システム開発案件で押さえる工程・テストとプロジェクト管理

📘 この記事でわかること
- システム開発の設計から運用までの全体像をつかむ視点と、プロジェクト計画書を段階的に詳細化していく実務の進め方
- 工程ごとの開始条件・終了条件をどう定めるかと、V字モデルにおける発注者・委託先事業者の役割分担の整理
- 非機能要件を含めたテスト工程の設計ポイントと、開発手法を選ぶ観点、フルリモートで関わる案件の探し方
コーディングには自信があっても、案件の話になると要件定義や工程設計、テスト計画といった上流の言葉が並び、どこまで関わっていけるのか分からなくなることがあります。設計・開発の全体像を押さえ、工程ごとの条件を整理できる人は、実装だけを担う立場よりも一歩広い範囲で案件に関わっていけます。この記事では、公的な標準ガイドラインが示す開発プロセスの実務のステップを整理しながら、テスト設計やアジャイル開発の進め方まで踏み込み、フルリモートでどこまで関われるのかを見ていきます。
1. 開発プロセスの全体像と、計画の立て方
設計・開発の全体像と流れを理解する
案件に参画する際、要件定義・設計・開発・テスト・運用といった工程の名前は聞いたことがあっても、それぞれがどうつながっているのか、案件ごとにどこを任されるのかは見えにくいものです。
公的な標準ガイドラインでは、設計・開発に入る前に、まず設計・開発の全体像と流れを理解することが実務のステップとして示されています1。個々の工程を単体で覚えるのではなく、計画から運用までを一続きの流れとして把握しておくと、案件の中で自分がどの段階に立っているかを見失いにくくなります。
全体の流れをつかんでおくことは、参画したばかりの案件で議論の前提を素早く共有するための土台にもなります。途中から関わる案件では、すでに固まった要件や設計を踏まえたうえで、自分が担当する工程の前後に何があるのかを短時間で把握する力が求められます。次に効いてくるのが、計画そのものの精度です。
プロジェクト計画書を段階的に詳細化する
計画書は最初に一度書いて終わりというイメージを持たれがちですが、案件が進むにつれて見えてくる条件も情報も変わっていきます。
標準ガイドラインでは、プロジェクト計画書は段階的に詳細化することが実務のステップとして示されています2。最初から細部まで固めるのではなく、工程が進むごとに計画を書き足し、精度を上げていく進め方です。
最初の完成度よりも、進みながら精度を上げていく姿勢のほうが、実際の案件では評価されやすい観点になります。計画の見直しに関わった経験があるなら、それは実装の技術と並ぶ材料になります。
| 工程 | 主な確認内容 | 関わり方の例 |
|---|---|---|
| 要件定義 | 実現したいことと制約条件を言葉にする | ヒアリングの内容を整理し、要件の抜けを確認する |
| 設計 | 要件を満たす仕組みの全体像を描く | 基本設計・詳細設計の一部を担当する |
| 開発 | 設計にもとづいて実装を進める | 計画に沿って実装し、進捗を共有する |
| テスト | 機能面・非機能要件の両方を確認する | テスト項目の設計や実施を担当する |
| 運用 | 稼働後の状態を継続的に確認する | 不具合対応や改善提案に関わる |
【表1:押さえる基本用語】 システム開発の案件でやり取りされる工程名は、案件によって呼び方が少しずつ異なります。ここでは、要件定義から運用までの主な工程と、それぞれの段階で確認される内容、関わり方の例を一覧にしました。工程の名前と役割を対応づけて覚えておくと、案件の説明を受けたときに、自分がどの段階でどんな作業を担うのかを素早く理解できるようになります。全体像を先につかんでおくことは、案件に参画してからの理解の速さにも直結する準備です。
出典:デジタル庁『デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン 実践ガイドブック』をもとに作成
計画が固まると、次に焦点になるのは工程ごとの条件と役割分担です。
2. 工程の条件設定と、役割分担の把握
工程開始条件・工程終了条件を設定する
各工程がいつ始まっていつ終わるのか、明確な基準がないまま進む案件では、テストの手戻りが増えたり、責任の所在があいまいになったりすることがあります。
標準ガイドラインでは、工程については、適切な工程開始条件、工程終了条件を設定することが実務のステップとして示されています3。次の工程に進んでよい状態を先に決めておくことで、後工程での手戻りを防ぐ土台になります。
条件を自分で確認できる人ほど、案件の中で任される範囲が自然と広がっていきます。工程の節目を自分の言葉で説明できることは、関わり方を協議するときの材料にもなります。逆に、開始条件・終了条件があいまいなまま作業を進めてしまうと、後になって前提が違っていたことに気づき、同じ作業をやり直す事態にもつながります。
V字モデルと発注者・委託先の役割分担
テスト工程になると、どこまでを開発側が確認し、どこからを発注者側が確認するのか、線引きが曖昧なまま進む場面もあります。
標準ガイドラインでは、テストでは、V字モデルと発注者・委託先事業者の役割分担を把握することが実務のステップとして示されています4。設計の各段階に対応するテストの段階を並べて捉え、どちらが何を確認する工程かを事前に把握しておく考え方です。
テストを最後にまとめて確認するよりも、設計の段階に対応させて役割を分けておくほうが、案件の中で自分の担当範囲を説明しやすくなります。
