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    案件の請求書は何を書いて送る?記載が求められる項目を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「案件の請求書の項目」を示す図です。税率ごと/合計だけを並べています。強調しているのは税率ごとです。区分して書くと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 仕入税額控除の要件として請求書等の保存が受け取る側に求められることと、交付できるのは税務署長の登録を受けた事業者に限られること
    • 保存の期間が受領した課税期間の末日の翌日から7年間と定められていることと、6年目・7年目は帳簿か請求書等のどちらか一方で足りること
    • 請求書の記載事項が作成者情報・取引内容・金額と適用税率・消費税額等・交付先名の5点に整理できることと、業種によって記載の扱いが変わる場合があること

    案件を進める中で、請求書を送るたびに何を書けばよいのか迷う瞬間があります。項目が多く見えても、実際に決まっているのは限られた範囲だけです。請求書の記載事項は、送る側の都合ではなく、受け取る側が仕入税額控除を受けるために必要な範囲から定められています。この記事では、その範囲を1つずつ整理します。

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    1. 保存の義務は受け取る側にある

    交付して終わりではなく保存から始まる

    案件の請求書を送り終えると、そこで作業が完了したように感じます。仕入税額控除の要件として、課税仕入れなどに関する一定の事項を記載した帳簿および請求書等を保存しなければなりません1。送る側の作業は、受け取る側の保存を成立させるための入口にすぎません。

    送付した記録を残すだけで安心する向きもありますが、保存の義務を負う立場として位置づけられているのは受け取った側です。送る側が残す記録よりも、受け取る側が保存できる形になっているかどうかのほうが、請求書の出来を決めます。

    何を書けば十分かを考える前に、誰のための書類なのかを押さえておくと、以降の項目が読みやすくなります。次の見出しでは、保存を担う相手がどのような立場の事業者なのかを見ていきます。

    保存の対象は帳簿と請求書等の両方

    保存の対象は請求書等だけではありません。課税仕入れなどに関する一定の事項を記載した帳簿および請求書等の両方が、保存の範囲に含まれます1

    帳簿だけを整えていれば足りると考えると、保存の範囲を読み違えることになります。帳簿より請求書等のほうが軽いというわけではなく、両方がそろって初めて要件を満たす形になります。

    案件ごとに請求書を発行する機会は繰り返されるため、保存の範囲を最初にそろえておくと、後から書類を探す手間を減らせます。

    図1:請求書が止まる場所
    請求書が止まる場所を示す図 請求書等を 受け取る 保存の要件 帳簿・請求書等 要件を満たす 要件を満たさない 仕入税額 控除に進む 先に進めない

    図の作成:Remogu編集部。保存の要件を満たすかどうかで道が分かれる流れを整理したもので、統計データではありません

    2. 出せるのは登録を受けた事業者

    交付できる主体が限定されている

    請求書を受け取る場面では、誰が発行したかまで意識しないまま処理してしまうことがあります。適格請求書等は、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者のみが交付できます2

    登録を受けているかどうかは、書式の見た目では判断できません。見た目の整った請求書よりも、登録番号が記載された請求書のほうが、保存の要件に沿った書類になります。

    案件を通じてやり取りする請求書は、発行元の登録状況によって扱いが変わる書類だと捉えておくと、次に見る記載事項の位置づけが理解しやすくなります。

    登録番号は書類の性格を決める要素

    登録番号は、単なる管理番号ではありません。交付できる事業者を税務署長の登録を受けた者に限定するしくみのもとで、その番号が記載されているかどうかが書類の性格を左右します2

    番号があれば形式が整うという話ではなく、番号の有無が適格請求書等として扱えるかどうかの分かれ目になります。整った書式よりも、番号の記載のほうが要件にとって重い意味を持ちます。

    次の見出しでは、こうして交付された請求書等を、受け取った側がどれくらいの期間保存するのかを見ていきます。

    3. 保存の期間が決まっている

    起算日は受け取った日そのものではない

    保存期間と聞くと、受け取った日から数える印象を持ちやすいところです。実際の起算日は、閉鎖または受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日で、そこから7年間です3

    受領した当日を起点にするよりも、課税期間の区切りを起点にするほうが、実際のしくみに沿った数え方になります。日付をそのまま数えると、期間の終わりを見誤ります。

    7年間という長さを聞くと身構えますが、内訳を見ると保存の重さは一定ではありません。次の項目で、その内訳を確認します。

    6年目と7年目は保存の対象が軽くなる

    7年間すべてで同じ量を保存し続けるわけではありません。6年目および7年目は、帳簿または請求書等のいずれか一方を保存すればよいことになっています4

    前半の5年間と後半の2年間を同じ重さで扱うよりも、内訳に沿って保存の労力を配分するほうが、無理のない管理につながります。

    表と図で期間の内訳を確認したうえで、次の見出しでは請求書に記載する項目そのものに移ります。

    保存期間の内訳を一覧で確認する

    保存期間の7年間のうち、1年目から5年目までは帳簿および請求書等の両方が保存の対象です3。6年目と7年目は、そのいずれか一方を保存すればよいことになっています4。前半と後半で対象が変わる点を、一覧と図で確認しておきます。

