フリーランスの時間単価の計算方法と相場|実質単価で会社員と比較
月単価60万円。数字だけ見れば、悪くない。でも、時間に換算したとき、その数字は変わります。
フリーランスの報酬は月額で語られることが多いですが、実際に働いた時間で割ってみると、「思っていたより低かった」と感じる人は少なくありません。しかも、経費や社会保険料を差し引いた後の”実質”で見ると、さらに差が開くことがあります。
この記事では、フリーランスの時間単価の正しい計算方法から職種別相場、実質時間単価の考え方、そして具体的に単価を上げるアプローチまでを整理します。自分の市場価値を数字で把握したい方に向けて書きました。
目次
1. フリーランスの時間単価の計算方法
フリーランスの時間単価とは、受け取った月額報酬を実際の稼働時間で割った数値です。一般的な計算式は「月額報酬(円)÷ 月間稼働時間(h)」で、たとえば月単価60万円・月間稼働160時間の場合、時間単価は3,750円になります。稼働時間の設定が計算の精度を左右するため、休日や非請求時間を含めた実態把握が重要です。
フリーランスの時間単価は「月額報酬 ÷ 月間稼働時間」で算出します。シンプルな式ですが、分母の「稼働時間」をどう設定するかで、結果が大きく変わります。
1-1. 基本の計算式
時間単価(円/h)= 月額報酬(円)÷ 月間稼働時間(h)
月間稼働時間の標準的な目安は以下のとおりです。
📌 月間稼働時間の基本設定
- 1日の稼働時間:8時間
- 月間稼働日数:20日(年間240日 ÷ 12か月)
- 月間稼働時間:160時間(8h × 20日)
ただし、この160時間はあくまで目安です。実際の稼働時間には、クライアントへの請求対象外となる社内作業・移動・提案活動なども含まれます。これらを正直に反映させることが、現実に近い時間単価を把握する上で欠かせません。
1-2. 月単価別・時間単価早見表
以下の表は、月額報酬と月間稼働時間の組み合わせ別に時間単価を整理したものです。自分の状況に近い数値の確認にご活用ください。
| 月額報酬 | 120時間/月 | 140時間/月 | 160時間/月 | 180時間/月 | 200時間/月 |
| 40万円 | 3,333円 | 2,857円 | 2,500円 | 2,222円 | 2,000円 |
| 50万円 | 4,167円 | 3,571円 | 3,125円 | 2,778円 | 2,500円 |
| 60万円 | 5,000円 | 4,286円 | 3,750円 | 3,333円 | 3,000円 |
| 70万円 | 5,833円 | 5,000円 | 4,375円 | 3,889円 | 3,500円 |
| 80万円 | 6,667円 | 5,714円 | 5,000円 | 4,444円 | 4,000円 |
| 100万円 | 8,333円 | 7,143円 | 6,250円 | 5,556円 | 5,000円 |
月額報酬と月間稼働時間の組み合わせ別に時間単価(円/h)をまとめた早見表です。月単価60万円・稼働160時間の標準ケースで時間単価は3,750円ですが、稼働が200時間に増えると3,000円まで下がります。月額報酬が同じでも稼働時間の増加は実質的な時間単価の低下を意味するため、稼働時間の管理は報酬の「質」を守る上で欠かせない視点です。自分の現在地を確認し、目標水準の設定に役立ててください。
2. 職種・スキル別の時間単価相場
計算式で自分の数字は出せました。問題は、その数字が「市場として適正か」という点です。同じ仕事でも、スキルや経験年数によって単価には大きな幅があります。
2-1. エンジニア職種別の月額単価相場
Remogu独自調査(2024年)によると、リモートワーク案件に参画するフリーランスエンジニアの月額単価は以下のとおりです※2。
| 職種 | 月額単価の目安 | 時間単価換算(160h/月) |
| Webエンジニア(フロントエンド) | 40〜65万円 | 2,500〜4,063円 |
| Webエンジニア(バックエンド) | 50〜80万円 | 3,125〜5,000円 |
| クラウド・インフラエンジニア | 60〜90万円 | 3,750〜5,625円 |
| AI・機械学習エンジニア | 70〜100万円以上 | 4,375〜6,250円以上 |
