• ノウハウ
  • |Remogu(リモグ)" />

    案件の再委託はどこまで許されるのか?支払期日と明示の違いを解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「案件の再委託で変わる条件」を示す図です。仲介だけ/再委託/実質の委託を並べています。強調しているのは再委託です。

    📘 この記事でわかること

    • 仲介しているだけの相手と、実際に再委託している相手とでは公正取引委員会の扱いが分かれること
    • 支払期日の原則が受領した日から60日以内であることと、再委託では元委託の支払期日が新しい起点になること
    • 受ける側にも取引条件の明示義務が及ぶことと、参画前に確かめておきたい順番、そして実際に多い違反の内容

    再委託で回ってきた案件は、支払を待つ日数も、自分が負う義務も、直接契約の場合とは違う形になります。仲介しているだけの相手なのか、実際に再委託している相手なのかによって、公正取引委員会が示す扱いは変わります。契約書を交わす前にこの違いを知っておくと、支払期日の起点や明示される条件を落ち着いて確認できます。ここでは、その見分け方と、確かめておきたい順番を整理します。

    リモートワーク案件特化のエージェント|Remogu(株式会社LASSIC運営) リモートの案件を探す フルリモートの案件を見る

    1. 仲介しているだけの相手と、再委託している相手は別

    窓口の会社が、そのまま発注する側とは限らない

    案件の窓口になっている会社が、そのまま契約上の発注者だと思い込んでしまうことがあります。実際には、その会社が別の事業者へ話をつないでいるだけの場合と、自社の判断で再びフリーランスへ委託している場合とでは、法律上の扱いがまったく違います。

    公正取引委員会が示す整理では、単に仲介をしている場合には発注する側に該当しませんが、フリーランスに対して再委託をしている場合や実質的に業務委託をしているといえる場合は該当します1。窓口の名称や規模で決まるものではありません。

    契約書を受け取った段階でこの違いを意識しておくと、支払期日や明示される条件を後から確認するときに迷いが減ります。まず押さえたいのは、この分かれ目そのものです。

    見た目が同じ契約書でも、実態は分かれる

    契約書のひな形が似ていても、窓口の役割が仲介にとどまるのか、実際に業務を委託する側になっているのかは、書面の体裁だけでは判断できません。名刺の会社名より、実際の関わり方のほうが手がかりになります。

    誰が仕様や納期を決め、誰が成果物を受け取り、誰が報酬を支払うのかという実態の部分が、扱いを分ける材料になります1。名刺の会社名だけを根拠にしないことが出発点です。

    この分かれ目を最初に押さえておくと、次に説明する実質での判断も、迷いなく読み進められます。

    立場によって、該当の有無がどう変わるかを一覧にする

    ここまでの内容を、立場ごとの該当の有無として整理しておきます。契約している相手が、単に仲介をしているだけなのか、フリーランスへ再委託している、あるいは実質的に業務委託をしているといえるのかによって、公正取引委員会の整理では発注する側への該当が分かれます1。契約前にこの一覧と照らし合わせておくと、窓口の説明だけに頼らずに済みます。

    立場発注する側に該当するか
    単に仲介をしている場合該当しません1
    フリーランスへ再委託している場合該当します1
    実質的に業務委託をしているといえる場合該当します1

    この一覧に当てはまらない、判断に迷う関わり方も出てきます。その場合は、次の章で説明する実質的な判断の基準に沿って確かめます。

    2. 実質で判断されるので肩書きでは決まらない

    見た目の役割ではなく、関与の実態が基準になる

    契約書の表題や、窓口となる会社の規模が大きいからといって、その会社が発注する側の義務を免れるわけではありません。看板の大きさより、実際にどこまで委託の中身に関わっているかが判断の軸になります。

    公正取引委員会は、実質的に業務委託をしているといえるかは、委託の内容への関与の状況等、契約及び取引実態を総合的に考慮して判断されるとしています2。つまり一つの要素だけで決まるものではありません。

    この基準を知っておくと、窓口の説明を鵜呑みにせず、実際の関わり方を自分の目で確かめる姿勢につながります。

    契約のたびに、関与の中身を確かめる習慣

    毎回同じ窓口と取引していても、案件ごとに関与の深さが変わることがあります。前回は仲介にとどまっていた相手が、今回は仕様の細部まで決めているといったケースです。

    契約のたびに、誰がどこまで関わっているかを確かめる習慣をつけておくと、実質的に業務委託をしているといえるかどうかの判断2を、自分の経験として積み上げていけます。

    肩書きに頼らず実態を見る姿勢は、この後で説明する明示義務や支払期日の理解にもつながっていきます。

    図1:仲介と再委託で分かれる扱い
    仲介と再委託で分かれる扱い 仲介のみの場合 話をつなぐだけ 該当しません 再委託・実質委託 委託に深く関与 該当します

    出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月改訂)をもとに作成

    3. 受ける側にも明示の義務がある

    明示義務は、フリーランス同士の取引にも及ぶ

    取引条件の明示は、事業規模の大きな会社だけに求められる話だと感じるかもしれません。実際には、フリーランス同士の取引も対象になっています3

    窓口となる相手もフリーランスという立場であっても、条件を明示する義務そのものは変わりません。委託を受ける側として、明示された条件を確認する立場にあることになります。

