API設計の案件で問われる相互運用性とは?RESTとバージョニングの実務と必要スキル

📘 この記事でわかること
- RESTに基づくURI設計の基本と、バージョニングやレスポンス設計で押さえておきたい判断基準
- APIゲートウェイが担う認証・認可・暗号化の一元管理と、標準化が開発や運用のコストを抑える仕組み
- API設計や運用に関わってきた経験が活きる案件の特徴と、リモート中心でも関わりやすい理由
API設計の案件は、URIの命名からAPIゲートウェイでの認証設計まで、任される範囲が案件によって幅があります。RESTに基づく設計の基本や、バージョニング、レスポンス設計、標準化がもたらす相互運用性を押さえておくと、案件で確認される観点が具体的に見えてきます。この記事では、これらの観点を実務の視点で整理します。積み上げてきた経験がどの工程で活きるかも、読み進めるうちに見えてきます。
1. RESTに基づくAPI設計とURI設計
RESTの考え方が案件でどう問われるか
案件の要件定義書に「RESTfulな設計」と書かれていて、具体的に何を指すのか迷ったことはないでしょうか。
RESTは、HTTPプロトコルに基づいてURIを指定しリソースを取得する設計様式を指します1。名詞にあたるリソースをURIで表し、動詞にあたる操作をHTTPメソッドに委ねる考え方です。
案件では、この考え方がどこまで徹底されているかを見る場面が多くあります。操作の種類をURIの中に書き込む設計よりも、名詞のURIにHTTPメソッドで操作を表す設計のほうが、後から機能を足しても構造が崩れにくくなります。既存の設計がこの型から外れている場合、置き換えの提案そのものが仕事になることもあります。
命名の一貫性が保たれているかどうかは、複数人でAPIを設計する案件ほど効いてきます。設計の初期段階でこの型を共有しておくと、レビューの観点も揃いやすくなります。
命名だけでなく、複数形にするか単数形にするかといった細かな取り決めも、チームで最初にすり合わせておくと後々のレビューが早くなります。
URI設計のポイント
URIの階層をどこで区切るか、迷いながら設計を進めたことはないでしょうか。
URI設計では、リソースの階層関係を明確に表現するため、必要に応じてネストされたリソースパスを使用することが推奨されています2。たとえば案件のIDに紐づくタスクを表すなら、案件のパスの下にタスクのパスを続け、親子関係をそのままパスの構造で示します。
案件では、この階層の切り方が業務の構造をどれだけ正しく映しているかが確認されます。意味のまとまりを無視して深くネストさせた設計より、業務の単位で区切った設計のほうが、後から引き継ぐ担当者にも伝わりやすくなります。
複数階層になったパスは、どこまでが固定の言葉でどこからが可変のIDなのかを、命名の時点で分かりやすく示しておくことも実務では意識されます。読み手がドキュメントだけでリソースの構造を理解できるかどうかが、設計の分かりやすさを左右します。設計を長く使うためには、変更にどう備えるかという視点も欠かせません。次に、バージョニングとレスポンス設計を見ていきます。
【表1:押さえておきたい基本用語】API設計の会話でつまずきやすいのは、共通言語になっている基本用語です。案件のドキュメントや打ち合わせでは、リソース・URI・エンドポイント・ステータスコード・ペイロードといった語が前提知識として使われます。意味を正確に押さえておくと、設計レビューや仕様策定の場でも会話がかみ合いやすくなり、初めて入る案件でも早い段階で議論に加わりやすくなります。以下に、押さえておきたい基本用語をまとめました。
| 用語 | 意味 | 設計での位置づけ |
|---|---|---|
| リソース | APIが扱う操作の対象(データやオブジェクト) | URIで名詞として表す基本単位です |
| URI | リソースの位置を示す識別子 | 階層構造で親子関係を表現します |
| エンドポイント | リソースにアクセスするための、URIとメソッドの組み合わせ | 機能ごとの入口になります |
| ステータスコード | リクエストの結果を示す数値 | 成功・失敗を判断する材料になります |
