生成AIの業務活用の案件で押さえる調達とリスク管理

📘 この記事でわかること
- 企画・調達・開発運用・利活用という導入の各段階と、それぞれの段階で向き合うリスク管理の要点
- ハルシネーションやデータ汚染攻撃など生成AI特有のリスクと、実務でその対策を進めるための視点
- システム開発やデータ活用の経験が、この分野の案件でどう活きるかという関わり方の視点と、リモートで参画する際に見ておきたい点
生成AIをどう業務に取り入れるか、現場ごとに企画が動き出しています。効率化や新しい価値への期待が先に立つ一方で、ハルシネーションや情報の扱いといったリスクをどう管理するかは、企画の段階から向き合う課題です。本記事では、行政の指針をもとに、企画・調達・開発運用・利活用という導入の流れと、生成AI特有のリスクへの向き合い方を整理します。システム開発やデータ活用で積み上げてきた経験を、この領域の案件にどう重ねられるかもあわせて見ていきます。企画から利活用までを一続きの流れとして押さえておくと、案件の中で自分の立ち位置を見つけやすくなります。
1. なぜいま生成AIの業務活用の案件が増えているのか
効率化への期待と、追いつかないリスク管理
生成AIを検証段階から実務の運用へ進める案件に関わる機会が、増えてきたと感じる場面があります。効率化や新しい提案の材料として使えるという期待が先に立ち、企画そのものは前に進みやすくなりました。一方で、出力の正しさや情報の扱いをどう管理するかという検討が、企画のスピードに追いついていない現場も見られます。行政の指針でも、生成AIの利活用促進とリスク管理を、表裏一体で進めることを目的としています1。促進とリスク管理のどちらか一方だけを語る案件は少なく、両輪で進める前提を共有できる人が求められています。
企画の担当者だけで進めると業務の要件は明確でも技術面のリスクへの目配りが手薄になりやすく、システムの担当者だけで進めると業務の実態と離れた設計になりやすいものです。生成AIの調達・利活用に係るリスク管理は、企画・調達・開発運用・利活用の各段階で行う設計になっています2。段階ごとに区切って考えると、どこで何を確認するかが見えやすくなります。区切りがないまま進む案件では、リスクの見落としも段階の境目で起きやすくなります。次章では、その4つの段階を順に見ていきます。
操作を扱う経験よりも、業務とリスクの両方を見渡して設計に落とし込む経験のほうが、この領域では差になります。生成AIを検証で終わらせず運用まで進めるには、企画の段階から技術的な制約とリスクを言葉にできる人が要ります。ここに、システム開発やデータ活用に携わってきたエンジニアが関わる余地があります。
出典:デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)をもとに作成
生成AIの案件は、実装した後の運用まで見据えて設計できる人を求める傾向が強まっています。企画段階で立てた前提が、開発運用の段階でそのまま通用するとは限らず、各段階の情報を橋渡しできる経験が重宝されます。技術だけでも業務だけでも不足する場面で、両方に目を配れる人の出番が生まれています。導入を検討する組織が増えるほど、企画と実装の間を埋められる人の必要性は高まっていきます。システム開発やデータ活用のプロジェクトで、要件と実装のずれを調整してきた経験があれば、その感覚はそのまま活かせます。
2. 生成AIシステム導入の各段階
生成AIを使ったシステムを、思いつきの延長で進めると、要件が固まらないまま調達に入ってしまうことがあります。生成AIの調達・利活用に係るリスク管理は、企画・調達・開発運用・利活用という4つの段階に分けて行う設計になっています2。段階を区切ることで、どの時点で何を確認するかが具体的になります。段階の切れ目ごとに担当や成果物を確認しておくと、後から振り返るときの手がかりにもなります。企画の段階では、業務部門への聞き取りを重ね、生成AIをどの業務に当てはめるかを具体化していきます。調達の段階では、その内容を仕様の言葉に落とし込み、候補となる仕組みが要件とリスクの両方を満たすかを確認します。
各段階で確認しておきたい観点
企画・調達・開発運用・利活用という4つの段階には、それぞれ確認しておきたい観点があります。企画では業務の目的と生成AIシステムの知見をすり合わせ、調達では要件と選定の基準を明確にします。開発運用では出力の検証やログの管理を仕組みに落とし込み、利活用では現場での使われ方とリスクの再点検を続けます。エンジニアとして関わる場面は段階によって変わるため、下の表で全体像を整理しました。自分の経験がどの段階に近いかを照らし合わせながら見ると、案件を選ぶときの手がかりになります。
