案件の実績は職務経歴書の「どこ」を見られるのか|書き方と材料を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

📘 この記事でわかること
- 受ける側にも取引条件を明示する立場が求められる場面があるという前提と、実績として残せる記録との関係
- 相手企業でDXの取り組みが広がっている実態と、外部委託や人材不足など体制の面で分かれている点
- 職務経歴書に載せる、担った範囲・決めた事柄・残した記録という3つの材料と、書く順番の決め方
職務経歴書の実績欄が、担当した技術の一覧で終わっていることがあります。読み手が見ているのは技術の名前ではなく、案件のどこまでの範囲を担い、何を自分で決め、どんな記録を残したかという中身です。フリーランスとして案件を受ける側にも、取引条件を明示する立場が求められる場面があります。この記事では、公的な資料をもとに、実績として書ける材料とその並べ方を整理します。
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1. 受ける側も条件を明示する立場にある
取引条件の明示は、フリーランス同士の取引にも及ぶ
案件を受ける立場は、条件を示される側だと感じられがちです。発注する企業が条件を決め、受ける側はそれに従うだけという見え方です。ところが公的な資料を見ると、取引条件の明示義務は、フリーランス同士の取引も対象です1。
つまり案件を別のフリーランスに委ねる場面があれば、受ける側だった立場が、条件を示す側にもなります。技術の名前を並べるより、条件を示す立場に立ったことを示すほうが、実績としては伝わります。次に、その明示の中身を見ていきます。
この立場の変化は、職務経歴書の書き方にも影響します。指示を受けて作業したという記述より、条件を自分で確認し、必要なら相手に示したという記述のほうが、案件を任せる側から見た信頼材料になります。技術の説明だけでは伝わらない部分です。
明示する事項には、検査の期日と報酬の条件が含まれる
明示する事項の中身を具体的に見ると、実績として書ける材料の輪郭がはっきりします。次の表は、公的な資料が挙げる明示事項のうち、職務経歴書の実績欄にも結びつく2つを整理したものです。表の前提として、これらは案件を受ける側にも関わる事項だという点を押さえておきます。
| 明示事項 | 資料が挙げている内容 | 実績として残せること |
|---|---|---|
| 検査を完了する期日 | 給付の内容を検査する場合、その完了の期日を明示する2 | 成果物の確認をいつまでに終える約束だったか |
| 報酬の額および支払期日 | 報酬の額と、支払う期日を明示する2 | 報酬の条件をどのように確認して稼働に入ったか |
明示する事項には、検査を完了する期日と、報酬の額および支払期日が含まれます2。この2つは、案件が始まる前に確認しておく事項であると同時に、確認した経緯そのものが実績の一部になります。何を確認し、どう記録したかという行動が、技術力とは別の評価材料になるためです。
検査を完了する期日を確認した経験は、進行の管理を担った実績として書けます。報酬の額および支払期日を確認した経験は、条件を協議した実績として書けます。同じ明示事項でも、書き分けると役割の違いが伝わります。
図の作成:Remogu編集部。職務経歴書の実績欄に書ける材料の関係を整理したもので、統計データではありません
この3つの層は、次章以降で見る相手企業側の実態と重なります。相手企業がどこまでの体制を持ち、どこを外部に委ねているかを知ることは、受ける側が担う範囲を見積もる材料にもなります。
2. 取り組みは広がっているが中身は分かれる
DXに取り組む企業は8割近くに達している
案件を探すとき、相手企業がどれだけDXに前向きかは気になるところです。調査によると、何らかの形でDXに取り組んでいる企業の割合は77.8%です3。取り組みの広がり自体は、すでに一般的な段階に入っています。
ただし取り組みの広がりと、中身の充実は別の話です。8割近くが着手していても、進め方や体制の整い方は企業ごとに異なります。ここから先の章で、その分かれ方を具体的に見ていきます。
進め方は一様ではなく、選ぶ手段によって関わり方が変わる
取り組みの中身を分ける要素の一つが、開発をどう進めるかという選択です。社内だけで完結させる進め方もあれば、外部に委ねる進め方もあり、選び方は企業の体制によって分かれます。次の表は、ここまでに触れた2つの割合を並べたものです。数の大きさよりも、何を測った割合かという違いに注目してください。
| 指標 | 割合 | 何を測っているか |
|---|---|---|
