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    Webアクセシビリティ対応の進め方|適合レベルAAと対応範囲の決め方

    「どこまでを対象にするか」を示す図です。対象ページ/対象アプリ/対象外/方針明示を並べています。強調しているのは対象ページです。最初に決めると添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 案件でまず対象範囲をどう線引きするかという手順と、目標とする適合レベルをAAに定める考え方
    • WCAGの4原則から達成基準まで積み上がる全体の構成と、準拠でなく対応度で示す考え方の違い
    • レベルと範囲を判断できる経験が案件でどう評価されるかと、その経験をリモートで積む道すじ

    アクセシビリティ対応を求められる案件が、フロントエンドの現場で増えてきました。ページの一部を直せば足りるのか、サイト全体に手を入れるのか、案件の初期段階では線引きに迷う場面があります。対象範囲と目標にする適合レベルを先に決めておくと、対応の順序と工数の見積もりが一気に定まります。この記事では、範囲の決め方からレベルの選び方、そして準拠でなく対応度として示す考え方までを、実務の判断として整理します。

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    1. アクセシビリティ対応は、まず対象範囲を決めることから始まります

    どのページ・アプリを対象にし、どこを対象外にするか

    対応を始めようとすると、最初に迷うのがどこまでを対象にするかという線引きです。トップページだけを見ればよいのか、会員専用ページや予約フォーム、外部サービスと連携した機能まで含むのか、案件ごとに前提がまったく異なります。範囲を曖昧にしたまま作業に入ると、後になって想定外のページが見つかり、見積もりが崩れる原因になります。

    取り組みの最初に、ウェブサイトのどこを対象にするかという対象となる範囲を決めることが挙げられています5。個々のページを見つけるたびに手を入れていく進め方より、最初に対象範囲を文書として決めてから着手する進め方のほうが、案件の途中で手戻りが起きにくくなります。

    対象に含めるページと、外部埋め込みや第三者が管理するコンテンツのように対象外にする範囲を、案件の初期にクライアントと言葉で揃えておくと、後工程での判断がぶれにくくなります。範囲を決める作業そのものが、対応の見積もりの土台になります。

    法的な義務の範囲は別に確かめます

    対応の範囲を決める作業と、どこまでが法的な義務にあたるかという論点は、切り分けて考える必要があります。義務の範囲についてはアクセシビリティ対応の案件で、義務なのはどこまでかで整理しているので、そちらをあわせて確認してください。この記事では、技術的な適合レベルと対応範囲、対応度の示し方という実務の判断に絞って進めます。

    法的な義務の論点と、技術的にどこまで対応するかという論点を同じ会話の中で扱うと、話が噛み合わなくなる場面があります。義務の有無を確かめる会話と、対象範囲や適合レベルを決める会話は、案件の中でも分けて進めたほうが、それぞれの判断が明確になります。

    対象範囲を決める場面では、確認する項目をあらかじめリストにしておくと、クライアントとの会話がそろいます。対象とするページの範囲、対象外にする理由、目標とする適合レベル、対応度の示し方、更新時に確認するタイミングという項目を、案件の初期に一つずつ言葉にしておくと、後から曖昧さが残りません。次の表に、決めておきたい項目と、そこで確認する内容の目安をまとめました。

    項目確認する内容決め方の目安
    対象範囲どのページ・機能を対象にするか主要な導線から優先して洗い出す
    対象外の範囲外部埋め込み・第三者管理のコンテンツ対象外とする理由を明文化する
    目標とする適合レベルA・AA・AAAのどれを目標にするか原則AAを起点に検討する
    示し方準拠と言い切るか対応度で示すか更新が続く前提なら対応度を選ぶ
    確認の頻度いつ・どの単位で確認し直すか改修のたびに見直す運用にする
    図1:対象範囲の決め方(対象・対象外・方針として明示)
    対象範囲の決め方を示す図 取り組みの最初に対象範囲を決めます 対象とする範囲 主要なページ 会員向け機能 対象外とする範囲 外部埋め込み 第三者管理の部分 方針として明示 範囲を文書化 クライアントと共有