| 段階 | 主な検討事項 | エンジニアの関わり方 |
|---|---|---|
| 企画 | 業務の目的整理と、生成AIシステムの知見のすり合わせ | 要件定義や実現性の検討に加わる |
| 調達 | 選定基準の明確化とリスクの見極め | 技術要件の整理や提案内容の精査を支える |
| 開発運用 | 出力の検証やログ管理の仕組み化 | 実装・テスト・監視の設計と運用 |
| 利活用 | 現場での使われ方とリスクの再点検 | 運用データをもとにした改善提案 |
図の作成:Remogu編集部。導入の各段階を整理したもので、統計データではありません
段階を意識せずに進めると、調達の時点で要件が定まらないまま契約に入り、開発運用の段階に来てから仕様の手戻りが発生することがあります。逆に、企画から利活用までを一つの流れとして捉えておくと、どの段階で何を確認したかを後から追いやすくなり、リスクの説明もしやすくなります。段階ごとの記録を残しておくこと自体が、次の見直しの土台になります。
4段階のうち、最初の2つにあたる企画と調達は、その後の開発運用や利活用の質を左右します。次章では、企画・調達の段階で特に押さえておきたい観点を、業務の知見とシステムの知見という2つの軸から見ていきます。
3. 企画・調達で押さえておきたい観点
企画の段階でシステム側の視点だけを積み上げると、現場の業務実態と離れた仕組みになりがちです。逆に業務の視点だけで進めると、技術的な制約やリスクの検討が後回しになります。企画の段階では、業務の知見と生成AIシステムの知見の両方を用いて検討を進めることが望ましいという考え方が示されています6。片方の知見だけで走り出した企画を、後から立て直すには相応の時間がかかります。
2つの知見が支える範囲
業務の知見とシステムの知見は、それぞれ支える範囲が異なります。業務の知見は、何のために生成AIを使うのか、現場のどの工程に組み込むのかという目的の設定を支えます。システムの知見は、実装の可否やリスクの技術的な見極め、運用に耐える設計かどうかの判断を支えます。どちらか一方が欠けると、企画は具体性を欠くか、リスクを見落とすかのどちらかに傾きます。両方の知見をそろえた状態で調達に進めるかどうかが、後工程の負担を左右します。
| 観点 | 業務の知見が支える点 | システムの知見が支える点 |
|---|---|---|
| 目的の設定 | 何のために使うか、現場のどの工程に組み込むか | 実現の可否と必要な構成の見立て |
| 調達の基準 | 現場が求める使い勝手や運用の負担 | 選定基準への適合とリスクの技術的な見極め |
| 継続の判断 | 現場での使われ方と成果の確認 | ログや監視の仕組みが機能しているかの確認 |
実務では、業務側とシステム側が別々に資料を作ってからすり合わせるより、企画の初期段階から同じ場でリスクと実現性を検討したほうが、後の手戻りは少なくなります。要件を言葉にする役割と、技術的な制約を言葉にする役割の両方に、エンジニアが関われる余地があります。どちらの言葉も分かる立場でいると、企画と調達の間の橋渡し役として重宝されます。
図の作成:Remogu編集部。企画・調達の検討観点を整理したもので、統計データではありません
企画・調達の経験を活かせるリモート案件を見る →
企画・調達の段階でリスクを見極めておくと、開発運用に入ってからの手戻りを減らせます。逆に、この段階で観点を詰め切れないまま進めると、開発運用や利活用の段階で想定外の対応に追われることになります。企画・調達の質は、後工程の負担を左右する分かれ目です。
業務とシステム、双方の知見を持ち寄れる体制が整っている案件ばかりではありません。だからこそ、両方の視点を行き来できるエンジニアの関わりどころがあります。次章では、生成AI特有のリスクに、実務としてどう対策していくかを見ていきます。
4. 生成AI特有のリスクへの対策
ハルシネーションとデータ汚染攻撃への備え
生成AIには、事実に反する内容をもっともらしく回答してしまうハルシネーションというリスクがあります3。出力をそのまま業務に反映すると、誤った情報が現場に広がる恐れがあります。技術的なリスクとしては、学習データへの不正なデータの混入によるデータ汚染攻撃も指摘されています4。どちらも、生成AIならではの性質から生まれるリスクです。これまでのシステム開発で扱ってきたバグや障害とは、原因の探り方が変わってきます。出力を人が確認する工程では、既存の正しい情報源と突き合わせて誤りを見つける確認を積み重ねます。学習や参照に使うデータについても、入手した経路を記録し、想定していないデータが紛れ込んでいないかを点検します。
