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    半導体のチップレット設計とは|UCIeと先端パッケージングの案件

    「小さく分けて組み合わせる」を示す図です。標準SoC/AI用DSA/入出力を並べています。強調しているのはAI用DSAです。得意分野を足すと添えています。

    📘 この記事でわかること

    • 1枚の大きなチップを微細化し続けるコストや歩留まりの限界と、機能ごとに分けて組み合わせる発想への転換
    • ダイ間の相互接続を標準化するUCIeという規格の広がりと、標準SoCの乗り合いで初期コストを抑える考え方
    • 分割設計・インターフェース実装・検証・EDA/IP整備という工程の広がりと、リモートで関わりやすい役割の見つけ方

    半導体というと、一枚の大きなチップをどこまで微細に加工できるかという世界に見えるかもしれません。しかし近年は、機能ごとに分けた小さなダイを組み合わせて一つの半導体に仕立てる設計手法が広がりつつあります。分割・接続・検証という工程が増えたことで、組み込みやSoC開発に携わってきたエンジニアが、設計やインターフェース実装の領域からリモートで関わる機会も生まれています。専門外だと感じて足が止まっている方にとって、その関わり方を具体的に知ることが最初の一歩になります。

    リモートワーク案件特化のエージェント|Remogu(株式会社LASSIC運営) 半導体・チップレット設計に関わるリモート案件を、条件から探す フルリモートの案件を見る

    1. なぜいま半導体チップレット設計の案件が増えているのか

    微細化を続けるほど重くなるコストと歩留まりの壁

    半導体の性能を上げる方法として長年重視されてきたのは、回路をより細かく刻む微細化です。世代が進むほど同じ面積に多くの回路を詰め込めるため性能は伸びてきましたが、その先に進むほど設計・検証の手間と歩留まり(良品率)の管理という壁が重くのしかかるようになっています。一枚の大きなダイを丸ごと作り直す発想のままでは、コストの増加を吸収しきれない場面が増えています。

    一枚の大きなチップを磨き上げるよりも、機能ごとに分けた小さなダイを組み合わせるほうが、設計と検証の負担を分散でき、不良が出た区画だけを作り直せる分、歩留まりの管理もしやすくなります。この発想の転換が、いま半導体設計の現場で広がっている変化の出発点です。

    「分けて作り、組み合わせる」発想が案件を生んでいる

    大きな一枚岩の設計から機能単位のダイへ切り替わることで、これまで一つのチームで抱えていた工程が、分割設計・インターフェース実装・検証・パッケージ協調設計という複数の専門領域に分かれます。領域が分かれるほど、特定の工程に強みを持つ人がリモートで参画できる余地も広がります。微細化の限界とチップレットへの転換を、図1に整理しました。

    図1:1枚の大きなチップの限界と、機能ごとに分けて組み合わせる発想への転換
    1枚の大きなダイ 設計・検証を一括で担う 不良が出ると全体を 作り直すことになりやすい 分割設計へ 機能ごとの小さなダイ 工程ごとに分けて検証できる 不良区画だけを 作り直せる

    図の作成:Remogu編集部。設計手法の変化を整理したもので、統計データではありません

    2. チップレットとは何か

    標準SoC・DSA・FPGA・I/Oという役割で分けたダイの集合

    チップレットとは、演算・入出力・特定用途の処理といった機能ごとに切り出した小さな半導体のダイを指します。単体では完成品にならず、複数のダイを一つのパッケージの中で組み合わせて、はじめて一つの半導体として機能します。標準的な処理を担う標準SoC、特定の演算に特化したDSA、書き換え可能な回路にあたるFPGA、外部との入出力を担うI/Oなど、役割ごとにダイを用意し、必要な組み合わせだけを選べる点が特徴です。

    毎回すべてを新規設計するよりも、標準SoCチップレットを複数の製品で使い回す「乗り合い」のほうが、初期コストやNRE(単発工程のコスト)を抑えやすくなります4。共通部分は標準チップレットに任せ、専用のダイだけを新しく設計する分業が進んでいます。

