データセンターの案件|デジタル基盤とネットワーク・電力設計

📘 この記事でわかること
- 計算資源・通信・電力の需要が急増している背景と、データセンターが地方分散へ向かう理由
- 電力と通信を両輪で見る設計の考え方と、光電融合などの省電力化技術が2030年度に向けて整備される流れ
- インフラ設計やネットワークの経験がどう活きるかと、リモート中心で案件に参画するための一歩
生成AIの利用が広がるほど、その裏側では計算資源と通信、電力を支えるデジタル基盤の重要性が増しています。データセンターの立地や電力の確保、通信網の整備は、これまでインフラエンジニアの一部だけが関わる領域と見られてきました。基盤を支える設計は地方分散やオール光ネットワークの整備とともに広がり、リモートで参画できる案件も増えています。積み上げてきたインフラ設計やネットワークの経験を、次の基盤づくりにどう活かせるか、順番に見ていきます。
1. なぜ今、デジタル基盤の案件が増えているのか
需要の急増と強靱な基盤
生成AIをはじめとした技術の広がりは、計算資源そのものだけでなく、それを支える通信と電力の需要も同時に押し上げています。総務省の令和7年版情報通信白書は、計算資源や通信、電力需要の急増に対応し、強靱性と冗長性を備えたデジタル基盤の確保を重要な課題として挙げています1。一時的な処理能力の増強よりも、止まらない基盤をどう設計するかのほうが、長い目で見た価値になります。
インフラ設計に携わってきた技術者にとって、この動きは追い風になります。個々のサーバーや拠点を最適化する視点だけでなく、複数の拠点や回線をまたいで基盤全体を捉える視点が、これまで以上に求められる場面が増えているためです。
基盤を支える要素の全体像
デジタル基盤と一口に言っても、実際に支えているのは複数の要素です。データを処理する計算資源、それをつなぐ通信網、そして両方を動かし続ける電力。この三つが揃って初めて、途切れにくい基盤になります。図1は、その関係を整理したものです。
この三要素は互いに独立していません。計算資源を増やせば通信量が増え、通信量が増えれば電力の消費も増える、という具合につながっています。設計を考えるときは、どれか一つを個別に見るのではなく、三つの関係を俯瞰する視点が欠かせません。
出典:総務省『令和7年版 情報通信白書』
実際の設計の場面では、この三要素のうちどこから手を付けるかが案件ごとに異なります。計算資源の増強が先に決まっていて通信と電力を後追いで設計する案件もあれば、電力の制約が先にあって計算資源の規模を調整する案件もあります。どちらの順番で検討する案件かを把握しておくと、自分の得意な工程で力を発揮しやすくなります。
【表1:押さえる基本用語】デジタル基盤に関わる案件では、聞き慣れない用語が並ぶことがあります。ここでは、この記事に登場する基本用語を一覧にしました。データセンターの立地やネットワークの仕組み、電力との関わりを説明する際によく使われる言葉です。案件情報や技術要件を読み解くときの手掛かりとして、まず全体像をつかんでおくと理解が進みやすくなります。用語の意味だけでなく、案件とどう関わるかまで合わせて確認しておくと、企画書や要件定義の読み違いを防げます。
| 用語 | 意味 | 案件との関わり |
|---|---|---|
| データセンター | 計算資源を集約して稼働させる施設 | 立地や規模によって求められる設計が変わります |
| 地方分散立地 | 施設を都市部に集中させず複数の地域に配置する考え方 | 拠点間の設計や運用に関わる案件が生まれます |
| オール光ネットワーク | データの伝送を光信号で一貫して行う通信網 | 拠点間をつなぐ通信設計に関わります |
| ワット・ビット連携 | 電力(ワット)と通信(ビット)を合わせて検討する枠組み | 電力と通信の両面を見る設計に関わります |
| 光電融合 | 電気信号の回路と光信号の回路を組み合わせる技術 | 省電力化を進める技術要素として関わります |
用語を押さえておくと、案件の要件定義や設計書に書かれている内容が、基盤全体のどの部分を指しているのかを素早く判断できるようになります。読み解きに時間をかけるよりも、まず全体の地図を持っておくほうが、案件への入り方がスムーズになります。