| プロジェクトマネージャー(PM) | 70〜100万円 | 4,375〜6,250円 |
| データサイエンティスト | 65〜100万円 | 4,063〜6,250円 |
Remogu独自調査(2024年)をもとに、職種別の月額単価と時間単価(160時間換算)を並べた比較表です。月額で見ると差が感じにくいですが、時間単価で比較すると職種間の格差が明確になります。特にAI・機械学習、データサイエンティストといった高需要領域は相場の上限が他職種を上回ります。自分の職種における現在地を把握することが、単価改善の出発点です。
2-2. 経験年数別の単価目安
同じ職種でも、経験年数による単価差は顕著です。Remogu独自調査(2024年)をもとに整理すると、以下のような傾向があります※2。
💰 経験年数別・月額単価と時間単価の目安
- 経験3年未満:月額35〜55万円(時間単価 2,188〜3,438円 /160h換算)
- 経験3〜5年:月額50〜75万円(時間単価 3,125〜4,688円)
- 経験5〜10年:月額70〜90万円(時間単価 4,375〜5,625円)
- 経験10年以上:月額80〜120万円以上(時間単価 5,000〜7,500円以上)
経験10年以上のエンジニアの時間単価は、経験3年未満と比較して2倍以上になることがあります。この差は「年数が長い」ことだけで生まれるわけではなく、スキルの専門性とリモート対応力が重なることで単価が引き上げられます。
では、会社員と比べたときはどうでしょうか。見かけの数字だけでなく、実質で比較する必要があります。
3. 実質時間単価の考え方——経費と社会保険を加味する
フリーランスの時間単価を語るとき、「表面上の時間単価」だけ見ていると判断を誤ります。会社員との比較においても、社会保険や経費の扱いを正確に理解した上で数字を見る必要があります。
3-1. フリーランスが負担する主なコスト
会社員と異なり、フリーランスは以下のコストを自己負担します。
⚠️ フリーランスが全額自己負担するコスト
- 国民健康保険料:年収によって異なりますが、年収600万円の場合はおおむね年間40〜55万円程度(市区町村により差がある)
- 国民年金保険料:月額16,980円(2024年度)× 12か月 = 年間約203,760円※3
- 業務関連経費:通信費・機器費・書籍・交通費・セミナー費など(月1〜5万円程度が目安)
- 非稼働時間のコスト:案件探し・提案・スキル学習・事務処理にかかる時間は請求対象外
3-2. 実質時間単価の計算方法
実質時間単価 =(月額報酬 − 月換算コスト)÷ 実際に使った総時間(稼働時間+非稼働時間)
具体例で確認します。月単価60万円・稼働160時間のケースで、月換算コストを8万円、非稼働時間を30時間と設定した場合:
🧮 実質時間単価の計算例(月単価60万円の場合)
- 手取り相当額:60万円 − 8万円 = 52万円
- 総使用時間:160時間 + 30時間 = 190時間
- 実質時間単価:520,000円 ÷ 190時間 = 約2,737円/h
表面上の時間単価(3,750円/h)と比べると、実質は約1,013円の差があります。
この差を「知っている」と「知らない」では、案件の選び方や単価交渉の基準が変わります。
3-3. 会社員との実質比較
以下の表は、年収600万円相当の会社員とフリーランスを実質時間単価で比較したものです。
| 比較項目 | 会社員(年収600万円) | フリーランス(月単価60万円) |
| 年間収入 | 600万円 | 720万円(60万円×12) |
| 社会保険料(年間・自己負担分) | 約85万円(会社折半後の自己負担) | 約65万円(国保+国民年金) |
| 経費・設備投資(年間) | 原則なし(会社負担) | 約60万円(月5万円×12) |
| 実質手取り(概算) | 約430万円 | 約490万円 |
| 年間稼働時間 | 約1,920時間(160h×12) | 約2,280時間(非稼働時間含む) |
| 実質時間単価 | 約2,240円/h | 約2,149円/h |