    分割の単位を決める設計=パーティショニング

    どの機能をどのダイに割り振るかを決める作業はパーティショニングと呼ばれ、チップレット設計の入り口にあたります。発熱しやすい部分と軽い入出力の部分を分ける、量産数が多い部分は標準品に寄せるといった判断が、後工程のインターフェース実装や検証のしやすさを左右します。チップレットを構成する主な役割を、表1に整理しました。

    チップレットを構成する主な役割

    チップレットという言葉は一つの部品を指すのではなく、役割の異なる複数のダイの総称です。標準的な処理を担う標準SoC、特定の演算に特化したDSA、書き換え可能なFPGA、外部との接続を担うI/Oという主な役割を一覧にしました。実際の組み合わせは製品の用途によって変わりますが、役割を切り分けて考える視点は共通しています。

    役割主な内容設計・検証で問われる視点
    標準SoCチップレット複数の製品で共通して使う標準的な演算・制御の回路他製品との互換性、乗り合いによる量産効率
    DSA(特定演算向け回路)特定の処理に特化した専用の演算回路対象の処理に合わせた回路構成、消費電力の設計
    FPGA(書き換え可能回路)後から回路構成を書き換えられる部分用途変更への対応、検証の繰り返しやすさ
    I/Oチップレット外部の装置やダイ同士をつなぐ入出力の回路信号の整合性、ダイ間インターフェースとの接続

    これらの役割ごとのダイを一つの半導体として組み合わせるイメージを、図2に示しました。

    図2:チップレット=機能ごとの小さなダイを組み合わせて1つの半導体に
    1つの半導体として組み合わせ 標準SoCチップレット 複数製品で共通利用 DSAチップレット 特定演算に特化 FPGAチップレット 書き換え可能な回路 I/Oチップレット 外部・ダイ間の接続

    図の作成:Remogu編集部。チップレットの構成イメージを整理したもので、統計データではありません

    3. ダイ間をつなぐUCIeという標準

    バラバラな規格では組み合わせが増えるほど大変になる

    役割ごとに分けたダイを組み合わせるといっても、ダイ同士をつなぐ配線の規格がメーカーごとに異なれば、組み合わせの数だけ検証のやり直しが発生します。接続の作法をその都度個別に決めるよりも、業界で共通の規格を決めておくほうが組み合わせの自由度が上がり、検証の手間も抑えられます。この考え方から生まれたのが、ダイ間の相互接続を標準化するオープン規格UCIeで、標準仕様としてUCIe 1.0が発表されています1

    業界団体の広がりが規格の実用性を支えている

    UCIeを推進する業界団体は、大手の半導体・IT企業10社によって設立されました2。その後も参加企業は増え、40社以上が名を連ねる規模になっています3。特定の1社が決めた仕様ではなく、業界全体で合意した共通の土台になっている点が、この規格の実用性を支えています。

    共通のインターフェースが定まっているということは、ダイ間の接続部分を設計・検証する工程が、規格に沿って進められる標準的な工程になっているということでもあります。ダイ間インターフェースの実装や検証に強みを持つエンジニアが、複数のプロジェクトを横断して関われる余地が生まれています。UCIeによる相互接続の標準化を、図3に整理しました。

    図3:UCIeによるダイ間相互接続の標準化(共通インターフェース)
    標準SoC DSA I/O UCIe:ダイ間相互接続の共通インターフェース 標準仕様UCIe 1.0/業界団体は10社で設立、40社以上が参加 共通の規格に沿うことで、異なる役割のダイを組み合わせやすくなる

    出典:「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、2025年3月)をもとに作成

    4. 標準SoC・DSA・FPGAと先端パッケージング

    「乗り合い」で初期コストを抑える標準SoCチップレット

    標準SoCチップレットは、複数の製品で共通して使い回すことを前提に設計された部品です。毎回専用のSoCを新しく起こすのでなく標準チップレットに「乗り合う」形をとることで、初期コストや単発工程のNREコストを抑えられる見込みがあります4。専用性が求められる部分だけをDSAやFPGAで個別に用意する分業です。