まずは基盤を「どこに、どうつなぐか」という設計から見ていきます。
2. データセンターの分散立地とネットワーク
データセンターの地方分散
総務省は、東京圏等に集中するデータセンターの分散立地を推進しています2。都市部に集めるよりも、複数の地域に分けて構える設計のほうが、災害時の強靱性や電力の確保のしやすさにつながります。分散した拠点をどうつなぎ、どう運用するかという視点は、今後の案件でも問われやすい部分です。
分散立地が進むほど、拠点ごとの個別最適だけでなく、拠点をまたいだ運用設計の重要性も増します。これまで単一拠点の運用に携わってきた経験も、複数拠点を意識した設計に置き換えて考えると、案件で求められる視点に近づきます。
海底ケーブルとオール光ネットワーク
拠点を分散させるほど、それらをつなぐ通信網の役割は大きくなります。2030年代のAI社会を支えるデジタルインフラに向け、オール光ネットワークの国際連携等も見据えた整備が提言されています3。海底ケーブルを含む広域の通信網を、電気信号ではなく光信号で一貫してつなぐ構想です。拠点間の遅延や信頼性に関わる設計は、ネットワークの経験を積んできた人が力を発揮しやすい領域です。
通信網の設計では、遅延や信頼性だけでなく、将来の拠点追加を見越した拡張性も論点になります。今の設計が将来の変化にどこまで耐えられるかを見立てる力は、ネットワーク設計の経験を積んだ人が発揮しやすい強みです。
出典:総務省『令和7年版 情報通信白書』
【表2:案件で確かめる観点】分散立地やネットワークに関わる案件では、募集要項だけでは工程の広さが見えにくいことがあります。ここでは、案件を確かめるときに見ておきたい観点を整理しました。拠点の位置づけや接続方式、拡張の段階、運用体制を合わせて確認すると、自分の経験がどこで活きるか、どこまでリモートで関われるかが具体的に見えてきます。事前にこの観点を持っておくと、参画後の役割のずれを防ぎやすくなります。
| 観点 | 確認するとよいこと | 見えてくること |
|---|---|---|
| 拠点の位置づけ | 都市部拠点か、分散拠点かの位置づけ | 求められる冗長性の設計の重さ |
| 接続方式 | 拠点間をどのような通信網でつないでいるか | ネットワーク設計の経験がどう活きるか |
| 拡張の段階 | 新設なのか、既存拠点の拡張なのか | 案件で担う工程の範囲 |
| 運用体制 | 拠点の運用をどこまでリモートで担っているか | リモートで参画できる度合い |
これらの観点は、募集要項の言葉だけでは判断しにくいものばかりです。面談の場で具体的に質問してみると、案件の実態と自分の経験がどれだけ噛み合うかが見えてきます。噛み合う部分が多いほど、参画後に力を発揮しやすくなります。
データセンターやネットワークに関わるリモート案件を見る →
基盤の設計を考えるうえでは、電力の見通しも欠かせません。
3. 電力・通信を見据えた設計(ワット・ビット連携)
電力・通信の両面からの検討
総務省及び経済産業省は、データセンターの整備について主に電力・通信インフラの側面から検討を行っています4。電力(ワット)だけを見て設計するよりも、通信(ビット)と合わせて見る設計のほうが、実際の稼働に近い判断になります。これがワット・ビット連携と呼ばれる考え方です。
電力と通信を切り離して検討すると、電力に余裕があっても通信容量が追いつかない、あるいはその逆といった食い違いが起こりやすくなります。両方を同時に見る設計は、これまで単独の領域だけを担当してきた技術者にとっても新しい視点になります。
可用性・冗長性の設計
計算資源や通信、電力需要の急増に対応するためには、強靱性と冗長性を備えた基盤の確保が課題になります1。一つの経路や一つの電源に頼らず、代わりの経路をあらかじめ用意しておく設計です。可用性を高める設計に携わってきた経験は、こうした案件でそのまま活きてきます。
冗長性の設計は、平常時には目立たない働きです。しかし障害が起きた瞬間に、代わりの経路がどれだけ滑らかに機能するかで、基盤全体の信頼性が大きく変わります。地味に見える設計ほど、経験の差が表れやすい領域です。
出典:総務省『令和7年版 情報通信白書』