| ペイロード | リクエストやレスポンスで送受信される本体データ | レスポンス設計で絞り込みの対象になります |
出典:デジタル庁『APIテクニカルガイドブック』(2024年)をもとに作成
2. バージョニングとレスポンス設計
バージョニングの考え方
機能を足すたびに、既存の呼び出し側への影響を心配しながら設計を進めていないでしょうか。
APIのバージョニングでは、バージョン番号を小数にしないことが基準になります3。v1、v2のように整数で区切ることで、どこまでが同じ契約の範囲かが明確になります。
案件では、この整数運用が守られているかに加え、古いバージョンをいつまで残すかという方針まで確認されることがあります。バージョンの切り方をその場の判断に任せる設計より、最初に規約として定めておく設計のほうが、複数人での運用に入っても混乱を避けやすくなります。
バージョンを切り替えるタイミングは、機能を足すたびではなく、既存の契約を壊す変更が入るときに絞ることも案件でよく確認される観点です。むやみにバージョンを増やさない判断も、設計の経験が表れる部分です。
公開済みのAPIを変更する際は、告知の期間を設けて呼び出し側に準備してもらう進め方も、案件では検討されることがあります。
レスポンス・返却項目の設計
レスポンスに含める項目を、使うかどうか分からないまま多めに含めていないでしょうか。
レスポンス設計では、不要なデータの返却を防ぎ、データ通信量やデータ検索負荷を削減することが推奨されています4。呼び出し側が使わない項目まで返してしまうと、通信量と処理の両方に負荷がかかります。
案件では、どの項目を標準で返し、どの項目を必要なときだけ返すかという線引きの設計が求められます。この判断を任せてもらえるかどうかは、これまでの設計経験の深さが伝わりやすい場面のひとつです。
一覧表示と詳細表示で返す項目を変える設計も、この考え方の延長にあります。使う場面ごとに必要な情報だけを返す発想を徹底できているかどうかは、レビューの場でも話題になりやすい観点です。
【表2:案件で確かめる観点】バージョニングとレスポンス設計は、案件によって運用の成熟度に幅があります。着手前にどこまで整っているかを確認しておくと、後工程での手戻りを抑えやすくなります。以下は、案件で確かめておきたい観点です。
| 観点 | 確認ポイント | 見えてくること |
|---|---|---|
| バージョンの運用方針 | 整数運用になっているか、旧バージョンの提供期限があるか | 契約範囲の明確さ |
| レスポンスの絞り込み | 標準項目と任意項目が分かれているか | 通信量への配慮 |
| エラー時の返却形式 | エラーの構造が全体で統一されているか | 呼び出し側の実装のしやすさ |
| 互換性の確認手順 | 変更時に既存の呼び出し側への影響を確認する手順があるか | 運用の丁寧さ |
出典:デジタル庁『APIテクニカルガイドブック』(2024年)をもとに作成
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設計したAPIをどう安全に運ぶかも、案件で問われる観点です。次に、APIゲートウェイの役割を見ていきます。
3. APIゲートウェイとセキュリティ
ゲートウェイの役割
認証やレート制限を、APIごとに一つずつ作り込んでいないでしょうか。
APIゲートウェイは、認証、認可、暗号化などのセキュリティ機能を一元的に管理します5。個々のAPIにセキュリティ処理を持たせる設計よりも、ゲートウェイに集約する設計のほうが、変更が必要になったときの対応範囲を絞りやすくなります。
案件では、既存のゲートウェイ設定を読み解いて引き継ぐ場面と、新規に設計する場面の両方があります。どちらの場面でも、セキュリティ要件を業務要件と切り分けて考える力が問われます。
複数のAPIを横断してログを集約できる点も、ゲートウェイを挟む設計の利点として案件で語られることがあります。個別のAPIだけを見ていては気づきにくい、運用面での効果です。
認証・認可・レート制限の確認ポイント
案件に入って最初に戸惑いやすいのが、認証と認可の役割分担ではないでしょうか。
