フリーランスエンジニアの案件で、新法が守る4つの契約条件

📘 この記事でわかること
- 2024年11月施行のフリーランス新法で、報酬の支払期日や契約解除の予告まで契約条件が制度として守られるようになったこと
- 書面又は電磁的方法での契約条件の明示と、60日以内の報酬支払という新法が定める具体的な条件の内容
- 案件に参画する際に契約条件を書面でどう確かめるかと、安心して選べる案件をどう見分けるか
フリーランスとして案件を進めるなかで、報酬の支払いが予定より遅れたり、成果物を受け取った後で理由の説明もなく減額を告げられたりする不安は、現場でたびたび語られてきました。2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法は、こうした業務委託の取引条件を制度として整えるものです。書面での明示、支払期日、禁止される行為、契約解除の予告まで、案件の契約条件は法律の後ろ盾を持つようになりました。この記事では、新法が守る4つの契約条件と、案件に参画する際にそれを確かめる具体的な方法を整理します。
1. フリーランスの案件で、いま何が変わったか
フリーランス新法とは(2024年11月施行)
フリーランス・事業者間取引適正化等法は、フリーランスとして業務委託を受ける人と、業務を委託する事業者との取引条件を適正にするための法律です。2024年11月から施行され、契約条件の明示や報酬の支払期日、契約解除の予告といった項目が、業務委託の実務に組み込まれました。これまで発注者側の裁量に委ねられていた部分に、共通のルールが敷かれた点が、この法律の大きな変化です。取引条件を守る仕組みには他にも複数の制度がありますが、この記事ではフリーランス新法が定める内容に絞って整理します。エンジニアの案件でも、業務委託という契約形態そのものは新法の施行前と変わりません。変わったのは、契約条件のどこまでを取り決めておくべきかという最低限の枠組みが、法律という形で示された点です。案件を探す立場からすると、この枠組みを知っておくことで、契約条件を確認する際に何を基準にすればよいかが見えてきます。対象となるのは、フリーランスに業務委託をする事業者全般であり、規模の大小にかかわらず共通の条件が関わってきます。
約4割がトラブルを経験してきた
新法ができた背景には、業務委託で働く人が経験してきたトラブルがあります。厚生労働省の実態調査では、フリーランスの約4割が報酬不払いや支払遅延などのトラブルを経験しています5。契約条件が口頭のやり取りのまま進んでしまい、支払いが遅れても催促しにくいという状況は、案件を選ぶ立場からすると見過ごせない数字です。成果物を受け取った後で理由が明確でないまま評価が変わるような場面も、業務委託という立場の弱さから生じやすいものです。新法は、こうした場面に共通のルールを設けることで、取引条件を個々の力関係に委ねない仕組みを目指しています。
出典:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2024年11月)をもとに作成
だからこそ、これまで発注者側の裁量に委ねられがちだった取引条件そのものが、制度として守られるようになりました。次の章では、新法が具体的に定める契約条件を見ていきます。
2. 新法が守る取引条件
書面又は電磁的方法での明示
新法では、業務委託をする際に、給付の内容や報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示することが求められています1。これまで口頭のやり取りだけで案件が始まることもありましたが、業務の内容や報酬額といった条件を記録に残る形で確かめられるようになった点は、参画する側にとって大きな違いです。明示される内容が書面又は電磁的方法として残ることで、あとから契約条件を振り返りたいときにも、当時のやり取りを確認する手段が確保されます。案件に参画する前の段階で、この明示が実際にされているかどうかを見ておくことが、契約条件を確かめる最初の基準になります。
60日以内の報酬支払
報酬の支払いについても上限が設けられました。発注者は、給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定して支払うという決まりです2。支払いが際限なく先延ばしにされる状況に歯止めがかかり、いつまでに報酬が届くかという見通しを立てやすくなりました。60日という上限は、業務委託の実務における一つの目安として機能します。支払期日が明示されたうえでこの上限が守られているかを確認しておくと、報酬の受け取りに関する見通しをより具体的に持てます。