【表3:設計で確かめる観点】電力・通信の両面から設計を検討する案件では、片方の観点だけでは全体像がつかみにくくなります。ここでは、設計を確かめるときに見ておきたい観点をまとめました。電源の系統や通信経路の複数化、将来の需要を見込んだ設計、電力と通信のどちらを主に担当するのかを事前に押さえておくと、案件で求められる専門性の幅がはっきりします。面談の場でも、こうした観点で質問すると認識のずれを防げます。
| 観点 | 確認するとよいこと | 見えてくること |
|---|---|---|
| 電源の系統 | 電源の系統がいくつ用意されているか | 冗長性の設計レベル |
| 通信の経路 | 通信経路が複数用意されているか | 障害時の切り替え設計 |
| 需要の見通し | 電力需要の増加をどう見込んで設計しているか | 将来の拡張余地 |
| 運用の分担 | 電力と通信、どちらの設計を主に担当するか | 案件で求められる専門性 |
電源の系統や通信経路の数は、設計書や現地の構成図を見れば把握できます。数字そのものよりも、なぜその系統数を選んでいるのか、背景にある考え方を読み取ろうとする姿勢が、設計者としての評価につながります。
電力の制約は、省電力化の技術で和らげていく方向にあります。
4. 省電力化技術と、2030年に向けた整備
光電融合などの省電力化技術
省電力化技術の一つである光電融合技術は、電気信号を扱う回路と光信号を扱う回路を融合する技術です5。電気だけで処理するよりも、光信号を組み合わせるほうが、消費電力を抑えながら伝送できる範囲が広がります。こうした技術要素を理解しておくと、設計の選択肢を提案しやすくなります。
省電力化の技術は、電力の制約を和らげるだけでなく、拠点あたりに詰め込める計算資源の量にも関わってきます。技術の仕組みを理解しておくと、設計の提案や見積もりの場面で、選択肢の幅を広げやすくなります。
2030年度末を見据えた整備方針
総務省は、2030年度末を見据えて必要となるデジタルインフラの整備方針を整理しています6。整備の対象は都市部だけにとどまらず、分散拠点や通信網、省電力化技術まで広がっています。今後数年にわたって、関連する案件が続けて生まれていく見通しです。
整備の対象が複数の領域にまたがるということは、関わり方も一つに限らないということです。都市部の拠点整備に強みを持つ人もいれば、通信網の設計に強みを持つ人もいます。自分の経験がどこに重なるかを見極めることが、案件選びの出発点になります。
出典:総務省『令和7年版 情報通信白書』
技術と整備方針の広がりを踏まえると、デジタル基盤に関わる案件は特定の地域や特定の工程に閉じたものではなくなっています。設計・検討・省電力化の提案まで、関わり方の選択肢が広がっている段階だと捉えると、自分の経験を活かせる入り口も見つけやすくなります。
こうした案件は、リモート中心でも参画できる領域です。
5. 案件への関わり方と、選ぶ観点
インフラ設計・ネットワーク・クラウド基盤・可用性設計の経験が効く
デジタル基盤の案件では、データセンターの設計そのものだけでなく、ネットワークやクラウド基盤、可用性設計に携わってきた経験が求められます。単体の機器を扱う経験よりも、複数拠点をまたいで設計する視点のほうが、この領域では評価されやすくなります。これまでインフラやネットワークの設計に携わってきた経験は、そのまま案件選びの軸になります。
クラウド基盤の構築・運用に携わってきた経験は、分散拠点をまたいだ設計を考える土台になります。可用性設計に携わってきた経験は、冗長性を担保する仕組みづくりにそのまま応用できます。個々の技術がどう組み合わさって基盤を支えるのかを説明できる力も、評価される点の一つです。
「担当していました」で止まる説明よりも、「なぜその設計にしたのか」「どんな障害を想定して冗長性を組んだのか」まで言葉にできる説明のほうが、面談では伝わりやすくなります。これまでの経験を振り返り、判断の理由まで言語化しておくと、案件選びの場面で強みとして活かせます。
リモート中心でも参画できる
Remogu(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク案件に特化したエンジニアマッチングです。扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。拠点に足を運ぶ機会を心配するよりも、まず自分の経験がどの案件に合うかを確かめてみるほうが、次の一歩に近づきます。