    専用のSoCをすべて新規に設計する時代が終わったわけではありません。むしろ、標準チップレットと専用チップレットを適材適所で組み合わせる判断そのものが、設計者の腕の見せどころになっています。

    ダイを一つにまとめる先端パッケージングと有機インターポーザー

    複数のダイを一つの半導体として機能させるパッケージングの工程では、ダイ同士を正しく配置し、信号を通す必要があります。日本は後工程やマテリアルの分野に強みを持ち、有機インターポーザー(複数のダイを載せる基板の役割を果たす部材)の設計・評価で成果が生まれています6

    国内では産総研と東京大学が中心となってAIチップ設計拠点を整備し、チップレット型カスタムSoCの開発基盤の確立を進めており、2030年を目処に設計環境の提供開始を目指す取り組みも進んでいます5。先端パッケージングで扱う主な要素を、表2に整理しました。

    先端パッケージングで扱う主な要素

    複数のダイを一つの半導体として機能させるパッケージングの工程には、いくつかの検討要素があります。有機インターポーザーを含め、代表的な要素と設計・評価で問われる視点を表2に整理しました。特定の方式の優劣を断定するものではなく、工程ごとの役割を把握するための一覧です。

    要素役割設計・評価で問われる視点
    有機インターポーザー複数のダイを載せる基板としてダイ間の配線を通す配線の引き回し、信頼性の評価
    ダイ間インターフェースUCIeなど標準規格に沿ってダイ同士を接続する信号の整合性、規格への準拠
    実装・組み立て工程ダイをパッケージ上に配置し接続する位置合わせの精度、歩留まりの確認
    設計基盤・EDAツール分割設計から検証までを支援するツール群ツールチェーンの整備、IPの管理

    標準SoC・DSA・FPGAチップレットと先端パッケージングの関わりを、図4に整理しました。

    図4:標準SoC・DSA・FPGAチップレットと先端パッケージング(有機インターポーザー)の協調
    標準SoC 乗り合いで低コスト DSA 特定演算に特化 FPGA 書き換え可能 有機インターポーザー(ダイを載せる基板) 産総研・東京大学の拠点整備/2030年を目処に設計環境の提供開始を目指す取り組み

    出典:「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、2025年3月)をもとに作成

    5. リモート・フリーランス案件でどう関わるか

    分割設計・インターフェース実装・検証・EDA/IP整備という入り口

    チップレット設計の工程は、パーティショニング(分割設計)、ダイ間インターフェースの実装、SoC・FPGAの検証、EDA・IP整備、パッケージ協調設計という複数の専門領域に分かれています。工程が分かれているということは、特定の領域に強みを持つエンジニアが、その工程を切り出してリモートで参画できる余地があるということでもあります。

    半導体の全工程を一人で担う必要はありません。むしろ、検証やインターフェース実装など特定の工程を深く担える人材のほうが、プロジェクト側にとって心強い存在になります。RTL設計や検証の経験、SoC・FPGA開発の経験、EDAツールの運用経験は、そのままチップレット設計の現場でも活きる土台です。

    案件の見極めは工程と条件の両面で行う

    案件を見極める際は、どの工程を担うのか(分割設計か、検証か、パッケージ協調設計か)と、稼働条件(フルリモートで完結するか、一部でクライアントとの打ち合わせが必要か)の両面を確認することが欠かせません。工程によっては現地での試作評価が伴う場合もありますが、設計・検証・インターフェース実装といった領域はリモートで進めやすい性質を持っています。

    Remoguは、リモートワークに特化したエンジニアマッチングサービスで、案件の90%以上がフルリモート可能です7。分割設計やダイ間インターフェース実装、SoC・FPGA検証といった工程に強みを持つ経験を、報酬や稼働条件も含めてクライアントと協議しながら参画先を選べる点が特徴です。リモートで関わりやすい工程と経験の目安を、表3に整理しました。