新法が明示を求める項目は、業務委託の中身に関わる基本的な情報です。契約条件を確認するときは、次の3点が書面又は電磁的方法で示されているかを見る基準になります。これらの項目は、案件の規模や契約期間にかかわらず共通して明示が求められる基本情報であり、参画前の確認事項として押さえておきたい内容です。特に支払期日については、60日以内という上限と組み合わせて確認することで、報酬が届くタイミングをより具体的に見通せるようになります。
| 明示される項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 業務の内容 | 委託される給付の内容(依頼される作業や成果物) | 新法第3条1 |
| 報酬の額 | 業務委託に対して支払われる報酬の金額 | 新法第3条1 |
| 支払期日 | 報酬を受け取る期日(60日以内の上限あり) | 新法第3条1及び第4条2 |
出典:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2024年11月)をもとに作成
加えて、新法は契約条件を明示し支払期日を守ることだけでなく、発注者がしてはいけないことも定めています。次の章で、禁止される行為と予告の条件を確認します。
3. 発注者がしてはいけないこと
受領拒否・報酬の一方的な引下げなどの禁止
1か月以上の業務委託については、受領拒否や報酬の一方的な引下げなどの行為をしてはならないという決まりが設けられています3。案件が始まった後になって、当初の合意より低い報酬を提示されたり、成果物を理由なく受け取ってもらえなかったりする状況は、この条件によって抑えられるようになりました。適用されるのは1か月以上の業務委託であり、短期の単発業務は対象外です。成果物の検収に時間がかかったまま報酬の支払いだけが先延ばしにされるような状況は、業務委託を受ける側が声を上げにくい例として挙げられます。新法がこうした行為を対象に禁止行為を定めたことで、契約条件を確認する際の判断材料が一つ増えたことになります。
中途解除は原則30日前予告
6か月以上の業務委託を中途解除する場合等には、原則として解除日の30日前までに予告するという決まりです4。突然の契約終了で収入の見通しが立たなくなる不安に対して、事前に知らされる仕組みが用意された点は、長期の案件に参画するときの安心材料になります。こちらも6か月以上の業務委託が対象で、短い期間の契約には当てはまりません。予告の期間が定められたことで、契約解除の話が出た時点から次の案件を探す準備を始めやすくなる点も、実務上の変化として挙げられます。長期の案件に参画する際は、契約解除に関する条件がどのように明示されているかを、事前に確認しておくと安心です。
ここまでの内容を整理すると、新法が守る取引条件は次の4点にまとめられます。案件に参画する際は、これらが契約に反映されているかを確かめる基準になります。契約条件の明示や支払期日には期間の条件がありませんが、受領拒否・減額の禁止や中途解除の予告には、業務委託の期間に応じた適用条件が設けられている点も、確認しておきたいポイントです。
| 守られる点 | 内容 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 契約条件の明示 | 給付の内容や報酬の額等を書面又は電磁的方法で明示1 | 期間の条件なし |
| 報酬の支払期日 | 受領した日から60日以内に報酬を支払う2 | 期間の条件なし |
| 受領拒否・減額の禁止 | 受領拒否や報酬の一方的な引下げなどの行為をしてはならない3 | 1か月以上の業務委託 |
| 中途解除の予告 | 解除日の30日前までに予告する4 | 6か月以上の業務委託 |
出典:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2024年11月)をもとに作成
次の章では、これらの条件を案件に参画する際にどう確かめるかを整理します。
4. 案件に参画するとき、契約条件をどう確かめるか
明示された条件を書面で確認する
