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    営業をせずに案件が来る形はどう作る?窓口と実績の見せ方の違いを解説

    監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

    「営業せずに案件が来る形」を示す図です。任せられる範囲の言葉/組み合わせた実績/置いておく窓口を並べています。強調しているのは任せられる範囲の言葉です。

    📘 この記事でわかること

    • 発注する企業がなぜ外部委託や情報収集を個人任せにしているかという事情と、そこに自分の実績を合わせる考え方
    • 契約や役割分担があいまいなまま進む企業の実情と、任せられる範囲を自分の言葉で示す整理の仕方
    • 外部のサービスを組み合わせて使う経験の価値と、声がかかる窓口をどこに置くかという具体的な順番

    営業をかけずに声がかかる形を作りたいと考えても、何から手をつけていいか分からなくなることがあります。国の調査を並べて見ると、外部への委託は既に多数派になっており、発注する側の担当者も言葉にならない事情を抱えたまま相手を探しています。声がかかる形は、その事情が集まる場所に、自分の実績を先に置いておくことで作れます。この記事では、発注する側の事情と、任せられる範囲の言葉にし方、見せ方を整える順番を順に見ていきます。

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    1. 探しているのは相手側

    声をかけられる形を作ろうとすると、まず自分の見せ方を工夫したくなります。ですが国の調査を並べて見ると、動いているのはむしろ発注する側です。外部への委託は既に広く行われており、社内の人手だけでは開発を回しきれない企業が目立ちます。探す主体がどちらにあるかを知ることが、最初の一歩になります。

    外部への委託はすでに広がっている

    競争にかかわる事業について尋ねた調査では、外部への委託による開発を行っている回答率が4割弱で最も多い結果になっています1。社内だけで完結させる企業のほうが、少数派に近づいているということです。

    背景にあるのは人材不足です。人材不足により内製化が進まない企業が多いという結果も示されています2。社内で抱え込みたくても、人手が不足している状況が広がっているということです。

    困っているのは日本だけ、という事情もある

    人材の不足を感じているのは、日本だけだという結果が出ています3。海外の企業と比べても、日本の発注側が抱える人手の悩みは重く、外部に頼れる相手を探す動きが止まりにくい状況です。

    つまり、声がかかりにくいと感じる背景には、自分の営業の力だけでなく、相手側の事情もあります。探しているのは相手側だと分かれば、動き方も変わってきます。

    図1:声がかかる形を作る3つの材料
    声がかかる形を作る3つの材料 1 相手の事情を 知ること 委託が広がる実態 人手不足という背景 2 任せられる範囲を 言葉にすること 頼みやすさが変わる 伝わる言葉を選ぶ 3 外部の道具を 組み合わせる経験 選び方に個性が出る 実務経験が武器になる

    図の作成:Remogu編集部。声がかかる形を整理したもので、統計データではありません

    探している事情があっても、その中身をうまく言葉にできていない場面があります。次の章では、その言葉にならない事情を見ていきます。

    2. 相手は言葉を持っていない

    発注する側が困っているとしても、その中身をきれいな言葉で説明できるとは限りません。契約の実務を尋ねた調査からは、担当者自身が言葉にしづらい事情を抱えていることが見えてきます。

    取引のたびに手間がかかるという悩み

    システム開発の契約では、取引ごとに手間や工数がかかる点を課題に挙げる企業が多くなっています6。契約の形を毎回一から整える負担が、発注する側にのしかかっているということです。

    この負担は、受ける側からは見えにくいものです。声をかける相手が、契約の手間そのものに疲れている場合があると知っておくと、進め方の説明の仕方も変わってきます。

    契約の型の名前自体が伝わらない

    契約の型として使われるモデル契約について、その存在自体を知らないとする企業も多いという結果が出ています7。型の名前を出しても、相手に伝わらない場面があるということです。

    つまり、契約の枠組みを専門用語で説明しても、相手には届きません。型の名前より、具体的にどう進めるかという言葉のほうが、相手には伝わりやすくなります。

    契約にまつわる事情を並べて整理する

    ここまで見てきた2つの事情を、表にして並べます。取引のたびにかかる手間と、契約の型そのものへの理解という、性質の違う2つの事情が、どちらも相手の言葉にならなさにつながっています。

    観点起きていること伝える側にとっての意味
    取引の手間取引ごとに手間や工数がかかる点を課題に挙げる企業が多くなっています6手間の少ない進め方を先に示すと話が早くなります
    契約の型の理解モデル契約そのものを知らないとする企業も多くなっています7型の名称より、具体的な進め方の言葉が伝わりやすくなります

