e-Taxを支える税務行政DXの案件とマイナポータル連携・自動入力

📘 この記事でわかること
- 紙を前提としてきた確定申告がオンラインで完結する仕組みと、その転換を支えるシステムの姿を整理
- 作成コーナーの自動計算とマイナポータル連携による自動入力が、申告の手間を減らす具体的な流れ
- リモートで関われる申告システムやAPI連携の技術領域と、Remoguで案件を見極めるときの視点
確定申告といえば、紙の申告書に手書きで金額を書き込み、税務署の窓口に並ぶ手続きという印象が根強く残っています。国税庁はここ数年、データやデジタル技術を活用し、申告や納税をオンラインで完結できる仕組みづくりを進めています1。この変化を支えているのは、申告システムの設計や外部サービスとの連携、認証まわりの実装といった技術です。税務の専門知識がなくても、システムを作る側として関わる道が開かれています。
1. なぜいま税務行政DX・e-Taxの案件が増えているのか
紙を前提にした手続きから、オンラインで完結する仕組みへ
従来の確定申告は、申告書を手書きで作成し、税務署の窓口に持参するか郵送するという手順が中心でした。書類の記入ミスや添付漏れが起きやすく、申告のたびに必要な書類を探し出す手間もかかっていました。国税庁はこうした手続きを見直し、e-Taxを使うことで、国税に関する申告・申請・届出・納税といった各種手続をオンラインで行えるようにしています1。窓口に出向く場面は減り、手続きの多くが画面の中で完結する方向に進んでいます。
この転換の裏側では、申告システムそのものの作り直しが進んでいます。単に紙をデータに置き換えるだけでなく、入力された情報を検証し、外部のシステムと安全にやり取りし、申告が集中する時期でも処理を止めずに走らせ続ける基盤が必要になります。ここに、リモートで関われる開発・運用の案件が生まれています。窓口対応の経験よりも、データの流れを設計し直す経験のほうが、こうした案件では生かしやすくなっています。
申告システムの開発は、単発の開発で終わる仕事ではありません。税制改正のたびに仕様を見直し、計算ロジックをアップデートし続ける運用が欠かせないため、長期にわたって関わり続けられる案件が生まれやすい領域でもあります。行政の手続き全体がデータでつながっていく流れの中で、他のシステムとの接続を見据えた設計力も、この分野で求められる視点のひとつです。
表:紙の申告とオンライン手続きの違い
以下は、紙を前提にした従来の申告と、e-Taxを中心にしたオンライン手続きの違いを、手続きの流れに沿って整理したものです。窓口や郵送を介する手順と、画面の中で完結する手順を並べることで、どの工程がシステムによって置き換えられているかが見えてきます。案件として関わる際は、この置き換えの境目にどんな技術が使われているかを意識すると、仕事の中身がつかみやすくなります。
| 項目 | 紙の申告 | オンライン手続き(e-Tax) |
|---|---|---|
| 申告書の作成 | 手書きで記入し、計算は自分で確認 | 画面の案内に沿って入力 |
| 提出方法 | 窓口へ持参、または郵送 | インターネット経由で送信 |
| 添付書類 | 原本を提出・保管 | データでの提出・保管が中心 |
| 控除の情報収集 | 各機関から書類を集めて自分で転記 | 外部連携で自動取得 |
出典:国税庁レポート20261をもとにRemogu編集部が作成。手続きの流れを整理したもので、統計データではありません
2. 自動計算と自動入力(作成コーナー・マイナポータル連携)
入力すれば計算はシステムが引き受ける
確定申告書等作成コーナーは、画面の案内に沿って金額等を入力すると所得金額や税額が自動計算され、作成した申告データはそのままe-Taxで送信できる仕組みです2。手計算による転記ミスや、税額表の読み違いといった、紙の申告で起きやすかった誤りの入り込む余地が、仕組みの側で狭められています。
この自動計算を支えているのは、入力値を検証し、税額計算のロジックを制度改正に合わせて更新し続けるシステムです。申告が集中する時期にもアクセスが滞らないようにする設計も欠かせません。この領域にリモートで関わる案件は、法令の解釈そのものではなく、計算ロジックをコードに落とし込み、テストし、保守する技術に重心があります。書き上げたコードが正しいかどうかを確かめる仕組みづくりのほうが、税務の細部を暗記することよりも重視されやすい領域です。計算結果が一円でもずれれば申告そのものの信頼が揺らぐため、テストの網羅性を高め、想定していないパターンの入力にも耐えられるようにする地道な作業が、日々の仕事の中心になります。