    期間保存の対象
    1年目から5年目帳簿および請求書等の両方
    6年目・7年目帳簿または請求書等のいずれか一方
    図3:保存の期間の並び
    保存の期間の並びを示す図 保存期間 合計7年間 1年目から5年目 帳簿と請求書等の両方 6年目・7年目 いずれか一方 起算日 7年

    出典:国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」をもとに作成

    4. 誰が出したかを示す項目

    作成者の氏名と登録番号が交付先を示す

    請求書に書かれた内容を見るとき、まず目が向かうのは金額です。記載事項として先に位置づけられているのは、書類作成者の氏名または名称および登録番号です5

    金額欄を整えるよりも先に、作成者情報が欠けていないかを確かめるほうが、書類全体の成立に関わります。金額が正確でも、作成者情報が抜けていれば、記載事項を満たした書類にはなりません。

    次の見出しでは、記載事項全体を一覧にして、作成者情報がその中でどの位置にあるかを確認します。

    記載事項は5つに整理できる

    記載事項は個別に眺めると数が多く感じますが、作成者情報・取引内容・金額と適用税率・消費税額等・交付先の5つに整理できます。

    一つずつ別々に覚えるよりも、5つの区分として把握しておくほうが、請求書を作成するたびに確認しやすくなります。5点をまとめて頭に置いておくと、抜け漏れに気づきやすくなります。

    図と表で全体像を確認したうえで、次の見出し以降でそれぞれの項目を順に見ていきます。

    記載事項を一覧で確認する

    記載事項は、誰が作成したかを示す情報から、取引の内容、金額と税率に関する情報、そして誰に渡すかを示す情報まで、役割の異なる5つの区分に分かれています。区分ごとに見ていくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。

    区分記載する内容
    作成者情報書類作成者の氏名または名称および登録番号
    取引内容軽減税率の対象品目である旨を含む取引の内容
    金額と適用税率税率ごとに区分して合計した税込対価または税抜対価の額および適用税率
    消費税額等税率ごとに区分した消費税額等
    交付先書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
    図2:記載が求められる項目
    記載が求められる項目を示す図 記載事項は5つに整理できる 1 作成者の氏名・登録番号 2 取引内容(軽減税率の対象品目である旨) 3 税込対価または税抜対価の額と適用税率 4 税率ごとに区分した消費税額等 5 交付を受ける事業者の氏名または名称

    図の作成:Remogu編集部。記載事項の区分を整理したもので、統計データではありません

    5. 何の取引かを示す項目

    取引内容は軽減税率の対象かどうかを含む

    金額欄に気を取られると、取引内容の書き方は後回しになりがちです。記載事項には、取引内容として軽減税率の対象品目である旨が含まれます6

    品目名を書くだけよりも、軽減税率の対象に当たるかどうかまで含めて書くほうが、記載事項として求められる範囲に沿います。

    案件の内容によっては軽減税率が関係しない場合もありますが、対象になり得る取引かどうかは、都度確認しておく価値があります。

    内容の書き方は取引ごとに変わる

    取引内容の書き方は、案件の性質によって変わります。成果物の納品を主とする案件と、稼働時間に応じた案件とでは、取引内容として書く言葉も変わってきます。

    どちらの案件であっても、軽減税率の対象品目である旨を含めるという記載事項の範囲は同じです6。書き方を変えるよりも、記載事項の範囲を満たしているかを先に確認するほうが、見通しが立ちます。

    次の見出しでは、金額と税額に関わる記載事項をまとめて確認します。

    6. 金額と税額の書き方

    対価の額は税率ごとに区分する

    金額欄は一つの合計だけを書けばよいと考えがちです。記載事項には、税率ごとに区分して合計した税込対価または税抜対価の額および適用税率が含まれます7

    合計を一本化するよりも、税率ごとに分けて示すほうが、記載事項の範囲に沿った書き方になります。案件で複数の税率が混在する場面では、この区分がそのまま書類の骨格になります。