    出典:デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」をもとに作成

    対象範囲が固まったら、次はどこまで対応するかという全体像と、その土台になる考え方を確認します。

    2. WCAGの4原則と達成基準:対応の全体像

    4つの原則と12のガイドライン、61の達成基準で組まれています

    対応の話になると、WCAGという言葉だけが先に耳に入り、どこから手を付ければよいか掴みにくく感じます。基準の数だけを見て、全部を一度に覚えようとすると、かえって作業が止まってしまいます。

    WCAG2.0は4つの原則と12のガイドラインからなり、ガイドラインを細分化した61の達成基準で構成されています1。個別の基準を1つずつ順番に覚えていく進め方より、原則からガイドライン、達成基準へと段階を降りていく順番のほうが、全体の位置関係を把握しやすくなります。

    案件で確かめたいのは、61個すべてを暗記することではなく、自分が担当する画面がどの原則に関わるかを見分ける視点です。この視点があれば、初めて見る達成基準に出会っても、どの原則の話かを手がかりに読み解けます。

    JISと国際規格の関係を押さえます

    国内ではJIS X 8341-3として、WCAGに基づく適合レベルが定義されています2。国際規格と国内規格が別の考え方として存在するわけではなく、JISはWCAGの考え方を国内の案件に当てはめる際の共通言語として機能します。案件の仕様書に「JIS X 8341-3準拠」と書かれていたら、その中身はWCAGの原則・ガイドライン・達成基準にそのままつながっています。

    図2:対応の全体像(原則からガイドライン、達成基準への階層)
    原則からガイドライン、達成基準へと積み上がる構成を示す図 原則からガイドライン、達成基準へと積み上がる構成 4つの原則 12のガイドライン 61の達成基準

    出典:デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」をもとに作成

    4つの原則は、それぞれ見るべき観点が異なります。知覚可能・操作可能・理解可能・堅牢という切り口を押さえておくと、担当する画面のどこに手を入れるかが整理しやすくなります。次の表に、原則ごとの主な観点と、担当箇所の例をまとめました。

    原則見る観点担当箇所の例
    知覚可能情報や部品が利用者に伝わる形で提示されているか代替テキスト・色のコントラスト
    操作可能マウスに頼らず操作できるかキーボード操作・フォーカスの順序
    理解可能表示や動作が読み手にとって分かりやすいかラベルの一貫性・エラー表示
    堅牢支援技術で正しく解釈されるかマークアップの妥当性

    全体の構成が見えたら、次はどのレベルまで対応するかという目標を決めます。

    3. 適合レベルA・AA・AAAのどれを目標にするか

    3段階の違いを押さえます

    AA対応と聞いても、AやAAAとの間にどれくらいの差があるのか、実務の感覚ではつかみにくいところです。文字だけを見比べても、段階の重さは伝わりません。

    JIS X 8341-3:2016では適合レベルとしてA・AA・AAAが定義されています2。Aは最低限の対応、AAAは最も厳しい基準までを網羅する段階で、AAはその中間に位置づけられます。3段階のどこを目標にするかを、案件の初期に言葉にしておくことが最初の判断になります。

    目標を決める作業は、案件ごとに毎回一から検討する必要はありません。次に見る公的なガイドブックの記載が、目安として使えます。

    3段階のうちどれを選ぶかで迷う場面では、レベルを個別に検討するより、まず目安になる基準を1つ決めてから、案件固有の事情で上下させる進め方のほうが判断が速くなります。次の項目で、その目安となる考え方を確認します。

    原則AAを目標にする理由

    本ガイドブックは、原則としてAAに適合させることを目標としています3。すべての基準をAAAまで満たしにいく対応より、AAを軸にして優先度の高い基準から手を付ける進め方のほうが、限られた工数の中で現実的です。