入力を通じて意図しない指示を紛れ込ませる、プロンプトを通した攻撃への備えも欠かせません。想定していない指示が混ざっても異常な出力を検知できるよう、システム側の仕組みを備えておく実務が重ねられています。入力を制限しすぎると使い勝手が落ちるため、どこまで許容するかの線引きも検討の対象になります。ハルシネーションへの備えは出力側の検証、データ汚染攻撃やプロンプトを通した攻撃への備えは入力側の管理という向きの違いを意識すると、対策の抜け漏れが見えやすくなります。
実務では、出力を人が確認する工程をどこに置くか、想定していない入力をどう検知するか、学習や参照に使うデータをどう管理するかという設計を積み重ねていきます。外部の情報を参照させる構成であれば、参照元の管理そのものがリスク対策の一部になります。監視のログを残しておくと、後から原因をたどりやすくなります。
生成AI特有のリスクは、性質によって対策の置きどころが変わります。出力そのものに現れるリスクは検証の仕組みで捉え、入力や学習データに関わるリスクは管理と監視の仕組みで捉えるという整理です。下の表に、リスクの内容と対策の方向性をまとめました。
| リスク | 内容 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| ハルシネーション | 事実に反する内容をもっともらしく回答する | 出力の検証を仕組みに組み込む |
| データ汚染攻撃 | 学習データへの不正なデータの混入 | 学習データの管理を徹底する |
| プロンプトを通した攻撃 | 入力を通じた意図しない指示の混入 | 入力と出力の監視を継続する |
出典:デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)をもとに作成
個別の対策を積み重ねるだけでなく、AIガバナンス体制を整備し、継続して確保することが求められます5。一度作って終わりにせず、運用しながら見直し続ける体制です。担当者が変わっても対策の水準が落ちないよう、判断の基準を仕組みとして残しておくことも、この体制づくりの一部です。誰が最終的な判断を担うのかを決めておき、対策を定期的に見直す場を設けておくことも、実務として積み重ねられています。次章では、こうしたリスク管理の実務に、リモートやフリーランスの案件としてどう関わっていくかを見ていきます。
5. リモート・フリーランス案件でどう関わるか
経験を活かせる関わり方
生成AIの導入・運用に関わる案件と聞くと、実装だけを思い浮かべる場面があるかもしれません。実際には、企画段階の要件整理、調達時の技術評価、開発運用でのリスク対策、利活用後の改善提案まで、関わり方の幅は広いものです。実装を任される案件よりも、業務とリスクの両方を踏まえて提案できる案件のほうが、経験を活かせる幅が広がります。企画の会議に同席したことがある人にとっては、その経験自体がこの領域の入り口になります。
システム開発やデータ活用、あるいは情報システム部門での経験は、生成AI特有のリスクを言葉にする場面でそのまま活きます。ログ設計やテスト設計の経験があれば、出力の検証や監視の仕組みづくりに関わりやすくなります。業務側の要件整理に携わってきた経験があれば、企画段階での知見のすり合わせに強みが出ます。オンライン会議でのレビューや、資料をもとにしたやり取りが中心になる場面が続くため、要点を整理して共有する力も同じくらい活きます。
関わり方には、企画段階の要件整理を支える型、調達時の技術評価を支える型、開発運用でリスク対策を実装する型、利活用後の改善を提案する型など、いくつかの入り口があります。どの型から関わり始めても、他の段階の知見を少しずつ広げていく道筋を描けます。1つの段階に強みを持つ人が、隣の段階へ経験を広げていく流れは、この領域では珍しくありません。
リスク管理や体制づくりの案件は、資料の読み込みや設計の検討が中心になる領域で、リモートでも進めやすい特徴があります。Remoguは、リモートワークに特化したエンジニアマッチングで、案件の90%以上がフルリモート可能です7。場所に縛られずに、企画から運用までの知見を積み重ねていく働き方を選べます。
生成AIの導入・運用に関わるリモート案件を見る →
企画・調達・開発運用・利活用のどの段階に強みがあるかは、人によって異なります。まずは、これまでの経験がどの段階と重なるかを整理してみると、案件の選び方が見えやすくなります。1つの段階から関わり始め、隣の段階へ少しずつ経験を広げていく進み方も選べます。