インフラ・ネットワークの経験を活かせるリモート案件を見る →
経験を言葉にして登録しておくと、条件に近い案件が見つかったときに声がかかりやすくなります。まずは自分の経験を棚卸ししてから、登録に進むという順番でも構いません。登録して自分に合う条件を確かめておくと、これから整備が進む基盤の案件にも早く気づけるようになります。
6. まとめ
デジタル基盤の整備は、一時的な流行ではなく、数年単位で続いていく動きです。ここまでの内容を整理します。
- 計算資源・通信・電力の需要増に対応する、強靱性と冗長性を備えた基盤づくりが進んでいること
- データセンターの地方分散と、オール光ネットワークによる拠点間の接続が広がっていること
- 電力と通信を合わせて見る設計(ワット・ビット連携)と、光電融合などの省電力化技術が組み合わさっていること
- 2030年度末を見据えた整備が続き、関連する案件がこれからも生まれていくこと
- インフラ設計・ネットワーク・クラウド基盤・可用性設計の経験は、リモート中心の案件でも活かせること
積み上げてきた設計の経験を、次の基盤づくりにどう活かすか。まずは登録して、自分の経験に合う案件があるかを確かめてみましょう。
7. よくある質問
デジタル基盤の案件では何を設計するのですか
データセンターの立地設計そのものに加え、拠点間をつなぐ通信網の設計、電力と通信を合わせて検討する設計、可用性や冗長性を高める設計まで、案件によって範囲は異なります。募集内容を確認するときは、どの工程を主に担当するのかを見ておくと、経験とのすり合わせがしやすくなります。要件定義から関わるのか、既にある設計の拡張を担うのかによっても、求められる進め方は変わってきます。省電力化の技術要素まで踏み込んで提案する場面もあれば、既存の設計を運用しながら整えていく場面もあります。
どんな技術経験が活きますか
インフラ設計や可用性設計に携わってきた経験は、そのまま活かせます。電源の系統や通信経路を複数用意する冗長性の設計、拠点間の遅延を抑える通信設計に関わってきた経験も、評価される対象になります。特定の技術要素だけでなく、複数の要素を組み合わせて全体を見立てる経験は、幅広い案件で強みになります。
ネットワークやクラウド基盤の経験は活きますか
活きます。拠点間をつなぐネットワークの設計や、クラウド基盤の構築・運用に携わってきた経験は、分散立地が進む中でますます求められやすくなっています。単体の環境構築よりも、複数拠点をまたいだ設計の経験のほうが強みになりやすい領域です。クラウド上の設計と物理的な拠点の設計、両方の視点を持っていると、案件の中で担える役割も広がります。片方の経験しか無い場合でも、もう片方の視点を意識して説明できれば、案件選びの幅は十分に広がります。
リモートで参画できますか
設計や検討に関わる工程はリモートで進めやすく、現地での確認が必要になる工程は案件によって異なります。自分の経験がどの案件に合うかは、登録して案件情報を見ると確かめられます。気になる案件があれば、面談で稼働の進め方を具体的に確認しておくと、参画後のイメージのずれを防げます。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
まずはインフラやクラウド基盤のリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
会員登録無料 / 案件閲覧・相談は無料
※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)
*2 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)
*3 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)
*4 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)
*5 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)
*6 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能