    相手が言葉を持っていないなら、代わりに自分の側から言葉を用意しておくことが力になります。次の章では、その言葉にする範囲について見ていきます。

    3. 任せられる範囲を自分から言葉にする

    発注する側の内部でも、誰が何を決めるのかがはっきりしないまま話が進むことがあります。役割や意思決定の仕組みを尋ねた調査からは、その実情が見えてきます。

    役割分担や範囲が不明確なまま進む

    DXに関する役割分担や範囲が不明確という課題は、上位に挙がる項目の一つです8。誰がどこまでを担当するのかが、社内でも整理しきれていない場合があるということです。

    この状態のまま声をかけても、相手は何を任せていいのか判断しづらくなります。先に「ここまでは任せられます」という範囲を、自分の言葉で示しておく意味があります。

    決める人がいないまま止まっている場合もある

    意思決定を担う責任者を設置していない企業は、約半数に上るという結果もあります10。決める人がはっきりしないまま、検討だけが続いている場合があるということです。

    決める人が定まっていない相手に対しては、判断の材料をこちらから具体的に渡すことが助けになります。任せられる範囲の言葉は、その判断材料そのものになります。

    役割と決定にまつわる事情を並べて整理する

    役割分担の不明確さと、決める人の不在という2つの事情を、表にして並べます。どちらも社内の整理が追いついていないために起きている事情で、外側から言葉を渡すことで補える部分があります。

    観点起きていること影響
    役割分担役割分担や範囲が不明確という課題が上位に挙がっています8任せられる範囲を自分から示すと補いやすくなります
    意思決定意思決定を担う責任者を設置していない企業が約半数に上ります10判断の材料を渡すと話が進みやすくなります
    図3:言葉を用意した場合とない場合の見つかり方
    言葉を用意した場合とない場合の見つかり方 見つかりやすさ 時間の経過 任せられる範囲を 言葉にした場合 言葉にしていない場合

    図の作成:Remogu編集部。言葉にする有無による違いのイメージを整理したもので、統計データではありません

    任せられる範囲を言葉にしておくことは、相手の判断を助けるだけでなく、自分自身の見つかりやすさにもつながります。次に見るのは、もう一つの実績になる経験です。

    4. 外の道具を組み合わせられること

    発注する側は、社内だけですべてをまかなおうとしているわけではありません。外部のサービスや製品をどう使っているかを尋ねた調査を見ると、その実態が分かります。

    外部のサービスはすでに広く使われている

    外部のサービスや製品は、一部での利用を含めて6割強の企業が活用しています4。社内の仕組みだけで完結させるより、外の道具を組み合わせる進め方のほうが、すでに一般的になっているということです。

    この状況では、外の道具を組み合わせて使ってきた経験そのものが、相手の進め方に合う実績として見られます。道具の名前を並べるより、組み合わせ方を説明できることに価値があります。

    使い方の方針を持つ企業はまだ半数ほど

    一方で、外部サービスの利用に関する方針を整備している企業は、全体の約半数にとどまっています5。使ってはいても、社内の基準がまだ整っていない企業もある状況です。

    基準が整っていない相手には、進め方の実例を具体的に示すことが助けになります。自分がどう外の道具を選び、どう組み合わせてきたかを言葉にしておくと、相手が方針を考える材料にもなります。

    図2:外部のサービスを使う企業の割合と、方針を持つ企業の割合
    外部の道具をめぐる企業の割合 外部の道具をめぐる企業の割合 外部サービスを使う企業(6割強) 方針がある企業(約半数)

    出典:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」(2025年4月)をもとに作成

    外の道具を組み合わせてきた経験は、それ自体が言葉にできる実績です。次に見るのは、こうした情報がどこから集まっているかという事情です。

    5. 情報の集め方が個人任せという事情

    発注する側は、技術の情報をどうやって集めているのでしょうか。情報収集の仕組みを尋ねた調査からは、意外な実情が見えてきます。

    体系的な仕組みを持たず、個人に任されている

    技術情報の収集は体系的な仕組みを持たず、個人に任されている企業が多いという結果が出ています9。会社としての情報源があるのではなく、担当者個人が見聞きしたものが頼りになっている状況です。

    この状況では、担当者個人の目に触れる場所に実績を置いておくことが、そのまま情報源としての役割を果たします。社内の仕組みを待つのではなく、個人に届く形を整えることに意味があります。

    役割の不明確さも、情報の集め方に影響する

    先に触れた役割分担や範囲の不明確さも8、情報収集のあり方と無関係ではありません。誰が情報を集める担当なのかがはっきりしないまま、個人の判断に委ねられている面があります。

    だからこそ、自分の実績を分かりやすい言葉で示しておくことは、担当者個人が社内で説明するときの材料にもなります。個人任せの情報収集を、こちらの言葉で補う形です。

    情報の集め方にまつわる事情を並べて整理する

    情報収集の仕組みと、役割の整理という2つの事情を、表にして並べます。どちらも個人の判断に委ねられている部分が大きく、届ける言葉の置き場所を考えるときの手がかりになります。