    次の項目では、区分した金額に対応する消費税額等の書き方を見ていきます。

    消費税額等も税率ごとに区分する

    対価の額を税率ごとに区分したら、消費税額等も同じ単位で区分します。記載事項には、税率ごとに区分した消費税額等が含まれます8

    対価の額だけを区分し、消費税額等をまとめて書いてしまうと、区分の意味が半分しか果たされません。両方を同じ単位でそろえておくことが、記載事項を満たす形になります。

    案件を通じて請求書を発行する機会がある方にとって、こうした区分の作法は一度身につけば繰り返し使える型になります。次の見出しでは、交付先の書き方と、業種による例外を確認します。

    7. 誰に出すかと、業種による例外

    交付先の氏名または名称を明記する

    記載事項の最後に位置づけられているのは、宛先に関する情報です。記載事項には、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称が含まれます9

    差出人の情報を整えることに気を配っても、宛先の情報が抜けていれば、記載事項全体としては欠けた書類になります。差出人よりも宛先の情報のほうが見落とされやすい項目です。

    案件ごとに取引先が変わる働き方では、宛先の記載を都度そろえる作業が積み重なります。次の項目では、業種によって記載の扱いが変わる場面を確認します。

    業種によっては税率か税額のどちらかでよい

    すべての交付先が同じ形式で記載を求められるわけではありません。小売業、飲食店業、タクシー等を営む事業者が交付する書類については、適用税率または消費税額等のいずれかの記載で差し支えありません10

    両方を書く場合よりも負担は軽くなりますが、この扱いは業種が限定されている点に注意が必要です。案件で関わる取引先の業種によって、確認しておく価値があります。

    記載事項の全体像を確認できたところで、送る前に確かめておきたい項目を一覧にしておきます。

    送る前に確かめておきたい項目

    誰に出すかという情報と、業種による例外は、見落としやすい組み合わせです。交付先の氏名または名称を書き添えることと、交付する事業者の業種によっては税率と消費税額等のどちらか一方で足りる場合があることを、あわせて確認しておくと、書類の抜けを防ぎやすくなります。

    区分記載の扱い
    交付を受ける事業者氏名または名称を記載する
    小売業・飲食店業・タクシー等が交付する書類適用税率または消費税額等のいずれかの記載で差し支えない
    図4:送る前に確かめる項目
    送る前に確かめる項目を示す図 送る前に確かめる6項目 登録番号が記載されているか 取引内容が記載されているか 税込対価と適用税率が記載されているか 消費税額等が記載されているか 交付先の氏名または名称が記載されているか 業種による例外に当てはまるか

    図の作成:Remogu編集部。送付前に確かめておきたい項目を整理したもので、統計データではありません

    請求書の記載事項を一つずつ確認していく作業は、案件に参画してからも繰り返し続きます。場所に縛られず、積み上げてきたスキルを活かせる働き方を続けるうえでも、こうした事務の型を早めに整えておく価値があります。案件の90%以上がフルリモート可能です。自分に合う条件をまず確かめてみることもできます。

    請求書は交付した側と受け取った側のどちらが保存するのですか

    保存の義務を負う立場として位置づけられているのは、受け取った側です。仕入税額控除の要件として、課税仕入れなどに関する一定の事項を記載した帳簿および請求書等を保存しなければなりません1

    業種によって請求書の書き方は変わりますか

    変わる場合があります。小売業、飲食店業、タクシー等を営む事業者が交付する書類については、適用税率または消費税額等のいずれかの記載で差し支えありません10。それ以外の業種では、両方を区分して記載する形が基準になります。

    登録番号が無い相手からの書類でも保存すればよいですか

    まず確認したいのは、その書類が適格請求書等として扱えるかどうかです。適格請求書等は、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者のみが交付できます2。登録を受けていない相手からの書類は、この位置づけに当てはまるかどうかをあわせて確認する必要があります。

    記載事項を一つずつ確かめる作業は地味に見えても、案件を安定して続けるための土台になります。まずは自分に合う案件を見て、条件を確かめるところから始めてみましょう。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」保存の義務(2025年4月・2026年9月確認)
    *2 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」出せる人(2025年4月・2026年9月確認)
    *3 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」保存の期間(2025年4月・2026年9月確認)
    *4 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」後半の緩み(2025年4月・2026年9月確認)
    *5 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」誰が出したか(2025年4月・2026年9月確認)
    *6 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」何の取引か(2025年4月・2026年9月確認)
    *7 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」金額の書き方(2025年4月・2026年9月確認)
    *8 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」税額の書き方(2025年4月・2026年9月確認)
    *9 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」誰に出すか(2025年4月・2026年9月確認)
    *10 国税庁「適格請求書等の記載事項(タックスアンサー No.6625)」業種による例外(2025年4月・2026年9月確認)