    AAを起点にしたうえで、案件の性質によってAAAの一部の基準を追加するかどうかを検討する、という順番で考えると判断がしやすくなります。すべてを一律に扱うのではなく、優先順位をつける発想がここでも役立ちます。

    A・AA・AAAはそれぞれ求める厳しさが異なるため、案件で選ばれる場面も変わります。どの段階を目標にし、どのような案件で選ばれやすいかを整理すると、次の表のようになります。

    レベル位置づけ選ばれる場面の目安
    A最低限の対応まず土台を整える初期段階
    AA原則の目標3公共性の高いサイト・継続運用が前提の案件
    AAA最も厳しい水準基準の一部を選んで追加する場面
    図3:適合レベルA・AA・AAAの関係(AAが目安)
    適合レベルA・AA・AAAの関係を示す図 適合レベルA・AA・AAAの関係 対応の厳しさ A 最低限の対応 AA 原則の目標 目安にするレベル AAA 最も厳しい水準

    出典:デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」をもとに作成

    レベルを決めても、それを「準拠」と言い切れるとは限りません。次は、示し方そのものを見直します。

    4. 「準拠」ではなく「対応度」で示す:続ける運用にする

    サイトは日々改修されるため対応度で示します

    対応が完了した時点で「準拠しました」と言い切りたくなりますが、サイトはその翌週にはすでに新しいページが増え、デザインの一部も変わっています。ある時点の状態を固定して語ることが難しいのが、ウェブサイトの実態です。

    ウェブサイトは日々改修と更新が行われるため、適合や準拠でなく対応度の表記に独自の表記を使うことが挙げられています4。ある時点で満たした基準の数を主張する見せ方より、今の対応度を継続的に示す見せ方のほうが、更新が続くサイトの実態に合います。

    対応度という言葉を使うことで、完成を宣言する話ではなく、続けて確かめていく運用だという前提を、クライアントとも共有しやすくなります。この前提のずれをなくしておくと、後から「準拠していない」と指摘される場面を減らせます。

    一度きりでなく更新のたびに確かめます

    対応度の考え方を採り入れると、確認のタイミングも自然と変わります。対応が終わった瞬間だけを見るのではなく、運用の中に確認する工程を組み込む発想が必要になります。

    デザインの変更や新しいページの追加があるたびに、対象範囲と達成基準への当てはまりを見直す運用にすると、対応度が古いまま放置される事態を避けやすくなります。チェックの頻度は案件によって異なりますが、更新のタイミングに合わせて確認する仕組み自体は共通して有効です。

    この運用を回せる人材は、単発の対応で終わらず、継続して任される案件に向いています。判断の根拠を持ったまま運用に関わり続けられることが、次の案件にもつながっていきます。

    図4:「準拠」という一点と「対応度」という継続の違い
    準拠という一点と対応度という継続を示す図 準拠という一点 準拠 ある時点の判定 対応度という継続 対応度 継続 更新のたびに確認

    図の作成:Remogu編集部。準拠と対応度という示し方の違いを整理したもので、統計データではありません

    レベルと範囲、示し方を判断できることは、案件でそのまま任される材料になります。次は、その経験を案件でどう活かすかを見ていきます。

    5. アクセシビリティに関われる案件で、スキルを活かします

    レベルと範囲を判断できる経験は任されやすくなります

    アクセシビリティの知識は身についても、それを案件でどう説明すればよいか迷う場面があります。実装ができることと、その理由を言葉にして伝えられることは、別のスキルとして扱われがちです。

    対象範囲を決め、目標とする適合レベルを選び、対応度として示す、という一連の判断ができる経験は、指示された箇所だけを実装する経験より、案件で評価されやすくなります。判断の根拠を説明できることが、任せられる範囲の広さに直結します。