| 確認する観点 | 確認する内容 | 確認する相手の目安 |
|---|---|---|
| 工程開始条件 | 前工程の何が揃っていれば着手できるか | 委託先事業者どうしで確認 |
| 工程終了条件 | その工程を完了とみなす基準 | 発注者と委託先事業者で確認 |
| V字モデルの対応 | どの設計段階にどのテスト段階が対応するか | プロジェクト全体で共有 |
| 役割分担 | 要件定義・受け入れテストなど発注者中心の工程はどこか | 参画前・参画直後に確認 |
【表2:案件で確かめる観点】 工程ごとの開始条件・終了条件やV字モデルの役割分担は、案件によって明文化の度合いが異なります。参画前や参画直後に確かめておくと、後工程での手戻りや役割の行き違いを防ぎやすくなります。ここでは、工程の節目で確認しておきたい観点と、確認する相手の目安を整理しました。契約や関わり方の詳細は案件ごとに異なるため、あくまで確認の入り口として活用してください。
出典:デジタル庁『デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン 実践ガイドブック』をもとに作成
工程設計やテスト計画に関わるフルリモート案件をチェックする →
役割の線引きが見えてくると、次はテスト工程そのものの設計に踏み込めます。
3. テスト工程の設計(非機能要件と役割・環境)
非機能要件のテスト工程を詳細に確認する
テストというと機能が正しく動くかどうかの確認を思い浮かべがちですが、性能や可用性、セキュリティといった、目に見えにくい要件の確認も欠かせません。
標準ガイドラインでは、非機能要件のテスト工程を詳細に確認することが実務のステップとして示されています5。機能面の確認だけでなく、応答時間や障害時の挙動といった観点まで工程として組み込んでおく考え方です。
非機能要件まで見通せる人は、テスト計画そのものを任される案件でも力を発揮しやすくなります。目に見えにくい要件を言葉にできる経験は、他の担当者との差になります。
テストの役割分担と必要な環境を明確にする
非機能要件を確認しようとしても、担当する範囲や使える環境が整っていなければ、計画倒れになってしまいます。
標準ガイドラインでは、テストにおける役割分担と必要な環境を明確にすることが実務のステップとして示されています6。誰が何を確認するかに加えて、確認に必要な環境をあらかじめ用意しておく発想です。
環境を後から探すよりも、必要な環境を先に洗い出しておくほうが、テスト工程全体の見通しが立てやすくなります。リモートで案件に関わる場合は特に、確認に使う環境や共有の手順をあらかじめ明確にしておくことが、離れた場所からでも進捗を合わせるための土台になります。
| 確認する観点 | 具体的な内容 | 確認のタイミング |
|---|---|---|
| 性能 | 想定する負荷のもとでの応答時間や処理の安定性 | 設計段階で観点を洗い出し、テスト段階で確認 |
| 可用性 | 障害発生時の挙動や復旧の考え方 | 設計段階から関係者と共有 |
| セキュリティ | 想定する脅威に対する対策の有無 | 設計・テストの両段階で継続的に確認 |
| 役割分担と環境 | 誰が確認を担うか、確認に使う環境は何か | テスト計画の作成時に整理 |
【表3:設計で確かめる観点】 非機能要件のテストは、機能面の確認と違って項目が見えにくく、案件によって扱いにも差があります。ここでは、性能や可用性、セキュリティといった観点と、役割分担・環境整備の確認ポイントを整理しました。テスト計画を任される場面はもちろん、担当する範囲を確認する際の材料としても役立ちます。案件に参画する前に、どの観点がどこまで求められているかを確かめておくと、後工程での認識のずれを減らせます。
出典:デジタル庁『デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン 実践ガイドブック』をもとに作成
工程の進め方が固まってくると、次に関わってくるのが開発手法そのものの選び方です。
4. アジャイルとウォーターフォールの選び方
手法の違いと選ぶ観点
開発手法という言葉を聞くと、アジャイルとウォーターフォールのどちらが優れているのかという二択で考えてしまいがちです。
実際には、要件がどれだけ固まっているか、途中でどれだけ変わりやすいかによって、向く進め方は変わります。要件を先に固めて工程を順に進める進め方は、仕様の変更が少ない案件と相性がよく、短い周期で計画と確認を繰り返す進め方は、価値を確かめながら形にしていきたい案件と相性がよいという整理です。
案件に参画する前に、どちらの前提で進む案件なのかを確認しておくと、自分の関わり方を組み立てやすくなります。実際の案件では、要件定義の一部を先に固めつつ、実装以降は短い周期で確認を繰り返すというように、2つの進め方を組み合わせる場合もあります。どちらか一方に決め切るのではなく、案件の性質に応じて観点を使い分ける姿勢が求められます。
アジャイルで求められる関与
アジャイルの案件では、決まった仕様をそのまま形にするだけでなく、短い周期の中で計画の見直しに加わる場面が増えます。
周期ごとに確認と調整を重ねる進め方のため、状況を把握し、次の周期に向けた優先順位の相談に関わる姿勢が求められます。決められた作業をこなすだけでなく、進み方そのものに関わる場面が出てきます。