認証は利用者が誰であるかを確かめる仕組みで、認可はその利用者に何を許可するかを決める仕組みです。レート制限は、一定時間内の呼び出し回数を抑え、過度な負荷を避ける仕組みとして働きます。
案件では、これらの設定が誰の責任範囲にあるかを確認しながら進めることになります。設計フェーズだけでなく、運用に入ってからの調整に関わる案件も見られます。
レート制限の閾値をどう決めるかは、業務のピーク時間帯や利用者数によって変わります。案件では、想定される利用状況をヒアリングしたうえで数値を決める進め方が取られることもあります。
制限にかかった際にどのような応答を返すかも、設計の丁寧さが表れる部分です。呼び出し側が次にどう振る舞えばよいかが伝わる応答を用意しておくことが望まれます。
【表3:設計・運用で確かめる観点】APIゲートウェイまわりは、設計時点だけでなく運用が始まってからも確認が続く領域です。着任のタイミングでどこを見ておくと安心か、観点を整理しました。
| 観点 | 確認ポイント | 見えてくること |
|---|---|---|
| 認証方式 | どの方式で利用者を確かめているか | セキュリティ設計の全体像 |
| 認可の粒度 | 操作の単位で権限を分けているか | 運用の柔軟さ |
| 暗号化の範囲 | 通信のどこまでを暗号化しているか | セキュリティ要件の徹底度 |
| レート制限の設計 | 呼び出し回数の上限をどう定めているか | 負荷対策の考え方 |
出典:デジタル庁『APIテクニカルガイドブック』(2024年)をもとに作成
個々の設計を積み重ねるだけでなく、複数のシステムをまたいで効いてくるのが標準化です。次に、標準化と相互運用性を見ていきます。
4. 標準化と相互運用性
共通規格の効果
システムごとにAPIの作法が違うと、連携するたびに個別の調整が発生していないでしょうか。
共通の規格を使用することで、開発・運用コストが削減されます6。命名規則やエラー形式をあらかじめ揃えておくと、新しいシステムをつなぐときの学習コストが下がります。
案件では、社内の複数システムをまたぐ規約づくりに関わる機会もあります。システムごとに個別最適で作る設計よりも、共通規格に沿わせる設計のほうが、長期的な運用コストを抑えやすくなります。
新しく加わったメンバーが、既存のシステムの規約を読むだけで設計の勘所をつかめるかどうかも、共通規格が整っているかを測る一つの目安になります。
規約をドキュメント化しておくと、後から参加するメンバーだけでなく、社外のシステムと連携する際の説明資料としても役立ちます。
相互運用性を高める設計
相互運用性という言葉は聞いていても、具体的に何をすれば高まるのか掴みにくいと感じていないでしょうか。
相互運用性を高めるには、URIの命名やレスポンスの形式、エラーの構造といった細部を、システム間で少しずつ揃えていく地道な作業が積み重なります。ここまで見てきたREST設計、バージョニング、レスポンス設計、ゲートウェイの運用は、いずれもこの積み重ねの一部にあたります。
案件では、こうした標準化に関わってきた経験がそのまま評価の材料になります。1つのシステムの内側だけで完結する経験よりも、複数のシステムをまたいだ設計に関わってきた経験のほうが、任せられる範囲は広がりやすくなります。
一度に全システムを揃えようとせず、新規に手を入れる箇所から少しずつ規約を合わせていく進め方も、案件では現実的な選択肢として取られています。こうした設計や標準化の経験は、常駐先を選ばずに関われる場面が広がっています。次に、案件への関わり方を見ていきます。
出典:デジタル庁『APIテクニカルガイドブック』(2024年)をもとに作成
5. 案件への関わり方と、選ぶ観点
API設計・バックエンド・データ連携・ゲートウェイ運用の経験が効く
積み上げてきた経験が、どの案件で評価されるのか分かりにくいと感じていないでしょうか。
ここまで見てきたRESTに基づく設計、バージョニングとレスポンス設計、APIゲートウェイの運用、標準化への対応は、いずれも案件で確認されやすい経験です。1つの技術に閉じた経験よりも、設計から運用まで一貫して関わってきた経験のほうが、任せてもらえる範囲は広がりやすくなります。
URI設計だけ、認証まわりだけといった部分的な経験であっても、他の領域の基本を理解していれば、案件の中で役割を広げていく場面があります。