案件に参画する前に確かめておきたいのは、業務の内容・報酬の額・支払期日が書面又は電磁的方法で示されているかという点です1。口頭だけの説明で進めてしまうと、後になって「言った/言わない」の水掛け論になりやすく、新法が明示を求めている理由もそこにあります。契約書やメールなど、記録として残る形で条件を受け取ることが、参画後の行き違いを防ぐ第一歩になります。特に、業務委託が長期にわたる案件では、契約開始時に確認した条件と、実際の稼働内容が徐々にずれていくことがあります。定期的に契約条件を見直す機会を持つことも、書面での確認を活かす一つの方法です。確認した内容は口頭で終わらせず、メールやチャットの記録として残しておくと、あとから振り返るときの手がかりになります。
責任範囲は協議で決める
報酬や支払期日だけでなく、業務の範囲や責任の分担も、クライアントと協議して契約条件に反映しておくと安心です。稼働の開始後に業務の範囲が広がっていく状況は珍しくなく、当初の合意を書面で持っておくことは、条件の変更を協議する際の材料にもなります。参画開始のタイミングで確認しておくほど、後々の負担は小さくなります。業務の範囲があいまいなまま進めてしまうと、想定していなかった作業まで担うことになりやすく、報酬や稼働条件との整合性が取りにくくなります。契約条件を確かめる際は、業務の範囲についても具体的な言葉で残しておくことが、後の協議をスムーズにします。
契約条件を確かめる観点は、口約束のまま進める場合と、書面で確かめておく場合とで大きく変わります。次の表で、案件に参画する際に見ておきたい違いを整理します。口約束のまま進めると、後から条件を確認する手段が限られてしまいますが、書面で確かめておけば、新法が定める明示や支払期日、予告といった条件を基準に、契約内容を振り返ることができます。
| 確認する項目 | 口約束のまま進める場合 | 書面で確かめる場合 |
|---|---|---|
| 業務の内容・報酬の額 | 記憶や認識の違いが後から生じやすい | 明示された内容を記録として持てる1 |
| 支払期日 | いつ支払われるか見通しにくい | 60日以内という上限を基準に見通せる2 |
| 契約解除の条件 | 突然の終了に備えにくい | 30日前までの予告という条件を確認できる4 |
契約条件を確かめながら選べるリモート案件を見る →
契約条件を確かめる視点が整理できたら、次は案件そのものを安心して選ぶ視点に移ります。
5. リモート・フリーランスで安心して案件を選ぶ
新法とリモートワークで広がる働き方
新法による契約条件の整備は、場所を問わずに働くリモートのフリーランスにとっても同じように及びます。オフィスに出社する形態と比べても、業務委託という契約の性質そのものは変わらないため、新法が定める条件は稼働場所を問わず同じように関わってきます。取引条件が制度で守られる範囲が明確になったことで、稼働の場所にかかわらず、契約条件を基準に案件を選びやすくなりました。Remogu(株式会社LASSIC運営)はリモートワーク案件に特化したエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です6。場所に縛られずに働きたいという理想と、契約条件を確かめながら案件を選べる環境は、無理なく重なります。
案件の条件を見極める
案件を選ぶときは、報酬額や稼働条件だけでなく、契約条件が明示されているか、支払期日が示されているかといった点も見ておきたい基準になります。案件によって条件は異なるため、気になる案件があれば、まずは登録して自分の経験に合う条件を確かめてみることが、安心して案件を選ぶ最初の一歩になります。報酬額や稼働条件の希望を伝える際にも、新法が定める契約条件を基準にしておくと、クライアントとの協議がしやすくなります。焦って条件を確認せずに参画するよりも、少し時間をかけて条件を確かめておくほうが、結果的に安心して働ける案件に出会いやすくなります。契約条件を確かめる習慣は、参画する案件が変わっても引き続き役に立つため、次の案件を探すときの基準としても持ち続けておきたい視点です。
図の作成:Remogu編集部。案件を選ぶときに確認したい観点を整理したもので、統計データではありません
まずは登録して、自分に合う条件のリモート案件を確かめる →
6. まとめ
フリーランス・事業者間取引適正化等法が守る契約条件を、ここまでの内容から整理します。契約条件の明示から中途解除の予告まで、新法は業務委託の場面で確認しておきたい基準をいくつも示しています。
- 2024年11月の施行で、業務委託の契約条件が書面又は電磁的方法での明示を求められるようになったこと1
- 報酬は受領した日から60日以内の支払期日を設定するという決まりがあること2
