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    案件で簡易課税を選ぶときの届出の期限|やめるときの決まりも解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「簡易課税を選ぶときの期限」を示す図です。出した/基準期間を超えた/適用できないを並べています。強調しているのは適用できないです。出しても外れると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 選ぶときもやめるときも、届出書の提出期限は課税期間の初日の前日までに集まっていることと、そこから逆算して準備を進められること
    • 適用される課税期間は基準期間の課税売上高が5,000万円以下かどうかで決まることと、超えた課税期間は届出書があっても適用できなくなること
    • やめるときには2年を経過する日の属する課税期間まで待つ期間があることと、登録や2割特例の後には別の届出のタイミングが用意されていること

    案件を掛け持ちしながら消費税の手続きを進めていると、届出書をいつまでに出せばよいのか、区切りが分かりにくくなります。簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択によって設けられている仕組みです1。選ぶときにも、やめるときにも、届出書の提出期限は同じ「課税期間の初日の前日」という位置にあります。この記事では、届出の期限と、制度が適用される範囲、やめるときの決まりを順番に整理します。

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    1. 簡易課税制度はどういう制度として示されているか

    中小事業者の事務の負担を軽くするための選択制度

    消費税の事務は、案件ごとの請求や支払いの記録を日々積み重ねていく作業が土台になります。複数の案件を掛け持ちする働き方では、記録を残す先が増えるほど手間も増えていきます。

    国税庁の案内では、簡易課税制度は中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択によって設けられている制度です1。仕入れの記録を一件ずつ積み上げる代わりに、届出書を提出することで別の計算の型を選べる仕組みになっています。

    「事業者の選択によって設けられている」という位置づけが示す通り、この制度は自動的に適用されるものではありません。届出書を提出して初めて、選択の効力が生まれます。まず押さえておきたいのは、選択そのものが手続きを前提にしている点です。

    事業の区分に応じた仕組みが使われる

    簡易課税制度のもう一つの特徴は、実際に支払った消費税額を一件ずつ集計する代わりに、あらかじめ定められた仕組みを使って計算する点です。国税庁の案内では、簡易課税制度は事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を用います3

    どの区分にあてはまるかは、営んでいる事業の内容によって一件ずつ判断が分かれる事柄です。この記事では区分そのものの当てはめには立ち入りません。区分の確認は、本人と納税地の所轄税務署とのやり取りの中で確かめる事柄です。

    案件を掛け持ちする働き方は、複数の技術領域や役割を並行して引き受ける場合があります。区分の判断に迷う場面が出てきたときは、この記事で整理する期限を踏まえたうえで、所轄税務署に確かめる進め方が着実です。

    2. 適用される課税期間は基準期間の課税売上高で決まる

    基準期間という物差しで決まる

    簡易課税制度は、届出書を提出すれば以後ずっと同じ形で適用され続けるわけではありません。適用されるかどうかは、課税期間ごとに基準期間の課税売上高で確かめる仕組みになっています。

    国税庁の案内では、消費税簡易課税制度選択届出書を提出した課税事業者は、その基準期間(個人事業者は前々年)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、簡易課税制度が適用されます2

    「基準期間」は今の課税期間そのものではなく、個人事業者であれば前々年の実績を指します。今年の案件の状況ではなく、2年前の課税売上高が、今の課税期間で簡易課税制度を使えるかどうかを決める物差しになります。

    課税期間ごとに確かめる必要がある

    この仕組みのため、届出書を一度提出した後も、課税期間が変わるたびに基準期間の課税売上高を確かめる必要があります。届出書の効力そのものは残っていても、その課税期間の適用の有無は別に判断されます。

    複数の案件を掛け持ちして課税売上高の変動が大きくなりやすい働き方では、基準期間の課税売上高が5,000万円という位置からどれくらい離れているかを、課税期間が変わるごとに確かめておく進め方が着実です。

    図2:適用されるかどうかを分ける基準期間
    基準期間の課税売上高と適用の分かれ目 基準期間の課税売上高 (個人事業者は前々年) 5,000万円以下 簡易課税制度が適用されます 5,000万円を超える 簡易課税制度は適用できません 基準期間の課税売上高によって、適用の有無が課税期間ごとに変わります

