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    Tableauの案件はデータの整備まで含むのか|担当範囲の違いと注意点を解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「Tableau案件の担当範囲」を示す図です。データを整える/見せる形にするを並べています。強調しているのはデータを整えるです。

    📘 この記事でわかること

    • 見せる案件のはずが元データを整える作業まで担うことになりやすい理由と、その作業が生じやすい場面
    • データの取り込み先は決まっている一方で、データの持ち方や意思決定を担う人が定まっていない現場が多い状況
    • データ活用が内向きの利用にとどまりやすい背景と、案件を受ける前に確かめておきたい順番

    Tableauの案件に加わったのに、気づけば元データの並べ替えに時間を取られている。ダッシュボードを作る前提で受けた仕事のはずが、手を動かす先はデータを整える作業に寄っています。見せる形にする力と、元データを整える力は、別の技術です。どこまでが自分の役割になるのかを、案件を受ける前に見極める材料をまとめました。

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    1. 見せる前に整える作業が範囲に入る

    見せる仕事だと思って受けると、途中で止まる

    Tableauの案件と聞くと、ダッシュボードを組み立てる仕事を思い浮かべる人が多いはずです。指標を選び、グラフの形を決め、見やすく並べる。そこまでが仕事の範囲だと考えて参画すると、着手した段階でつまずきます。

    つまずく先は、元データです。見せたい指標に必要な項目が、そのままの形では揃っていません。表記のばらつきを直し、必要な項目をつなぎ合わせ、期間を揃える。この工程を終えてから、ようやく見せる作業に入れます。

    経営ダッシュボードのようなデータ活用には、利用する側の企業も積極的に取り組む傾向があります1。見せたい気持ちは強い一方で、見せるための元データが整っているかどうかは別の話です。この落差が、案件の範囲を押し広げます。

    整える作業は、見積もりの外側で発生しやすい

    データを整える作業は、案件の説明文には書かれていないことがあります。依頼する側も、着手するまで元データの状態を正確につかめていないためです。可視化の設計よりも、整える作業のほうが時間を取られる案件は珍しくありません。

    見せる形を作る力よりも、元データを整える力のほうが、実際の作業時間を左右します。ここを軽く見て参画すると、進め方の見通しが狂います。逆に、整える作業を織り込んで臨めば、案件の全体像がつかみやすくなります。

    整える作業がどれだけ発生するかは、着手してみないと分からない部分が残ります。最初の打ち合わせで、元データの状態を一緒に確認する時間を設けてもらえるかどうかが、その後の進めやすさを大きく左右します。

    作業時間を切り詰めた見積もりよりも、整える作業のぶんを見込んだ見積もりのほうが、結果として案件全体の信頼につながります。最初から幅を持たせておけば、想定より手間がかかったときにも落ち着いて対応できます。

    次の章では、見せたい指標が決まっていても、元データが揃っていない状況を具体的に見ていきます。この落差の中身を知っておくと、案件を受けるときの説明の求め方が変わります。

    図1:見せる仕事と、整える仕事
    整える仕事 表記のばらつきを直す 必要な項目をつなぎ合わせる 期間や単位を揃える 見せる仕事 見せたい指標を選ぶ グラフの形を決める 画面に見やすく並べる 整える工程を終えてから、見せる工程に進みます

    図の作成:Remogu編集部。案件で求められる作業の範囲を整理したもので、統計データではありません

    2. 見たいものは決まっているが元が揃っていない

    方針があいまいなまま、指標だけが先に決まる

    見せたい指標は具体的に決まっているのに、その元になるデータの扱い方針は定まっていない。この組み合わせが、案件の現場ではよく起こります。方針が曖昧なまま作業を進めると、後になって前提が変わることがあります。

    データ利活用の方針を明確にしている企業は少なく、対応の遅れが目立ちます2。方針を決める側の準備よりも、見せたい要望のほうが先に固まりやすいということです。担当する側は、この順番のずれを前提に動く必要があります。

    方針がはっきりしないより、目的の一文だけでも共有されているほうが進めやすくなります。何のために見せるのかという一文があれば、整える作業の優先順位を判断する材料になります。

    一文が共有されないまま作業に入ると、途中で優先順位を組み替える場面が増えます。最初に確認する一手間が、後の工程を安定させます。

    目的の一文を尋ねても、明確な答えが返ってこない場合もあります。そのときは、まず一部の指標に絞って形にし、見てもらいながら目的をすり合わせていく進め方のほうが、話が前に進みやすくなります。