- 1か月以上の業務委託では受領拒否や報酬の一方的な引下げなどが禁止されていること3
- 6か月以上の業務委託の中途解除には原則30日前までの予告が求められること4
これらの条件は、案件に参画する前に書面で確かめることができます。報酬が支払われるか、契約が急に終わらないかという不安に対して、新法は制度としての答えを用意しました。新法の内容を知っているだけでは、契約条件が自動的に良くなるわけではありません。実際の案件で、明示された内容や支払期日、予告の条件を一つずつ確かめていくことが、安心して働く土台になります。あとは、この条件を基準に、安心して選べる案件と出会う番です。場所に縛られずに働きたいという理想を持っているなら、まずはRemoguに登録して、自分の経験に合う条件のリモート案件を確かめてみましょう。
7. よくある質問
フリーランス新法は自分にも適用されますか
フリーランス・事業者間取引適正化等法は、事業者から業務委託を受けるフリーランスを対象にした法律です1。契約条件の明示や支払期日といった条件は、業務委託の形で案件に参画している場合に関わってきます。ただし、受領拒否や報酬の一方的な引下げの禁止は1か月以上の業務委託が対象3で、中途解除の予告は6か月以上の業務委託が対象4となっており、契約期間によって適用される条件が異なります。個別の契約への当てはめが必要な場合は、案件ごとに確認しておくと安心です。案件によっては業務委託の期間が短く、対象外の条件が含まれる場合もあるため、契約書や電磁的方法で示された内容を都度確認しておくことが実務上の基準になります。適用条件を正確に把握しておくことで、案件ごとに新法のどの部分が関わってくるかを見分けやすくなります。
契約条件が書面で示されていない場合はどうすればよいですか
新法では、業務委託の際に給付の内容や報酬の額等を書面又は電磁的方法で明示することが求められています1。案件の参画前や開始時に、契約条件が書面又は電磁的方法で示されているかを確認し、示されていない場合はクライアントと協議して、条件を記録に残る形で受け取っておくことが基準になります。安心して確認できる案件を選ぶことも、行き違いを防ぐ一つの方法です。特に、初めて参画する案件では、契約条件の確認に時間をかけることが、後の行き違いを減らす結果につながります。
リモートの案件でも新法の内容は守られますか
新法が定める契約条件は、業務委託という契約の形に基づくもので、稼働の場所によって扱いが変わるものではありません。リモートで進める案件であっても、書面での明示1や支払期日2、中途解除の予告といった条件は同じように関わってきます。Remoguが扱う案件は90%以上がフルリモート可能で6、契約条件を確かめながらリモートで参画先を選べます。稼働場所が離れていても、契約条件を確認する手順そのものは変わらないため、リモートの案件でも同じ基準で契約内容を確かめることができます。
契約条件について相談できる窓口はありますか
業務委託の契約条件やトラブルについては、厚生労働省などが設けている相談窓口を利用できます。個別の契約内容の適否については相談窓口での確認が基準になり、この記事では新法が定める制度の内容を整理する範囲に留めます。案件そのものを安心して選びたい場合は、契約条件を確かめられる案件を扱うRemoguに登録し、自分の経験に合う条件を確認してみることも一つの方法です。契約内容に迷いがある場合は、一人で判断を抱え込まず、相談窓口や案件を紹介する担当者に確認することも、契約条件を確かめる一つの手段になります。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024-11-01)
*2 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024-11-01)
*3 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024-11-01)
*4 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024-11-01)
*5 厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024-11-01)
*6 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能