    出典:国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」をもとに作成

    次の章では、この基準期間の考え方を踏まえたうえで、届出書そのものをいつまでに提出する必要があるのかを見ていきます。

    3. 届出書はいつまでに出すのか

    提出期限は課税期間の初日の前日まで

    簡易課税制度は届出書を提出して初めて選択の効力が生まれる仕組みです。提出できる期限は、課税期間ごとに同じ位置に定められています。

    国税庁の案内では、簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに、消費税簡易課税制度選択届出書を納税地の所轄税務署長に提出することにより選択することができます6

    「課税期間の初日の前日まで」という期限は、課税期間が始まってからではなく、始まる前日までに区切られています。案件のスケジュールを組むときと同じように、起点を先に押さえておくと、逆算した準備がしやすくなります。

    提出書類と提出先を確かめておく

    提出する書類の名称と提出先を、選ぶときの届出であらためて確かめておきます。提出する書類の名称は、消費税簡易課税制度選択届出書です12。提出先は、納税地の所轄税務署長と定められています6

    届出の種類提出する書類提出期限提出先
    制度を選ぶとき消費税簡易課税制度選択届出書その課税期間の初日の前日まで納税地の所轄税務署長
    制度をやめるとき消費税簡易課税制度選択不適用届出書その課税期間の初日の前日まで納税地の所轄税務署長

    案件を掛け持ちしながら事務の手続きを進める働き方では、提出期限を「課税期間中」や「期首まで」のように緩めて覚えると、実際の期限を過ぎてしまう恐れがあります。期限は課税期間の初日の前日までという一点に定まっている点を、そのまま押さえておく進め方が着実です。

    期限の管理は、働く場所を選ばずに進められる作業です。Remoguで扱う案件は90%以上がフルリモート可能なので、案件と事務の予定を同じカレンダーの上で組み立てられます。

    図1:選ぶときとやめるときの届出期限
    選ぶときとやめるときの届出期限 初日の前日 選ぶときの届出 消費税簡易課税制度選択届出書 やめるときの届出 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 どちらも提出期限は同じ位置に集まっています

    出典:国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」をもとに作成

    選ぶときの期限を押さえたうえで、次の章では届出書を提出した後に登録やインボイス、2割特例と関わる場面での扱いを見ていきます。

    4. 登録を受けた場合と、2割特例の後の扱い

    インボイス登録をきっかけに課税事業者になった場合

    免税事業者だった立場から適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者になる場合には、届出のタイミングについて別の扱いが定められています。

    国税庁の案内では、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます7

    「登録を受けた日の属する課税期間中」という区切りは、課税期間の初日の前日までという通常の期限とは別の位置にあります。登録のタイミングと届出のタイミングを、それぞれ確かめておく必要があります。

    2割特例の適用を受けた後の届出

    2割特例の適用を受けた課税期間があった場合も、その後の届出のタイミングについて別の扱いが用意されています。

    国税庁の案内では、2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中にこの届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます8

    この二つの扱いに共通しているのは、通常の「課税期間の初日の前日まで」という期限より後まで、届出の窓口が開いている点です。登録や2割特例という個別の事情に応じて、期限の位置そのものが動く形になっています。二つの扱いを、届出のタイミングと適用が始まる課税期間で整理すると次のようになります。

    場面届出のタイミング適用が始まる課税期間
    免税事業者からインボイス発行事業者の登録を受けた場合登録を受けた日の属する課税期間中に提出その課税期間から
    2割特例の適用を受けた場合適用を受けた課税期間の翌課税期間中に提出その課税期間から

    次の章では、選んだ制度をやめるときの期限と、やめられない期間について見ていきます。

    5. やめるときの期限と、やめられない期間

    やめるときも同じ位置の期限

    簡易課税制度は、選んだ後にやめることもできる仕組みです。やめるときの届出にも、選ぶときと同じ位置に期限が定められています。

    国税庁の案内では、簡易課税制度の適用をやめようとする場合には、その課税期間の初日の前日までに、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります9

    提出する書類の名称は、消費税簡易課税制度選択不適用届出書です12。選ぶときの届出書と名称が似ているため、案件の合間に手続きを進める場面では、書類名を取り違えないように確かめておく進め方が着実です。

    やめられない期間がある

    選んだ後、いつでもやめられるわけではありません。制度には、やめる届出書を提出できない期間が定められています。

    国税庁の案内では、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、選択不適用届出書を提出することはできません10

    「事業を廃止した場合を除き」という限定が付いているため、事業を続けたまま早期にやめる届出を出すことはできません。効力が生じた課税期間の初日を起点に、2年を経過する日の属する課税期間の初日以後という位置まで、やめる届出の窓口は開きません。