    元データが向いている先を確かめる

    データの利活用は、社内の業務効率化や生産性向上を目的とした内向きの利用が中心です3。社外に見せる資料ではなく、社内の担当者が日々の判断に使う場面が多いということです。見せる相手が誰かによって、整える作業の丁寧さも変わります。

    社内向けの利用が中心だとわかっていれば、細部の見栄えより、更新のしやすさを優先する判断がしやすくなります。逆に、社外向けの資料だと聞いていたのに実態が社内向けだった場合は、作業の力配分を見直す必要があります。

    利用する側と、整える側の状況を並べる

    見せたい側の姿勢と、元データの状況を並べて見ると、案件の全体像がつかみやすくなります。下の表は、この記事で取り上げた二つの状況を整理したものです。

    観点状況
    データ利活用の方針明確にしている企業は少なく、対応の遅れが目立ちます2
    データが向いている先社内の業務効率化や生産性向上を目的とした内向きの利用が中心です3

    見せたい指標がすでに決まっていても、その元データが向いている先や整い方は別の話です。案件を受ける段階で、この二つを分けて確かめておくと、後から作業の見通しが狂うことを防げます。

    聞き取りの場では、見せたい指標だけでなく、その指標をこれまでどう確認してきたのかも尋ねておくと、元データの状態を推測する手がかりになります。今の確認方法を知ることは、整える作業の見取り図につながります。

    図2:元が揃っている場合と揃っていない場合
    元データが揃っている場合 指標を決める 画面を組み立てる 元データが揃っていない場合 指標を決める 元データを 整える 画面を組み立てる

    図の作成:Remogu編集部。案件で見られる二つの進み方を整理したもので、統計データではありません

    3. データの持ち方が決まっていない現場

    部品として分ける設計は、まだ広がっていない

    データを部品として分けたり、持ち方を意識した設計に取り組む企業は、利用する側を中心に依然として少ない状態です6。項目の意味や単位がその場ごとに決められていて、あとから見返すと整合性が取れていないことがあります。

    設計が整っているより、まず現状の持ち方を記録しておくほうが、次の作業に役立ちます。どの項目が何を指すのか、誰が更新しているのかを書き出すだけでも、整える作業の見通しが立ちやすくなります。

    設計が定まっていない現場では、見せる仕組みを作る前に、データの持ち方そのものを確認する工程が必要になります。この工程を飛ばすと、あとから同じ修正を繰り返すことになります。

    持ち方を確認する工程は、一度で終わるものではありません。案件が進むにつれて新しい項目が加わり、そのたびに整合性を見直す場面が出てきます。最初に決めた整理の仕方を記録として残しておくと、あとの見直しが早くなります。

    管理する取り組みは、道半ばの状態にある

    データを整えて管理する取り組みは、道半ばの状態にあります4。仕組みが完成している現場より、途中で止まっている現場のほうが多いということです。案件に入る段階で、この途中の状態を前提に計画を立てる必要があります。

    道半ばの状態を前提にすると、最初から完成した仕組みを求めるのではなく、今の状態から一段階進める範囲を見極める姿勢に変わります。小さく整えて確かめる進め方のほうが、現場の実情に合います。

    設計の甘さと、管理の途中の状態は、別々に生じているようで根が同じです。次の表で、この二つの状況を並べておきます。

    観点状況
    部品として分ける設計利用する側を中心に、依然として取り組みが少ない状態です6
    データを整えて管理する体制道半ばの状態にあります4

    設計も管理も途中の段階にある現場は、珍しくありません。案件に入るときは、この二つがどこまで進んでいるかを最初に確かめておくと、作業の順序を組み立てやすくなります。

    完成した仕組みを前提にせず、今の到達点から一段階進める範囲を見極める。この姿勢が、途中の状態にある現場では成果につながります。

    設計の甘さに気づいたときは、指摘するよりも、直すとどれだけ楽になるかを添えて伝えるほうが、話が前に進みやすくなります。初めて聞く指摘には、相手も身構えるものです。

    4. どこから取ってくるかは決まっている

    つなぎ方の整備は、作る側が先行している

    データの持ち方が決まっていない一方で、どこからデータを取ってくるかという点は、比較的はっきりしています。APIの活用や、データの形式をそろえることは、作る側の企業を中心に意識が高い状態です7

    取り込み先が曖昧より、経路がすでに用意されているほうが、着手のハードルは下がります。どのシステムからどの形式でデータが来るのかが分かっていれば、整える作業はその先の中身に集中できます。