| DXに取り組んでいる企業 | 77.8%3 | 何らかの形でDXに着手しているかどうか |
| 外部への委託による開発 | 4割弱4 | 競争にかかわる事業での開発の進め方 |
着手している企業の割合が高いことと、開発をどう進めているかは、別の軸で見る必要があります。取り組みの広さより、進め方の中身のほうが、受ける側にとっては実務に直結します。次の章では、この進め方の内訳を詳しく見ていきます。
取り組みの広さを示す77.8%という数字3と、外部への委託が最も多いという数字4は、同じ調査の中でも別の設問への答えです。この2つを混同せずに読み分けることが、相手企業の実態をつかむ手がかりになります。
相手企業の実態を数字で押さえておくと、案件の背景を説明されたときに、話の筋が理解しやすくなります。企業側が取り組みのどの段階にいるかを推し量りながら、自分がどこを担えるかを考える材料になります。
取り組みの広さと進め方の中身が別だと分かっていれば、案件の説明を受けたときに「今どの段階の話か」を自分から確かめられます。この確認そのものも、条件を明確にする姿勢の一部になります。
3. 外部への委託が最も多い開発の形
外部への委託が、開発の進め方として最も多く選ばれている
競争にかかわる事業では、外部への委託による開発を行っている回答率が4割弱で最も多くなっています4。社内だけで完結させる進め方より、外部の力を組み合わせる進め方のほうが、実際には多く選ばれているという結果です。
この回答は、競争にかかわる事業を対象にした設問の結果として示されています4。事業の性格を問わず一律に当てはまる数字ではなく、対象を確かめたうえで読む必要があります。
この結果は、受ける側にとって、案件が発生する場面が一つの類型に偏っていないことを示しています。委託という形そのものが、すでに広く定着した進め方になっています。
外部への委託が中心の進め方になっている以上、受ける側が普段からどんな範囲を担ってきたかを言葉にしておくことは、次の案件につながる準備になります。開発の形が定着しているぶん、任せられる範囲の説明が、選ばれるかどうかの分かれ目になりやすくなります。
出典:IPA「DX動向2025」(2025年6月)をもとに作成
委託される側に求められるのは、任せられる範囲の広さ
委託が広く選ばれているからこそ、受ける側に求められるのは、任せられる範囲の広さです。一部の作業だけを引き受けるより、確認から納品までの一連の流れを任せられるほうが、委託する側にとっては選びやすくなります。
任せられる範囲が広いほど、委託する側は確認の手間を減らせます。逆に範囲が細かく区切られていると、複数の相手に個別に依頼する手間が増えます。範囲の広さは、受ける側にとっても選ばれる理由になります。
働く場所の自由度も、委託を受けやすくする条件の一つです。Remoguが扱う案件は、90%以上がフルリモート可能です。場所に縛られずに任せられる範囲を広げていきたい場合、まず自分の経験に合う案件がどれだけあるかを確かめておくと、次の一歩を具体的に描けます。
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4. 人材の量が不足していると答えた企業が多い
人材の量が不足していると答えた企業の割合は85.1%に上る
委託が選ばれる背景には、人材の量の問題もあります。DXを進める人材の量が不足していると答えた企業の割合の合計は85.1%です5。8割を超える企業が、量の面での不足を感じているという結果です。
量が届いていないという回答の割合が高いほど、外部から人を確保する必要性は高まります。委託が最も多い進め方になっている背景として、この人材面の状況は無関係ではありません。
この85.1%という割合は、特定の技術に限った回答ではなく、調査対象となった企業に広く共通する回答として示された数字です5。技術の種類を問わず、量の面での不足が課題になっている状況がうかがえます。
人材の量という切り口は、必要なスキルの種類までは教えてくれません。量の不足を感じている企業の割合が8割を超えていることは、業務を任せられる相手を広く探している状況を裏づけています。
量の不足は、外部の力を借りる動機になる
量よりも、範囲の広さのほうが、実績としての重みになります。量の不足を補う相手として選ばれるためには、任せられる作業の幅を、職務経歴書の中で具体的に示す必要があります。
量の不足を理由に案件が発生している場面では、経験の年数よりも、今すぐ担える範囲がどこまで広いかが判断材料になりやすくなります。技術の名前を羅列するより、担える工程の幅を先に示すほうが伝わります。
任せられる範囲を職務経歴書に書くときは、担当した工程の名前だけでなく、どこまでを一人で完結できたかという境界線を明確にすると、量の不足を補う相手として伝わりやすくなります。