マイナポータル連携が自動入力の起点になる
マイナポータルと連携することで、勤め先の収入や公的年金等の収入、医療費やふるさと納税等の控除に関する情報を一括取得し、申告書へ自動入力できます3。これまで納税者自身が集めていた情報を、外部のシステムから直接取り込む形に変わってきています。
この連携は、マイナンバーカードによる本人確認を含む認証の仕組み、外部システムとのAPI連携、取得したデータを申告書の項目へ正しく割り当てるデータ設計が組み合わさって成り立っています。認証やAPI連携の経験、複数のシステムをまたいだデータ設計の経験は、この領域の案件で生かしやすいスキルです。
申告が集中する時期には、通常時の何倍ものアクセスが一時に集まります。システムがこの波に耐えられるかどうかは、事前の負荷試験や、処理を段階的に分散させる設計にかかっています。大量データ処理や性能改善に携わった経験は、こうした場面でそのまま生かせる強みになります。
出典:国税庁レポート202623をもとにRemogu編集部が作成。処理の流れを整理したもので、統計データではありません
申告システムの自動計算・連携に関わるリモート案件をチェックする →
3. 書かない確定申告を支える連携(一括取得・書類不要)
領収書を集めない申告という発想
マイナポータル連携を活用すると、医療費の領収書等の収集や集計が不要になり、書類の管理・保管も不要になります4。これまで申告のたびに発生していた、1年分の領収書を探し出して金額を集計する作業そのものが、仕組みの外に追い出される形です。
この「書かない」体験を成立させているのは、収入の支払元、年金機構、医療機関、自治体といった複数の発行元から情報を集約し、重複や欠落を検知し、申告書の該当項目へ正しく割り当てるデータ基盤です。発行元ごとにデータの形式や更新のタイミングが異なるため、これらを一つの申告データへ統合する設計には、地道なすり合わせが必要になります。
表:マイナポータル連携で一括取得できる情報の例
マイナポータル連携によって一括取得できる情報を、これまでの取得方法と並べると、納税者側の作業がどれだけ外部システムに置き換わったかが見えてきます。勤め先の収入や年金の情報、医療費やふるさと納税の控除情報がまとめて自動入力される一方で、これらを一つの申告データへ統合する裏側の設計は、リモートで関わるエンジニアの仕事になります。
| 情報の種類 | 従来の取得方法 | 連携後の取得方法 |
|---|---|---|
| 収入・公的年金等の収入 | 源泉徴収票等を自分で保管し転記 | 連携で自動取得・自動入力 |
| 医療費の情報 | 領収書を1年分集めて手集計 | 連携で自動取得・自動入力 |
| ふるさと納税等の控除情報 | 証明書を集めて記入 | 連携で自動取得・自動入力 |
| 各種控除の証明書類 | 原本を提出・保管 | データでの提出・保管が中心 |
エンジニアが向き合うのは統合の難しさ
この連携をリモートで支える案件では、外部システムとのAPI連携の設計、取得したデータの正規化、認証まわりの実装といった技術が中心になります。制度への深い理解よりも、複数のシステムをまたいでデータを正しくつなぐ設計力のほうが、この領域では生かしやすいスキルになります。
取得したデータをそのまま保存するのではなく、必要な範囲だけを扱い、役目を終えた情報は適切に処理する設計も欠かせません。書類の管理・保管が不要になる体験の裏側では、情報を安全に受け渡す仕組みが動いています。セキュリティ実装の経験は、この領域でも生かしやすいスキルです。
出典:国税庁レポート20264をもとにRemogu編集部が作成。連携の仕組みを整理したもので、統計データではありません
4. 誰にとっても使いやすく(利用率向上・不慣れな人への配慮)
利用率を高める取り組みと、その裏側にある改善サイクル
国税庁はオンライン利用率の目標を設定し、利用率の更なる向上を目指しています5。目標を掲げるだけでなく、実際に使われ続けるためには、画面の分かりやすさや、つまずきやすい箇所の改善を積み重ねる必要があります。ここには、実際の利用状況を計測し、離脱が起きている箇所を特定し、画面や導線を改善していくという、地道な改善のサイクルが伴います。