決まった作業をこなすだけの姿勢よりも、状況を共有しながらクライアントと次の一手を協議する姿勢のほうが、アジャイルの案件では評価されやすくなります。こうした進め方の違いを理解している人は、案件の内容を問わずリモート中心でも十分に関わっていけます。
図の作成:Remogu編集部。案件で求められる進め方の傾向を整理したもので、統計データではありません
こうした案件はリモート中心でも十分に関わっていけます。
5. 案件への関わり方と、選ぶ観点
工程設計・テスト・プロジェクト管理の経験が効く
工程の条件設定やテスト設計、進捗の調整といった経験は、コードを書く技術と並んで、案件の中で評価される要素になります。
全体像を把握し、工程ごとの条件を整理し、非機能要件まで見通せる経験は、実装だけでなく計画や品質管理の面でも力を発揮できる材料になります。V字モデルの役割分担を理解している経験や、テストの役割・環境を整理した経験も、同じように評価の対象になります。
積み上げてきた経験を、工程や役割の言葉で説明できるようにしておくと、案件の担当範囲をクライアントと協議する場面で伝わりやすくなります。
リモート中心でも関われる
工程設計やテスト計画に関わる仕事は常駐が前提だと思われがちですが、実際には離れた場所からでも進められる領域が中心です。
Remogu(株式会社LASSIC運営)が扱う案件の90%以上がフルリモート可能です7。工程の条件を整理したり、テスト計画を組み立てたりする仕事は、資料と対話を中心に進められるため、場所に縛られずに関わりやすい領域です。
まず登録して、自分の経験に合う条件を確認してみることが、案件に関わる最初の一歩になります。場所に縛られず、これまで積み上げてきた工程設計やテストの経験を活かせる案件と出会える可能性が広がります。
まず登録して、自分の経験に合う案件の条件を確認する →
ここまで見てきた工程設計・テスト・手法選びの視点を、最後にもう一度まとめておきます。
6. まとめ
設計・開発の全体像を押さえ、工程ごとの条件を整理できる人は、実装だけを担う立場よりも一歩広い範囲で案件に関わっていけます。
V字モデルの役割分担や非機能要件の確認、テスト環境の整備までを見通せる経験は、工程設計やテスト計画を任される案件でも力になります。
アジャイルとウォーターフォール、どちらの進め方の案件でも、条件を整理し役割を確認する視点は共通して活きます。手法の優劣ではなく、案件に合わせて観点を選ぶ姿勢が問われます。
積み上げてきた経験を工程や役割の言葉に言い換え、まず登録して自分に合う条件を確認してみることが、次の案件に関わる最初の一歩になります。
7. よくある質問
システム開発の案件では、工程やテストをどう設計すればよいですか
標準ガイドラインが示す実務のステップを目安にすると整理しやすくなります。工程ごとに開始条件・終了条件を設定し3、テストではV字モデルにもとづいて発注者・委託先事業者の役割分担を把握したうえで4、非機能要件まで含めた確認項目を洗い出す進め方が参考になります。案件ごとに明文化の度合いは異なるため、参画直後に自分の担当範囲と確認しておきたい条件をすり合わせておくと、後工程での認識のずれを防ぎやすくなります。
どのような経験が案件で活きますか
設計・開発の全体像を把握した経験や1、計画書を段階的に詰めていった経験は、実装の技術と並んで評価される材料になります。工程の条件や役割分担を整理した経験も、同様に活かせます。
テストやプロジェクト管理の経験も活きますか
非機能要件の確認や5、役割分担・環境整備の整理に関わった経験は、テスト計画やプロジェクト管理を担う案件で力になります6。工程全体を見通す視点を持っている人ほど、任される範囲が広がりやすくなります。開発の経験だけでなく、条件を整理し関係者と調整してきた経験そのものが、案件で評価される材料になります。
フルリモートで関わることはできますか
工程設計やテスト計画に関わる仕事は、資料と対話を中心に進められるため、Remoguではフルリモートで関わりやすい案件が中心です。場所に縛られず、これまで積み上げてきた工程設計やテストの経験を活かしたい場合は、まず登録して、自分の経験に合う条件を確認してみることをおすすめします。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
まずはシステム開発やPMOのリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(2025年5月)
*2 デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(2025年5月)
*3 デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(2025年5月)
*4 デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(2025年5月)
*5 デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(2025年5月)
*6 デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(2025年5月)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能