次の章では、量の問題とは別の切り口として、データの扱われ方を見ていきます。人材の量が不足している状況と、データの整い方には、共通する傾向があります。
5. データの扱いは内向きで、整備は途中
データの利活用は、内向きの目的が中心になっている
データの利活用は、社内の業務効率化や生産性向上を目的とした内向きのものが多くなっています6。外部に向けた新しい価値づくりより、まずは社内の効率を上げる目的で使われている状況です。
この傾向は、受ける側が入る余地があることも意味します。内向きの利用に留まっている状態から、次の段階へ進めるための整理役として関わる案件が生まれやすくなります。
内向きの利用が中心という状況は、外部に向けた活用を新しく作る余地が残っていることも意味します。効率化の先にある活用方法を提案できる経験は、この段階では重みを持ちます。
内向きの利用が多いという結果は、DX動向2025の調査全体から示されたものです6。特定の業種に限らず、広く見られる傾向として読み取れます。
整えて管理する取り組みは、まだ道半ばの段階にある
データを整えて管理する取り組みは、途中の段階です7。整えて管理する基盤そのものが、まだ完成に至っていない企業が多いということです。
完成していない基盤に関わった経験は、そのまま実績になります。整っていない状態から、どこまで整理を進めたかという記録は、完成した基盤を運用しただけの経験より具体的に伝わります。
道半ばという段階は、始まったばかりという意味ではなく、一部は整い、一部はまだ手つかずという状態です。どの部分に関わり、どこから先を引き継いだかを分けて書くと、担った範囲がより具体的に伝わります。
図3で示した2つの軸は、どちらも今の位置を表すものです。今の位置を正しく理解することが、自分がどの部分に関わることになるのかを考える出発点になります。
整えて管理する取り組みが途中の段階にある企業ほど、決めた事柄を一つずつ記録しておく意味は大きくなります。仕組みが整った後から振り返ったとき、その記録が経緯を説明する材料になります。
出典:IPA「DX動向2025」(2025年6月)をもとに作成
6. 情報の集め方が個人任せの現場もある
技術情報の収集が、体系的な仕組みを持たない現場もある
技術情報の収集は体系的な仕組みを持たず、個人に任されている企業が多くなっています8。誰かが仕組みとして情報を集めているのではなく、個人の努力によって情報が集まっている現場があるということです。
この状況では、情報をどう集め、どう共有したかという行動そのものが評価の対象になります。個人任せの現場に、集め方の型を持ち込んだ経験は、実績として際立ちやすくなります。
情報の収集が個人任せになっている現場では、案件に関わる人によって、持っている情報の量に差が出やすくなります。この差を埋めるために自分がとった行動も、実績として書ける材料です。
個人任せの情報収集は、担当者が変わるたびに情報の質がばらつく原因にもなります。引き継ぎの際にどんな情報をどう渡したかも、実績として書ける材料の一つです。
意思決定を担う責任者が、まだ置かれていない企業も約半数ある
意思決定を担う責任者を設置していない企業が、約半数に上ります9。誰が最終的に決めるのかという役割そのものが、まだはっきりしていない現場が少なくないということです。
役割がはっきりしない現場ほど、受ける側が「誰に何を確認し、誰の合意を得たか」を自分で記録しておく意味は大きくなります。この記録が、次の章で扱う実績の材料に直結します。
責任者が置かれていない現場では、確認する相手が案件の途中で変わることもあります。誰に何を確認したかを都度記録しておくと、後から振り返るときにも役立ちます。
責任者を設置していない企業が約半数に上るという結果は9、案件ごとに体制が大きく異なることを示しています。関わる企業の体制を早い段階で把握しておく視点も欠かせません。
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7. 職務経歴書に載せる材料と、その順番
実務の中で明示してきた条件も、実績の一部になる
ここまで見てきたように、取引条件の明示義務はフリーランス同士の取引も対象で1、明示する事項には検査を完了する期日と、報酬の額および支払期日が含まれます2。この2つを確認してきた経緯は、条件を示す立場に立った経験として、そのまま実績の材料になります。
件数を書くより、決めた事柄を書くほうが、記録として残ります。何を確認し、何を自分の判断で決めたかを言葉にすることが、職務経歴書の実績欄を厚くする一番の近道です。
