者で死亡の日が1月1日〜8月31日の場合死亡の日4か月以内
    被相続人が青色申告者で死亡の日が9月1日〜10月31日の場合その年12月31日
    被相続人が青色申告者で死亡の日が11月1日〜12月31日の場合翌年2月15日
    図1:立場によって変わる申請の期限
    立場によって変わる申請の期限 原則:新たに申請する場合 その年の3月15日まで 1月16日以後に新規開業した場合 開始日から2か月以内 1月16日以後に相続で承継した場合 承継日から2か月以内 死亡日が1/1〜8/31の場合 死亡日から4か月以内

    出典:国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」をもとに作成

    6. 記帳は正規の簿記が原則だが、簡易な記帳でもよい

    原則は正規の簿記です

    青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような、正規の簿記によることが原則です4。日々の取引を体系立てて記録し、年末にまとめて財務の状況を示せる形にしておくことが、この原則の中身になります。

    簡易な記帳でもよいことになっています

    その一方で、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて、簡易な記帳をするだけでもよいことになっています5。正規の簿記が難しく感じられる段階でも、この簡易な記帳から始める道が用意されています。

    どちらの記帳の仕方を選ぶにしても、日々の取引を記録し続けるという土台は変わりません。案件の件数や取引の内容に合わせて、記帳の仕方を選ぶ余地があることを、次の図で確かめてください。

    図3:記帳の2通りの進め方
    記帳の2通りの進め方 正規の簿記(原則) 年末に貸借対照表と 損益計算書を作成 できる記帳の仕方 または 簡易な記帳でもよい 現金出納帳 売掛帳 買掛帳 経費帳 固定資産台帳

    出典:国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」をもとに作成

    7. 保存する年数と、取りやめるときの期限

    原則は7年間、書類によっては5年間です

    帳簿および書類などは、原則として7年間保存します。ただし、書類によっては5年間でよいものもあります6。保存する年数も、記帳と同じく制度が定める条件の1つです。

    5年間の保存でよい書類には、例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などがあります7。すべての書類が同じ年数ではないため、書類の種類ごとに保存年数を確かめておくと、後になって迷うことが少なくなります。

    年数が分かれているということは、書類を1か所にまとめて同じ扱いにしておくと、短い年数でよいものまで長く抱えることになります。逆に、まとめて処分する運用にしていると、7年間の保存に当たるものを先に手放してしまう恐れがあります。書類の種類ごとに置き場所を分けておくと、この取り違えが起きにくくなります。

    表で保存年数を確かめる

    帳簿および書類は原則として7年間保存しますが、5年間の保存でよいと定められている書類もあります。次の表に、保存年数ごとの対象を整理しました。日々の記帳とあわせて、保存する年数も書類の種類ごとに確認しておくと、あとから書類を探すときに迷いにくくなります。

    保存年数対象になる書類の例
    7年間(原則)帳簿および書類など
    5年間(一部の書類)請求書、見積書、納品書、送り状など
    図4:保存する年数の分かれ目
    保存する年数の分かれ目 原則の書類 7年間 一部の書類 5年間 例:請求書・見積書・納品書・送り状

    出典:国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」をもとに作成

    取りやめるときにも期限があります

    事業の廃止などにより、青色申告書による所得税の申告を取りやめる場合は、取りやめようとする年の翌年3月15日までに、所得税の青色申告の取りやめ届出書を納税地の所轄税務署長に提出します12。申請するときの期限とは別に、取りやめるときの期限が定められています。

    ここまで見てきたとおり、青色申告に関わる期限は、申請する場合と取りやめる場合とで、それぞれ別に定められています。案件の状況が変わったときは、自分が今どの立場にいるのかを、あらためて確認する必要があります。

    2か月以内という期限は、いつ始めた場合に見るのですか

    2か月以内という期限が置かれているのは、その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合です9。この条件に当たらない場合は、新たに青色申告の申請をする方の原則である、青色申告をしようとする年の3月15日までという期限を見ることになります8

    青色申告をやめるときの期限は、申請するときと同じですか

    同じではありません。申請するときの期限は、青色申告をしようとする年の3月15日までですが8、取りやめるときの期限は、取りやめようとする年の翌年3月15日までと、別に定められています12

    日々の記帳のほかに、どんな書類を保存しますか

    取引に伴って作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります1。例えば、請求書、見積書、納品書、送り状などが、5年間の保存でよい書類にあたります7

    青色申告の申請は、立場によって見るべき期限が分かれています。まず自分がどの立場に当たるかを決め、記帳と書類の保存という土台を整えておけば、期限に追われずに手続きを進められます。案件に取り組む中で、自分に合う条件を確かめておきたいときは、登録して案件の情報を見比べてみるところから始めるのも一つの道です。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」記帳と保存が土台になる(2025年4月・2026年9月確認)
    *2 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」制度の位置づけ(2025年4月・2026年9月確認)
    *3 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」対象になる所得(2025年4月・2026年9月確認)
    *4 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」記帳の原則(2025年4月・2026年9月確認)
    *5 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」簡易な記帳でもよい(2025年4月・2026年9月確認)
    *6 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」保存する年数(2025年4月・2026年9月確認)
    *7 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」5年間でよい書類の例(2025年4月・2026年9月確認)
    *8 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」原則の期限(2025年4月・2026年9月確認)
    *9 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」新規開業の期限(2025年4月・2026年9月確認)
    *10 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」承継した場合の期限(2025年4月・2026年9月確認)
    *11 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」承継の内訳(2025年4月・2026年9月確認)
    *12 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」取りやめるときの期限(2025年4月・2026年9月確認)
    *13 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」承継の内訳(9月から10月)(2025年4月・2026年9月確認)
    *14 国税庁「青色申告制度(タックスアンサー)」承継の内訳(11月から12月)(2025年4月・2026年9月確認)