    経路が決まっているという安心感が、かえって油断につながることもあります。経路が整っていても、その先で届くデータの中身が整っているとは限らないためです。

    経路の確認は、着手前の短い打ち合わせで済むことが多い作業です。どのシステムから、どの周期で、どんな形式でデータが届くのかを一覧にしておくと、あとから経路の設定を探し直す手間が省けます。

    導入は進んでいても、使いこなしは別

    クラウドやAPIの導入は、作る側の企業を中心に比較的進んでいます8。仕組みそのものは用意されている現場が増えているということです。ただし、仕組みがあることと、それを生かして整った状態を保てることは別の話です。

    導入されている仕組みを確認し、そこに乗るだけで整う部分と、担当者が個別に手を入れる必要がある部分を切り分けると、作業の見積もりが立てやすくなります。仕組みに任せられる範囲を先に把握しておくと近道です。

    仕組みが整っている現場では、整える作業の入り口がすでに用意されています。入り口が用意されているぶん、作業の中心はデータの中身を見極めることに移ります。ここを見誤ると、せっかくの経路を生かせません。

    経路が整っている案件ほど、着手から成果が見えるまでの時間が短くなりやすくなります。取り込みの型がすでにあるぶん、整えた結果をすぐに反映して確かめられるためです。

    取り込み先の経路がはっきりしている案件では、整える作業の中心はデータの中身に移ります。次の章では、この整える作業を誰が判断しているのかを見ていきます。

    5. 決める人がいない場合

    責任者がいないと、判断が止まる

    意思決定を担う責任者を置いていない企業は、約半数に上ります10。データの持ち方や整える優先順位を最終的に決める人が、はっきりしていない現場が少なくないということです。

    責任者が明確な現場より、決める人がいない現場のほうが、担当者の裁量で作業が進みやすくなります。裁量があると聞くと自由に思えますが、判断の後ろ盾がないまま進めることでもあります。

    誰に確認を取ればよいのかを、案件の早い段階で確かめておくと、あとから判断が止まる場面を減らせます。窓口になる担当者が誰かを把握しておくことは、作業の速さに直結します。

    窓口が複数にまたがる現場もあります。データの持ち方を決める人と、見せ方を決める人が別であれば、両方に確認を取る前提で日程を組んでおくほうが、後戻りが少なくなります。

    情報を集める仕組みも、個人任せになりやすい

    技術情報を集める仕組みは体系だっておらず、担当は個人に委ねられています9。新しい進め方やツールの情報が、組織として蓄積されにくいということです。決める人がいないことと、この状況はつながっています。

    情報が個人に偏っている現場では、担当者が変わるたびに同じ確認を繰り返すことになります。案件に入る側としては、引き継ぎの記録がどこにあるのかを、早めに確かめておくと安心です。

    記録が見当たらない場合は、自分で確認した内容を簡潔にまとめて共有すると、次に同じ案件へ入る人の助けになります。個人に頼る現場だからこそ、自分の作業を形として残す意味が大きくなります。

    窓口が定まっていない案件でも、最初の数日で誰に何を確認すればよいかが見えてくることがあります。急いで進めるより、その数日を見極めに使うほうが、結果として早く仕上がります。

    決める人と、情報を集める仕組みの両方が定まっていない現場は、下の表のような状況にあります。

    観点状況
    意思決定を担う責任者置いていない企業が約半数に上ります10
    技術情報を集める仕組み体系だっておらず、担当は個人に委ねられています9

    6. 内向きの使い方という前提

    見せる相手の多くは、社内の担当者

    ここまで見てきた背景には、一つの前提があります。データの利活用は、社内の業務効率化や生産性向上を目的とした内向きの利用が中心だということです3。見せる相手は、社外の顧客ではなく、社内の担当者であることが多くなります。

    内向きの利用が前提だと分かっていれば、装飾より更新のしやすさを優先する判断がしやすくなります。見た目の完成度よりも、毎週の運用に耐えられる作りかどうかが、評価される場面が多くなります。

    社外向けの見た目を求められる案件と、社内向けの運用しやすさを求められる案件とでは、時間の使い方がまったく違います。この前提を早い段階でそろえておくことが、参画後の手戻りを防ぐ一番の近道です。

    内向きの利用が前提の案件では、担当者からの細かな要望が変わりやすいという特徴もあります。見せる形を固定しすぎず、あとから調整しやすい作りにしておくと、要望の変化にも対応しやすくなります。

    社内向けの運用が中心だと分かれば、見せる形を大きく作り込むよりも、更新の手順を簡潔にまとめておくほうが、後任への引き継ぎもしやすくなります。整えた状態を保ち続けられる作りかどうかが、評価の分かれ目です。