    この経験は、フロントエンドの実装経験に、判断の視点を一段重ねる形で積み上がっていきます。積み上げてきた経験に、この視点を足していくイメージで考えると、取り組みやすくなります。

    対象範囲を決める視点と、適合レベルを選ぶ視点、そして対応度として示す視点は、それぞれ別の担当者が持ち寄るより、1人が横断して判断できるほうが案件全体の一貫性を保ちやすくなります。この横断的な判断は、実装の手数より、案件を任せる側にとって見えやすい価値になります。

    リモート中心でも取り組めます

    アクセシビリティ対応は、画面の検証やコードレビュー、達成基準への当てはまりの確認が中心の作業です。常駐を前提にしなくても、対象範囲や適合レベルの判断はリモートでも進めやすい性質があります。

    Remogu(株式会社LASSIC運営)が扱う案件は、案件の90%以上がフルリモート可能です6。場所に縛られずに対応度を高めていく経験を積みたい場合、リモート中心の案件から関わっていく選択肢があります。

    まずは自分の経験に近い案件がどのような条件で扱われているか、確かめてみる価値があります。判断の根拠を持っていること自体が、条件を協議するときの材料になります。

    レベルと範囲を判断できる経験は、次の案件を選ぶときの材料になります。ここまでの内容を、あらためて振り返ります。

    6. まとめ

    アクセシビリティ対応で迷いやすいのは、どこまでやればよいかという線引きです。ここまでの内容を、案件で使える形に整理します。

    • 対応を始める前に、対象範囲と対象外の範囲を最初に決めること
    • WCAGの原則からガイドライン、達成基準へと降りていく全体構成をつかむこと
    • 原則AAを起点に、目標とする適合レベルを選ぶこと
    • 準拠でなく対応度として示し、更新のたびに確かめる運用にすること

    この4つを押さえておけば、案件で対応を任されたときの判断に迷いにくくなります。知識を溜め込むだけで終わらせず、対応度を継続して示せる経験として、案件で使ってみる番です。まずは自分の経験に近いリモート案件がどのような条件で扱われているか、登録して確かめてみることから始められます。

    7. よくある質問

    アクセシビリティ対応では、まず何から決めればよいですか

    最初に対象範囲を決めます。取り組みの最初に、ウェブサイトのどこを対象にするかという対象となる範囲を決めることが挙げられています5。範囲が定まってから、目標とする適合レベルを選ぶ順番で進めると、後工程の判断がぶれにくくなります。まず対象範囲を言葉にすることから始めてみてください。

    AAAまで対応する必要はありますか

    本ガイドブックは、原則としてAAに適合させることを目標としています3。AAAのすべての基準を満たすことは前提にされておらず、案件の性質によって一部の基準を追加するかどうかを検討する形になります。まずはAAを目標に据えて、優先度の高い基準から対応を進める考え方が現実的です。すべての基準を並列に並べて一度に対応しようとするより、この順番で進めるほうが工数の見通しも立てやすくなります。

    対応が終わったら「準拠」と言ってよいですか

    ウェブサイトは日々改修と更新が行われるため、適合や準拠でなく対応度の表記に独自の表記を使うことが挙げられています4。ある時点の準拠を言い切るより、更新のたびに確かめる対応度として示すほうが、サイトの実態に合います。運用に組み込む形で確認を続けていく姿勢が大切です。

    リモート中心でアクセシビリティに関われる案件はありますか

    画面の検証やコードレビューが中心の作業のため、常駐を前提にしなくても対応を進めやすい領域です。対象範囲や適合レベルの判断も、資料とコードを見ながらオンラインで詰められる性質の作業です。まずは自分の経験に近い条件のリモート案件を確認してみることから始められます。判断の根拠を言葉にできる経験は、案件を選ぶときの強みになります。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(2025年10月16日)
    *2 デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(2025年10月16日)
    *3 デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(2025年10月16日)
    *4 デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(2025年10月16日)
    *5 デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」(2025年10月16日)
    *6 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能