この2つの確認を積み重ねることは、条件を示される側から、条件を示せる側への変化でもあります。実績欄に書く一文一文が、その変化を裏づける材料になります。
明示義務違反が1,126件ある現実が示すこと
取引条件の明示義務違反は1,126件(41.3%)です10。条件が明示されないまま進む案件が一定数あるという現実は、受ける側が自分で条件を確認し、記録する姿勢の価値を裏づけています。
違反の件数が示すのは、明示のルールが行き届いていない場面が一定数あるという事実です。だからこそ、自分から確認し、記録しておく行動が際立つ材料になります。
次の表は、ここまでの内容を踏まえて、職務経歴書に載せる3つの材料を整理したものです。技術の名前を並べる欄とは別に、この3つを書く欄を作ることをおすすめします。
| 材料 | 中身 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 担った範囲 | どこからどこまでの工程に責任を持ったか | 入口と出口を具体的な言葉で示す |
| 決めた事柄 | 自分の判断で決めた条件や進め方 | 誰と何を確認して決めたかを添える |
| 残した記録 | 条件や成果を書面としてどう残したか | 残した記録の形式にも触れる |
この3つは、担った範囲の広さから始まり、決めた事柄の中身を経て、残した記録という裏付けにたどり着く順番で並べると、読み手に伝わりやすくなります。
担った範囲は、外部への委託が広がる中でどこまでを引き受けたかを示します。決めた事柄は、明示する条件をどう確認したかを示します。残した記録は、その確認の跡を形に残せているかを示します。3つがそろって、はじめて実績として厚みが出ます。
図の作成:Remogu編集部。実績を書く順番の考え方を整理したもので、統計データではありません
初めての案件でも、実績として書ける内容はありますか
経験がまだ少ない段階でも、担った範囲・決めた事柄・残した記録という3つの観点は使えます。案件の規模が小さくても、どこまでの工程に責任を持ち、何を自分で確認して進めたかは、具体的に書ける内容です。技術の幅よりも、この3つをどれだけ具体的に言葉にできるかが重みを決めます。
副業として関わった案件も、実績に含めてよいですか
副業として関わった案件でも、担った範囲がはっきりしていれば、実績の材料として書けます。関わった時間の長さより、任された工程の入口と出口をどれだけ明確に説明できるかが重要です。曖昧な部分は無理に広げず、確認できる範囲だけを具体的に書くことをおすすめします。
地方在住の場合、実績の書き方に違いはありますか
住んでいる場所によって、書き方そのものが変わるわけではありません。担った範囲・決めた事柄・残した記録という3つの観点は、離れた場所から案件に関わった場合でも同じように使えます。連絡や確認をどのような形で行ってきたかを添えると、離れた場所でも進められた経験として伝わりやすくなります。
稼働日数が少ない案件でも、実績として重みを持たせられますか
稼働日数の多さは、実績の重みを直接決めるものではありません。日数が限られていても、担った範囲が明確で、決めた事柄と残した記録がそろっていれば、実績としての厚みは十分に出せます。書く中心に置くのは日数ではなく、その日数の中で何をどこまで担ったかという中身です。週の稼働日数が少ない案件でも、担った範囲を具体的に書けば、実績として弱くはなりません。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
*2 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット(2026年7月・2026年9月確認)
*3 IPA「DX動向2025」取組の広がり(2025年6月・2026年9月確認)
*4 IPA「DX動向2025」外に出る仕事(2025年6月・2026年9月確認)
*5 IPA「DX動向2025」人の足りなさ(2025年6月・2026年9月確認)
*6 IPA「DX動向2025」向きの偏り(2025年6月・2026年9月確認)
*7 IPA「DX動向2025」土台の未完成(2025年6月・2026年9月確認)
*8 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」知識の持ち方(2025年4月・2026年9月確認)
*9 IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 簡易分析レポート」決める人(2025年4月・2026年9月確認)
*10 公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況」2番目に多い違反(2026年6月・2026年9月確認)