利用率という指標の裏には、アクセスの集中に耐えるシステムの性能、複数の端末やブラウザでの表示の一貫性、エラー発生時の分かりやすい案内といった、細かな品質の積み重ねがあります。この改善に継続的に関わる案件では、大量データ処理や性能改善の経験が生きる場面があります。操作ログを分析して次の改善点を導き出す経験も、同様に生かしやすいスキルです。
デジタルに不慣れな人への配慮も欠かせない
取組を進めるに当たっては、デジタルに不慣れな納税者にも配慮し、分かりやすく丁寧な説明や案内を行っています6。操作に慣れていない人が迷わず申告を終えられるようにする工夫は、便利さを追求するだけの設計とは異なる視点を求められます。
画面の文言を平易にする、入力の途中で迷わないよう案内を出す、エラーが起きたときに次に何をすればよいかを明示する。こうした配慮は、使いやすさの検証を重ねて初めて形になります。効率化と分かりやすさの両方を、同じシステムの中で両立させる設計は、この分野に特有の難しさで、やりがいでもあります。
配慮が必要なのは画面の文言だけではありません。入力の途中で保存し、後から再開できるようにする、想定外の操作をしても大きく崩れない画面にするといった、細部の作り込みも欠かせません。地味に見える技術の積み重ねが、申告を最後までやり遂げてもらうための土台になっています。
出典:国税庁レポート202656をもとにRemogu編集部が作成。取り組みの関係を整理したもので、統計データではありません
利用体験の改善に関わるリモート案件をチェックする →
5. リモート・フリーランス案件でどう関わるか
税務の専門家ではなく、システムを作る側として関わる
ここまで見てきた自動計算、外部連携、利用体験の改善は、いずれも税務の専門知識そのものではなく、システムを設計し、作り、保守する技術によって支えられています。申告システムの開発・運用、外部サービスとのAPI連携、取得したデータの設計、マイナンバーカードなどによる認証の実装。これらはリモートで関われる領域として、案件の中に現れやすいスキルです。
個別の税務相談や節税の是非を判断する立場ではなく、あくまで裏側のソフトウェアとデータを扱う立場として関わる点は、押さえておきたい前提です。特定の申告方法が適切かどうかを決めるのは税務の専門家や納税者自身で、エンジニアの役割は、その手続きを支えるシステムを正しく動かし続けることにあります。
案件を見極めるときの視点
税務行政DXの案件を検討する際は、次のような視点で中身を確かめると、これまでの経験と重なる部分が見えやすくなります。API連携の設計・実装経験があるか、大量データの処理や性能改善に関わったことがあるか、認証まわりの実装経験があるか、といった観点です。特定の言語や制度への深い知識よりも、複数のシステムをまたいで設計する経験のほうが、この領域では生かしやすい傾向があります。
案件の内容を確かめる際は、開発だけでなく運用フェーズにどこまで関わるかも見ておきたい点です。リリース後の改修まで任される案件もあれば、開発フェーズに絞った案件もあります。自分がどのフェーズに強みを持っているかを踏まえて選ぶと、参画後のミスマッチを防ぎやすくなります。求められる技術の組み合わせは案件ごとに異なるため、経験の棚卸しをしておくと、条件をクライアントと協議する際の材料にもなります。
表:リモートで関わりやすい技術領域と主な仕事内容
税務行政DXの案件には、申告システムの開発・保守からデータ設計、認証の実装まで、いくつかの技術領域があります。以下は、その領域ごとに主な仕事内容と、生かしやすい経験を整理したものです。これまで携わってきた業務と重なる領域があるかどうかを確かめる材料にしてください。
| 技術領域 | 主な仕事内容 | 生かしやすい経験 |
|---|---|---|
| 申告システムの開発・保守 | 入力検証・計算ロジックの実装と改修 | 業務システムの開発・保守経験 |
| 外部サービスとのAPI連携 | マイナポータル等との連携部分の設計・実装 | API設計・連携実装の経験 |
| データ設計・データ基盤 | 複数の発行元からの情報の統合・正規化 | データモデリング・ETLの経験 |