    観点起きていること意味
    情報の集め方技術情報の収集は体系的な仕組みを持たず、個人に任されている企業が多くなっています9個人が触れる場所に実績を置いておくことが情報源になります
    役割の整理役割分担や範囲が不明確という課題が上位に挙がっています8自分の言葉が、社内で説明する材料になります

    個人に向けて言葉を届けることの意味が分かったところで、次はその言葉をどこに置くかを考えます。

    6. 窓口をどこに置くか

    言葉を用意しても、届く場所に置いていなければ意味がありません。ここまで見てきた事情をもとに、窓口をどこに置くかを考えます。

    外部の道具を使い慣れた相手が探している場所

    外部のサービスや製品を一部の利用も含めて6割強の企業が活用している以上4、外部の仕組みを通じて情報や人を探すこと自体は、相手にとって珍しい行動ではありません。窓口を外部に置くことは、相手の探し方に沿っています。

    窓口を外に置くという判断は、目立つ場所を選ぶという意味ではありません。相手が普段から使っている仕組みに合わせる、という考え方です。

    リモートで進めやすい案件を扱う場を窓口にすることも、選択肢の一つです。Remoguが扱う案件は、90%以上がフルリモート可能です。場所に縛られない働き方を探している人にとって、窓口の一つになります。

    方針が整っていない相手には、分かりやすさが窓口になる

    外部サービスの利用に関する方針を整備している企業は、全体の約半数にとどまります5。方針が整っていない相手には、複雑な窓口より、分かりやすい窓口のほうが届きやすくなります。

    窓口を複数に分散させるより、一つに絞って言葉を集中させるほうが、相手にも見つけてもらいやすくなります。次の章では、その窓口に置く見せ方を整える順番を見ていきます。

    7. 見せ方を整える順番

    ここまでの内容を踏まえて、見せ方を整える順番をまとめます。順番を間違えると、せっかく用意した言葉も伝わりにくくなります。

    最初に、任せられる範囲を書き出す

    役割分担や範囲が不明確という課題は、発注する側でも上位に挙がっています8。だからこそ、まず自分がどこまでを任せられるのかを、具体的な言葉で書き出しておくことが最初の一歩になります。

    範囲をあいまいにしたまま見せ方だけを整えても、相手には伝わりません。得意な範囲と、対応が難しい範囲の両方を、具体的な言葉にしておきます。

    次に、手間の少ない進め方を添える

    取引ごとに手間や工数がかかる点を課題に挙げる企業が多いことを踏まえると6、進め方をどれだけ簡潔に示せるかも、見せ方の一部になります。手続きの少なさを言葉にしておくと、相手の負担を減らせます。

    範囲の言葉と、進め方の言葉がそろって初めて、相手は具体的に依頼を思い描けるようになります。この順番で整えておくと、声がかかりやすい形に近づきます。

    図4:見せ方を整える順番
    見せ方を整える順番 1 できる範囲を 書き出す 最初の一歩 2 契約の言葉を 添える 誤解を防ぐ 3 使える道具を 示す 選び方に個性 4 窓口を一つに 決める 迷わせない工夫

    図の作成:Remogu編集部。見せ方を整える一般的な順番を整理したもので、統計データではありません

    任せられる範囲は、どこまで具体的に書けばいいですか

    技術の名前だけでなく、どんな場面でどこまで対応してきたかという言葉にします。範囲と一緒に、対応が難しい範囲も添えておくと、相手の判断がしやすくなります。

    外部の道具を使ってきた経験は、どう伝えればいいですか

    道具の名前を並べるのではなく、どんな課題に対してどう組み合わせたかという流れで伝えます。組み合わせ方の考え方そのものが、相手の探している経験になります4

    窓口を複数に持つのは良くないのですか

    窓口を増やすこと自体が問題ではありませんが、言葉が分散すると、相手にとって見つけにくくなります。まず一つの窓口に言葉を集めておき、そこから広げる順番がおすすめです。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 IPA「DX動向2025」外に出る仕事(2025年6月・2026年8月確認)
    *2 IPA「DX動向2025」内製の壁(2025年6月・2026年8月確認)
    *3 IPA「DX動向2025」日本固有の事情(2025年6月・2026年8月確認)
    *4 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」利用の広さ(2025年4月・2026年8月確認)
    *5 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」方針の有無(2025年4月・2026年8月確認)
    *6 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」契約の負担(2025年4月・2026年8月確認)
    *7 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」相手の前提(2025年4月・2026年8月確認)
    *8 総務省「令和7年版 情報通信白書(デジタル活用の動向)」範囲の曖昧さ(2025年7月・2026年8月確認)
    *9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」知識の持ち方(2025年4月・2026年8月確認)
    *10 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」決める人(2025年4月・2026年8月確認)