6. まとめ
生成AIの業務活用は、利活用の促進とリスク管理を、表裏一体で進める取り組みです1。企画・調達・開発運用・利活用という段階を意識し、ハルシネーションやデータ汚染攻撃、プロンプトを通した攻撃といった生成AI特有のリスクに、入力と出力の両面から向き合う実務が広がっています。どの段階を切り取っても、業務の知見とシステムの知見を両方そろえておくことが土台になります6。この土台を積み上げていく過程そのものが、担当者の経験として蓄積されていきます。
この領域は、システム開発やデータ活用、情報システムでの経験を、業務とリスクの両方を見渡す形で活かせる案件が増えています。企画段階の要件整理から開発運用でのリスク対策まで、関わり方は一つに絞られません。まずは自分の経験がどの段階に重なるかを確かめ、Remoguに登録して自分に合う条件を確認してみることが、次の一歩になります。
7. よくある質問
AIの専門でなくても関わることはできますか
生成AIの専門知識がなくても、業務の要件整理やシステムの設計・運用の経験があれば関われる案件はあります。企画段階では業務の知見が、開発運用の段階ではシステムの知見が求められるため、どちらかの経験があれば入口になります6。生成AIの技術そのものは、関わりながら少しずつ覚えていく形でも十分に対応できます。むしろ業務の要件を正確に言語化できる力のほうが、企画段階では重視されやすい傾向があります。
どんなスキルが活きますか
要件定義やテスト設計、ログ・監視の設計といったシステム開発の経験は、出力の検証や対策の仕組みづくりにそのまま重なります。業務側の要件整理やデータ活用の経験があれば、企画段階での知見のすり合わせに強みが出ます。資料を整理して関係者に説明してきた経験も、リスクをやわらかい言葉に置き換える場面で活きます。
リスク管理はどこから手をつければよいですか
まずは企画・調達・開発運用・利活用のどの段階に自分の経験が重なるかを整理し、その段階で求められる観点から着手すると進めやすくなります2。ハルシネーションやデータ汚染攻撃など、生成AI特有のリスクの内容を押さえておくことも土台になります3。すべてを一度に覚えようとせず、関わっている段階の対策から順に理解を広げていく進め方で無理なく続けられます。
システム開発やデータ活用の経験は活きますか
活きる場面は、企画から運用まで複数あります。テストや監視の設計経験は出力の検証に重なり、データ活用の経験は学習データの扱いやリスクの見極めに重なります。業務とシステム双方の知見を用いて企画を進める考え方があるため6、どちらかの経験を持つ人が案件に関わる入口は広がっています。これまでの案件で培ってきた設計や検証の型を、生成AI向けに読み替えていく感覚で臨めます。
案件はフルリモートでもできますか
Remoguが扱う案件は、90%以上がフルリモート可能です7。資料の読み込みや設計の検討が中心になるこの領域は、リモートでも進めやすい領域です。場所に縛られずに企画や運用の知見を積み重ねたい人にとって、選びやすい働き方といえます。まずは登録して、自分の経験に合う条件を確認してみると、次の関わり方が見えてきます。
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ハルシネーションやデータ汚染攻撃といった生成AI特有のリスクへの対策、ガバナンス体制づくりも求められます。まずは生成AIやデータ活用のリモート案件が、いまどんな条件で並んでいるかを見てみてください。
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※公開中の案件数は時期によって変わります。記事中の案件の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)
*2 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)
*3 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)
*4 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)
*5 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)
*6 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年)
*7 Remogu(株式会社LASSIC運営)公開情報:扱う案件の90%以上がフルリモート可能