    リモートで関わりやすい工程と経験の目安

    チップレット設計の工程ごとに、リモートでの関わりやすさと活きやすい経験の目安を、表3に整理しました。実際の稼働条件は案件によって異なるため、参画前にクライアントと確認することが前提になります。

    工程主な作業内容活きやすい経験リモートでの関わりやすさ
    分割設計(パーティショニング)機能単位でダイに分割する方針の検討SoC全体のアーキテクチャ設計経験高い
    ダイ間インターフェース実装UCIeなど標準規格に沿った接続部の実装高速インターフェースの設計経験高い
    SoC・FPGA検証RTL設計の検証、シミュレーションによる確認RTL設計・検証ツールの運用経験高い
    EDA・IP整備設計・検証を支えるツールチェーンやIPの整備EDAツールの運用・IP管理の経験高い
    パッケージ協調設計パッケージングを見据えた設計上の調整パッケージ設計との連携経験案件によって異なる

    現場に足を運ぶ工程がすべてではありません。分割設計やインターフェース実装、検証といった上流の判断を担う工程は、リモートでも十分に成立する領域です。

    6. まとめ

    一枚の大きなチップを微細化し続けるコストと歩留まりの壁を越える発想として、機能ごとに分けたダイを組み合わせるチップレット設計が広がっています。ダイ間の接続を標準化するUCIeという規格が整い、標準SoCの乗り合いによって初期コストを抑える動きも進んでいます。

    半導体の全工程を一人で抱え込むよりも、分割設計・インターフェース実装・検証・EDA/IP整備といった得意な工程を深めるほうが、リモートでの参画先は広がります。まずは自分の経験がどの工程に近いのかを整理し、Remoguに登録して自分の条件に合う案件を確かめてみることが、次の一歩になります7

    7. よくある質問

    半導体の専門でなくても関われますか

    チップレット設計の工程は、分割設計・インターフェース実装・検証・EDA/IP整備など複数の専門領域に分かれています。半導体全体を専門としていなくても、SoC開発や組み込み設計、検証ツールの運用といった隣接する経験を足がかりに関われる余地があります。まずは自分の経験がどの工程に近いかを整理し、参画先とその範囲をクライアントと協議することから始められます。

    どんなスキルが活きますか

    SoCやFPGAの設計・検証経験、RTL設計の経験、EDAツールの運用経験、高速インターフェースの実装経験は、そのままチップレット設計の現場でも活きます。特にダイ間インターフェースの実装や検証は、規格に沿って進める工程のため、標準規格への理解を深めておくと参画の幅が広がります。

    RTL設計や検証の経験は活きますか

    活きやすい経験です。SoC・FPGA検証の工程は、RTL設計に対するシミュレーションや検証の積み重ねが土台になるため、これまでの検証経験をそのまま持ち込める場面が多くあります。EDAツールの運用経験があれば、検証環境の整備という工程でも強みになります。

    製造現場に行かずに関われますか

    分割設計、ダイ間インターフェース実装、SoC・FPGA検証、EDA・IP整備といった上流の工程は、リモートで進めやすい領域です。一方で、パッケージ協調設計の一部など試作評価を伴う工程では、現地での確認が必要になる場合もあります。案件ごとに稼働条件が異なるため、参画前にクライアントと確認することが前提になります。

    案件はフルリモートでもできますか

    Remoguはリモートワークに特化したエンジニアマッチングサービスで、案件の90%以上がフルリモート可能です7。チップレット設計に関わる案件も、分割設計や検証、インターフェース実装といった工程を中心に、リモートで進めやすい条件が整っている案件があります。まずは登録して、自分の経験に合う条件を確かめてみることをおすすめします。

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    ※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。

    出典・参考情報

    *1 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書」(2025年3月)
    *2 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書」(2025年3月)
    *3 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書」(2025年3月)
    *4 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書」(2025年3月)
    *5 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書」(2025年3月)
    *6 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」終了時評価報告書」(2025年3月)
    *7 Remoguサイト公開情報(フルリモート可能案件の割合)