    規模の大小より、取引条件が明示されているかどうかを確かめる姿勢のほうが、契約を守るうえで役に立ちます。

    明示されているかを、契約の前に確かめる

    契約を急いで進めたい場面ほど、条件の明示を後回しにしてしまいがちです。しかし取引条件の明示義務はフリーランス同士の取引にも及ぶため3、確かめずに進める理由にはなりません。

    書面やメール、チャットのやり取りでも構いません。報酬や納期といった条件がどこかに明示されているかを、契約前に一度確認しておくと安心です。

    この明示の有無は、次に説明する禁止行為の理解や、支払期日の確認とも重なってきます。

    4. 支払期日の原則は受領した日から60日以内

    原則は「受領した日から60日以内」

    報酬がいつ支払われるのか分からないまま案件を進めるのは、落ち着かないものです。まず押さえておきたいのは、支払期日の原則です。

    支払期日は、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内で定めます4。60日という上限はありますが、できる限り短くすることが求められている点も見落とせません。

    この原則を知っておくと、契約書に書かれた支払期日が長すぎないかを、自分で確かめられるようになります。

    定め方によって、実際の支払期日が変わる

    支払期日を定めなかったときは、給付を実際に受領した日が支払期日になります5。定めていないから支払いが先延ばしになる、ということにはなりません。

    一方で、60日を超えて定めたときは、受領した日から起算して60日を経過する日が支払期日になります6。長い期間を定めても、実際の扱いは60日で線が引かれます。

    契約書の支払期日欄を見るときは、この原則との差を確かめる視点を持っておくと、行き違いに早く気づけます。

    起点となる状況ごとに、支払期日を一覧にする

    ここまでの原則と例外を、起点となる状況ごとに一覧にしておきます。契約書のどの記載が、どの起点に当てはまるのかを照らし合わせながら確認すると、支払期日の見落としを防ぎやすくなります。次の章で説明する再委託の場合の起点も、あわせて載せています。

    起点となる状況支払期日
    支払期日を定めなかったとき給付を受領した日5
    60日以内で定めたとき(原則)受領した日から60日以内のできる限り短い期間内で定めた日4
    60日を超えて定めたとき受領した日から起算して60日を経過する日6
    再委託で必要事項を明示したとき元委託支払期日から30日以内のできる限り短い期間内で定めた日7

    起点がどれに当てはまるかで、支払いを待つ期間の感覚も変わります。次の章では、再委託の場合にこの起点がどう変わるかを詳しく見ていきます。

    5. 再委託だと起点が元委託の支払期日に変わる

    起点そのものが、受領日から支払期日に移る

    再委託にあたる場合は、支払期日の考え方そのものが変わります。基準となる起点が、自分が受領した日ではなく、委託の連鎖のさらに元にある支払期日に移るためです。

    必要事項を明示したときに限り、元委託支払期日から30日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定められます7。「明示したときに限り」という条件が付いている点は、そのまま押さえておきたいところです。

    起点が変わることを知らずにいると、契約書の日付だけを見て、原則の60日以内だと思い込んでしまうことがあります。

    元委託の支払期日を、契約の前に尋ねておく

    再委託にあたるかどうかを確かめたら、次に尋ねておきたいのは、元委託の支払期日そのものです。窓口となる相手が把握していない場合もあるため、早い段階で確認しておくほうが安心です。

    元委託支払期日から30日以内という起点を知っていれば、自分の支払期日がいつごろになるのか、契約の段階である程度見通しを持てます7

    支払期日の起点は、受領した日を基準にするより、委託の連鎖をさかのぼって確かめるほうが、実態に近い答えにたどり着けます。

    図2:支払期日の起点が変わるところ
    支払期日の起点が変わるところ 直接契約の支払期日 受領した日から60日以内 起点:受領した日 再委託の支払期日 元委託支払期日から30日以内 起点:元委託の支払期日 定めなかった場合:受領した日が支払期日 60日を超えて定めた場合:60日を経過する日が支払期日