年収600万円の会社員とフリーランス(月単価60万円)を実質時間単価で比較した表です。額面の年収差は120万円ありますが、社会保険料・経費・非稼働時間を加味すると、実質時間単価の差は約91円と非常に小さくなります。「月単価60万円のフリーランス=年収600万の会社員より豊か」とは一概に言えません。一方、月単価70〜80万円以上になると実質でも会社員を上回るケースが増えます。単価水準の目標設定の参考にしてください。
4. 時間単価を上げる3つのアプローチ
時間単価を上げる方法は大きく3つに分けられます。①分子(報酬)を増やす、②分母(稼働時間)を減らす、③コストを最適化する、です。それぞれ具体的に見ていきます。
4-1. ① 分子を増やす:高単価案件へシフトする
最も直接的な方法は、月額報酬そのものを上げることです。そのために有効な手段は以下の3点です。
📈 報酬を上げる3つの方法
- 希少性の高いスキルを習得する:AI・機械学習、クラウドアーキテクチャ、セキュリティなど需要が高く供給が少ない領域は、同じ経験年数でも単価が20〜30%高い傾向があります(Remogu独自調査 2024年)※2
- リモート対応案件に絞る:リモートワーク対応の案件は地域を問わず全国の高単価クライアントと参画できます。総務省「令和5年通信利用動向調査」によると、大企業のテレワーク実施率は51.3%に達しており※4、リモート前提の案件数は増加傾向にあります
- 上流工程(要件定義・設計)を担う:実装だけでなく要件定義や技術選定を担える場合、単価は実装専業と比較して1.2〜1.5倍になるケースがあります(編集部調べ)
4-2. ② 分母を減らす:稼働の質を高める
月額報酬が同じでも、稼働時間を減らせれば時間単価は上がります。具体的には以下の取り組みが有効です。
⏱️ 稼働時間を減らす3つの取り組み
- 非稼働時間を削減する:案件探しやマッチングにかかる時間を短縮するためにエージェントを活用する
- 作業効率を高める:AIツールや自動化の活用で同じ成果を短時間で出す
- 週の稼働日数を適正化する:過剰な稼働は時間単価の低下だけでなく、スキルアップやプライベートへの投資時間も失います
4-3. ③ コストを最適化する:実質手取りを守る
経費や社会保険料を適切に管理することで、実質時間単価を守ることができます。
💡 コスト最適化の3つのポイント
単価を上げることと、コストを適切に管理することは、どちらも実質時間単価を改善する手段です。どちらか一方ではなく、両面からアプローチするのが現実的です。
5. まとめ
フリーランスの時間単価は「計算できる数字」です。まず自分の現在地を把握し、市場と比較し、実質で見直す。その積み重ねが単価改善につながります。
📋 この記事のポイント
- フリーランスの時間単価は「月額報酬 ÷ 月間稼働時間」で算出できます。稼働時間の設定精度が結果の信頼性を左右します
- エンジニアの時間単価は職種・経験年数によって2,500〜7,500円以上と幅があります。まず自分の現在地を確認することが出発点です
- 経費・社会保険・非稼働時間を加味した「実質時間単価」で見ると、会社員との差は見かけより小さくなります。月単価70〜80万円以上が実質的な優位を持ちやすい水準です
- 時間単価の改善には「高単価案件へのシフト」「稼働効率の向上」「コスト最適化」の3軸で考えることが有効です
- フリーランス保護新法(2024年11月施行)により報酬の支払条件が整備され、フリーランスとして案件参画する際の権利が強化されています
数字を知ることは、動くための準備です。自分の時間単価の現在地がわかれば、次に取るべきステップも見えてきます。
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6. よくある質問(FAQ)
出典・参考情報
※1 内閣官房「フリーランス実態調査」(2020年)
※2 Remogu独自調査「エンジニア報酬・案件傾向レポート」(2024年)
※3 日本年金機構「令和6年度の国民年金保険料」(2024年)
※4 総務省「令和5年通信利用動向調査」(2024年)
※5 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済」公式サイト
※6 国税庁「青色申告特別控除」(2024年)
※7 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年11月施行)