    何らかの形でDXに取り組んでいる企業の割合は77.8%です5。取り組みの入り口には立っている企業が多い一方で、その中身は内向きの利用にとどまっているということです。取り組みの広さと、深さは別に見る必要があります。

    前提を知って参画すると、話が早い

    内向きの利用が前提だと知らずに参画すると、社外向けの完成度を求められていると思い込み、力の入れどころを外すことがあります。前提を先に共有してもらえれば、整える作業の優先順位を早い段階で合わせられます。

    場所に縛られずに裁量を持って働きたいと考える人にとって、前提を早く確かめられる案件は進めやすいものです。Remoguの案件は、90%以上がフルリモート可能です。前提のすり合わせをオンラインで完結させやすい環境が整っています。

    次の章では、ここまでの内容を踏まえて、案件を受ける前に確かめておきたい順番を整理します。

    図3:データの利活用の進み方
    何らかの形でDXに取り組んでいる企業の割合 DXに取り組んでいる企業 77.8% それ以外の 企業 その中身は、社内向けの内向きの利用が中心です

    出典:IPA「DX動向2025」(2025年6月)をもとに作成

    7. 受ける前に確かめる順番

    見せる前に、四つの点を確かめる

    ここまでの内容を、案件を受ける前に確かめる順番としてまとめます。最初に、データ利活用の方針が明確にされているかどうかです。方針を明確にしている企業は少なく、対応の遅れが目立ちます2。方針がないことを前提に、目的の一文だけでも聞いておくと進めやすくなります。

    次に、部品として分ける設計に取り組んでいるかどうかです。利用する側を中心に、依然として取り組みが少ない状態です6。設計が整っていない前提で、データの持ち方を確認する工程を見積もりに含めておきます。

    三つ目は、見せる相手が社内か社外かという点です。内向きの利用が中心という前提3を踏まえ、装飾よりも更新のしやすさが求められているかを確認します。四つ目は、判断を最終的に誰が下すのかという窓口の確認です。

    この四つを受ける前に確かめておけば、着手してから前提がずれて作業をやり直す場面を減らせます。順番を意識するだけで、案件の見え方はずいぶん変わります。

    よくある質問

    Tableauの案件で、データの整備までどの程度求められますか

    案件ごとに幅があります。データを整えて管理する取り組みは道半ばの状態にある現場が多く4、その分だけ整える作業が案件の範囲に含まれやすくなります。着手前に、どこまでが整った状態で渡されるのかを確認しておくと見通しが立ちます。

    データの取り込み先が決まっていれば、整える作業は少なくて済みますか

    そうとは限りません。APIの活用やデータの形式をそろえることは作る側の企業を中心に意識が高い状態ですが7、経路が整っていても、届くデータの中身まで整っているとは限らないためです。経路と中身は分けて確認します。

    窓口になる担当者がはっきりしない場合は、どう進めればよいですか

    意思決定を担う責任者を置いていない企業は約半数に上ります10。窓口が曖昧な前提で、誰に確認を取れば話が進むのかを早い段階で聞いておくと、あとから判断が止まる場面を減らせます。

    整える作業が想定より多いと感じたら、どう伝えればよいですか

    感じた時点で、範囲が広がっていることを作業の内容とあわせて伝えるのが有効です。データを整えて管理する取り組みは道半ばの状態にある現場が珍しくなく4、範囲が広がること自体は自然な現象です。早めに共有すれば、進め方を一緒に調整できます。

    図4:受ける前に確かめる順番
    1 データ利活用の方針が明確にされているか 2 部品として分ける設計に取り組んでいるか 3 見せる相手が社内か社外かはっきりしているか 4 判断を下す窓口が誰かを確かめているか

    図の作成:Remogu編集部。案件を受ける前に確かめる順番を整理したもので、統計データではありません

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」求められるもの(2025年4月・2026年8月確認)
    *2 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」方針の遅れ(2025年4月・2026年8月確認)
    *3 IPA「DX動向2025」向きの偏り(2025年6月・2026年8月確認)
    *4 IPA「DX動向2025」土台の未完成(2025年6月・2026年8月確認)
    *5 IPA「DX動向2025」取組の広がり(2025年6月・2026年8月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」境界の不在(2025年4月・2026年8月確認)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」つなぎ目の意識(2025年4月・2026年8月確認)
    *8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」進んでいる領域(2025年4月・2026年8月確認)
    *9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」知識の持ち方(2025年4月・2026年8月確認)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」決める人(2025年4月・2026年8月確認)