    出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月改訂)をもとに作成

    6. 禁止行為は再委託でも同じように定められている

    発注する側としての義務は、再委託でも同じ

    再委託だから義務が軽くなる、ということはありません。発注する側に該当する以上、負う義務の重さは直接契約の場合と変わらないという整理になります。

    発注する側には、公正取引委員会が示す禁止行為の規定が及びます8。この規定は、契約が何段階の委託を経ていても、同じ枠組みで適用されます。

    委託の連鎖が長くなるほど義務が薄まっていくように感じられるかもしれませんが、実際の整理はそうではありません。

    段階が増えても、確認する視点は変わらない

    案件が何社かを経由して回ってきた場合でも、確認したい視点そのものは、直接契約のときと変わりません。発注する側が誰かを見極め、その相手が禁止行為の規定8に沿って取引しているかを見ることが出発点になります。

    段階が増えるほど確認は手間に感じられますが、確認の視点を増やす必要はなく、同じ視点を繰り返し当てはめるだけで足ります。

    この視点は、次に説明する確かめる順番にもそのままつながります。

    図3:受ける側が負う義務
    受ける側が負う義務 1 取引条件の明示義務 フリーランス同士の取引も対象です 2 禁止行為の規定 再委託でも同じ枠組みで及びます

    出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月改訂)をもとに作成

    7. 確かめる順番と、実際に多い違反

    契約前に確かめておきたい順番

    ここまでの内容を、契約前に確かめる順番として整理します。まず見るのは、窓口となる相手の立場です。仲介にとどまっているのか、再委託や実質的な委託にあたるのかを確かめます。

    次に見るのは、取引条件が明示されているかどうかです。明示がなければ、支払期日そのものが分かりません。

    最後に、支払期日の起点を確かめます。受領した日が起点なのか、元委託の支払期日が起点なのかによって、実際の支払いのタイミングは変わります。

    契約前に確かめる順番を、あらためて一覧にしておきます。立場の確認、明示の確認、起点の確認という3つの視点を、契約のたびに同じ順番で当てはめることで、確認の抜け漏れを防ぎやすくなります。次の一覧は、ここまで説明してきた内容を、確認する順番に沿って並べ直したものです。

    確かめる順番見るポイント
    1. 相手の立場を確認する仲介にとどまるか、再委託・実質的な委託にあたるか
    2. 明示される条件を確認する取引条件が書面やメール等で明示されているか
    3. 支払期日の起点を確認する受領した日が起点か、元委託の支払期日が起点か

    実際に多い違反から、確認の重みづけを知る

    公正取引委員会がまとめた運用状況では、措置件数の業種別内訳で情報通信業が最も多く、575件(37.0%)を占めています9。案件の多い業種であるほど、確認の場面も増えるということでもあります。

    違反の内容そのものでは、取引条件の明示義務違反が1,126件(41.3%)と、大きな比重を占めています10。順番の最初に立場を確かめても、明示そのものがなければ、そこで確認が止まってしまいます。

    だからこそ、立場の確認だけで終わらせず、明示の有無まで含めて確かめる順番を、契約のたびに繰り返すことが役に立ちます。

    図4:確かめる順番と、実際に多い違反
    確かめる順番と、実際に多い違反 1 立場を確認 2 明示を確認 3 起点を確認 措置件数の業種別内訳と、違反類型の内訳 情報通信業 37.0% 明示義務違反 41.3%

    出典:公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」(2026年6月)をもとに作成。確認の順番はRemogu編集部が整理したものです。

    初めて参画する案件が仲介経由だった場合、何を確認すればいいですか

    初めての案件かどうかで、確認する内容が変わるわけではありません。窓口が仲介にとどまっているのか、実質的に業務委託をしているといえるのかを、委託の内容への関与の状況等、契約及び取引実態から確かめることが出発点になります2

    稼働日数が少ない案件でも、明示義務の対象になりますか

    稼働の日数や案件の規模の大小は、明示義務の適用を左右しません。取引条件の明示義務は、フリーランス同士の取引にも及びます3

    要件定義など一部の工程だけを引き継ぐ形で再委託された場合はどうなりますか

    引き継ぐ範囲が一部の工程であっても、実質的に業務委託をしているといえるかどうかは、委託の内容への関与の状況等を総合的に考慮して判断されます2。再委託にあたるなら、支払期日の起点が元委託の支払期日に変わる点もあわせて確認しておくと安心です7

    確かめる順番さえ押さえておけば、契約前の迷いはぐっと減ります。まずは今関わっている案件、あるいはこれから参画しようとしている案件が、仲介にとどまっているのか、再委託や実質的な委託にあたるのかを、契約書を開いて確かめてみることから始められます。Remoguが取り扱う案件は、90%以上がフルリモート可能です。契約の実態を確かめながら、自分に合う条件をRemoguで探してみることもできます。

    リモートワーク案件をお探しの方へ

    Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。

    起点が読めれば条件を先に置けます。リモートの案件を見てみてください。

    フルリモートの案件を見る30秒で無料登録

    会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料

    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *2 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *3 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *4 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *5 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *6 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *7 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *8 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
    *9 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」業種別で最も多い(2026年6月・2026年9月確認)
    *10 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」2番目に多い違反(2026年6月・2026年9月確認)