| 認証・本人確認の実装 | マイナンバーカード等を用いた認証機能の実装 | 認証・セキュリティ実装の経験 |
こうした技術領域は、特定の場所に縛られる性質のものではなく、リモートで進めやすい案件が中心です。Remoguは案件の90%以上がフルリモート可能なリモートワーク案件特化のエンジニアマッチングで7、場所に縛られずに専門性を生かしたいと考えるエンジニアにとって、条件を確かめる入口になります。
6. まとめ
税務行政のDXは、紙の手続きをオンラインに置き換えるだけの取り組みではありません。自動計算、外部連携による自動入力、書類を残さない申告体験、そして誰にとっても使いやすい画面という、いくつもの技術的な課題が積み重なって成り立っています。
この分野に関わるうえで欠かせないのは、税務の専門知識そのものよりも、システムを設計し、外部サービスとつなぎ、データを正しく扱う技術です。税務行政DXは今後も、制度改正やデジタル化の進展に合わせて形を変えていく分野です。今の経験がそのまま生きる案件もあれば、これから身につけるスキルが評価される案件も出てきます。
積み上げてきた開発・運用の経験を、場所を問わない形で生かしたいと考えているなら、まずは自分の経験に近い案件がどのように公開されているかを確かめてみましょう。Remoguで案件を探し、登録して自分に合う条件を確かめることが、次の一歩になります。
7. よくある質問
税務の専門知識がなくても関われますか
申告システムの開発・運用の多くは、入力検証、計算ロジックの実装、外部システムとの連携、データ設計といった技術面が中心です。税務の専門知識は、案件によって求められる深さが異なりますが、システムを作る側として関わる場合、税務そのものの専門家という立場を求められるわけではありません。制度の解釈が絡む部分は、税務の専門家やクライアントとの協議で確認しながら進める形が一般的です。税制の細部を暗記していることよりも、要件を正しく実装できるかどうかが評価の軸になります。
どんなスキルが生かせますか
業務システムの開発・保守経験、大量データを扱う処理や性能改善の経験、複数のシステムを連携させる経験が生かしやすいスキルです。特定の言語やフレームワークよりも、外部連携やデータ設計を任された経験のほうが、この分野では重視される傾向があります。普段の業務で培った設計やレビューの経験も、そのまま強みとして伝えられます。
API連携やデータ設計の経験は生かせますか
マイナポータル連携のような外部サービスとの連携部分は、API連携の設計・実装経験が直接生きる領域です。複数の発行元から集まる情報を正規化し、申告書の項目へ正しく割り当てるデータ設計の経験も、同様に生かしやすいスキルです。既存のシステムに手を入れながら安全に拡張していく経験も、評価されやすいポイントです。
現場に出向かずに関われますか
申告システムの開発・運用に関わる案件の多くは、コードの実装、テスト、レビューといった作業が中心で、リモートで進めやすい領域です。ただし稼働の条件は案件によって異なるため、詳細は個々の案件の内容で確認する形になります。打ち合わせもオンラインで完結する案件が増えています。
案件はフルリモートで進められますか
Remoguは案件の90%以上がフルリモート可能なリモートワーク案件特化のエンジニアマッチングです。税務行政DXに関わる案件についても、まずは実際に公開されている条件を確かめ、自分の経験に合うかどうかを見てみましょう。案件ごとに公開されている条件は異なるため、登録して複数を比べてみることをおすすめします。
リモートワーク案件をお探しの方へ
Remoguは、株式会社LASSICが運営するITエンジニア・デザイナー専門のリモートワーク案件紹介サービスです。フルリモート・ハイブリッドの案件から、スキルに合うものを探せます。
まずは税務行政DXや公共システムのデジタル化のリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 国税庁「国税庁レポート2026」(2026年)
*2 国税庁「国税庁レポート2026」(2026年)
*3 国税庁「国税庁レポート2026」(2026年)
*4 国税庁「国税庁レポート2026」(2026年)
*5 国税庁「国税庁レポート2026」(2026年)
*6 国税庁「国税庁レポート2026」(2026年)
*7 Remoguサイト公開情報(フルリモート可能案件の割合)