    図3:やめられない期間の数え方
    やめられない期間の数え方 効力が生じる 課税期間の初日 2年を経過する日の 属する課税期間の 初日以後 やめる届出はここから提出できます 事業を廃止した場合を除き、この期間中はやめる届出ができません

    出典:国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」をもとに作成

    6. 出しても適用できない場合と、対象外になる場合

    基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合

    届出書を提出していても、その課税期間で簡易課税制度が適用されるとは限りません。基準期間の課税売上高によって、適用できない課税期間が生まれます。

    国税庁の案内では、消費税簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については簡易課税制度は適用できません13

    届出書そのものの効力は残っていても、その課税期間については適用できない形です。適用されるかどうかは課税期間ごとに基準期間の課税売上高で確かめる仕組みなので、課税期間が変わればあらためて判断されることになります。

    恒久的施設を有しない国外事業者は対象外になる

    もう一つ、届出書の効力とは別に、そもそも制度の対象に含まれない立場も定められています。

    国税庁の案内では、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から、その課税期間の初日において恒久的施設を有しない国外事業者は、簡易課税制度の適用を受けられません4

    この対象外の扱いは、令和6年10月1日以後に開始する課税期間からという区切りが付いています。基準期間の課税売上高による扱いとは別の理由で適用できなくなる場合として、分けて押さえておく必要があります。二つの「適用できない場合」を整理すると次のようになります。

    場合内容
    基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合その課税期間は簡易課税制度を適用できません13
    恒久的施設を有しない国外事業者(令和6年10月1日以後に開始する課税期間から)簡易課税制度の適用を受けられません4
    図4:出しても適用できない場合
    出しても適用できない場合 届出書を提出していても 基準期間の課税売上高が 5,000万円を超える場合 その課税期間は 適用できません 令和6年10月1日以後に 開始する課税期間から 恒久的施設を有しない国外事業者 適用を受けられません

    出典:国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」をもとに作成

    期限に間に合わなかった場合や、事業の区分を分けていない場合については、次の章で整理します。

    7. 期限に間に合わなかった場合と、区分をしていない場合

    災害などで期限内に届出書を提出できなかったときはどうなりますか

    国税庁の案内では、災害その他やむを得ない事情により、その課税期間開始前に届出書の提出ができなかった場合には、その届出期限についての特例が適用できる場合があります11

    「特例が適用できる場合があります」という言い方が示す通り、この扱いは自動的に認められるものではなく、個別の事情によって判断が分かれます。該当する事情がある場合は、納税地の所轄税務署に確かめる進め方が着実です。

    2種類以上の事業を営んでいて区分していない場合はどうなりますか

    事業の区分に応じてみなし仕入率を用いる仕組みのため、複数の事業を営んでいる場合は、区分ごとに課税売上げを分けておく必要があります。

    国税庁の案内では、2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、その区分していない部分について、一番低いみなし仕入率を適用して計算します5。複数の技術領域や役割を並行して引き受けている場合は、課税売上げを事業ごとに分けて記録できているかを確かめておくことになります。

    提出する書類の名称や提出先はどこで確認できますか

    提出する書類の名称は、選ぶときが消費税簡易課税制度選択届出書、やめるときが消費税簡易課税制度選択不適用届出書です12

    提出先は、選ぶときの届出書もやめるときの届出書も、納税地の所轄税務署長と定められています6。名称が似ているので、期限が近づいたときは書類名の方から確かめると取り違えにくくなります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」制度の趣旨(2025年4月・2026年9月確認)
    *2 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」適用される課税期間(2025年4月・2026年9月確認)
    *3 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」区分ごとに率が定められている(2025年4月・2026年9月確認)
    *4 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」適用の対象外(2025年4月・2026年9月確認)
    *5 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」区分をしていない場合(2025年4月・2026年9月確認)
    *6 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」提出の期限(2025年4月・2026年9月確認)
    *7 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」登録を受けた場合の扱い(2025年4月・2026年9月確認)
    *8 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」2割特例の後の扱い(2025年4月・2026年9月確認)
    *9 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」やめるときの期限(2025年4月・2026年9月確認)
    *10 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」やめられない期間(2025年4月・2026年9月確認)
    *11 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」期限に間に合わなかった場合(2025年4月・2026年9月確認)
    *12 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」提出する書類(2025年4月・2026年9月確認)
    *13 国税庁「簡易課税制度(タックスアンサー)」出しても適用できない場合(2025年4月・2026年9月確認)