複数の案件を経験する中で、設計の判断基準がどのプロジェクトでも通用する形になっているかどうかも、次の案件を選ぶときの目安になります。
案件を通じて得た設計の型を言葉にして説明できるようにしておくと、次の案件の面談でも経験を伝えやすくなります。
リモート中心でも関われる
設計や運用に関わる仕事は、常駐が前提でなければ難しいと感じていないでしょうか。
設計内容をドキュメントにまとめ、レビューを非同期で進められる仕事は、働く場所による制約を受けにくい傾向があります。
Remogu(株式会社LASSIC運営)が扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。API設計やゲートウェイ運用のように、ドキュメントと設計の対話が中心になる仕事は、場所を選ばずに進めやすい領域のひとつです。
まずは登録して、積み上げてきた経験がどの案件の観点に合うかを確かめてみることが、次の一歩になります。
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6. まとめ
ここまで、RESTに基づく設計の基本、バージョニングとレスポンス設計、APIゲートウェイの役割、標準化がもたらす相互運用性、案件への関わり方を見てきました。
- RESTの考え方とURI設計の階層表現は、案件のドキュメントを読み解く土台になること
- バージョニングとレスポンス設計は、整数運用と項目の絞り込みという具体的な基準で確認できること
- APIゲートウェイは認証・認可・暗号化を一元管理し、セキュリティ運用の要になること
- 標準化への対応は、複数のシステムをまたいだ経験として評価されやすいこと
案件ごとに任される範囲は異なりますが、ここで整理した観点を手元に置いておくと、初めて入る案件でも早い段階で全体像をつかみやすくなります。
積み上げてきた経験を、どの案件の観点に当てはめられるか。それを確かめる一番早い方法は、まずは登録して、実際の案件に目を通してみることです。
7. よくある質問
API設計の案件で何を設計・運用するのでしょうか
案件によって範囲は異なりますが、URI設計やレスポンス設計に加えて、APIゲートウェイでの認証・認可の設定、複数システム間の標準化への対応まで含まれることがあります。既存システムとの接続を前提にした調整が中心になる案件もあります。
どんな経験が活きるのでしょうか
RESTに基づく設計の経験、バージョニングやレスポンス設計を意識した実装の経験、APIゲートウェイの設定や運用に関わった経験は、案件の観点に直結しやすい経験です。こうした経験は、担当した案件の種類を問わず、次の案件を選ぶときの判断材料として伝えやすい形になります。
バックエンドやデータ連携の経験は活きるのでしょうか
バックエンドの実装経験やデータ連携の経験は、API設計の背景を理解するうえで役立ちます。ただし、この記事で扱っているのはインタフェースとしてのAPI設計で、データ基盤そのものの設計は別の観点になります。両方の経験を併せ持っていると、API越しにやり取りするデータの背景まで踏まえた設計がしやすくなります。
リモートで関われるのでしょうか
案件への関わり方の章で触れた通り、API設計やゲートウェイ運用に関わる案件はリモート中心で進めやすい領域です。非同期のやり取りを前提にした案件も見られ、時間帯にとらわれず進めやすい点が特徴です。まずは登録して、条件を確かめてみることをおすすめします。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 デジタル庁「APIテクニカルガイドブック」(2024年9月)
*2 デジタル庁「APIテクニカルガイドブック」(2024年9月)
*3 デジタル庁「APIテクニカルガイドブック」(2024年9月)
*4 デジタル庁「APIテクニカルガイドブック」(2024年9月)
*5 デジタル庁「APIテクニカルガイドブック」(2024年9月)
*6 デジタル庁「APIテクニカルガイドブック」(2024年9月)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能